魔法少女リリカルなのはEX・S 過去にとらわれた転生者   作:レイレナード

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少しだけ指が動かせるようになり、小説も書けるようになりました。
といっても肘が固定されてるから面倒ですけどね。

ではどうぞ


Episode17 思い出 of S

 放課後、私となのはちゃんとアリサちゃんはアリサちゃんの執事の鮫島さんの車でアリサちゃんの家に向かっていた。

 

 怪我をしているとは聞いているけど、久しぶりに優雨くんに会えると聞いて私の心は嬉しさでいっぱいだった。

 

 優雨くんに初めて会ったのは小学1年生のころ。まだ、なのはちゃんともアリサちゃんとも友達じゃなかったころだ。

 

 

 

 

 そのころの私は今以上に人見知りで、まだ仲のいい友達もいなかったから、いつも独りでいた。独りでいるしかなかった。そんなだったから教室にいるのは少し窮屈で、私はその日の昼休み学校の屋上に行った。

 

 ここなら、だれも来ないよね………。

 

 私は屋上に来るのは初めてだった。だから少しここからの景色を見てみようと屋上の塀に近づいてみる。だけど、飛び降り防止のためか、その塀は少し高くて、少なくとも私の身長ではそれを見ることはできなかった。だけど代わりに、いつもよりも空が近くにあって、天気の良さもありとても温かかった。私は、実は少し日光は苦手なのだけど、その時はあまり気にならなかった。

 

 私は、もうしばらくここにいようと決めてその場にしゃがみ日向ぼっこをする。

 

 

 ………

 

 ふと、時間が気になり携帯を取り出してみると、もうそろそろ昼休みが終わる時間だった。私は教室に戻るため出口のほうを見る。しかし、

 

 「!」

 

 一人の男の子が、ドアのすぐ横で座って寝ていた。その子はドアのわきの壁に背中を預けすやすやと気持ちよさそうに眠っている。

 

 恐る恐る近づいてみると、その顔を私は知っていた。億夜優雨くんだ。私は一応クラスの人の顔と名前は覚えるようにしている。優雨くんも同じクラスなのだ。

 

 とにかく、ぐずぐずしていたら授業に遅れてしまう。私はドアノブに手をかけた。

 

 だけど、そこでふと気が付く。

 

 このままじゃ、優雨くんも授業に遅れるんじゃ。

 

 私はもう一度優雨くんを見る。やっぱり優雨くんはぐっすりと寝たままだ。

 

 その顔は、なんだかとても可愛くて、なんだかとても悲しそうだった。矛盾してるのはわかってるけど、なぜかそう感じるのだ。

 

 

 突然チャイムが鳴った。

 

 私ははっとして現在の状況を確認する。

 

 なんと私は座って優雨くんの寝顔を間近で眺めていたのだ。何故そんなことになったのかわからず、私はびっくりして身を引こうとして、

 

 ゴンッ!

 

 「っ!~~ったあ~」

 

 真横のドアに頭からぶつかった。

 

 あまりの痛さに思わず泣きそうになる。だけど、そこでさらに驚くことが起こった。

 

 「………ん」

 

 「え?」

 

 優雨くんが少し体を動かしたと思ったら私のほうに倒れてきたのだ。

 

 「わっ、あ、えと、きゃっ!」

 

 私はあわてて抑えようとして、だけど倒れてくる勢いに負けた。そしてそのまま、優雨くんの頭は正座をしている私の足の上に乗った。いわゆる膝枕の状態だ。

 

 「え、えと………どうしよう?」

 

 幸いにも抑えようと優雨くんの肩とかに少し手を置いて押したおかげで勢いは少しだけおさまり、わりとゆっくりと膝の上に乗ってきたので優雨くんへの衝撃も私への衝撃も弱かった。

 

 ………あれ?幸いなのかな?よく考えれば勢いよく落ちてくれれば、優雨くんは目を覚ましたかもしれない。もしかしてこれは失敗なんじゃないだろうか?

 

 っていうか、男の人に膝枕しちゃってるよ!す、すごく恥ずかしいっ!

