SIDE藍華・アーシア・白音・黒歌
イッセー達が修行をしている頃、眷属ではない藍華、アーシア、白音、黒歌のオカルト研究部の部員達は、別荘から少し歩いたところにある川に夕食用の魚釣りに来ていた。川の水はとても澄んでいて、泳いでいる川魚も見える。川の向こう岸は高い崖になっていた
「おぉ~、中々いい感じじゃん」
「はい、とても綺麗な場所ですね」
「あっ、魚が見えるにゃ!」
「沢山釣って、シルに調理してもらいましょう」
四人は早速、持ってきた釣り道具で釣りの準備を始めた
「おっさかな沢山釣りたいなぁ~♪」
「・・・」カチャカチャ
鼻歌交じりに釣竿の準備をする黒歌と、黙々と準備をする白音。白音の表情は真剣なものだった
「ここはね、こうやって・・・」
「えっと、こんな感じでしょうか?」
「ん、大丈夫大丈夫。ちゃんと出来てるわよ」
アーシアは、桐生にサポートされながら準備をしていた
「アーシア先輩、桐生先輩。私は向こうの方で釣ってきます。私がいない間、姉さまの事よろしくお願いします」
「ちょっと白音!お姉ちゃんは子供ですか!?」
白音は早々に準備を終えると、藍華達にそう言って釣竿とバケツを持ち、別の場所へと向かって行った
「なんか白音ちゃんヤル気満々って感じねぇ」
それから準備が終わった藍華達は、川の傍にある三つ並んでいる丁度いい大きさの岩に座って釣り糸を垂らし、釣りを開始した。
「アーシア、こうやって靴を脱いで足を水につけると気持ちいいわよ」
「ひゃうっ!つ、冷たいですけど気持ちいいですぅ」
「私もするにゃ~」
それから三人は、のんびり水に浸かり竿に魚がかかるのを待ちながら、お喋りをしだした。
「へぇ~、シルって料理も出来るんですか」
「そうにゃ、シルの作る料理はどれもとっても美味しいんだにゃ!それはもうほっぺが落っこちちゃうくらいにねぇ」
「私もシルさんの料理を食べましたけど、どれもとっても美味しかったです!」
「へぇ、そういえばアーシアや黒歌先輩はシルの所に住んでるのよね?」
「だにゃ。私と白音や最近一緒に暮らすようになったアーシアや夕麻達も一緒にゃ。あとは他にもいるんだけど、出かけてる事が多いから家にいない事が多いいかにゃ」
「家って、どの辺なんですか?」
「えっと、○○○○○の近くにゃ」
「あぁ、あそこですか。家とは丁度学校から反対ですね」
ドーン!
「きゃっ!」
大きな音が聞こえて、アーシアはビックリした声を上げた。藍華も、声には出していないが驚いた様子だった。それとは反対に、黒歌はあぁ~、という表情になっていた
「な、何ですか今の大きな音は」
「何か、向こうの山に青い火柱が見えた気がするんだけど」
「ティアの仕業にゃ」
驚いている二人に黒歌が説明をした
「多分、あの茶髪のツンツン頭の特訓をしてるんじゃないかにゃ?」
「だ、大丈夫なんでしょうか・・・?」
「まっ、兵藤なら心配ないでしょう。あいつ、結構頑丈だし」
「そうにゃ。ティアだってシルにちゃんと手加減するように言われ・・・」
ドーン!ドーン!!ドォーン!!
「「・・・」」
「はわわわわっ!さっきより大きな音ですぅ!」
「・・・黒歌先輩」
「・・・シル、言い忘れたのかにゃ?」
「「・・・」」
ドーン!ドドーン!ドォーン!!
二人の視線の先では、次々と青い火柱が上がっていた。アーシアはワタワタと一人慌てていた
少しすると、音も止んで、落ち着いた三人(主にアーシア)は、釣りを再開した
ピクッ、ピクピクッ
「あっ、黒歌先輩引いてますよ」
「おぉ、来た来たぁ!うりゃぁ~!」
ザパァ!
