ども、イッセーです。山に修行に来て早くも一週間が経ちました。あれから俺は毎日ティアマットさんに山で追いかけまわされてます。最初の三日くらいは朝から晩までも死ぬ気で追いかけまわされるだけだったけど、四日目からは格闘技や魔力の特訓も始めるようになった
俺には木場みたいに剣術とかの才能は無いみたいだ。一度、木場と木刀でやったけど、全く相手にならなかった、当たり前だけど。『視野を広げて、相手と周囲を見ろ』と言われたけど、中々そう簡単には出来ない。それと、シルさんが言うには俺には剣術よりも、格闘技の方が合ってるらしい。別に格闘技が得意って訳じゃない、だって俺、喧嘩とかした事ないし。その方が俺の神器に合ってるからだそうだ
格闘技の特訓の方はシルさんや、シルさんが他の人に教えに行ってる時は白音ちゃんが相手になってくれる。白音ちゃんはその可愛らしい見た目と違い、メチャメチャ強い。あんな小柄な体で俺の事を何度も吹っ飛ばした。単純な力だけじゃなくて、俺の力を利用したりしてだ。小さい女の子に吹っ飛ばされるのって、男の俺的には結構ショックだった。というか、特訓を見てた桐生と黒歌先輩、ティアマットさんとミッテルトに、俺がぶっ飛ばされて木にぶつかってる所を爆笑された。何が空飛ぶ兵藤だ!アーシアはぶっ飛ばされた俺のケガを治して、心配してくれた。アーシア、マジ天使。俺、悪魔だけど
シルさんの方は、手加減してくれたから白音ちゃんみたいにぶっ飛ばされるって事はなかったけど、一発でももらうとスゲェ痛かった。体の芯に響くって感じだ。俺の方は一発当てるどころか、掠りもしなかった。二人が言うには、『打撃は体の中心線を狙って、的確かつ抉り込むように打つ』らしい。と言っても、俺の場合は当てる事すら難しいんだけど・・・
んで、魔力の特訓の方だけど、こっちはもっと酷かった。朱乃さんや、部長と一緒にそれぞれシルさんの指導の元やったんだけど、俺は米粒程度の魔力の球体が出来るのがやっとだった。『魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めて、意思を集中させて、魔力の波動を感じればいい』という事らしい。朱乃さんとシルさんがそう説明してくれたけど、魔力の球体は米粒より大きくする事は出来なかった。というか朱乃さん、修行中にイチャイチャするのは・・・正直、朱乃さんに引っ付かれてるシルさんが羨ましかったです。
ま、まぁ、俺って悪魔の子供よりも魔力が少ないらしいしな・・・それは俺に宿ってるドライグにも同情された。畜生ぅ。でも、魔力を使ったある修行は結構順調なんだ!朱乃さんに俺が思いついた事を話したら、少しポカン、とした後「うふふ、イッセー君らしいですわね」と微笑まれた。部長とシルさんには言えない。特にシルさんに言ったら、なんだかとんでもない事になりそうだから言えない。でも、これをマスター出来れば俺は無敵になれるかもしれないんだ!
それと、俺に宿ってる赤龍帝・ドライグだが・・・ティアマットさんに無茶苦茶怒られてた。俺の左腕に出した籠手に向かって、怒鳴るわ、引っ張るわ、殴るわで・・・というか殴るのは止めてください。俺にも衝撃が来るんですけど・・・
ドライグの奴はティアマットさんに殴られた辺りから神器の深層深くに逃げやがった。あれから俺が呼びかけても反応がない。多分、ティアマットさんが近くにいる間は出てこないと思う。その後のティアマットさんとの修行は何時もより厳しかった
そして、初日は俺がぶっ倒れたせいでやらなかったけど、夜には夜で更に修行があった。というか俺達は悪魔は夜の住人だからな。こっちも主に筋トレで、岩を背負って山を登ったり、岩を背負って腕立てだったりとだ。まさかこんなドラグ・ソボールみたいな特訓をする事になるなんて思わなかったぜ・・・
そして修行が終わった別荘での夜、中々眠れなくて俺はベットの上で天井を見上げながら考え事をしていた
山に籠って一週間が過ぎた。改めて分かった事だけど・・・眷属の中で俺が一番弱かった。木場や夕麻ちゃん達は俺よりもずっと強い。魔力は米粒程度の塊を作るのがやっと。アーシアや桐生みたいに特別な力もない。修行して、強くなっていく他の皆を見てると・・・俺は弱くて、役に立ちそうにないって事を思い知らされた。俺はーーーっ!
