連続投稿!
SIDEシル
今日の空はどこまでも青く、雲一つない快晴だ。周囲には自然豊かな木々が生い茂り、小鳥たちの声や、ちらほらと山道の脇に生えている小さな花。まさに山の景色
僕は今、オカルト研究部のみんなと山に来ている。何で山に来ているかって?じゃぁ、僕が簡単に説明するね
あのライザー・フェニックスとの十日後のレーティングゲームに向けて、リアス・グレモリーさんが今朝、突然山に修行をしに行くと言いだしたんだ。悪魔でも修行と言えば山なんだね。何だかちょっと昔を思い出しちゃったよ。僕も一時期、山に修行をしに行ってた時期があったからなぁ
で、オカルト研究部の皆は修行場となる山の上の別荘を目指して今朝早くから山道を登っているという訳です。え?何で転移で行かないのかって?それは修行の一環らしいです。現に、兵藤君なんかあり得ないくらいの大きさのリュックサックを背負い、肩にまで荷物をかけて、汗をボロボロと流し、ひーひー言いながら僕達より結構後方の山道を歩いて、さらにその荷物の上にリアスさんも乗っているし。あれは中々きつそうだね。木場君も、今は姿が見当たらないけど、兵藤君と同じくらいの量の荷物を背負っていたよ
対して、リアス・グレモリーさんを除いた女性陣はというとーーー
「ヤッホー!」
『ヤッホー!』
「おぉ!本当に声が帰ってきたッス!アーシアもやってみるッスよ!」
「はい、やってみますね!・・・や、ヤッホー!」
『や、ヤッホー!』
「わ、私のも帰って来ました!」
「面白いっすね!じゃぁ今度は二人でやってみるッスよ」
「はい!」
「「ヤッホー!」」
とまぁ、ご覧の通りアーシアとミッテルトの二人は、仲良く山彦で盛り上がっていた。そして夕麻とカラワーナはーーー
「あら、こんな所に一輪だけ咲いているわ」
「それは・・・一輪草か?いや、姫一華か?どっちだ?」
山道に生えた花の話をしていた。女の子らしいね。まぁ、兵藤君達みたいに荷物持ってないしね。
まぁ、説明はこんな感じでいいかな?さてと・・・
「どこから飛び降りようかな・・・」
「止めなさい」
スパンッ!
さすさす
どこかいい所はないかと探していた僕の頭から、そんな軽快な音が鳴った。あまり痛くはないけど、少し摩りながら振り向く
「いくらあんたが強くても、こんな高い所から飛び降りたら大変でしょ」
「藍華・・・」
そう、今し方僕の事をその手に持っているハリセンで叩いたであろうその人こそ、山登り用にジャージを着た藍華です。何で藍華がここにいるかって?言ったでしょ、ここに来たのは゛オカルト研究部の皆˝だって。それは昨日、つまりライザー・フェニックスが来た日、藍華もオカルト研究部に入部したからだ
そして何で僕がさっきのような発言をしたかというと、それは昨日、ライザー・フェニックスが部室から帰って行って、藍華がリアス・グレモリーさんに自分をオカルト研究部に入部させてと言う少し前の発言が原因ですね。
あの純粋で可愛らしい少女だった藍華の口から、まさか◇◇◇や◆◆と言った言語が発せられるなんて・・・あの時、僕の中で大切な何かに罅が入った気がする。その時僕は、少し前に藍華が言っていた言葉を思い出した。
『例えばその人の名前、年齢、性別、身長や体重、が文字や数値として見えるのよ。あとは種族なんかも見えるわね』
つまりだ。身体の値が数値化されて見えるという事は、女性のスリーサイズや男性のアレのサイズも数値化できるという事なのでは、と。じゃないとあの発言は言えないはず。つまり、
藍華があんな発言をした原因
↓
お守りとして渡したあのビー玉の力
↓
ビー玉を渡したのは僕
↓
僕のせい
その事が頭に浮かんだ後の事を、僕は覚えていない。最後に見たのはリアス・グレモリーさんの髪と同じ真っ赤な紅だった。後から聞いた話では、僕は血を吐いて壊れたように笑っていたらしい