黒歌が勢いよく竿を上げると川の中から魚が大きく宙を舞った。宙に舞った魚は、太陽の光を浴びてキラキラと輝いた
ぴちぴちぴちっ!
釣り上げられ、岸にあげられた魚は十センチ程の大きさだった
「おぉ~、立派なもんじゃないですか」
「すごいです黒歌さん!」
「にゃははは!私にかかればざっとこんなもんにゃ」
得意げな様子の黒歌は、魚を針から外してバケツの中に入れた。そしてまた針に餌を付けて川に垂らした。
「にゃふふ~、この調子でドンドン釣るにゃ~」
「これは私達も負けられないわね」
「はい!私も頑張ります」
気合を入れたアーシアは小さく頑張る、といったポーズをとった。その姿を見て、二人はほっこりとした気持ちになった。そしてその姿を、某ゴスロリ堕天使がこの場にいたら、真っ先にカメラに写していただろう
そしてそれからアーシアや藍華も魚を釣り上げ、魚がかかるまで待っている間の三人の話題は、またしてもシルの事についてになった
「んにゃ?シルが十年間何をしてたか?」
「はい、私のとこからいなくなって何をしてたのか気になりまして」
「あっ、わ、私もシルさんがどんな事をしてたか気になります」
アーシアもおずおずとしたように手を上げた
「う~ん、何から話せばいいかにゃ~?」
腕を組んで、むむむっといった感じで悩んでいる様子の黒歌。そして何かを思いついたような表情になり、手をポンッとついた
「主婦にゃ」
「「・・・はい?」」
藍華とアーシアは二人そろって首を傾げた
「主婦にゃ」
「いや、黒歌先輩聞こえてますよ」
「えっとね、シルは大体家の掃除、洗濯、スーパーに買い物、私達の食事やお弁当を作ってくれてるにゃ」
「「あぁ~、確かに主婦だわ・ですね」」
二人も納得した様子になった
「私達も、掃除とかは手伝うんだけど、料理はシルが圧倒的に上手いっていうのと、シル自身が料理が好きだから料理は完全にシル任せにゃ。あとは何年か前まではティア達に手伝ってもらって修行をしてたね。でも最近じゃしてないみたい。あと、よくシルも出かけたりしてるにゃ。偶にティア達みたいに長い事返って来ない時があって、何をしてるかとかまでは分からないにゃ~」
「「へぇ~」」
「駒王学園に私達やアーシア達が通えるようにしてくれたのもシルのおかげにゃ。ね?アーシア」
「はい!シルさんは私の夢を叶えてくれました。お友達も沢山出来ましたし、今のこの幸せな生活が送れるのも、シルさん達のおかげです。それにあの時、私の命も救っていただきました・・・シルさんや皆さんには感謝してもしきれません」
手を胸に当て、祈るように目を閉じるアーシア。その姿は、まさしく聖女だった
「私も白音も、シルに助けられたにゃ。もし、十年前シルに会ってなかったら、私達は多分野垂死んでたにゃ。シルが私達の事を家族って言ってくれた時は、嬉しくって涙が止まらなかったにゃぁ」
黒歌はそう言いながら頬を緩ませていた
「そっか、シルは皆の事も助けてたのね。私もアーシア達と一緒」
そう呟いた藍華に、二人の視線が向いた。藍華は、空を見上げながら言葉を続けた
「私がね、シルと最初に出会った時は私があと少しで死ぬ所だった。怖くて震えてる私に、あと少しで鋭い牙が突き刺さろうとした時、私を助けてくれたの」
藍華の話をアーシアと黒歌は静かに聞いていた。川の音だけが響く中、藍華はさらに続ける
