おかしな文章がありましたら、発見次第修正していきます
『使い魔?」
「あなたも悪魔ならそろそろ自分の使い魔を手に入れた方がいいわ。悪魔にとって使い魔とは基本的な物なの。主の手伝いから情報伝達、追跡にも使えるわ」
部室に来た俺に部長がそう言った。へ~、便利なもんだなぁ~
「ちなみに私の使い魔はこれよ」
そう言って部長が出したのは蝙蝠だった。
「イッセーは会った事があるわね」
「え?」
ポンッ!と音をたてて変身したその姿は見覚えのある者だった。夕麻ちゃんとのデート前に俺にチラシを配った人だった。
「私のはこれですわ」
そう言って朱乃さんが出したのは小さな子鬼だった。
「ちなみに僕のは・・・」
「あぁ~、お前のは別にいいや」
「ふっ、つれないねぇ」
速攻で否定した俺に苦笑しながらも木場は肩に白い小鳥を出現させていた
「所でその使い魔ってどこで手に入るんですか?」
「それはね・・・」
『コンコン』
「は~い」
話の途中で部室の扉を叩く音がして朱乃さんが返事をすると、「失礼します」と言ってある人物が入って来た。
その入って来た人物に俺はビックリした
「せ、生徒会長・・・!」
そう、部室に入って来たのはこの学校、駒王学園の三年生にして生徒会長であらせられる支取(しとり) 蒼那(そうな)先輩。冷たく厳しいオーラを放っている知的でスレンダーな校内では黒歌先輩と並んで三番目に人気がある美人さんだ。勿論、一番と二番は我らが部長と副部長だ。見れば生徒会長だけでなくて副会長の三年生 森羅(しんら)椿姫(つばき)先輩や生徒会のメンバーが勢ぞろいしていた。あとその中には確か最近、生徒会入りしたっていう男子も一人いた。名前は確か・・・なんだっけ?
「お揃いで、どうしたのかしら?」
「お互い下僕が増えた事ですし、改めてご挨拶をと思いまして」
「え?下僕ってまさか・・・!」
驚愕している俺に朱乃さんが説明してくる
「このお方の真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主様ですわ」
ま、マジで!?俺はこの学校にまだ上級悪魔がいた事に絶句した。聞けば大昔の戦争でそのほとんどが亡くなった部長と同じ72柱の生き残りの悪魔の名家らしい
「なんだ、リアス先輩。もしかして俺達の事、兵藤の奴に話していなかったんですか?同じ悪魔なのに気が付かないこいつもどうよって感じですけど」
唯一の男子が俺に向かって少し小バカにするように言ってくる。少しカチンと来たぞ
「匙、私達はお互いに干渉しない事になっているの。兵藤君が知らなくても無理はありませんわ」
「あっ、思い出した。お前最近書記として生徒会メンバー入りした確か2-Cの匙 元士郎(さじ げんしろう)、だったっけ」
「そうです。そして匙は私の『兵士(ポーン)』あります」
「こっちは私の『兵士(ポーン)』兵藤一誠よ」
部長と生徒会長が俺達の事をお互いに紹介する
「おぉ、お前も俺と同じ『兵士』か!しかも同学年なんて」
俺と同じ兵士がいた事に嬉しく思う俺だったが、そんな俺を見て書記の匙はため息をついた。
「俺としては、変態三人組の一人の兵藤なんかと同じなんてのは酷くプライドが傷つくんだけどな」
「な、何だと!」
この野郎!こっちがせっかく歩み寄ろうとしたのに!
「おっやるか?言っておくがお前なんかには負けないぜ。こう見えても俺は駒四つ消費の『兵士』だぜ?最近悪魔になったばかりだが、変態兵藤なんかには負けないぜ」
「え?俺も『兵士』四つだぞ?」
「・・・は?」
挑発するように言う匙だが、俺はこの前部長から聞いたことをそのまま言う。すると匙の奴は表情が固まった
「俺と同じ駒四っ!!・・・ま、まぁ同じ駒四つでも、俺の方がお前よりは上だぜ!」
最初は驚きつつも、何とか平静を保って俺に向かって指をさして宣言する匙。しかしそこへ部長の追撃が入る
「残念だけど、それは少し間違いよ。確かにイッセーが消費したのは『兵士』駒四つなのだけど、価値としては『兵士』駒八つ分よ」
「へ?・・・」
「え?」
今度は間抜けな面になる匙。俺も初めて聞いたことに疑問の声を上げた
「リアス、まさかその消費した四つの駒の内にあの駒を使ったのですか?」
「えぇ、その通りよソーナ」
「え~と、あの駒って何の事なんですか部長?」
俺は思った事をそのまま聞いてみる
「そう言えばイッセーにはまだ話していなかったわね。あの駒、というのは『変異の駒(ミューテーション・ピース)』と言って、『悪魔の駒』が突然変異した物なの。その駒は、例えば駒一つでは転成出来ない者がその『変異の駒』を使えば一つの駒で済ませる事が出来るのよ。上級悪魔の10人に一人はこの『変異の駒』を持っているわ。私はその変異の駒を二つ持っていたの。一つはイッセーは死にかけていた時にはもう使ってしまっていて、その時私が持っていた駒が、『僧侶』が一つ、『騎士』が一つ、『戦車』が二つ、『変異の駒』を含めた『兵士』が八つだったのよ。そしてイッセー、あなたを転生させるには『兵士』駒八つ分が必要だったの」
「『悪魔の駒』もチェスと同じように駒にはそれぞれ『女王』は『兵士』9個、『戦車』は『兵士』5個、『騎士』と『僧侶』は『兵士』3個分の価値があるとされているのです」
眼鏡をクイッっと上げながら説明する生徒会長。
「ソーナの言う通りよ。そこで私は『変異の駒』を含めた『兵士』四つ、私が持っていた『兵士』の『変異の駒』は兵士5つ分の価値があったから、実質『兵士』八つ分なのよ」
「そ、そうだったんですか。あれ?『兵士』八つ分なら、『戦車』の駒と『騎士』か『僧侶』の駒でもいいんじゃないんですか?」
「いいえ、それは不可能なの。転生させるのには駒の種類は一つでないと出来ないの。だから今イッセーが言ったような方法は無理ね」
へ~、そうなんだ。
「所でリアス、彼は何故『兵士』八つ分の価値があるのですか?見た所魔力なども少ない様に感じるのですが・・・」
会長の疑問に部長はふふん、と少し胸を張った。その時揺れた部長のおっぱいはしっかりと俺の脳内ファイルに保存したぜ!