「シル、元気出してにゃ」
「クッキー、どうですか?食べると元気が出ますよ」
僕の事を心配してくれる黒歌と白音。そうそう、この二人も藍華に続く形で昨日、オカルト研究部に入部する事になった
「シルさん、何か私に出来る事があったらおっしゃってください」
同じく心配そうな表情で僕の顔を覗き込んでくるのは姫島さ・・・じゃなくって朱乃さん。何でか知らないけど、本人から名前で呼んでくれるように頼まれたんだよね
「し、シル、私にも出来る事は何かないか!」
ワタワタと少し慌てたよな様子なのは、龍王最強と言われている僕らの家族、天魔の業龍・ティアマットことティア。お留守番はイヤだと言って、一緒に着いてきたのだ。まぁ、ティア一人を家に残して行くわけにもいかないしね
「し、シルさん!どこか悪いんですか!?すぐに私の神器で治療を!」
神器で僕の事を癒そうとするアーシア。暖かい淡い光が僕を包んだ
「し、シルさん、顔色が少し悪そうッス!」
「シル、やっぱり休んでいた方が良いんじゃないの?昨日もあれだけ吐血していたんだし」
「あの量は、人間のお前にとってかなりの量だったはずだ」
上から順に、ミッテルト、夕麻、カラワーナ。みんな僕の事を心配してくれている。いけないいけない、みんなを心配させちゃった。ここは皆を安心させないと
「ありがとう皆、僕はもう大丈夫だよ。ただちょっと死にたくなっただけだから」
『全然大丈夫じゃないっ・です!!!』
皆から総突っ込みを頂きました。その中にはいつの間にか戻ってきていた木場君も混じっている。手に持ってるのは山菜かな?兵藤君と同じくらいの荷物を持ってるのに余裕だね。凄い!木場キュン!カッコいい!
・・・・・少しおかしくなってるみたいだ。それほどまでに昨日のダメージは凄まじかったみたいだね
「シル、大丈夫?原因の私が言うのもなんだけどさ」
藍華まで心配そうに声をかけてくる。その顔を見てると、僕の胸がきゅぅっと締め付けられるような感じがした
そうだ。例え藍華の口からあんな言葉が出たからって、そんな事は関係ない。まぁ、ちょっと・・・いや、かなり、今までの人生で間違いなく一番驚いたけど。藍華であることに何ら変わりはないんだ。今も昔も変わらない、藍華は優しい女の子なんだから。今更ながらそんな当たり前の事に気がついた僕が恥ずかしいな
「・・・ゴメンね、心配かけちゃって。でも、もう大丈夫。あと藍華、藍華は何にも悪くないよ。ただちょっと驚いただけだから」
そう言うと、みんなは心配した顔から安心したような表情になった。
「じゃぁ、いつまでもこんな所で止まっていないで、早く別荘に行こ。別荘がどんな感じか私、結構気になってるのよね」
「ぜぇ、ぜぇ・・・ま、待ってくれ~」
後ろの方から兵藤君の声が聞こえてきた。汗だくの兵藤君に比べ、上に乗っているリアスさんは涼しい表情だった
「ほら、頑張りなさいイッセー。男の子でしょう?」
「は、はいぃ!」
・・・頑張って、兵藤君
◇◇◇◇◇
それからみんなで一緒に山道を登り、二十分くらいで森の中に建っている別荘までたどり着いた。別荘は立派な木造の造りで、グレモリー家の所有物らしい。それと、普段は魔力で風景に隠れ、人前には姿が現れないようになっていて、今回みたいに使う時だけ姿を現しているみたいだ(朱乃さん説明
「おぉ~、流石は公爵家の別荘、立派ねぇ」
「と、とても大きいですぅ!」
中に入ると、木造独特の木の匂いがした。中も広く、しばらく使ってないと聞いていたけど、埃とかは無くて綺麗にされていた
「二階は寝室、一階にはキッチン、リビングダイニング、トイレ、などです。家具もテレビ以外は一式揃っていますのよ。あとお風呂は、一階にあるものや外にある温泉になりますわ」