「猫の姿だったシルは体を張って傷だらけになりながら自分より大きくて強そうな怪物相手に立ち向かっていってた。鋭い爪や牙が体を掠めて傷ついても、シルは逃げたりしなかった。そしてその後、私が気絶して目が覚めたら怪物はいなくなってて、目の前には傷だらけのシルがいた。それからシルを家に連れて帰って手当てをして、シルって名前をつけて一緒に暮らしだしたのよ。あの頃はシルと少しでも一緒に居たくて、学校が終わったらすぐに家に帰ってたなぁ。だからシルがいなくなった時は、すごい泣いた記憶があるわ。しばらくは食事もあんまりとれなくって、親に心配されたっけ」
藍華の表情はその時を思い出して懐かしんでいるようだった
「シルがいたから今の私がいる。私もシルには感謝してるのよね・・・ってなんかこういうのらしくないわね、今のはシルや他の皆には言わないでね」
そう言って少し気恥ずかしそうに頬をかきながら笑う藍華
「そんな事ないですよ桐生さん!」
「なるほどにゃ、だから十年もシルの事を探してたんだにゃ」
「そうそう・・・ん?」
ゆっくりと顔を黒歌に向ける藍華
「・・・黒歌先輩、私ってそんな事話しましたっけ?」
「んにゃ、これは昨日会いに行った藍華のお母さんから・・・ってこれは言っちゃダメって言われてたんだったにゃ」
しまったぁ、という表情を見せる黒歌。
「き、桐生さん・・・?」
ゴゴゴゴッ!
そんな効果音が付きそうな感じになる藍華。バケツの魚たちが、藍華から発せられるプレッシャーにバシャバシャと勢いよく暴れる
「何ペラペラ喋ってんのよあのバカは・・・!帰ったらキッチリオ・ハ・ナ・シ、シナイトネ。フフフフ・・・」
「「ひぃっ!」」
アーシアと黒歌は、藍華の黒い笑みを見て、お互いに抱き合ってガタガタと震えた
キュピーンッ!
「・・・はっ!何か怒られそうな予感がする!」
某主婦は、自らの危険を察知した。しかし、それを逃れられるかどうかは・・・微妙だ
その頃、白音はというと・・・
「・・・っ、HIT!」
ザパァ!
白音が釣り上げた魚は、黒歌達が釣ったものよりも大きかった。そして、白音は慣れた手つきで魚を針から外し、バケツに放り込んだ。バケツの中には魚が一杯入っており、今ので丁度バケツ4杯分になっていた
「・・・次を釣り上げたら終わりにしましょう」
そう言って、白音はポイントを狙って竿を振った
ポチャン!
狙った所をピンポイントで針は落ちた
「今日は大漁です。一杯シルに美味しい物を作ってもらいましょう・・・きっとシルも褒めてくれますね。ナデナデでしょうか?それともハグ?はっ!りょ、両方とか・・・!」
かかる魚を待ちながら、白音はそんな事を考えていた
SIDEOUT
◇◇◇◇◇◇
太陽が真上に来た頃、午前の木場君との修行を終え、みんながお昼休みに別荘に帰ってくるまでの間に、僕はおにぎりを沢山作っていた。木場君はその間、別荘の前の地面に倒れ込んで休んでた。ちょっとやりすぎたかな?あと、おにぎりを作ってる時に、キッチンにバケツが転移されてきた。釣りに行っていた藍華達が帰りに重い物を持たなくてもいい様に、バケツに転移の術式をかけていたものだ。バケツの中には魚がたくさん入っていて、大きな魚が多かった。今日は大漁だったみたいだね。藍華達ももうすぐ帰って来るだろう
それと兵藤君だけど・・・虐めだったねあれは。あの火柱が上がった後、すぐに僕がティアを止めに入ったから大丈夫だったけど、最後に撃っていた魔力弾は今の兵藤君にとってはシャレにならないレベルのやつだった。兵藤君なんかもう体力もゼロに等しい状態だったね。取り敢えずティアにO☆HA☆NA☆SHI(肉体言語)で大人しくさせた後、疲れ果ててる兵藤君と気絶したティアを背負って別荘へ戻った。帰ってきた僕らを見て木場君の顔が引き攣っていたのは印象に残ってる。兵藤君も体力をかなり消費していたので、木場君との修行の間はずっと寝ていた。ティア?ティアは起こしてずっと正座させてますけど何か?
