チーン・・・
午後の修行(という名の虐め)が終わった兵藤君は、そんな効果音が付きそうな感じになっていた。気のせいかもしれないけど、彼の口から魂的な何か出かかってた気がする。今度は膝枕でも復活しなかった。そんな兵藤君は寝ている間に疲れが取れるように術をかけて部屋に寝かせておいた。筋肉痛は残るだろうけどね。ちなみに兵藤君扱きで抉れた山は、スタッフが直しときました
そして、木場君が取って来た山菜や白音達が釣って来た魚、途中で僕が狩った猪で作った夕食を食べ終えた皆は満足そうにしてくれた。今回の夕食も僕が作ったんだけど、みんなに喜んでもらえて良かった。でも、リアスさんや朱乃さんが複雑な顔をしてたのは何でなんだろう?
そして夕食を食べ終えたリアスさんが一言
「さて、素晴らしい食事も終えた事だし、お風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」
温泉かぁ、そういえばしばらく入ってないなぁ。朱乃さんが確かここは露天風呂って言ってたから風情がありそうだよね。ここに来てからの密かな楽しみの一つだったんだよね
そんな僕にグレモリーさんから信じられない一言
「そうだわ、良かったらあなたも一緒に入らない?」
「・・・・・はい?」
あ、あれ?僕耳がおかしくなったのかなぁ?今、とんでもない言葉が聞こえた気がしたんだけど
「・・・もう一度言ってもらえるかな?どうやら僕の耳がおかしくなったみたいなんだ」
「一緒にお風呂に入らない?」
・・・。
「木場君、リアスさんもそう言ってる事だから僕に構わず一緒に入っておいでよ。僕は男湯で一人でも大丈夫だから」
「シルさん、部長はあなたに向かって言ってるんですよ」
・・・・・。
ふぁっ!?
一拍空いて心の中で驚きの声を上げる僕。そりゃぁそうだよね!いくら僕の見た目があれだからって、男の僕と一緒に風呂に入らない?って聞かれたらそういう反応になると思うよ!?それも黒歌達みたいに長い付き合いでもなくて、知り合って間もない人に言われたら驚くよ!兵藤君なら絶対喜んでるだろうけどね!
そんな混乱中の僕を無視してリアスさんは他の人にも尋ねる
「朱乃はど「勿論構いませんわ」・・・」
またもやリアスさんのセリフに被せて言う朱乃さん。というか即答ですか!ここは普通断るんじゃないの!?君って常識人だと思ってたんだけど!?
「・・・コホン、じゃぁアーシアは?」
「わ、私もシルさんなら・・・ゴニョゴニョ」
小さくコクリと頷いた後、顔を真っ赤にして俯いてゴニョゴニョと言うアーシア。恥ずかしいなら断ってもいいんだよ?その方が僕にとっては嬉しいから!というかミッテルト、アーシア撮りすぎです
「じゃぁ、黒歌は?」
「愚問にゃ、そんなの良いに決まってるにゃ。勿論白音もね」
「シルと温泉、楽しみです」
まぁ、黒歌は予想通りだ。というか白音はもうお風呂の準備を始めていた
「じゃぁティアマットはどうかしら?」
「勿論良いに決まってる!」
胸を張って言うティア、まぁこちらも予想通りだ。というか皆最初の頃はティアに馴染めてない感じだったけど、今は普通に話せるようになったよね。まぁ、流石にあの二人に会ったらそうはいかないと思うけど
「じゃぁ夕麻達は?」
来た!この三人ならきっと断ってくれるはず!特に家で僕を除いて一番常識人の夕麻ならきっと断ってくれるはずだ!!
「わ、私は別にいいわ。カラワーナは?」
と思ったら、まさかのOKでした。あ、あれ?おかしいな、君なら断ってくれると思ったんだけどぉ~?
「同じくだ。ミッテルトはどうだ?というかお前、カメラを持ち込む気か?」
「勿論OKに決まってるじゃないっすか!アーシアとシルの全「それ以上は止めろ」
元堕天使三人組もOKだった。あとミッテルト、なんか目が危ないんだけど。というか本当に一緒に入るの?冗談ですよね?そうだよね?そうだと言ってください!
「じゃぁ最後に藍華はどうかしら?」
もうこうなったら藍華に頼るしかない!藍華、君に決めたぁ!藍華は普通(一応)の女子高生だ、君ならきっと普通の女の子の反応(断る)をしてくれると僕は信じてるよ!!!