 

 あ、でもなんか優雨くんの寝顔やっぱりかわいい。ずっと見てたくなる。だけど、なのになんで、こんなに悲しそうに見えるんだろう?

 

 「ん………っ」

 

 そのまま見ていると優雨くんは少し身じろぎした。

 

 だけど、

 

 「あ………」

 

 私は気付いた。ほんの少しだけど、優雨くんが手を彷徨わせたことに。

 

 それは単なる私の勘違いかもしれないけど。もしかしたらこの子は寂しいのではないだろうか?私と同じで、独りなのではないだろうか?

 

 気が付いたら私は優雨くんの手を握っていた。そんな自分の行動にびっくりするけど、優雨くんは少しだけ力を入れて握り返してきてくれた。それにほんの少しだけ、その寝顔から悲しみが消えたように思えた。

 

 それが、なんだかすごく嬉しかった。

 

 不思議だな。人見知りのはずの私が、自分から異性に触れ合うなんて。

 

 そのまま私は、時が過ぎるのを忘れて優雨くんに見入っていた。

 

 

 

 結局、気が付いたら5時間目終了のチャイムが鳴ってしまった。

 

 小学1年生である私たちは、1週間のうち月・水・金の3日間が5時間で終わり、それ以外の火・木・土が4時間で終わる。そして、今日は金曜日。つまり、あとは掃除をして帰宅の時間だ。

 

 ………結局、さぼっちゃったな。

 

 そんなことをのんきに考えながら、優雨くんの頭をなでていると、

 

 「………ん、ん?」

 

 優雨くんが、うっすらと目を開けた。

 

 わあああ!?ど、どうしよう!?今のこの状況をどう説明すればいいの!?っていうか恥ずかしすぎるよ!!

 

 今更のように慌てる私をよそに、優雨くんは少しずつ目を開けていった。

 

 「え、えと、その、あの、………お、おはよう」

 

 私はいい加減決意を固めて優雨くんに声をかける。

 

 「………ああ、おはよう。………!?」

 

 優雨くんは、まだ寝ぼけているように返してきて、そしていきなり目を見開いて体を起こした。

 

 「きゃっ!」

 

 「っ!」

 

 私はびっくりして後ろに倒れそうになり、思わず目をつむる。しかし予想していた痛みはなくて、代わりに温かい何かに包まれるような感じがした。

 

 「え?………!?」

 

 その心地良い感覚を不思議に思い目を開くと、すぐ目の前に優雨くんの顔があった。気付けば、優雨くんに抱き留められていたのだ。

 

 私はあまりのことに動けなくなってしまった。優雨くんも目を見開いたまま固まっていて、私たちはそのまま、まるで石化したように動けないでいた。

 

 「………」

 

 「………」

 

 しばしの沈黙した後、優雨くんは私を倒れない角度まで持ち上げてゆっくりと離れた。

 

 「ええと、なんでこんなことに?」

 

 「あ、えと、その、倒れてきて、それでその………うう」

 

 駄目だ。何とか説明したいけど恥ずかしさと緊張でテンパっちゃって、全然説明できない。

 

 優雨くんはじっと私を見ていた。私はやっぱり恥ずかしくてギュッと口を結んで下を見て動けなくなってしまう。

 

 すると、

 

 「ああ、座って寝てた俺が倒れて、それを助けてくれようとして膝枕の状態になっちまったってところか?ありがとうな」

 

 そう、何か納得したように言ってきた。

 

 「え?」

 

 私は、突然のことに思わず顔を上げて聞き返す。

 

 「っていうか、俺が倒れたせいで屋上のドアが開けられなくなってもいたんだな。ごめん」

 

 そんな私の前で、優雨くんは突然謝ってきた。

 

 「え、い、いいよそんなの!き、気にしないで?そ、それに私だって悪いところがあるんだし!えと、お、お互い様だよ!だ、だから気にしないで!」

 

 私は急いで弁解する。確かに優雨くんの言う通りだけど、私が優雨くんを起こすなりどかすなりすればよかっただけの話なのだから、優雨くんが一方的に悪いなんてことはないのだ。私は、必死に優雨くんだけが悪いわけじゃないと伝える。いつの間にか、目までつむって叫ぶように。