「はぁ~、もうクタクタっす~」
「しっかり歩けミッテルト」
「ただいまシル」
リビングで待っていると最初に帰ってきたのは、夕麻達元堕天使組の三人だった
「お帰り三人とも。特訓の方はどうだった?」
「きついっス!」
いの一番にミッテルトが口を開いた。三人の特訓内容も、僕が決めたんだんだけどやっぱりきつかったかな?
「ミッテルト、お前はもう少し体力をつけろ。最近はゲームばかりしているから鈍ってしまってるんだぞ」
そういえばミッテルトの祖父母は天使だった頃、人間界の遊びに魅かれて堕天使に堕ちたって前に言ってたな。その影響か、ミッテルトはかなりのゲーム好きだ。最近も家では白音と一緒によくゲームをしている。白音も何年か前からゲームを始めてて、結構なゲーマーだ。その事もあって、二人の仲は結構いい。最近はスマ○ラとかよくやってるなぁ
「体力バカのカラワーナに言われたくないっす!うちはカラワーナと違ってか弱い女の子なんすよ!」
「誰が体力バカだ!教師にそんな口をきいていいと思ってるのか!」
「ふふん、そんな事言っても怖くないっすよ~」
「このっ!・・・帰ったらお前の担任に課題を倍にしてもらう様に言っておこう」
「ちょっ!?そ、それは職権乱用っすよ!」
「何を言う。これはお前の為を思って言っているのだぞ」
「なにおうっ!」
「やるか?」
「「ぐぬぬぬっ!」」
「はぁ、全く。二人とも喧嘩はよしなさいよ」
嘆息しながら夕麻がそう言った。この二人は時々こうして言い争う事がある。まぁ、黒歌達に比べたら全然少ないけどね
「シル、特訓の方はとても充実した内容よ。だから心配しなくても大丈夫よ」
「そう言ってくれると嬉しいよ。もうすぐみんなも帰ってくると思うから、汗を流してきたらどう?」
「わかったわ。ほら二人とも、行くわよ」
「「グエッ!?」」
夕麻は二人の襟を掴んでそのまま浴室へ引きずって行く。あと、女の子が出していい声じゃないよ・・・
「ゆ、夕麻先輩!?襟を引っ張らないでくださいよ!締まってる、締まってるっスからぁ!」
「く、苦しいっ!」
夕麻、二人を引きずっていけるくらい力があるんだね。今後はあの二人のストッパーは夕麻に任せようかな?
「戻ったわよ」
「シルさん、ただいま戻りましたわ」
次に帰ってきたのは、リアスさんと朱乃さんだった。
「お疲れ様二人とも。どうでした?特訓の方は?」
「えぇ、それは・・・」
「それはもう、シルさんが考えてくださった特訓メニューはとても為になるものでしたわ♪」
リアスさんの言葉の途中で朱乃さんがずいっ、と身を乗り出し、僕の手を握ってそう言ってくれた。良かった、そんなに僕がたてた訓練メニューに喜んでくれて。でも、ちょっと距離が近いような気が・・・
「コホン、あ~お取込み中の所悪いけど、私がいる事忘れてないかしら?」
わざとらしく咳を吐いたリアスさんが少し頬を膨らませてそう尋ねてくる。いや、全然忘れたわけじゃないですよ?ただ、朱乃さんの行動に疑問を抱いてただけですよ?でも、そういった表情も可愛いね。普段はこう、大人っぽい感じだけど、そういう年頃の女の子らしい反応を見てると何か込み上げてくるものがあるね・・・吐き気じゃないよ?
