魔法少女リリカルなのはEX・S 過去にとらわれた転生者 作:レイレナード
さて、ここで主人公、優雨の代表的な魔法が登場します。
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そろそろ書き直すところもなくなってきたかと思えばたくさんあったり。残念ながらまだまだかかりそうです。
では、どうぞ。
海鳴神社。俺がいつも魔法の訓練をする海鳴市唯一の神社だ。山の中にあるせいで長い階段を上らねばならず、人はめったに来ない。神社の裏は森で、奥に行けば大きな池もある。
そんな場所で、今戦闘が行われていた。
神社の奥の森に、稲妻のような金色の魔力の柱が立つ。
………かなりの魔力量だ。平均的な計測値ではあのなのはを上回っている。
「そろそろステルスを使ったほうがいいな」
魔法をはっきりと目視できる位置まで来た。ということは、こちらが魔法を使っていれば向こうに気付かれる可能性が高い位置まで来たということだ。
全開と同じように自分でステルスを発動し、地上に降りる。
と、
「うわ!」
「!?」
(な、声!? 誰かに見られたか!?)
そう思いあたりを見回すが、どこにも人影はない。なら今の声はどこから………
「あ、あの、あなたは……」
再び聞こえた声。それがした方、自分の足元を見るとフェレットがいた。
………ん? フェレット?
「あなたも、魔導師ですよね。もしかして管理局の……」
よく見れば、見覚えがある。そうだ、こいつはあの時なのはと一緒にいたフェレットだ。
「あ、あの~」
それはつまり、なのはをこんなことに巻き込んだ張本人だということ。ただ見ていただけの俺が何を、とも思うが、こいつの真意は聞いておく必要がある。
「……お前は」
俺はフェレットの言葉を無視して、一つだけ聞く。
「お前は、どうして何の関係もない一般人を巻き込んだ?」
「っ!!」
突然の俺の言葉にフェレットは後ずさる。
「あなたは、僕らのことを知っているんですか?」
その質問すら俺は無視してただフェレットを見る。フェレットはさらに下がろうとして、しかし、踏みとどまった。顔を背けず、じっとこちらを見る。
「それは……、必要があったからです」
「………」
俺は黙って続きを促す。
「今の僕ではあれを、ジュエルシードを止められない。僕の力が戻るまで待ってたら、何の関係もない人たちがたくさん死んでしまう。でもあの子の魔力ならそれを止められる! だから……」
「だが、さっきも言った通り、彼女もお前の言う”何の関係もない人”だ。力を持ったと言っても、戦いの中にいる以上、いつだって死と隣り合わせだ。それはお前の言葉と矛盾している」
その指摘に、フェレットは一瞬目をそらしてしまう。
「それは、わかってます。それでも、僕にはこうするしか……。だけど、その責任は守ります!」
しかし、すぐに決意のこもった眼を持って俺を見上げた。
「責任?」
「あの子を巻き込んだ責任。彼女を死なせるようなことだけは、絶対にさせない!」
まっすぐに俺を見る強い瞳。それは自分の汚点をしっかりと認識し、そのうえでの決断だということを示していた。
「……そうか。なら、最後に一つ。お前の目的なんだ?」
これにフェレットはすぐに答える。
「ジュエルシードの回収。ジュエルシードの発見者として、その責任と果たすことです」
迷いのないその揺るぎない言葉に、俺は安心して頷いた。
「そうか。なら、果たしてみせろ」
俺はそう言うと、フェレットを肩に乗せ走りだす。
「え? わ、ちょっと!?」
「お前もあそこに向かっていたんだろ。運んでやる」
フェレットは、はっ、として前を見すえた。
「はい!」
すぐに距離は埋まり、戦闘のすぐ近くまで来る。戦っているのはなのはと、見たことのない魔導師の少女だ。黒ベースの服に赤黒のマントを羽織った防御の薄い軽装のバリアジャケット。ツインテールの綺麗な金髪は腰あたりまで伸ばしている。
「あの黒い方に見覚えは?」
肩に乗せたフェレットに聞く。
「いえ、ありません。でも、すごく強いっ。これじゃあ……っ!」
フェレットの言う通り、黒い魔導師は圧倒的なスピードを持ってなのはを翻弄し、