「それはこの子に宿っている神器の中でもレア中のレア、神滅具(ロンギネス)の一つである『赤龍帝の籠手(ブーステット・ギア)』だからよ」
『なっ!?』
生徒会の方々が驚いていらっしゃる。
そう、シルさんが部室にやって来た時に教えてくれた事なんだけど、俺に宿っている神器はなんかとんでもない物だったらしい。その話をした時、部長達はおろか、魔王様も驚いていた。俺もまさか自分にそんなもんが宿っていたなんてびっくりだぜ。
「かつて三大勢力を壊滅寸前まで追いやった二天竜の片割れ、『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』の魂が封印されていると言われるあの『赤龍帝の籠手』。言い伝えの通りなら人間界の時間で十秒毎に持ち主の力を倍にしていき、極めれば神すら超える力を持つことが出来ると言われる代物・・・成程、それならば駒八つ消費も頷けますね。それと兵藤一誠君、私の眷属が失礼な事を言って申し訳ありませんでした。ですがよろしければ同じ新人悪魔同士、仲良くしてあげてください。ーーー匙。」
「え、は、はい・・・・さっきはすまなかった。これからよろしく」
渋々ながら匙も会長に言われて俺に頭を下げてきた。めっちゃ不満そうだけど
『コンコン』
「は~い、どうぞ」
「し、失礼しますぅ」
「失礼するわ」
「失礼しするっす」
「・・・失礼します」
「邪魔するにゃ~」
再び部室のドアがノックされ、入って来たのはこの前この学校に転入して、さらにこの部に新しく入る事になったアーシア、それと新しく部長の下僕になった俺と同じ『兵士』の夕麻ちゃん同じく『兵士』のミッテルトちゃんだった。ちなみにここにはいないけどカラワーナさんも『兵士』だ。
さらには白音ちゃんや黒歌先輩もいる
「来たわね。今日は黒歌達も一緒なのね」
「すみません部長さん、お片付けに時間がかかっちゃって」
「私もアーシアと一緒です」
「うちも当番でおくれたっす」
「・・・私はアーシア先輩の付き添いです」
「私もだにゃ~」
「大丈夫よ、そうだ丁度いいわ。ソーナこちらの五人が・・・」
「大丈夫よリアス。彼女たちの事は私も聞いています。初めまして、私はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です。学校では支取蒼那と言います、どうぞよろしくお願いします」
「は、はい!アーシアと申します。こちらこそよろしくお願いします!あっ、人間です」
「私は今は天野夕麻です。元堕天使ですがこちらこそよろしくお願いします」
「ミッテルトっす。うちも元堕天使っすけどよろしくっす」
「・・・どうも、白音です。あと猫魈です」
「ヤッホーソーナたん!同じクラスだから知ってると思うけど黒歌だにゃ。私も猫魈だにゃ」
「黒歌その呼び方は止めてくださいと言っているでしょう!全くあなたは・・・それにしても今まで一緒に居ましたが全然気がつきませんでしたよ」
「ふふん、そりゃぁ私も白音も仙術で気配を誤魔化してたからだにゃ~」
それぞれが挨拶を済ませて、話題は使い魔の事になった
「え?あなたの所も使い魔を?」
「えぇ、今夜にでも行こうと思っていたのだけど」
「でも、彼は月に一回しか請け負ってくれませんし、困りましたね・・・」
「それなら問題ないんじゃないかな」
『うおぉ!?・きゃっ!?・まぁ!』
突然そんな声が聞こえたと思ったら、部室にいつの間にかシルさんがいた。
「あらら、驚かせちゃったかな」
「え、えぇ少しね。一体どうやって入って来たのかしら?」
「ん?普通に転移してきたんだけど?」
「全く魔力を感じませんでした・・・流石ですね」
「あら?ソーナ、彼の事を知っていたの?」
「え、えぇ。この前態々生徒会室まで挨拶に来てくださいましたの」
ん?なんか生徒会長さん少し動揺してる?それにしてもシルさんが来てから朱乃さんと匙の顔がえらいことになってるな朱乃さんの方は多分この間のあれが原因なんだろうな・・・・
◇◇◇◇◇◇
「じゃぁ私達はこれで。また会おう。リアス、リアスの眷属の皆、そしてシル君とその家族の皆」
「失礼します」
手続きが終わり、魔王様達は仕事があるようで転移魔法で帰って行った。
「さて、じゃぁ僕も帰るとしようかな」
「あ、あのっ!」
「ん?」
シルさんも帰ろうとした時、朱乃さんが声を上げた
「あの、私っ・・・」
言葉に詰まる朱乃さんにシルさんはふっ、と笑みを漏らした
「久しぶり、巫女さん。お母さんに似て綺麗になったね」
「っ!!」
その言葉に朱乃さんは手で口を塞いでボロボロと涙を零した
「私っ、あの時、あなたに助けてもらったのに、それなのにあなたに酷い事をっ!・・・ずっと、ずっと、あなたに謝りかった・・・本当に、ごめんなさいっ!」
そう言って泣き崩れてしまった朱乃さんの肩に手を置いてシルさんは優しく語りかけた。
「泣かないで、それに僕は全然気にしてないから。それよりも元気そうな君を見れて嬉しいよ。お母さんも元気にしてる?」
そう言うと朱乃さんは泣きながらもニッコリと笑顔をシルさんに向けた
「はいっ・・・あなたのお蔭で私も母様も無事でした。本当にあなたには感謝しています。私と母様を助けてくださってありがとうございました」
その笑顔はいつもの大人びた笑顔ではなくて、年頃の女の子の様な笑顔だった。
◇◇◇◇◇◇
今の朱乃さんの顔も、正に恋する乙女って感じの顔になってるもんなぁ~、はぁ・・・
それに黒歌先輩や白音ちゃん、さらに最近ではさらにアーシアも一緒に暮らしてるみたいだし・・・まさかのハーレム!!俺の夢のハーレムがこんな所にいたなんて!!しかも全員がとびっきりの美少女ときたもんだ!!!まさに勝ち組じゃないかよっ!!!!