そういうメッセージを込めたアイコンタクトを藍華に送る。すると藍華は笑顔で頷いてくれた。や、やった、伝わったよ!これで助か・・・
「勿論OKです。さっ、シル、温泉に行こ」
らないかったぁぁぁぁ!!伝わってなかったのか!いや!それでも普通の女の子なら断るはずなんだけどぉ!?それとも最近の女の子はそうなのか!?それか本当に僕が男だと思われてないのか!
「・・・コホン、皆忘れてるかもしれないが、僕はこんな見た目だが男なんだけど」
務めて冷静に、内心の動揺を出さないように言う
『知ってる』
・・・絶対おかしい。いや、それとも間違ってるのは僕の方なのかってそんな訳あるか!!助けてください神様ぁ!!
『・・・プルルルルルル、プルルルル、ガチャ。ただいま留守にしております、ご用件のある方はおかけ直すか、ピーという電子音の後に、メッセージをお入れください・・・』
まさかの留守電!?神様!僕の人生で間違いなくトップクラスにやばい状況なんですが!ある意味アリスと戦った時よりも危険な状況なんですけどぉ!!
「ほら、とっとと行くわよ」
藍華は僕の手を引いてそのまま歩き出そうとする。待って待って!お願いだから待って!
「き、木場君、「すみません、無理です」
全部言い切る前に即答ですか。まぁ、僕も木場君の立場だったらそうなると思うけどね!
「い、いやちょっと待って、男女が一緒にお風呂はまずいと思うんだ」
「別に気にする事じゃないでしょ?それに昔はよく一緒にお風呂入ってたじゃん」
いやいやいや!それはなんか違うでしょ!?
「さぁさぁシルさん、参りましょう♪」
左手を藍華に、右手を朱乃さんに掴まれて、そのまま脱衣所まで引きずられた。最後に見えたのは、木場君が僕に向かって笑顔で手を振っている光景だった
◇◇◇◇◇◇
露天風呂は石造りの西洋的な感じで、端の方からは絶え間なく温泉が湧き出ていた
「うわぁ、流石に大きわね~」
藍華が感嘆の声を漏らす。まぁ、確かに大きいよね。立派な露天風・・・
「リアス先輩達の胸」
そっちかい!
あれから結局僕は女湯の方に連れていかれ、そのままみんなと一緒に入る事になった。勿論、女性陣の皆には体にタオルを巻いてもらってる。何とか頼み込んでそうしてもらう事になった。アーシア達があんなに焦った感じの僕は初めて見たって言っていた
タオルを巻いた僕は、なるべく女性陣に目を向け無い様にさっさと体を流して脱衣所に戻・・・
「ちょっとちょっと、どこ行くのよ」
れなかった。藍華に腕を掴まれてしまったからだ
「い、いや、もう十分に堪能したから出ようと・・・」
「湯に浸かってもいないのに何言ってんのよ。それにちゃんと洗わないとダメでしょうが」
言ってる事は正しいけど、この場においてはおかしい!というかニヤニヤしてるって事は僕の反応を見て楽しんでるよね!?
とそこへタオルに身を包んだアーシアがやって来た。アーシアはまだ湯に浸かっていないのにその白い頬が赤くなっていた。僕の視線はなるべくアーシアの顔だけ見るようにする。絶対に下には向けない
「し、シルさん。私、日本でのお風呂のルールを教えていただきました。日本では、は、裸の付き合いがあると聞きました。お風呂で背中を流し合ったり、一緒に湯船に浸かる事でお互いの親睦を深めて仲良くなるものと・・・」
おい誰だ、この純粋な娘にそんな事を教えたのは!確かにそれは間違ってないけど、それは同性同士のものだよ!黒歌か?また黒歌なのか!!
◇
「にゃにゃっ!?な、なんか今、寒気がしたにゃ」
「大丈夫ですか姉さま?」
脱衣所にいた黒歌はブルッと身を震わせた
◇
「あ、ちなみにそれアーシアに教えたの私ね」
WHAT!?何をやっていらっしゃるんですか藍華さん!!って、取り敢えず先にアーシアの誤認を解かないと!深呼吸をした僕は、アーシアの顔を真っ直ぐに見て言葉を発する
「アーシア、そういうのは同性同士の話であって・・・」
「桐生さんから、た、大切な関係になりたい人と深めるべきだと言われました。わ、私、シルさんと深め合いたいです。だ、だから、その・・・私と裸のお付き合いをしてくれませんか・・・?」
グハッ!