『シル~、今帰ったわよ~』
そんな事を考えてると、玄関の方からそんな藍華の声が聞こえてきた。どうやら釣りに行っていた藍華達が返って来たみたいだ。朱乃さんの手を離して、声のした玄関の方へ向かうと、そこには・・・
「ふふふっ、今回は今までみたいに手加減はしないわ。昨日よりも更に・・・フフフフッ・・・」
「こ、怖いにゃ藍華」
「あわわわわっ!」
「シル、今日は大漁でした。ほとんど私が釣ったんですよ」
黒い笑みを浮かべる藍華に、それを見て震えている黒歌にワタワタとしているアーシア。そして、少し胸を張って得意げに言ってくる白音。玄関はカオス状態だった
「・・・一体何があったのさ」
誰か僕にこうなった経緯を説明してください
◇◇◇◇◇◇
「お、俺、生きてるんですか・・・?そんな訳ないか。ははっ、じゃぁここは天国かな?いや、悪魔なら地獄か・・・」
黒い藍華がもとに戻り、リビングに集まった僕達。そして先程目を覚まし、リビングのソファーに横たわるイッセー君はそんな事を口にした
「しっかりしてイッセー!あなたはちゃんと生きてるわ!」
そんな兵藤君の手を握って、リアスさんが必死に呼びかける
「部長・・・俺、頑張りました。迫り来る魔力弾を必死になって避けましたよ。だって一発でも当たったら消し飛んじゃいますもん。それなのにドンドン威力も上がって、数も増えてくるんですよ。最後なんか眼前には魔力弾で一杯だったんですよ?やめて!俺はもう限界よっ!状態なのに。もう笑っちゃいますよね、はははは・・・」
「イッセー!お願い戻ってきてイッセー!」
乾いた笑いを上げる兵藤君の目からはハイライトが消えていた。そして僕の前にはその原因が正座している
「・・・で、何か申し開きはあるティア?」
「い、いや、最初はちゃんと手加減をしてたのだぞ!でも、途中からあいつの事を思い出して、ムカムカしてきて、その・・・ごめんなさい」
最初は言い訳っぽい事を言っていたけど、最後にはちゃんとごめんなさいが言えたティア。反省してる様子なので、これ以上は僕からは何も言わなくても大丈夫だろう
「それは僕じゃなくって兵藤君に言ってあげて」
「うむ・・・ドライグの宿主よ、すまなかっ・・・」
ティアの言葉が途中で止まった。僕はそんなティアに首を傾げつつ、ティアの視線の方へ顔を向けると・・・
「うぅ~、部長に膝枕されてるなんて、俺!感激っす!これが受けられるならあの厳しい修行だってやってやります!!」
「本当にあなたの言う通りにしたらいつものイッセーに戻ったわ」
「でしょ?こいつ単純なんですよ」
何故かリアスさんに膝枕されている兵藤君は、涙ながらに感激している様子だった。今の会話から藍華がそうするように言ったみたいだけど。兵藤君、君さっきまで屍状態だったよね?