攻撃を仕掛けている。ミッド式としては珍しい、魔力刀で構成した鎌を用いた近接戦闘だ。
一方なのはは防戦一方。そもそも戦う気がないのか、必死で相手に呼びかけている。
そもそも実力に圧倒的な差があるのに、戦う気がないのであれば決着は目に見えていた。
黒い魔導師は一旦距離を取った後、手に持つ大鎌を大きく振り、そこから稲妻の刃が回転しながら飛ばされた。
それに対し、なのはは魔力の壁、バリアで防ごうとする。しかし、その選択が間違いだった。
「なのは! それじゃ駄目だ!!」
フェレットがすぐに相手の魔法の特性を看破しなのはに叫ぶが、その声が届いた様子はない。俺もまた、あの魔法を分析しなのはの判断が間違っていることに気付いた。
魔力刃に込められた魔力量はただ飛ばしただけとしては大きすぎる。威力を上げバリアを突破するつもりだとしても、あの回転ではバリアを削りきることはできないだろう。バリアを抜くつもりなら突き刺すように飛ばすか錐揉み回転でもさせて、一点突破を狙うはずだ。ならばあの魔法の意味は巨大な刀身が回転していることによって回避を難しくすること。そして大きな魔力量の意味はおそらく………
予想通り、魔力刀がバリアとぶつかるとそこで数回回転しバリアを削り、そしてすぐに刃が爆発した。
「きゃあ!?」
「なのは!!」
その威力は凄まじく、なのははバリアを超えてダメージを受け吹き飛ばされてしまう。しかも飛行魔法を維持することすらできず、そのまま落下していった。フェレットはすぐに俺の肩を降り、なのはの落下予測地点へと走る。
だがそれで終わりではなかった。
黒い魔導師は、さらに魔力弾を2発生成していたのだ。
(まさか、とどめを刺すつもりか!?)
あれだけのダメージを受けた以上、なのははもはや抵抗することなどできない。そこまでする必要は……、いや、そうすることで警告するつもりなんだ。もう二度と邪魔してこないように。
(だが、そんなことさせるか!)
「アイギス! ジャンプ・ステップ!」
『はい!レベルEスペル「ジャンプ・ステップ」!』
俺はとっさにスペルを発動させる。
『ジャンプ・ステップ』とは転送魔法を利用した瞬間移動だ。
転送はただの高速移動の魔法よりも移動が速い。しかし、その転送中周囲の情報を知ることができないのだ。しかも転送は発動から効果が適用されるまで、多少のタイムラグある。さらに転送中は光の粒子が高速で移動するさまが見えるうえ、転送先が予測されやすい。
以上のことから高速戦闘で転送魔法は使われないのが常識だ。
しかし俺のスペルはその特性上タイムラグをなくすことができる。さらに発動時、自動で周りにサーチャーを飛ばすようにしているので、なんとか周りの情報も知ることができるようにしたのだ。
しかし、一度指定した場所に向かって飛ばすのが転送なので、一定以上の距離があるときにこれを使うと、発動して転送されてから現れるまでにどうしても時間がかかってしまう。タイムラグをなくしたことで相手が対処する暇はできるだけ減らしているとはいえ、転送時間が長ければ長いほど転送先を予測されやすいのは変わらない
よってこれはうまく何度かに分けて使うか、不意を衝くときぐらいしか使えない魔法となった。
しかし、やはり通常の高速移動の魔法よりも遥かに速いことに変わりはない。
よって今回はそれを使用することにしたのだ。
黒い魔導師が「ごめんね」と言って魔力弾が放たれるのと同時にスペルを発動させなのはの前に転送する。
転送が完了すると同時に俺はアイギスに新たに指示を与えた。
「スプレッド・ディフェンス!!」
『レベルBスペル「スプレッド・ディフェンス」!』
アイギスのひし形のそれぞれの角の先につけられていた突起が飛び出し、上下左右に一つずつ展開される。そしてそれぞれの頂点を結ぶように魔力によるシールドが形成された。つまり大きなひし形のシールドを作ったのだ。
そして、黒い魔導師の放った魔力弾はシールドに当たった瞬間、何の前触れもなく”霧散”した。
「「「!?」」」
黒い魔導師は突然魔導師が転送されてきたことと、自分の放った魔力弾が止められてのではなく消滅させられたことに驚きを隠せないでいた。