「「ぐっ!?」」
「ブハァァァ!?」
アーシアの攻撃!ダイレクトアタックをもらった!シル、夕麻、カラワーナに8000のダメージ!ミッテルトはおまけに16000のダメージ!ミッテルトはダウンした!
な、なんという威力・・・!これは前に猫耳を出した白音の『にゃん♪』と同じくらいだ。もし、遊戯王だったら即負けだった。取り敢えず倒れたミッテルトには治癒をかけておいた。というか藍華、さっきよりニヤニヤが深まってませんか!?笑ってないでこの状況をどうにかしてください!
ふにょん
そんな時、僕の背中から感じた事のある感触が伝わって来た
「・・・黒歌、何をしてるのかな?」
「にゃにゃ、流石シル。よく私だってわかったにゃ」
肩からひょっこりと顔を出して、そんな事を言ってくる黒歌。そりゃぁいつもあれだけ抱き付かれたらわかるよ
「私もシルと裸の付き合いをしに来たんだにゃ。シルとこうして一緒にお風呂に入るなんて、いつも断られてたから、今まで無かったにゃ。せっかくのこの機会を無駄にしないにゃ♪」
ピトッ
「私もです」
ムニュッ
「私もお背中お流ししますわ」
今度は僕の右腕に白音、左腕に朱乃さんが引っ付いてきた。前にはアーシア、後ろは黒歌・・・逃げ道は無くなった
「良かったわねシル~、美少女たちに囲まれて」
「本当ね。それにしても、あんな朱乃は初めて見るわ」
全然良くないよ藍華、さっきから僕の中でものすごい勢いでゴリゴリと何かが削られて行ってるんだけど!そろそろ平静を保つのが厳しくなってきたよ!というかリアスさん、こうなった原因はあなたにもあるんですが!
「私っ!参上!」
脱衣所から飛び出してきたのはティアだった。って・・・!
「タオルを巻きなさいっ!」
それからも、僕の中の何かがゴリゴリと削られながら、露天風呂での時間を過ごした。風呂から上がった時、僕はこれまでにない位に疲れていた。お風呂で何があったかは・・・僕の精神の保全の為に伏せさせてもらいます。でも、いくつか言わせてもらえば、藍華は人の胸を揉まないでください、どこのエロオヤジですか。それと僕は男だからそんなものはありません。というか引っ付かないでください。背中に当たってるんで。あとミッテルトはカメラで撮るのを止めなさい、後でデータは消させてもらいます。ティアはタオルを巻きなさいぃぃぃ!!
・・・もうこんな事は勘弁です・・・なんだか嫌な予感がする。具体的にはまたありそうなそんな予感が・・・
そして久しぶりに(精神的に)疲れたので、早々に寝ようとしたんですが・・・
「わぁ、とってもフカフカです!」
「でしょ?で、ここをこうして優しく撫でてあげるのがシルは好きなのよ」
猫モードになってアーシアと藍華に撫でられてます。今日はこの二人と一緒の部屋で寝る事になったみたいです
ど う し て こ う な っ た !!
結局、夜遅くまで二人に撫でられ続けて最後はそのまま気持ちよかったのと疲れてたので猫の姿のまま寝てしまいました。朝起きたら、同じベットに藍華とアーシアに挟まれる形になってた
「むにゃむにゃ・・・」
「すぅ、すぅ・・・」
・・・二人の可愛い寝顔が見れました。それだけで、昨日の疲れ(精神的な)が無くなった
◇◇◇◇◇◇
・・・何だか物凄くおいしい場面を逃した気がする
何を言ってるんだ俺は。というかここはどこだ?真っ暗で何も聞こえないし、どっちが上でどっちが下かも分かんねぇ。えっと、確か部長達と修行に来て、それで・・・ティアマットさんに扱かれた。
まさかここは死後の世界!?俺死んじゃったの!一度は逃げ延びたけど、流石に二度目は無理だったかのか。これで俺が死んだのは二回目か・・・最後に部長のおっぱい揉みたかったぜ
『お前は死んでいないぞ、クソガキ』
---ッ!?
突然、聞いたこともない声が聞こえてきた。低く、迫力のある声が響いた。だけど、何故か俺はその声の主を知っているような、それも身近にいるような気が・・・
『そうだ、俺はいつもお前の傍にいる』
誰だ!
そう思って周囲を見渡すが、何も見えない。見えるのは闇だけ。さっきの声は一体・・・
『俺だ』
ボワッ!
うわっ!?