朱乃さんの言う通り、リビングにはソファーやみんなで座れそうな大きな机があった。
「なんだか、シルが最初に建ててくれたウッドハウスを思い出すにゃ~」
「懐かしいです」
あ、そういえば最初に黒歌達の為に建てた家もこんな感じのウッドハウスだったなぁ。確かに懐かしいね
『え?』
僕達三人が懐かしんでいる時、他の皆は少し驚いたような声を上げた
「シル、あんた家建てたの?」
「うん、昔ね。流石にこれよりは小さいけどね」
といっても、二階建ての4LDKだったけどね。でも、使ってない部屋もあったなぁ。今の家も僕が魔法で結構広めに建てたやつだけど、今は部屋が一杯になってるしなぁ。そろそろ改築した方が良いかな?
「す、すごいですシルさん!お家を建てちゃうなんて!」
「流石っす!」
アーシアとミッテルトがキラキラと尊敬した眼差しで僕の事を見てくる。ちょっと照れるなぁ
「も、もぅ、ダメだぁ」
どうやら兵藤君も着いたようだ。見れば、兵藤君は入口の傍の床で倒れ込んでいた。
「お疲れ様イッセー。それじゃぁ私達は着替えてくるわね」
「兵藤~、覗くんじゃないわよ~って流石に無理っぽいか」
リビングに荷物を置き、兵藤君の上に乗ってきていたリアスさんや藍華達女性陣の皆は、着替えの為に二階に上がって行った
「それじゃぁシルさん、イッセー君。僕も着替えてきますね」
青色のジャージを持って、木場君も一回の浴室に向かった
「覗かないでね」
浴室のドアから、顔をひょっこりと覗かせた木場君が冗談っぽく言ってくる
「マジでそのイケメンフェイスぶっ飛ばそうか!?」
『兵藤~!女子の着替えが覗けないからって、男子の着替えを覗くのはどうかと思うわよ~?』
「違うわ桐生!!んな訳あるか!」
おぉう、兵藤君疲れてるせいで余裕が無くなってるよ。取り敢えず落ち着かせる為に兵藤君にお水とタオルを渡してあげたら、涙ながらに感謝された。そこまでの事はしてないと思うんだけどね
そして十分ほど経って、女性陣も着替え終わったようで、二階から降りてきた。リアスさんは笑みを浮かべながら言う。
「さぁ、早速外で修行を始めましょう」
◇◇◇◇◇◇
レッスン1木場君との剣術修行
「はっ!」
木刀を持った木場君が僕に向かって斬りかかってくる。流石『騎士』、中々速いね。でも・・・
「当たらないっ・・・!」
僕はすべての攻撃を紙一重で躱す。『騎士』のスピードとレベルの高い剣術で戦うのが木場君のスタイルっぽいね。木場君の攻撃を躱しながら、僕は木場君の事を分析していく
そして躱し続けて十五分が過ぎた頃、木場君の剣筋やスピードが最初の頃と比べて明らかに落ちてきた。まぁ、当然か
「よっと」
「なっ!」
僕は木場君の持っている木刀の柄の部分を蹴り上げた。木刀はそのまま木場君の手を離れ、彼の後ろの方へ落ちた。木場君も疲れたのか、そのまま地面に座り込んだ。
「お疲れ様、そろそろ休憩にしようか」
「はぁ、はぁ、さ、流石ですね。僕の攻撃がことごとく躱されて、一太刀も当てる事も出来ませんでしたよ」
「まぁ、僕も10年間色んな修行をしたからね」
今回、この修行に僕が来る事になったのは、藍華達の付き添いっていうのと、リアスさんに皆のコーチを頼まれたからだ。まぁ、僕も断る理由が特に無かったからOKしたんだけどね
「ところで木場君、君の剣術は誰かから習ったものなのかな?」
「はい、僕の剣術は師匠から習ったものです」
師匠か、多分かなりの腕の持ち主なんだろうなぁ。それにしても木場君はレベルが高いな。スピードや剣術なら下級悪魔の中ではいい所にいるんじゃないかな。木場君はこのままそのスピードと剣術を伸ばしていけばいいと思う
ドコーン!