なのはも突然現れた誰かに助けられたことに、そしてフェレットもまた、転送による高速移動と、魔力弾の消滅に驚いていた。
早々に使ってしまったが、これは俺が戦いで負けないために編み出した防御の切り札だ。
これは展開された4つの突起からある特殊なシールドを展開することで成り立っている。それは、超高速振動しているシールドだ。その振動はあまりに早く、この世界のあらゆる機器をもってしても見ることができないほど。その振動に触れた魔力は触れた個所から魔力を拡散され最終的には霧散する。
魔力の消費は少し高いし、スペルでいう負担レベルはBと少し高めだが、これにより相手の魔力攻撃のほとんどを無力化できる。
ついでに言うとこの振動を実現しているのはプリエルによりもたらされた閃きで、俺が開発したものだ。簡単に言えば神の奇跡のような術式なので誰もこんな方法は用いていない。つまり、どうやって霧散させているのか周りの奴は理解できず混乱を与えることもできる。
本当はこの機能と同時にもう一つ発動する機能があるのだが、今回は防御だけが目的なのでそれは発動させない。
黒い魔導師は俺の登場に警戒を強める。なのはを助けたことで敵であることは確か。さらに未知の魔法を使ったのだ。それは当然の反応だ。
しかし、俺はすぐにスプレッド・ディフェンスを解き、ただ彼女を見上げた。
「戦う前に、一つだけ聞かせろ」
「?」
彼女は首をかしげるが、警戒はより一層深める。
「お前は、その魔力結晶体……ジュエルシードが関わる物事で、この世界の何の関係もない一般人に迷惑をかけないと、少なくともそう努力すると、約束できるか?」
「!」
彼女は一瞬の驚いた顔をする。が、すぐに真剣なものに戻った。
「できる範囲で、努力します」
その声は一切の曇りがなく、彼女の決意さえも感じさせるほどに力のこもったものだった。
そんな声で返されては、俺には疑うことはできない。
「………いいだろう。君と彼女の決着はついているし、連戦というのもフェアじゃない。そのジュエルシードは譲ろう」
「「「!?」」」
後ろの二人は俺の予想外の言葉に驚いているが、目の前の彼女もまた、それは予想外の言葉だったようだ。
「どういうことですか?」
やはり警戒は解かず、事らを探るように見てくる。
それに俺はただまっすぐ答えた。
「今言った通りだ。それに俺は後ろの二人の仲間ではないし、今のところ俺の目的はこの世界の平穏だけだ。それさえ守ってくれるなら、俺に文句はない」
「………わかりました」
彼女はすぐにまだ近くに浮かんでいたジュエルシードを回収する。しかし「だが」と俺は続けた。
「お前がジュエルシードを集める理由が分からない以上、今の言葉だけですべて信用するわけにはいかない。次に会ったときには、教えてもらうぞ」
「……っ、………」
短い沈黙の後、彼女は背を向けた。それを「待って!」となのはが呼び止める。
しかし彼女はそれに振り向かずに答えた。
「今度は、手加減できないかもしれない。ジュエルシードは、諦めて」
最後に一瞬だけなのはを見て、今度こそ彼女は去って行った。
なのはたちはあわててそれを追おうとするも、既に彼女の影はなく、それは叶わない。
それを見届け、俺もその場を去ろうとする。と、
「待て!!」
俺を呼び止める声。振り向けと、フェレットがこちらを睨んでいた。
「どうしてジュエルシードを譲るなんてことをしたんだ! あれは危険なものなんだ!!」
「ゆ、ユーノくん……」
俺を管理局だか何だかと勘違いしていたようだし、俺の行動に混乱したり怒ったりするのは当然だろう。あのフェレット――ユーノはジュエルシードの危険性を知っているのだから。
「お前が俺に何を期待したのかは知らないが、俺の立場は中立だ。どちらの味方でもないし、どちらの敵でもない。少なくとも、今のところはな」
俺の言葉にユーノは歯切りする。
「君はいったい何なんだ!? やっと、管理局が来てくれたんだと思ったのに……」
徐々に言葉に力がなくなり、ユーノは項垂れてしまう。そんなユーノに、俺はわずかながら苛立ちを覚えた。
「お前は、誰かに頼ることしかできないのか?」
俺の言葉に、ユーノは「え?」と顔を上げる。
「さっき俺に言ったお前の意志は、その程度のものだったのか?」