突然、辺りは真っ暗だったのに、炎が舞い上がった。そして俺の前にそいつは姿を現した
『やっとこうして話す事が出来たな。俺はお前にずぅっと話しかけていたんだぞ』
俺の前に姿を現したのは、ティアマットさんとよく似た体、赤い怪物ーーーまさしくドラゴンだった。いや、そんな事よりも今はこいつに聞きたい事がある
「・・・なぁ、一つ質問だ」
『ほぅ、何だ?』
目の前のドラゴンは、興味深そうに聞いて来る
「お前は、俺の左腕に宿ってるドラゴンか?」
『あぁ、そうだ。俺は《赤い龍の帝王・ウェルシュドラゴン》、ドライグ。お前の左腕に宿る者だ』
「そうか・・・」
こいつが俺に宿ってるドラゴンで間違いないのか、そうかそうか、こいつが・・・
『これから共に戦っていく相棒に挨拶をしたかった。よろしくな「お前の・・・」?何か言ったか?』
「お前の・・・お前のせいかぁぁぁぁ!!!」
『っ!?』
俺は目の前のドラゴンに向かって殴りかかった。しかし、体が滅茶苦茶硬くてビクともしなかった。畜生、硬ぇなこの野郎!
『・・・驚いた、まさかこの俺にいきなり殴りかかって来るとはな。そんな奴は今までで初めてだ』
目の前のドラゴンは驚いた様子だった。でも、んな事は関係ぇねぇ!
「お前の、お前のせいで俺なぁ!!ティアマットさんに追いかけまわされたんだぞこの野郎!!何でテメェの代わりに俺が殺られなくちゃいけないんだよぉ!滅茶苦茶怖かったんだからなこん畜生おぉぉぉ!!!」
本当に怖かったんだからな!掠っただけでもやばい攻撃が雨の様に次々と襲い掛かって来る怖さが分かるか!?あれ?何か熱いものが頬を伝ってくるぞ。はははっ、思い出したら止まらなくなって来たぜ
『・・・なんというか、すまん』
そんな俺の気迫に押されたのか、目の前のドラゴンーードライグは何とも言えない表情で謝って来た。その時、意識が遠のいていく感覚が襲ってきた
『そろそろ、現実のお前が目覚める頃だ。重ねて言うが、すまなかった・・・またな、相棒』
「・・・う、ん?・・・・知らない天井だ」
目を開けると本当に知らない天井だった。横に視線を移せば、俺の寝ているベットの隣のベットにすやすやと木場が眠っていた。寝顔もイケメンだなこいつ
そして俺は昨日の修行で気絶してここに寝かされたんだと予想した。というか本当に俺生きてたんだな。あいつが言ってた通りだ。時計を見てみれば朝の四時半。みんなが起きるまでまだまだ時間がある
ぐぅぅぅぅぅ~!
信じられないくらい盛大に俺の腹が鳴った。そういえば昨日は昼は食べたけど、夕食は食べた記憶がない。まぁ、気絶してたんなら当たり前か
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ~!
というか腹が減りすぎて死にそうだ、今は取り敢えず何か食べたい。俺はベットから起き上がり、部屋の扉を開け、外に出た
「ん?・・・いい匂いだ」
部屋の外に出ると、廊下にはいい匂いが漂っていた。
「キッチンの方からだ。誰かいるのか?」
俺はキッチンの方に歩みを進めると、まな板の音や、匂いが強くなってきた。そしてキッチンにはある人物が立っていた。その人物は近づく俺に気がつくと、振り向いて笑顔で挨拶をしてくれた
「あっ、兵藤君おはよう」
「お、おはようございますシルさん。随分早いですね」
そう、キッチンに立っていたのはエプロンを着たシルさんだった。その姿を見て、真っ先に新婚ほやほやの新妻を想像した俺は悪いのだろうか
「まぁね、でもそういう兵藤君も随分早いね。体の方はどう?どこか痛い所とかある?」
「えっと、少し筋肉痛がするくらいですね。昨日あれだけ動いたのに意外と体が軽いです」
「それは良かった。そうだ、昨日夕食抜いてお腹すいたでしょ?もうちょっとで出来るから机に座って待ってて」
「は、はい。ありがとうございます!」
シルさんに言われた通り、机に座って待ってるとキッチンから漂う匂いで空腹が最高潮になって来た。マジで美味しそうな匂いだ。そろそろ我慢の限界と言う所で、キッチンからシルさんが両手いっぱいに料理を持ってきた
「お待たせ。さっ、遠慮なく食べてね」
机に並べられたのは、肉、魚、野菜など、色んな食材を使った料理が、これでもか!っというほど並べられた。その料理に関連する事は、どれも滅茶苦茶おいしそうだって事だ