でも未だに信じられないぜ。シルさんって本当に男なのか?どっからどう見たって美少女にしか見えないんだけど・・・ある意味あの時皆が一番驚いたのって、シルさんが男っていう事だったしな
で、匙の顔はというと、・・・偉い事になっていた。何かすごい顔でシルさんの事を睨みつけてる。一体何があったんだ?なんかブツブツ言ってるし、ちょっと怖いんだけど・・・
「コホン、でシルさん。問題ないとは一体どういう事なんでしょうか?」
「それはね、どっちも使い魔を探しに行くなら一緒に行けばいいんだよ」
あ~、確かにそうすれば解決だ。何でそんな簡単な事を思いつかなかったんだろう?
「成程、それは良い考えですね。そういう事ならリアス、匙をあなた達と同行させてもらえますか?リアス達が一緒に行って下さるのなら私達もその間に生徒会の仕事が出来ますので」
「そういう事ね、わかったわ」
「ありがとう。そういう事で匙、皆さんに迷惑をかけないようにしてくださいね」
「は、はい!」
そういう訳で匙も俺達と一緒に来る事になった。今回のメンバーは俺、部長、朱乃さん、アーシア、夕麻ちゃん、ミッテルトちゃん、匙、黒歌先輩、白音ちゃん、そしてシルさんの総勢10名という大所帯となった。木場はどうやら悪魔の仕事が入ってしまったようで、今回は欠席だ。カラワーナさんも教師の仕事が残っているそうで同じく今日は欠席だ。先生も大変だなぁ。
そして俺達は夜になり、転移した先は少し不気味な森だった。俺達に使い魔を紹介してくれる使い魔マスター、っていう人は満月の夜にしか案内してくれないらしい
「部長、ここが?」
「そう、ここが使い魔の森よ」
「「まんまですか」」
俺と匙の言葉が見事にハモった
「僕達もここで使い魔を手に入れたんだよ」
「そろそろ来るはずなんだけど・・・」
「ゲットだぜ!」
「「うぉ!?」」
「「「きゃっ!」」」
突然上の方からそんな声が聞こえてきたと思ったら、木の上に帽子を逆に被って、まるで夏休みに少年が虫取りに行くようなラフな恰好をしたおっさんがいた。
「だ、誰だ!」
「俺の名前はマダラタウンのザトゥージ!人呼んで使い魔マスターだぜぃ!」
こ、このおっさんが使い魔マスター?
「ん~、今宵もいい満月、使い魔ゲットに最高だぜ!俺にかかればどんな使い魔だって即ゲットだぜ!」
「彼は使い魔に関してはプロフェッショナルなんだよ」
「「は、はぁ」」
シルさんがそう説明してくれるけど、いまいち胡散臭いんだよな
「で、今日はどんな使い魔をお探しなんだぜぃ?強いの?速いの?それとも、毒持ちとか?」
「そうっすねぇ、可愛い使い魔とかないっすかねぇ?女の子系とか」
そう言うと、ザトゥージさんはチッチッチッ、と指を振って不機嫌そうな顔になった
「これだから素人は・・・いいか、使い魔っていうのは有用で強いのをゲットしてなんぼなんだぜぃ。すなわち個体の能力を把握して、かつ自分の特性を補う・・・」
「あの~、出来れば私も可愛いのが良いんですけど」
「私もそうね」
「うちもっす」
「わかった!可愛いのだね」
「「おい!」」
アーシア達が言った途端にその変わり様は何だ!いや、なんとなくわかるけども!
「ちなみにザトゥージさん、ここらで一番強い魔物って何ですか?」
「おう!それはこいつしかいねぇ!龍王の一角で唯一の雌、そして龍王最強と謳われる伝説級のドラゴン!天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)、ティアマット!その実力は魔王クラスだぜ!」
そう言って木から降りてきたザトゥージさんは俺達全員に見えるようにパンフレットを広げた。そこには蒼いドラゴンが翼を広げた姿で載っていた。このパンフレットからもその迫力が伝わってくる。こ、これがティアマットか。めちゃくちゃ強そうだな
「赤龍帝・・・ティアマット・・・伝説のドラゴン同士・・・イッセー、ティアマットを使い魔にしなさい!」
「イヤイヤ無理ですって部長!こんなの会った時点で死んじゃいますって!ゲームで言ったらラスボスですよ!?」
「大丈夫よ、伝説の龍を宿したイッセーならきっといけるわ。それに伝説の龍のタッグも見てみたいしね」
「どこから来るんですかその自身は!!そしてその為に俺に死ねと!?」
「兵藤、ティアマットは同じドラゴンのお前に譲るぜ。感謝しな」
「お前がティアマットを使い魔にしろよ!!ビビってんじゃねえよ!」
「なっ!?そんなわけないだろうが!!」
「言い争ってるとこ悪いが、ティアマットを使い魔にする事は不可能なんだぜぃ」
「それは強いからなのかしら?」
「いや、ティアマットは・・・」
「シ~ル~!!」
「ふにゃっ!?」
ドッシャーン!!
ザトゥージさんの言葉の途中で森の中から何かが飛び出してきてシルさんに突っ込んでいった。シルさんはめっちゃ可愛い声を上げてそのままその何かに押し倒され、土煙が舞った。そして土煙が晴れると、その何かは腰まである長い鮮やかな蒼い髪をした女性で、シルさんに馬乗りの体制だった。
「シル~!態々私に会いに来てくれたのか!やっぱりシルは私の事を大事に思っているんだなっ!よし、早速ここで愛の契りを・・・」
「やめるにゃこの万年色ボケ女がっ!!」
バシンッ!
シルさんにそのままキスをしようとした女性に、黒歌先輩がどこからか取り出したハリセンでその頭を叩いた。
「~~~っ!!な、何をするんだ!せっかく私とシルが愛の契りを交わそうとしていたというのに!」
涙目になりながら黒歌先輩に向かって抗議の声を上げたその女性は髪と同じ蒼い瞳の多分俺と同じくらいの年のこれまた美少女だった。しかも胸も結構デカい!元浜の様な力が俺にあればサイズが分かるんだがっ・・・!