 

 私が言いたいことを言い終わって少しずつ目を開けてみると、そこには、きょとんとした目でこちらを見ている優雨くんがいた。

 

 そんな優雨くんはすぐに無表情になって、だけど雰囲気で、少し笑っているのが分かる、そんな不思議な顔で、

 

 「なんだ。人見知りかと思ったら、わりと話せるんじゃないか」

 

 そんなことを言ってきた。

 

 「え?」

 

 それが理解できない私は思わず呆けたように聞き返す。だけど、優雨くんはそれを無視して、少し困ったように言った。

 

 「ところで、手、そろそろ離してくれないか?」

 

 優雨くんは自分の左手を右手で指さしながら言ってきた。そう、いまだ私と手をつないでいる手を。

 

 「わあああああ!?あの!えと、ご、ごめんなさい!!」

 

 私はまだ手をつなぎっぱなしでいたことに、驚いたり恥ずかしかったりと様々な感情に慌てながら急いで手を離した。

 

 「謝らなくていいさ。なんでかわからないけど、少し、嬉しかったから」

 

 「え、あ、はい」

 

 だけど、少し恥ずかしそうに言う優雨くんを見たら、なんだか急に落ち着いてきた。それに「嬉しかった」と聞いたとき、なんだか、恥ずかしいのにどこか暖かいような、そんな初めての気持ちになって、なんだか不思議な感じだ。

 

 「………」

 

 「………」

 

 私と優雨くんはまた少し無言の時間を過ごした。だけど、さっきとは違い、気まずい雰囲気ではなかった。

 

 「景色」

 

 「え?」

 

 優雨くんが突然口を開いた。だけどよく聞こえなかったので聞き返す。

 

 「景色、見に来たのか?」

 

 優雨くんの言葉で、自分がここに来てから景色を見たいと思ったことを思い出した。優雨くんのことばかり考えて、忘れていた。

 

 「う、うん。結局、見れなかったけどね」

 

 思わず、少し残念そうに言ってしまった。すると優雨くんは突然立ち上がって、

 

 「ちょっと立ってくれるか?」

 

 そう言ってきた。

 

 「え?う、うん」

 

 私は、突然の申し出に戸惑いつつも指示に従ってみる。

 

 すると、

 

 「え?え?わああああ!?」

 

 突然優雨くんが後ろに回って身をかがめたかと思うと、私の足の間から頭を出してきた。そのまま私の太ももあたりが優雨くんの肩に乗るように立ち上がる。

 

 つまり肩車だ。

 

 「え、ちょ、ちょっと!?」

 

 優雨くんは私を無視してそのまま歩き出す。私は少し怖くて、思わず優雨くんの頭を押さえてうずくまり目をつむる。

 

 そして、数歩歩いたところで突然揺れが収まった。

 

 「ほら、これなら見えるだろ?」

 

 優雨くんの声が聞こえ、恐る恐る目を開けてみる。すると、

 

 「………!わああ」

 

 そこには、屋上から見た街の景色があった。

 

 もともと町の外側、少し山のほうにあるこの聖祥大付属小学校は町の中心よりも高い位置にある。そのため、その屋上から街を見ると、ほとんど全体を見渡せるようになるのだ。

 

 温かい夏の日差しに包まれた海鳴市はどこまでも見渡せて、青い空や海、学校とは反対側にある小さな山々などまで見えた。それはどこまでも大きくて、壮大だった。

 

 私は、今まで味わったことのない感動を覚えながら、時間を忘れてその景色に見入っていた。

 

 

 しばらくすると、優雨くんが声をかけてきた。

 

 「どうだ?ここの景色は」

 

 「うん。すごくきれい。それに、すごく広がってて、何て言えばいいかよくわからないけど、とにかくすごいよ」

 

 私の感想に満足したのか、優雨くんは少し息を吐き、

 

 「さて、そろそろいいか?」

 

 そう聞いてきた。私は、もう純分その景色を堪能したので、すぐに答えを返す。

 

 「うん」

 