「!!」
ユーノの意志。ジュエルシードの発見者として責任を取る事。そして、巻き込んでしまったなのはを、必ず護る事。
「もう一度言うぞ。ちゃんと果たしてみせろ」
絶句するユーノを放って踵を返す。と「あ、あの!」再び呼び止められた。振り向くと、今度はなのはが俺を見ていた。
「ありがとう、ございます。助けてくれて」
感謝を述べるなのはに、しかし俺は背を向けた。
「気にするな。ただの気紛れだ」
まさか、「知り合いを放っておけなかった」などと言うわけにもいかない。俺はそう言って、ジャンプ・ステップを使ってその場を去った。
家に帰ってから、私はずっと部屋に閉じこもっていた。今日出会った二人のことが、気になって仕方なかった。
あの子たちは誰なのか。
金髪の子の名前はなんていうのか。
どうしてあんなに寂しそうな眼をしていたのか。
どうしてジュエルシードが欲しいのか。
そして仮面をかぶったあの子は何だったのか。
どうして助けてくれたのか。
どうしてあの子の背中はあんなに儚げに見えたのか。
分からないことだらけだけど、私はその全部が知りたかった。
だけど私にはそのための強さが足りない。
だから、強くなろう。
どうしてあんなに寂しそうな眼をしてるのか。
どうしてあんなに儚げな背中をしてるのか。
今はそれを知るために、もっともっと、強くなりたい。
だから、
「だから教えて。魔法の上手な使い方!」
私はジュエルシードを回収した後もずっとジュエルシードを探していた。
だけど結局見つからなくて今は噴水のところで休んで私の使い魔――アルフと通信で話している。まだ私が小さいころ、瀕死の狼の子供を見つけて、その子を使い魔とした。それがアルフだ。
アルフもジュエルシードを一つ見つけたみたい。これで今私たちが持っているジュエルシードは2つだ。
『しかしなんだろうね。この白いのと仮面の子は。まさか管理局にばれたなんてことは』
アルフが最悪の事態を指摘する。
「違うと思うよ。白い子のほうはあんまりうまく魔法が使えていなかったし、仮面の子のほうも、管理局ならあの状況で見逃すなんてことはないはず」
『そっか。だけどどっちもまたぶつかる可能性はあるってことだね。白いのはいいとして仮面のほうはかなり厄介そうだし、気を付けないと』
「うん。わかってる」
そうだ。今日の調子を見る限り白い子のほうはそこまで脅威になるとは考えづらい。
だけど仮面の子のほうは、直前まで全く気付なかったし、転送魔法を使った瞬間移動。極めつけは魔力弾を霧散させた盾。どれもが今まで見たことも聞いたこともない魔法だ。
あの子がどれほどの使い手かはわからないけど、戦うことになればかなり厄介になる。
『まっ!フェイトの邪魔するやつはあたしがみんなやっつけてやるけどね!』
心配ばかりする私と違ってアルフはとても前向きだ。
私も少し見習いたい。
「ありがとう。アルフ。………今日はそろそろ戻ろう。明日、また頑張らなくちゃ」
『そだね。もう少しでこの辺終わるからそしたら私もすぐに帰るよ』
「うん。がんばってね。それじゃ先に戻るよ」
そこで通信を終えてこちらでの滞在先に戻る。
(………早く、母さんの笑顔が見たいな)
家に戻り、疲れを取るようにだらしなく椅子に座る。
(………あの黒い魔導師、たしか、あのアニメの中にも出てきたはずだが……名前は思い出せないな)
思い浮かぶのはやはりあの黒い魔導師だ。あの、寂しそうな眼をした黒い魔導師。俺が止めた魔力弾、あれを放つ時も、「ごめんね」なんて、悲しそうに言っていた。
あれは、本当は撃ちたくなかった、ということなんじゃないだろうか。
だけどそれを押し殺してでも、自分の感情を棚に上げてでも優先すべきことがある、と。ジュエルシードを集めているということは、かなえたい願いがあるということなのか。それとも、誰かに強要されているか。
(………、いくら考えても答えは出ないか)
でも、何かを抱えているのは確かだろう。だとしたら、俺にできることは何かないだろうか。ジュエルシードを集める際、誰かを傷つけるのが嫌だというくせに、そんな優しい子がどうしてジュエルシードを集める必要があるのか。俺は、それが知りたい。
(どうやって?)