「何が愛の契りだにゃ!シルの唇はお前なんかに渡さないにゃ!」
「なにおぅ!この淫乱ネコめが!」
「やるのかにゃこの色ボケドラゴンが!」
バチッ!バチバチバチ!
二人の間で火花が散った。何?俺達全然ついていけないんだけど、この人ってシルさんの知り合い?
「はぁ~、全く二人は。何で顔を合わせたらいつもこうなのかな?」
服に着いた埃を払いながらシルさんは困ったような表情を浮かべた。
「え、えっと、シルさん。この人は誰っすか?」
「この子がさっきザトゥージさんが言っていた天魔の業龍、ティアマットのティアだよ」
え?・・・・・・・
『えぇ!?こ、この人がティアマットォォォ!!』
マジで!?というかドラゴンって人型になれるの!しかもこんな美人に!
「ほら二人とも、喧嘩はいい加減やめなさい」
「「だってシル!こいつがっ!!」」
「じゃないと、お仕置きだよ?」
「「私達とっても仲良し!喧嘩なんてしないよ!」」
『変わり身早っ!!』
「お二人はとっても仲良しさんみたいですね!」
「「アーシア・・・」」
「・・・バカ二人」
シルさんの言葉に二人は肩を組んで仲良しさをアピールした。心なしか少し震えているように見える。龍王最強と言われているティアマットが恐れるお仕置きって一体・・・
「あらあら、シルさんは私と同じでしたのね。私、シルさんが望むならどちらでも・・・」(ボソッ)
「朱乃?どうしたの?」
「いえ、何でもありませんわ部長」
朱之の呟きは誰にも聞こえていなかった。
「さて、さっきの続きだがご覧の通り、ティアマットはシルの坊主にこんな感じだから、他の奴の使い魔になるって事はないんだぜぃ」
「当然だ!私はシル一筋だ!」
「私だってシル一筋にゃ!それもティアなんかよりずっと上にゃ!」
「なにおぅ!私の方がずっとずっとお前より上だ!」
「「ぐぬぬぬぬ・・・!」」
「はぁ~・・・全く二人ってば・・・(本当に何でこの二人はこうなっちゃうんだろう?何時も妙な事で争うんだよねぇ。別に仲が悪いってわけじゃないと思うんだけどなぁ)」
畜生ぅ!シルさんばっかり女の子が集まって羨ましいぜ!俺もシルさんみたいにモテモテになりたいっ!!見れば匙の奴も俺と同じように血涙を出していた。あぁ、お前もか匙。そうだ!俺達は仲間だよな!
「夕麻さん、ミッテルトちゃん。どうしてイッセーさんと匙さんは泣きながら握手をしているんでしょうか?」
「アーシア、ゴメンなさい。それは私にもちょっと分からないわ」
「うちもっす。ていうか知りたくないっす」
「・・・ここにもバカ二人」
「はぁ、みんな早く使い魔探しに行きましょう」
嘆息する部長の一言で俺達は本来の目的である使い魔探しを始める事になった。
◇◇◇◇◇◇
そして俺達はある湖の畔まで来ていた。俺達の眼前に広がる湖は、透明度が高く透き通っていて、キラキラと輝いていた。その光景はとても神秘的に感じた。俺、悪魔なんだけどね。
俺達はその湖の傍の木の陰で身を潜めていた
「ここの湖にはウンディーネと呼ばれる水の聖霊が生息しているんだぜぃ」
ザトゥージさんは声を潜めて説明をする
「おぉ!水の聖霊!ゲームでもよく名前とか聞くぜ!確かゲームとかではめちゃ癒し系の美人だったよな!」
「俺もだ!きっと綺麗な水色の髪で透明な羽衣を着こんだスレンダーで美しい美女に違いない!」
小声で叫ぶという器用な事をする匙と俺。そんな時、湖の中央が光出した
「おっ、ウンディーネが姿を現すぞ」
俺達が躯体する中、湖から姿を現したのは・・・・
キラキラと光る水色の髪をして、透明な羽衣を着た・・・・・
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
筋肉隆々のミルたんに勝らずとも劣らずって感じの勇ましいやつだった。・・・・・なぁに、あれ?
「あれがウンディーネだぜぃ」
「「なん、だと・・・!?」」
残酷なザトゥージさんの言葉が俺達の胸に突き刺さった。
「・・・い、いやいやいや!そんなわけないでしょう!だってどう見たってあれ水浴びに来たどっかの格闘家でしょう!」
「そうですよ!あの鍛え上げられた体、間違いなくマスター(達人)クラスだよ!」
「う~ん、精霊達も縄張り争いが絶えないそうだからなぁ~。精霊の世界も実力主義、弱肉強食なんだぜぃ。でも、運がいいぜ少年達。あれはレア度が高い。打撃に秀でた水の聖霊も悪くないぜぃ」
「「悪いわっ!!」
「打撃に秀でたウンディーネ!?そんなデンジャラスな単語聞きたくなかった!!」
「癒し系っていうよりは殺し系だよ!!そんな精霊なんて欲しくないんだよ!!」
「だが、あれは女性型だぜぃ?しかもかなりの実力を持った」
「「知りたくなかった事実でした!!」」
俺と匙は両手で顔を覆って号泣した!そりゃぁもう盛大に!!