「・・・なぁ、シル。あいつもそう言ってる事だし、午後もあれやってもいいだろ?」
「・・・ちゃんと手加減してね」
「あぁ、勿論わかっているのだ。なに、ギリギリを狙い続けてやるだけだ」
・・・頑張って兵藤君、僕から言えるのはそれだけだ
◇◇◇◇◇◇
それからみんなで一緒にお昼を食べながら、それぞれに訓練の事について詳しく聞いた。ちなみに訓練内容は木場君と兵藤君はいわずかな、夕麻達は最初に基礎鍛錬と光の槍の事を、朱乃さんとリアスさんは主に魔力の扱いについてものだ。アーシアはゲームには参加しないけど、午後からは神器の扱いの練習をしてもらう事になっている。今回の修業期間を利用してアーシアには自分の神器の扱いについてちゃんと慣れてもらおうと思う。
聞けば、まずミッテルトは体力は、少ないけど光の槍を投げる遠距離からの攻撃が得意らしい。反対に近接での戦闘は苦手。カラワーナは僕が提案した基礎鍛錬のメニューを全てこなしてまだ体力に余裕があったらしい。ミッテルトは半分くらいでダウンだったみたいだけど。それとカラワーナは長い光の槍を使った近接戦闘が得意で、反対に遠距離攻撃で的を使った練習での命中率はミッテルトの半分以下。そして夕麻近接戦闘と中距離からの投槍も得意らしい。体力はミッテルト以上、カラワーナ以下といった所で、
・体力 カラワーナ>夕麻>>>ミッテルト
・近接戦闘能力 カラワーナ>夕麻>>>ミッテルト
・遠距離戦闘能力 ミッテルト>夕麻>>>カラワーナ
という感じになる。ミッテルトはこれから体力をつけるメニューを追加していくとして、カラワーナはこのまま近接戦闘と体力を上げていく感じでいいかな。夕麻はバランスのいいオールマイティって所だから、バランス良く伸ばしていく感じでいいだろう。
次に朱乃さんとリアスさんだけど、二人は主に魔力を使った攻撃を得意としてるみたいだったので、魔力を制御して自由に操れるようにする特訓にした。具体的に言えば、同じ大きさの魔力の塊をいくつか作ってそれを自由自在に操るというものだ。午前の時点でリアスさんは5つ、朱乃さんは7つらしい。リアスさんの話では、朱乃さんは妙に張り切っていたそうだ。それだけ今回のゲームに意気込んでるという事だろう。でも、あまり張り切り過ぎて無理はしないように、と言ったら素直に頷いてくれた。ただ、そう言った後、妙に嬉しそうだったのは何だったんだろう?
それと藍華達は途中まで釣りを楽しんでいたみたいだけど、ある事があってから今は戻ってるけど藍華がブラック藍華になったらしい。何があったかは教えてくれなかったけど。それと白音には頑張ったご褒美でナデナデをしてあげたら、アーシアや黒歌もナデナデを要求してきたので、二人も撫でてあげたら、悪乗りしてきた藍華と何故か朱乃さんもナデナデする事になった。いや、何でさ
まぁ結局自分もしてもらいたそうにしてたティアも合わせてみんなの頭を撫でてあげたけどね。ただ、撫でてる時の皆の表情は可愛かったです。まる!なにこれ作文?
まぁ、それはさておき、お昼も済んだ事で午後の修行は木場君、夕麻、カラワーナは模擬戦を、朱乃さんとリアスさんは引き続き魔力の制御の練習などを、ミッテルトは体力アップ中心のメニューを、兵藤君は午前と同じでティア(今度はドラゴンバージョン)と山で追いかけっこ。藍華とアーシアと白音はティアの背中に乗って楽しむらしい。まぁドラゴンに乗れるなんてほぼ出来ない事だしね。アーシアは兵藤君が怪我をしたら治療を、藍華は追いかけまわされてる兵藤君を見て楽しみ、白音はティアのストッパーにだそうだ。
で、残った僕と黒歌だけど。僕はそれぞれの特訓の様子を見て回るつもりで、黒歌は別荘の部屋でお昼寝だそうだ。
レッスン2朱乃さんとリアスさんと魔力修行
みんながそれぞれ自分の午後の特訓に向かった後、簡単な夕食の下拵えを終えた僕が最初に向かったのは、リアスさんと朱乃さんが特訓している森の中だった。
バチバチバチッ!パァン!