簡単だ。聞けばいい。次は戦うことになる、と宣言もしたんだ。全て教えてくれるなんてことはないだろうが、糸口ぐらいはつかめるかもしれない。
何にしても、今は休もう。いつ戦いになっても問題ないように。
結局あの後はいつものように過ごし、次の日はいつものように学校に登校した。だけど授業中はずっとマルチタスクを使って訓練をして過ごす。実際に体を動かしているわけじゃないからそれほど疲れもしないし、マルチタスクを使っているからちゃんと授業は聞いている。問題はない。
なのはは朝見た限りでは、やはり昨日のことを引きずっているようで、どう見ても悩んでいる。彼女の友達が声をかけても、なんでもないだとか、大丈夫だとかしか言わない。あれでは昔と同じだな。
だけど、その問題はこれからの戦いでのみ答えを知ることができるものだ。今は、何を言っても無意味だろう。
俺は自分の訓練に集中することにする。
ふと視線を感じ、そちらを見てみると教室の外からなのはがこちらを見ていた。
なのははあわてて顔を引っ込める。
………2年前に問題を解決した時みたいに、相談したいって感じか? だけど、魔法のことは言えないから相談できないと。
………
まあ、向こうから相談してこない限りは無視しておこう。俺から行っては、なのはのああいう誰も頼ろうとしないところは治らないだろうからな。
結局そのまま学校は終わった。普段ならまっすぐ帰るかスーパーによるかだが、今回はそのままジュエルシードを探すことにした。
ジュエルシードの発見はなるべく早い方が当然良いし、運が良ければあの黒い魔導師に会えるかもしれない。
『……マスター、いいんですか?』
適当に道を歩いていると、アイギスが話しかけてきた。
「何がだ?」
『いえ……、人と積極的に関わろうとしないのがマスターのスタンスだったはずなのに、今回はわざわざ自分から関わりに行っているように見えるので』
アイギスの言葉への答えを一瞬だけ考える。
「………必要があるからな。双方の目的がはっきりしていて、この世界に迷惑はかけないようにするっていうのなら、ここまで積極的には動かないさ。でも今回はその肝心の目的がはっきりしていないからな」
そう言いつつ、実際のところ俺が動く最大の意味は、あの黒い魔導師が何を抱えているのかを知り、できることならその力になりたいということだ。俺にとって必要があると言うのは、つまりはそういうこと。
………できることなら、目の前にいるだれもが笑っていられたら、それだけでいいんだ。
『マスt……』
「さあ、話はこれくらいにして、索敵に集中しよう」
そう話を無理やり終わらせる。雑念を振り払うように、できるだけ早く歩いた。……これ以上踏み込んで聞かれたくはなかったから。
と、
「……っ!」
『魔力反応です!』
アイギスの言う通り、俺も感じていた。しかもこれは……
「ジュエルシード、だな」
すぐに反応のする方向に向かって走る。次に正確な座標を特定する。
(方向はあってる。距離は……100メートルぐらいか)
『このまま真っ直ぐ走って100メートルほど、4つ目の角を曲がったところです!』
アイギスの言葉に確信を得て、俺はバリアジャケットから仮面のみを取りだし、顔に着ける。さらにマルチタスクを使って術式構成し、ジャンプ・ステップを発動させた。
転送目標はアイギスが指定してくれた場所。
すぐに転送が完了し視界が戻る。
そこには封印が完了したジュエルシードがあった。そしてそれを挟んだ向こう側、俺とほぼ同じ距離に黒い薄手のバリアジャケットを展開した金髪の女の子、あの黒い魔導師が驚いた顔でこちらを見ていた。
どこかで誰かが、慌てているような、そんな気がした。
作者
偶然出会ってしまったフェイトと優雨。
母のために、そして目の前の少女のために、互いに譲れぬものを持つ二人の戦いの行方は!?
次回、「優雨の実力」
優雨「今回から次回予告を入れるそうだ。言うやつは毎回変わるらしい」
作者「何書けばいいかわからなくなってきて………」
優雨「だそうだ。付き合ってやってくれ。あと、次から投稿は1週間ごとになる」
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何が一週間ごとだったのか。
書き直しでは次回予告は改めません。このままです。ではまたいつかノシ