そんな事をしている間にもう一体現れた同じく巨漢な奴と睨み合い、激しい殴り合いを始めた。さっきまでの神聖な雰囲気の湖は、一転して闘技場と化した。
「へ、へぇ~、私初めて見るけど、ウンディーネってあんな感じなのね」
「でも、とても清い目をしています。きっと心の清い女の子に違いありませんね。な、名前はウンディーネのディーネちゃんでいいんでしょうか?」
「え”!?あ、アーシア。もしかしてゲットする気満々っすか?」
「アーシア、流石にあれは止した方が良いと僕は思うよ。きっとアーシアにはもっと似合う使い魔がいるはずだよ」
「私もそう思います。アーシア先輩にはもっと可愛いのが良いと思います」
シルや白音は優しく諭すようにアーシアに話しかける
「そうだにゃ。それにあんなの傍に置いたらそれだけで妊娠しちゃうにゃ」
「シルさんの子供なら私・・・産みますっ!!」
『ぶふっ!?』
アーシアの飛んでも発言に、全員が吹き出した。
「・・・く、黒歌ぁぁぁぁ!あ、アーシアに何を教えたぁぁぁぁ!!」
「にゃにゃっ!?わ、私じゃないよ!?」
「いえ、きっと姉さまです。この前シルさんがいない時に何か話していましたから」
「黒歌ぁぁぁ!!」
手に炎を纏わせたシルが黒歌に向かって突っ込んだ
「白音っ!?お姉ちゃんを売るの!?あの時白音も興味津々だったのに!」
「白音にも何か教えたのかぁ!!火竜の・・・!」
「って待ってシル!それはシャレにならなにゃぁぁぁー!!」
「待ちなさい!避けないで大人しくお仕置きを受けなさいっ!!お兄さんは黒歌をそんな子に育てた覚えはありません!!」
「何それ!?だってそんなの喰らったらひとたまりもないにゃ!」
「大丈夫!一回だけだから!一発だけだからっ!」
「出来ればその台詞は別のシチュエーションで言ってもらいたかったにゃ!!」
二人の激しい追いかけっこが繰り広げられた。そしてこっちはというと、
「はわわわっ!わ、私ったらなんて大胆な事を・・・!うぅ~、これが穴があったら入りたいというものですねぇ。主よ、どうかこの罪深い私をお許しください・・・」
「アーシア、今更恥ずかしがるのね。あと、祈るアーシアの傍にいると地味にダメージが・・・」
「でも、恥ずかしがるアーシア可愛いっす!早速写真に撮って保存しとくっす」
「あらあら、アーシアちゃんたら随分大胆な事を言うのですね。これは私も負けていられませんわね」
「そこのオナゴ!シルの子を産むのはこの私、ティアマットだ!異論は認めん!」
「何を言ってるんですか全く・・・・シルさんの子供を産むのは私です(ボソッ)」
「なぁ匙。俺、ファンタジーに夢を持ってたんだ・・・でも今日、それが崩れたんだ。あの筋肉野郎によって・・・」
「わかるぜ兵藤・・・俺もこんな現実認めたくないぜ・・・なんだよあれ・・・」
「滅龍奥義改!!」
「待って待ってぇぇぇ!マジでそれはシャレにならないにゃぁぁぁぁ!!!」
「おぅおぅ、なんだかすごい事になってるぜぃ」
「はぁ~・・・どうしてこうなってしまったのかしら?」
◇◇◇◇◇◇
SIDEシル
僕とティアは皆とは別行動で、翼を広げて森の奥の洞窟まで飛んで来ていた。ここはティアが根城に使っている物なのだ。
「それでティア、話って何?態々二人きりで話したい事なんて」
翼を仕舞い、異空間の倉庫から椅子を二つ取り出して座り、僕の正面にティアも椅子に座る。湖での一件の後、ティアが真面目な顔で「二人きりで話がしたい」と言ってきたのだ。だから二人きりになれるこの洞窟まで来たのです
「うむ。それはなシル・・・私と子供を・・・」
「帰る」
「待って待って!冗談!いや、将来的にはそうじゃないけど今は冗談だ!だから帰らないで!」
速攻で帰ろうとした僕の服の裾を掴んで必死になって謝ってくるティア。
「はぁ・・・わかったよ。でも次は無いからね」
「う、うむ。承知した!」
コクコクと頷くティアを見て再び座り直し、ティアの話を聞く体制に入る。ティアはコホン、と一つ咳払いをしてから真面目な顔になって話し出した
「シル、どうして蝙蝠の連中と一緒にいるのだ。それにたしかあの蝙蝠共は・・・」
「そうだよ、彼女達は黒歌と白音が通ってる学校の悪魔達だよ」
「・・・という事はシルの正体を明かしたのか?」
「うん」
「なぜだ?今までその姿を隠していたのに今になって正体を・・・もしや白音か?」
おっ、流石ティア
「当たり。良くわかったね」
「ふふん、当然だ。何と言っても家族なのだからな」
「そっか・・・」
僕はティアその言葉に少し昔を思い出した。あれは、今から大体八、九年くらい前・・・・
◇◇◇八、九年前◇◇◇
藍華の元から去った僕や黒歌達は、色んな所を転々と移動しながら生活を送っていた。一か所に留まっていると、いくら結界を張っていても見つかってしまう恐れがあるからだ。
そしてある日、僕達はある森の中を歩いていた。
「にゃ~、ちょっと疲れたにゃ・・・」
「私もです・・・」
「じゃぁ、少し休憩にしようか」
二人はまだ子供なので、こうしてこまめに休憩を入る必要がある。本当に二人には苦労をかけてしまうな・・・。
「あ~!シル、今苦労をかけてるって思ったでしょう!」
「えっ?僕声に出てた?」
「そういう顔をしてました」
おぉう、二人がジト目で僕の事を睨んでくるよ
「前にも言ったけど、そんな事は全然ないにゃ!シルがいてくれたから私達はこうして元気でいられるんだにゃ!」
「そうです。それに私達はシルさんがいればどんな所だって構いません。だって私達は・・・」
「「家族だから」」
「・・・そっか。ありがとうね二人とも」
「にゃ!い、いきなり撫でるのは反則にゃ~♪」
「気持ちがいい、です・・・にゃ~♪」
二人は耳をピコピコさせて気持ちが良さそうに顔を緩めさせた。僕はしばらく二人の事を撫で続けた。
そして休憩も終わり、再び歩き出した僕達の目に映ったのは、森の中に隠れるようにあった大きな洞窟だった。奥まで続いていて、結構広い。
「今日はここで野宿しようか」
「「はい・にゃ!」」
僕は異空間の倉庫から材料や道具を取り出してご飯の準備を始めた。今日は途中で狩った奴の肉と、倉庫にあった野菜とお米を使ってカレーライスにしようっと。
「シル~、今日のご飯は何かにゃ?」
「今日はカレーだよ~。すぐに作るから二人はゆっくり休んでてね」
僕は倉庫から更に椅子と机を取り出して平らな所に置いた。
「了解にゃ~」
「カレー・・・楽しみです」
僕は魔法で地面に炎を作り出して、その上にさっき洗ったお米が入った御釜を乗せ、もう一つ炎を生み出してその上で大きな鍋でお肉を炒めだした。
コトコトコト・・・
「ん~、いい匂いがしてきたにゃ~♪」
「美味しそうなカレーの匂いです」
「あと少しで出来るから待っててね~」
それから少ししてお米も炊け、カレーもルーも完成した。僕はお皿に炊き立てのご飯をついで、その上からルーをかけて二人に渡した。
「「いただきます!」」
二人は美味しそうにカレーを頬張った。
「私にも一つくれるか?」
「はいはい、ちょっと待っててね」
僕はすぐにお皿にご飯とルーをよそって渡した。・・・・ん?