朱乃さんの手から放たれた雷が木々を避けるようにして進み、奥にある的に命中して破壊した
「ふぅ」
「流石ですね朱乃さん」
大きく息を吐いた朱乃さんに声をかけると、こちらを向いてぱぁっ、という音が付きそうな感じで朱乃さんの顔が笑顔になった
「シルさん!見ていてくださったんですね!」
「はい、朱乃さん達の特訓の様子を見に来ました、順調そうですね」
「はい!あっ、そうですわ!シルさん、こちらの方も見てくださいまし」
そう言って朱乃さんは瞳を閉じ、手を前に突き出して集中しだした。朱乃さんは手から魔力の塊を作り出していった。一つ、二つ、三つ・・・そして最後には同じ大きさの魔力の塊が8つ、朱乃さんの周りを浮かんでいた。さっき聞いた時は7つだったのに、もう一つ増えている事に驚いた。朱乃さんはそのまま魔力の塊をゆっくりと動かして行った。
「あっ」
と思ったら、魔力の塊は霧散してしまった
「はぁ、はぁ、す、少し失敗してしまいましたわ。やはり完全に自由自在に動かす事が出来るのは7つまでみたいですわ」
動かす事は出来ないが、同じ大きさの魔力の塊を8つまでは作れるようになったみたいだ
「それでも十分凄いですよ。朱乃さんは才能があります」
「そう言っていただけると嬉しいです」
朱乃さんは恥ずかしいのか少し頬を染めて、はにかむ様に微笑んだ
「そういえばリアスさんはどこに?」
「部長でしたらあちらの方に・・・」
朱乃さんが指した方を見れば、リアスさんは紅い魔力の塊を自分の周りに漂わせて、それを規則的に動かしていた。魔力の塊の数は朱之さんよりは少ないけど、6つ。リアスさんも一つ増えていた。リアスさんは「滅びの力」というのを受け継いでいる事もさることながら、悪魔としてのポテンシャルは高い。このまま特訓していけばそんなに遠くないうちには最上級悪魔になれるだろう
「ふぅ、」
一息ついてリアスさんは魔力の塊を霧散させた。そんなリアスさんに近寄って声をかける
「お疲れさまリアスさん」
「あら、来ていたの?少し集中していて気がつかなかったわ」
「リアスさんも数が増えてましたね」
「えぇ、まだ朱乃には負けてるけどね。それにしても、魔力をこうやって制御するのって大変ね。今まであまりこうやった事はしたことが無かったから新鮮だわ。そういえばあなたはどのくらいの数を制御できるのかしら?」
「えっと・・・こんな感じですかね」
そう言って僕は片手を上にかざして魔力の塊を空に生み出す。その数は・・・・・多分千は軽く超えてると思う。それを僕はそれぞれがぶつからないように動かす。それはまるで昼間に出来た星空の様だった
「「・・・・」」
二人は空を見上げて、唖然とした表情を見せた。
「・・・流石あの『オッドアイの銀猫』と言った所かしらね。あれだけの数・・・」
「すごいですわシルさん!あれだけの数の魔力の塊を制御できるなんて!」
「って朱乃!私のセリフを遮らないでよ!」
少し涙目になりながら叫ぶリアスさん。これでセリフが遮られたのは二回目ですね
それから僕は二人の特訓にしばらく付き合って、段々激しくなってきた山の方へと向かって行った。案の定、兵藤君は虫の息でアーシアから傷の治療を受けていて、ティアと藍華は何故かイイ笑顔で握手、白音は手に持っていたスナックを食べていた
そして時は過ぎ、修行一日目の夕食が食べ終わった頃
「シルと一緒にお風呂なんて何年振りかにゃ~」
「本当ですね」
「し、シルさん!お背中お流ししますね、日本には裸の付き合いがあると聞きました!」
「あらあら、私もお流ししますわシルさん♪」
「勿論私もするぞシル!」
「温泉なんて久しぶりだわ」
「おいミッテルト、お前温泉にまでカメラを持ち込む気か?」
「当然っすよ!ここで撮らなくていつ撮るんすか!」
「ほらシル、さっさと温泉に行くわよ」
「・・・どうしてこうなった」
という訳で次回は温泉です。でも、そんなに期待はしないでくださいね