 優雨くんは数歩下がった後、私の足がつくまで腰を落とし、足の間から頭を引いた。私は私の後ろで優雨くんが立ったのを確認しながら、そちらに振り向く。

 

 「優雨くん、ありがとう。おかげで、すごくきれいな景色を見れたよ」

 

 「ああ。………って名前知ってたのか?」

 

 「うん。同じクラスだからね。私は、月村すずかだよ」

 

 「わかった。覚えておくよ」

 

 そんな会話をしていると、

 

 ピーンポーンパーンモーン

 『1年2組の億夜優雨くん、月村すずかちゃん、校内に残っていましたら、すぐに職員室まで来てください。繰り返します。1年2組の―――』

 

 「「………」」

 

 私たちは顔を見合わせて、

 

 「っぷ、あははは!」

 

 「はあ」

 

 私は思わず笑って。優雨くんはあきらめたように、でもどこか楽しそうにため息をついた。

 

 「行くか、月村」

 

 「うん、優雨くん」

 

 私たちは一緒に職員室に向かった。

 

 気付けば、もう、優雨くんと話すのに恥ずかしさや緊張はなくなっていた。

 

 

 

 

 それが、私の優雨くんとの思い出。

 

 そのあとは、アリサちゃんやなのはちゃんといろいろあって話すようになった。それは嬉しいことだったけど、逆に優雨くんと話す機会はあまりなくなってしまった。2年生になってからは、クラスも変わってしまって、全く話せなかった。3年生になってからもそれは同じ。

 

 だから、私は嬉しかった。

 

 優雨くんは小学生になって、初めて普通に話せた子で、屋上からの景色も見せてくれた。優雨くんとの思い出は、とても楽しくて、嬉しくて、大切なものなのだ。そんな優雨くんと久しぶりに話せるかもしれない。そう思うと、怪我をしているというのに不謹慎かもしれないけど、やっぱり嬉しくなってしまうのだ。

 

 だけど気になるのは、なのはちゃんが言ったこと。「ヒーローなら、あんなに寂しそうな背中はしてないよ」なのはちゃんは、確かにそう言った。

 

 私の中にある優雨くんは、優しくて、あったかい気持ちにしてくれる人だ。だから、最初に聞いたときはなのはちゃんが何を言っているのはわからなかった。だけど、思い返してみれば、優雨くんの寝顔は、確かに寂しそうに見えた。それに、手を握った時も、優しく、だけど強く握り返してきた。まるで、二度と離さないと言わんばかりに。

 

 それに、1年生の時。たびたび見た優雨くんは、どこか、寂しそうで、悲しそうに見えた。

 

 確かに、私も知っていた。ただ、綺麗な記憶がそれを消していただけだった。だから、久しぶりに会える嬉しさと一緒に、私は、もっと優雨くんのことが知りたいという感情もある。

 

 もっと知って、その悲しさもうれしさも、互いに分け与え会えていけるようになりたい。

 

 私は優雨くんと、友達になりたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこかで誰かが、微笑んでいるような、そんな気がした。




すずか
 喜び、不安、焦り、様々な思いを抱えて私たちはアリサちゃんの家に向かう。
 そんな中優雨くんは神様と会っていた。
 優雨くんの思いは揺れ、そしてそれは………
 次回 「決意」







作者「次回予告の言い方的に、誰が言っても同じような言い方になることに最近気づいた作者で
   す」

すずか「なんだすごくどうでもいいことから始まったね」

作者「それはまあいつものこと。それにしても肩車かあ。あとから思うとほんと大胆なことした
   な」

すずか「優雨くんもそう思ってるみたいだね。そういえば優雨くんは私の家で拾う予定もあったん
    だっけ?」

作者「うん。でもそうするといろいろ面倒だし、アルフがあの後優雨を放すとも思えないから結局
   こうなった」

すずか「まあ、変にごちゃごちゃさせないほうが良いっていうのはあるかもしれないね」

作者「そういうこと。ではまた今日はこの辺で」ノシ

すずか「また来週もよろしくお願いします」




「え?まだ腕治ってないのに来週投稿確定!?」

「え?当然だよ?」

「………はい」
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