「「「ん?」」」
今、誰の声だった?
恐る恐る、その声がした方を見てみると、そこには見た事がない青い髪の女の人がいた。その人は美味しそうに多分さっき僕が渡したカレーを頬張っていた。
「モグモグ、ゴックン。うむ、これはとても美味いな。気に入ったぞ」
「そ、それは良かったです」
「ふむ、お代わりをもらっても良いか?」
「う、うん。ちょっと待っててね」
僕は渡されたお皿にカレーをよそって青い髪の人に渡す。
「すまんな。モグモグ・・・うむ、これならいくらでもいけそうだ」
「・・・私もお代わりです」
「はい、ちょっと待っててね」
「む?私と勝負する気か?」
「・・・負けません」
「ふむ、面白い!ならばその勝負受けてたとう!モグモグ・・・」
「はい、どうぞ白音」
「ありがとうございます。パクパクパク・・・」
「ぬ、中々やるな。ならばこちらもスピードアップだ!」
「「パクパクパク・・・」」
「二人とも、あんまり慌てて食べると・・・」
「「うっ!!」」
二人は案の定、のどを詰まらせてしまったようだ。僕はすぐに二人に水が入ったコップを渡した。
「ほら二人とも、お水だよ」
「「ングング・・・はぁ、苦しかったぁ」」
「慌てずにゆっくり食べてね」
「「は~い」」
二人はゆっくりとカレーを食べだした。
「・・・・ってあれ!?何でみんな普通に食べてるの!」
「黒歌はお代わりどうする?」
「あっ、貰うにゃ、ってそうじゃなくて!!」
「静かにしてください姉さま。行儀が悪いですよ」
「全くだ。うるさい黒猫だ」
「えぇ!?私が悪いの!」
「黒歌、取り合えず話はカレーを食べてからにしよう」
「うぅ~、シルがそう言うならそうするにゃ・・・」
「「お代わり!」」
「はいはい、ちょっと待っててね」
それからみんなはドンドンお代わりをしていき、カレーは綺麗さっぱり無くなった。僕は一先ず食器類を片付けて全員分のお茶を淹れた。
「「「「ズズズッ、ふぅ~」」」」
そして一息ついたところで話を始めた。
「で、あなたは一体何者なんですか?」
「ふむ、そう言えばまだ名乗っていなかったな」
そう言うと、青い髪の人は椅子から立ち上がり、腕を組んで仁王立ちになった
「聞いて驚け私の名は・・・天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)、ティアマットだ。フフフッ、どうだ怖いか?」
後ろに何か効果音が付きそうな感じで言うティアマットさん。え、えぇっと・・・どっちかっていうと可愛らしい、かな?
「全然怖くないにゃ」
「何っ!?」
黒歌の言葉にティアマットさんは驚きの声を上げた
「わ、私はティアマットなのだぞ!あの龍王最強の天魔の業龍なのだぞ!」
龍王?天魔の業龍?何それ美味しいの?
「全然知らないにゃ。白音は知ってる?」
「いえ、全く知りません。シルさんは知っていますか?」
「ゴメン、僕も全然知らないや」
「・・・・・」
ティアマットさんは口を大きく開けて唖然とした様子だった。その様子からするに、この人ってそんなにすごい人なのかな?いや、さっき自分の事ドラゴンって言ってたような・・・
「・・・ふ、ふん!知らないなら怖がらないのも仕方がないな。うむ、良かろう!ならば私の真の姿を見せてやろう!」
「別にいいにゃ」
「・・・うぅ~・・・」(じわぁ)
黒歌に速攻で拒否され、泣きそうになるティアマットさん。
「ぼ、僕はティアマットさんの真の姿見てみたいなぁ~!ね?白音」
「・・・私も少しだけ見てみたいです」
白音、ナイス!僕は白音にサムズアップを送ると白音もvサインで答えてくれた
「っ!・・・・そ、そうかそうか。どうしても見たいか・・・よし!ならば私の真の姿を見せてやろう!」
僕達が言うと元気になるティアマットさん。何だろう、この人見た目は十代後半くらいなのに、子供っぽいというかなんというか
そんな事を考えているうちに、ティアマットさんは僕達から少し離れた場所に移動した。するとティアマットさんの体が光だし、洞窟の中が眩しい位明るくなった。そして光が収まり、僕達の目の前にいたのは・・・・
大きな目。その瞳は僕の片方の目と同じくらい鮮やかな青。大きく裂けた口には鋭い牙が何本も生えていた。洞窟の中だけど、その全身を覆う鱗はその一つ一つはまるでサファイアの様な輝きを放っていた。背は洞窟の天まで届きそうな程で、足や腕はまるで巨木の様な大きさで、それぞれに鋭角な鋭い爪がついていた。そして背中には今は閉じられているけど広げれば一層その体が大きく見えそうな翼があった。
その姿はまさしくドラゴンだった
『フフフッ、これが私の真の姿だ。どうだ、怖いだろう?』
ドラゴンの姿になったティアマットさんが僕達を見下ろしながら口の端を吊りあげた。た、確かに迫力があるけど・・・
「はぁ・・・」
黒歌の口から漏れたのはそんなため息だった。
『なっ!?な、なぜため息を吐くのだ!この姿を見て怖くないのか!?』
ティアマットさんが焦ったような声を上げた。ドラゴンの焦った姿って珍しいよね
「だってそういうのはシルで見慣れてるから別に怖くないにゃ」
「・・・私もです」
『何っ!?そこにいる者は人間なのにドラゴンになれるのか!?』
ティアマットさんが驚愕の声を上げた。まぁ、そういう反応になるよね~
「はい、僕は一応人間なんですけどそういった能力があるんです」
「シル、せっかくだから見せてあげるにゃ」
「そうですね。私達も久しぶりにシルさんのドラゴンになった姿を見てみたいですし」
「わかったよ。それじゃぁ二人とも少し離れててね」