休憩している時にそんな大きな音が聞こえた。僕達のいる所から少し離れた山の方から、青い火柱が上がっているのが見えた
「・・・大丈夫なんでしょうか?」
木場君が心配そうな声を上げた。まぁ、やり過ぎないように言ってあるから大丈ぶ『ドコーン!ドコーン!ドコーン!!』・・・。
連続して衝撃音が響き渡り、それに連動して青い火柱が次々と上がっていた。
「「・・・」」
人選間違えた、かな・・・?
◇◇◇◇◇◇
SIDEイッセー
突然だが俺は今、命の危機に瀕している。何を言ってるかって?そのまんまの意味だよ!!
「ほらほら、もっと素早く動かないと跡形もなく消し飛ぶぞ!」
そう言いながら青い魔力の塊を俺に向かって投げつけてくるティアマット(人型)さん
「のわぁっ!?」
俺が全力で飛びのいた直後、さっきまで俺がいた場所に周りの木の高さを超える程の大きな青い火柱が上がった!マジであんなの喰らったら跡形もなく消し炭になっちゃうぅ!!
今回の修行、俺はまず体力や筋力といった基礎能力を上げる為にシルさんのアドバイスの元、トレイルランニングという舗装されていない山なんかを走るというトレーニングをする事になったんだけど、それを何故かティアマットさんの提案でケイドロでやる事になったんだ。勿論俺がドロで、ケイはティアマットさん
「はははっ!狩りをするのは久しぶりだな!しかもその相手があいつの宿主とくればテンションが上がるというものだ!」
「ちょっとぉ!?俺は狩りの獲物っすか!?」
「ほら、喋っている暇があったらもっと早く動け!」
「うわぁぁぁ!!」
ドーン!!
やばい、さっきから威力が上がってきてる気がする
「あいつらはいつもいつも喧嘩ばっかして。周りの迷惑も考えたらどうなんだ・・・あの時もあいつらは私がせっかく気持ちよく寝ていたのに邪魔をして・・・!」
お、おい、なんかティアマットさんの機嫌が悪くなってない?それにあいつって俺に宿ってるドラゴンの事か?何やってんだよ!じゃぁ、あれか?現在進行形で俺が死にそうになってるのはお前のせいかよ!何でお前の代わりに俺がこんな目に合わなきゃなんねぇんだ!!お前が出て来てやられやがれやこん畜生ぉぉ!!!
「今度は連続で行くぞ!避けろよ!」
「止めてっ!俺はもう限界です!!」
「限界は超える為にある。シルが前に言っていた言葉だ。・・・あの時のシル、カッコ良かったなぁ~」
頬を薄く染め、うっとりとした表情を見せるティアマットさん。その顔に思わず立ち止まって見惚れそうになるが、そんな状態でも俺への攻撃の手は止めていないので、そんな事をすれば即、滅殺されちまう!!というかマジで俺限界なんですけど!?
「ほら、スピードが落ちてきているぞ!死にたいのか!」
「ひいぃぃぃ!?」
ドーン!ドーン!ドォーン!!
・・・父さん、母さん、みんな。兵藤一誠、今日死ぬかもしれません