「い、いただきます!!」
シルさんの作った料理はどれも、とにかく美味い!マジで!というかそれ以外の感想を頭の悪い俺では表現できない。机一杯に並べられた料理も、自分でもびっくりするくらいの勢いで料理は減っていき、数分で無くなってしまった
「ご馳走様でしたぁ!!」
手を合わせて作り手に感謝の気持ちを伝える。いやぁ~、食った食ったぁ。こんなに食ったのは生まれて初めてだぜ
「お粗末様。喜んでもらえて何よりだよ」
「いや、本当に美味かったっす!今まで食べてきた中で一番美味かったですよ!」
シルさんは俺の言葉に微笑んで「ありがとう」と言った。
・・・・マジでシルさんが男なのか分からなくなった。というか、今の姿を見て男っていえる奴はいないと思う。俺、今のシルさんの微笑を見て、男って聞いててもドキッっときたぞ
「はい、お茶どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
そんな事を考えてる間に、シルさんは俺にお茶を淹れてくれた。言っちゃぁ悪いけど、朱乃さんが淹れたのよりも美味しかった
シルさんも俺の正面に座り、少し二人での静かな時間が過ぎた。そういえばシルさんとこうして二人きりでいるのって初めてだな。俺が初めてシルさんと会ったのは俺が襲われてる時だったなぁ。いや、正確的には小学生の時に会ってるけど、その時は猫だったし
そういえば、シルさんって木場が前に言ってたたけど、なんか指名手配的な感じらしいんだよな。でも、こうして一緒に居ると、全然そんな感じはしない、何でなんだろう?俺の事や、アーシアの事も助けてくれたし、悪い事をするような人じゃ絶対にないと思う。聞いてみたいけど、知り合って間もないのにそういうのを聞くのはどうかと思うしなぁ
「ん?どうしたの兵藤君。僕の顔に何かついてる?」
「い、いえ!そういう訳じゃないです」
つい無意識にシルさんの顔を見つめてたみたいだ。というかシルさん、俺の気のせいかもしれないけど、疲れてるように見えるんだが?
「そ、そうだ!シルさんって人間って聞きましたけどそうなんですか?」
咄嗟に思いついたことを聞いて、さっきの事を誤魔化す
「うん、そうだよ。ただ、普通の人間と違ってちょっと力を持ってるけどね」
魔王を超える力をちょっとって・・・シルさんって少し感ズレてないかな
「シルさんのあの猫になれるのも『神器』の力なんですか?」
「いや、あれは神器の力じゃないんだよ。まぁ、僕も一応神器は持ってるけどね。ちなみに君も見た事があるよ」
そう言ったシルさんの首元に、見覚えのある白いマフラーが現れた
「これが僕の神器だよ。君のみたいにカッコ良くはないけどね」
あのマフラーが『神器』だったのか。あっ、そうだ!
「来い、ブーステット・ギア!」
赤い光が俺の左腕を包み、赤い籠手が装備された。シルさんは、俺が神器を出したのに不思議そうな顔になった
「おい!聞こえてるかドラゴン!聞こえてるんなら返事しろ!」
『・・・なんだ?俺に用か?』
俺がそう呼びかけると、籠手の甲の部分にある宝玉から、あの時夢で聞いたのと同じドラゴンの声が聞こえてきた
「・・・驚いた。もう会話が出来る様になったんだね。ん~、昨日のティアの扱きの影響かな?」
シルさんは人差し指を頬に当ててそう言う。それはなんか素直に喜べないな、俺死にかけたし。というかその仕草、めっちゃ似合ってます
『・・・なぁ、相棒。本当にこいつは男なのか?』
頭の中にドライグの声が響いた。その気持ちは痛いほどわかるぞ
それから少しドライグも交えて話をした後、俺も一緒にシルさんの朝食の手伝いをした。といっても野菜の皮むきしかできなかったけどな。はぁ~、この野菜も魔法とかでちゃちゃっと剥けないだろうか?でも、俺の魔力って、かなり少ないんだよなぁ
その考えが、後に俺の必殺技を産む切っ掛けになるのは、もう少し先の話だ
はい、こんな感じにしてみました。次回はどうなるか分かりません( ・`д・´)
あと、これは次の章になると思うんですが、藍華パワーアップを考えてます。シルが藍華に渡したお守りの秘密の一つが明らかになります。といっても、あのスカウターには全くと言っていいほど関係ありませんが