二人が僕から離れたのを確認して僕は頭の中でドラゴンをイメージする。すると、僕の体は光に包まれ、光が収まると僕は白銀のドラゴンとなっていた。
シルのその姿は、ティアマットと同じくらいかそれよりも少し大きく、瞳は左右がそれぞれまるでルビィーとサファイアの様で、全身を覆う吐く白銀の鱗はキラキラと光り輝いており、洞窟の中が明るくなるほどの美しいドラゴンだった。その姿はまさしく『オッドアイの銀猫』ならぬ『オッドアイの銀龍』だった。
『ま、参りました・・・』
ティアマットはシルのドラゴンになった姿を見て同じくドラゴンの姿のまま土下座のポーズを取った。
◇◇◇END◇◇◇
◇◇◇現在◇◇◇
それから僕達はしばらくの間ティアマットと一緒にその洞窟で過ごしたんだよねぇ。ティアがいるおかげで洞窟の周辺には誰も近づいて来なかったから結構安心して生活が出来たんだよねぇ。シルもあの時から僕達に懐いたというかなんというか。まぁ、あれからティアも僕達家族の一員になったんだよね。
「む?どうしたのだシル?」
ティアが僕の顔を覗き込んで聞いて来る
「いや、ちょっとティアと初めて会った時の事を思い出してね」
「む?あぁ、あの時の事か。私は今でも鮮明に覚えているぞ。全くあの黒猫はあの時からうるさかったものだ!」
ティアは僕の前で頬をプクーっと膨らませて少し怒ったような感じになった。可愛いなぁ。
ティアと黒歌は昔から喧嘩や言い争いが絶えなかったんだよねぇ。まぁこの二人の場合は喧嘩するほど仲が良いって奴だね。でもたまにそこら辺を吹っ飛ばすほどの喧嘩をする事があるからそう言うのは困ったものだけどね・・・
「そう言えばティア、最近は何をしてたの?」
「うむ?最近はちょっと子ドラゴンの世話をしていてな。この間羽化したばかりの奴だから私が少し面倒を見てやっているのだ」
「そうだったんだ。ティアはえらいね」
「フフフッ、そうだろうそうだろう。私は偉いだろう!そこで私はシルにナデナデを要求するのだ!」
「はいはい」
そう言って僕に頭を差し出してくるティアに苦笑しながらも、僕はティアの頭を優しく撫でてあげる。ティアの髪はサラサラとしていて撫でている僕も気持ちが良い。
「ふふふ、シルのナデナデは気持ちがいいな。とても癒されるぞ」
「そうなの?」
「あぁ。そうだシル、マットか布団を出してくれないか?そしてシルにはその上に座ってほしいのだ」
「?わかった」
僕は倉庫から適当に大きめのクッションを取り出すと、ティアに言われた通りに僕はその上に正座した。するとティアは僕の膝の上に頭を置いて寝ころんだ。これは膝枕かな?
「さぁ、いいぞ。ナデナデの続きをしてくれ」
「はいはい。ティアは甘えん坊だね」
「だって最近はシルに会えなかったから私は寂しかったのだぞ?今日は久しぶりに会えたから命一杯シルに甘えるのだ!」
「クスッ、分かったよ」
僕はティアの子供っぽい発言に笑みを漏らしてしばらくの間ティアを膝枕しながら頭を撫でた。
「そう言えばティア。その面倒を見てるドラゴンって・・・」
「すぅ・・・すぅ・・・」
「あらら、寝ちゃったか」
僕は眠ってしまったティアの可愛い寝顔を見ながらしばらく頭を撫で続けた
SIDEEND
◇◇◇◇◇◇
SIDEイッセー
俺達は湖を後にした後、使い魔を求めて他の場所に移動を開始した。その道中、夕麻ちゃんとミッテルトちゃんは使い魔をゲットした。何か真ん丸でメカっぽい奴だったな。二人ともさっき使い魔契約をして見事契約が完了した。名前は夕麻ちゃんのが「ハロ」でミッテルトちゃんのが「シロ」だったかな。
あと匙の奴もなんか使い魔をゲットしていた。何かすごい匙に懐いていて、匙も嬉しそうにしていた。なんか首が二つある蛇みたいな奴で、大きくなればどんな奴でも毒殺出来るヒュドラの子供らしい。しかもこっそり聞いたけどそいつは偶に自分の主人も毒殺してしまうらしい・・・。匙の奴は見つかったから生徒会の仕事を手伝いに行くと言って魔法陣で帰ってしまった。
これで使い魔をゲットしていないのが俺だけになった。
「蒼電龍(スプライト・ドラゴン)?」
そう尋ねた俺に、ザトゥージさんは頷いた。
「そう、蒼電龍。その名の通り、蒼い雷撃を使うドラゴンさ」
移動しながら俺達はザトゥージさんからレアなドラゴンの話を聞いていた。なんでも現在この森の奥に蒼電龍なる激レアなドラゴンの子供が飛来しているらしい。そしてもしゲットするなら今らしい。何でも大人になると絶対にゲットできなくて、ティアマットさんみたいな龍王ほどではないけど、ドラゴンの中では上位クラスらしい。
ドラゴンかぁ~。カッコいいドラゴンもいいけど、俺的には可愛い女の子の使い魔も捨てがたい・・・!
俺が真剣に悩んでる時、ザトゥージさんが「止まれっ!」と声を上げ、ザトゥージさんは上を見上げた。俺達も同じように見上げると、オオワシくらいの大きさの蒼いドラゴンが木の枝で翼を休めていた。
「あれが蒼電龍だ!」
ザトゥージさんは出来るだけ声を抑えて俺達にそう言った。その声は少し興奮した様子だった。
おぉ!あれがか!
「私も生で見るのは初めてだわ」
部長も感動するように目を輝かせていた。部長も初だったんですか!よっぽどレアなんだな。
「よし決めた!俺の使い魔は君に決め・・・」
「キャッ!」
そこまで言いかけて、背後からアーシアの悲鳴が上がった。何事かと振り返ってみると、ネバネバしたゲル状のものがアーシアを襲っていた。何だこいつは!
「こ、これは!」
見れば部長や他の女性陣の皆がネバネバに襲われていた。
ベチャッ!ベチャッ!
次から次へとネバネバな物が空から降って来る。ネバネバの物はうねうねと動いている。生きてんのか!生物?それとも魔物か?なんかゲームとかでよく見るスライムに似てるな。もしかして、何か危険な奴なんじゃ・・・!
俺がそう考えていた次の瞬間、その考えは杞憂に終わった。
「ふ、服が・・・融けてます!」
アーシアの悲鳴の通り、スライムはアーシアの制服を融かし始めていた!女性陣全員の制服が融け、着ている下着が露わになる!
「な、何なのよこいつら!服がっ・・・!」
「うえぇ、ヌルヌルしててめっちゃキモイっす」
「あらあら、困りましたわね」
ブッ!
鼻血が出るのも構わずその光景を目に焼き付ける俺。匙、お前はとんでもない物を見逃したな!
「な、なんて素敵な展開!」
スライム達はやがて下着すらも融かし始めた!なんて絶景!アーシアの下着は白!部長は紫!朱乃さんは黒!夕麻ちゃんはピンク!ミッテルトちゃんは黄色!白音ちゃんは水色!黒歌先輩は・・・っ!
ブハッ!
更に俺の鼻から血が勢いよく出る!く、黒歌先輩、下着を着けていない、だとぉぉぉ!!
「にゃ~、そう言えば今日は体育の後、ブラジャーを着るの忘れてたにゃ~」
ご馳走様です!!俺は黒歌先輩に向かって合掌をした。見事なおっぱいでした!
「・・・姉さま、卑猥です。そしてイッセー先輩は死んでください」
ドコッ!
大事な部分を隠しながら白音ちゃんが俺を殴る。
「ぐふっ!」
体の芯まで響く良いパンチだった・・・!
「・・・変態」
変態でゴメンなさい。でもそんな事言ったって俺、健全すぎる思春期真っ盛りな男子高校生だもん。
「こいつは特に名称を持たないやつだが、女性の衣服のみを融かすやつらなんだぜぃ」
ちゃっかりみんなの姿を見たザトゥージさんが俺と同じように鼻血を流しながら説明をしてくれた。
何その素敵なスライム!
「決めました部長!俺このスライムを使い魔にします!こいつらこそ俺が探し求めていた使い魔です!」
「何を言ってるのイッセー!使い魔っていうのはとっても重要なのよ!もっと良く考えなさい!あんっ!こら、そんな所にっ!」
「やっぱり使い魔にします!」
「一秒も考えてないじゃない!あぁもう!いい加減にしなさい!」
「あぁぁぁぁ~!!」
部長は手に纏わりついていたスライムを引きちぎって滅びの魔法でスライムを消滅させていく。他の皆も、夕麻ちゃんとミッテルトちゃんは光の槍でスライムを、朱乃さんは雷でスライム達を黒焦げに、白音ちゃんは次々スライムを千切っては投げ、千切っては投げの繰り返し。黒歌先輩は魔法か何かで生み出した炎でスライムを蒸発させていく。
「やめて!俺のスラ太郎達をイジメないでっ!」
「あらあら、もう名前まで付けているのですね」
楽しげに笑いながらスライムを次々と雷で焦がしながら言う朱乃さん!やめってて言ってるのになんてドSなんだ!
「森の厄介者をここまでここまで渇望する悪魔を見たのは初めてだぜぃ・・・まだまだ世界には驚く事ばかりだ。本当に世界って奴は広いなグレモリーさん」
ザトゥージさんは心底驚いた様子で言う
「ごめんなさい・・・この子、本当に欲望に素直な子だから・・・」
悲哀に満ちた表情の部長。その目はまるでかわいそうな子を見るような目だ。うぅ、でも絶対に俺はこいつらを使い魔にしてやるんだ!
しかし、スライムはほとんど皆さんに始末され。その姿は見えなかった。でもきっとまだ生き残ってるやつがいるはずだ!俺は辺りを見回すと・・・・・・いた!!
皆から少し離れた位置にいたアーシアの頭の上に一匹生き残っていた!
「見つけたぁぁぁ!!」
俺は全力でアーシアに駆け寄った!
「っ!?速い!祐斗以上だわ!」
「イッセー君の眠れる力がこんな所で発揮されるなんて!」
部長達が驚きつつも呆れたという感じの声を上げた。すみません!俺は煩悩とエロに生きる男なんで!
「アーシアァァァ!そこ動かないでぇぇぇ!」
「い、イッセーさん?」
そしてもう少しでアーシアの頭の上のスラ太郎に触れたその時、
バリバリバリバリバリバリッ!
俺の全身を激しい電撃が襲った!
「あががががががががっ!?」
・・・・パタンッ
俺は全身黒こげになってその場に倒れた。な、なんだ今の電撃は・・・あ、朱乃さんか・・・?
「あ、あの~、イッセーさん・・・?だいじょうぶですか?」
・・・あ、れ?俺の傍にいたアーシアは無事の様だ・・・なんでだ・・・?
「ガー」
その時、アーシアの肩にさっきの蒼電龍が乗っていた。体からはビリビリと蒼い電撃が出ているが、アーシアは平気な様子だ。
「蒼電龍は外敵とみなした相手にしか電撃のダメージを与えないんだぜぃ。そこの娘っ子の事を気に言ったご様子だ。だから飛びかかったお前さんとスライムの事を敵とみなして攻撃したんだろう。それにそいつはどうやらオスの様だ。ドラゴンのオスっていうのは他種族のオスを嫌うらしいからな」
見れば俺の手の中には無残な姿になったスラ太郎があった。
「す、スラ太郎ォォォォォォ!そんなぁぁぁぁ!!!」
なぜだ!何故死んでしまったんだ!スラ太郎ォォォ!!
俺は空に向かって悲しみの声を上げた
バサッ!
「ただいま~・・・ってこれってどういう状況?」
「・・・一体ここで何があったのだ?」
その時、シル達は洞窟から帰ってきて空に向かって泣き叫んでいるイッセーや服が融けてしまっている女性陣の皆を見て混乱したそうな。
それから結局、蒼電龍はアーシアの使い魔となり、名を雷撃を使う事とシルからもらって「ラル」と名付けられた。
さて、今回を振り返って一言どうぞ!
「・・・スケベ死すべき」
ありがとうございました!
イッセーが使い魔をゲットできるのはまだまだ先の様だ。