俺はそう思うとたまらなくなり、ベットから起き上がり部屋から出た
そして、台所で水を一杯飲み干してるとーーー
「あれ?兵藤君?」
声のした方を見てみると、そこには白いジャージ姿のシルさんがいた。悪魔になってから灯りが無くても夜目が利くから、暗闇でもハッキリとシルさんの顔がよく見える
「あっ、こんばんわシルさん」
「どうしたの、こんな夜遅くに?もしかして眠れない?」
「え、えぇ、ちょっと」
「そっか、実は僕もなんだよね(まぁ、本当は違うんだけどね)」
「シルさん、どうかしたんですか?」
「いや、何でもないよ・・・そうだ、良かったら少し話さない?ジュースでも飲みながらさ」
「は、はい」
俺はシルさんに誘われるがままに、リビングの机に向かい合わせに座った。机の上には、シルさんがどこからか持ってきたキャンドルを置いて、蝋燭の淡い小さな炎がシルさんの銀髪を照らしていた。俺は、シルさんからもらったペットボトルのジュースを一口飲んだ
「それで兵藤君。君、悩んでるよね?」
「-っ!」
突然そんな事を言われ、危うくジュースを吹き出しそうになるのを何とか抑える。シルさんはそのまま続ける
「戦いへの不安、強くなっていく皆に対する焦り、弱い自分に自信が持てない、違う?」
シルさんは、俺が思っていた事を的確に突いてきた。ははっ、流石シルさんだな。俺の考えてる事はお見通しか。俺はそれに対して無言で頷き、ポツポツと今まで胸にしまっていた弱音を零した
「シルさん、俺ダメなんです。自分が弱すぎる事に気が付かされて・・・他の皆はドンドン強くなっていってるのに、自分は全然で・・・強くなってる気はするんですけど、それ以上に・・・差を感じちゃって」
少ししかしてないけど、木場との修行でも木場の凄さが分かった。やってみて『あぁ、俺じゃぁ木場みたいな剣士にはなれないな』って。夕麻ちゃん達も同じ『兵士』の俺なんかよりずっと強いし・・・
魔力の修行をすれば、朱乃さんや部長の凄さや、格闘技の修行をすれば白音ちゃんの凄さと同時に自分の才能の無さを痛感して・・・
アーシアも順調に『神器』の扱いも上手くなってるみたいだし。桐生は・・・ずっと遊んでたけど。でも、桐生も便利な力を持ってるし
「・・・俺には『赤龍帝の籠手・ブーステットギア』があるから大丈夫だって、強がってましたけど・・・正直、あの時桐生が言ってた通りです。ブーステット・ギアを持ってても、俺なんかじゃあいつに歯も立ちそうにありません・・・俺は、弱くて、才能もなくて・・・」
気が付けば俺はボロボロと、目から涙を零していた。悔しくて、悔しくて、情けないくらい俺は涙を溢れさせていた。鼻水だって出て、多分今の俺の顔は酷い事になってる。膝に置いた手は、手のひらが切れそうになるくらい力が入っていた
スッ
-っ!
俯いた俺の頭に、何かが触れる。顔を上げれば机から身を乗り出したシルさんが、俺の頭に手を置いていた。シルさんはそのまま俺の頭に置いた手で、俺の事を優しく撫でた。すぐ近くにあるシルさんの瞳には、涙と鼻水で汚れ、クシャクシャになった俺の顔が映っているのが見えた
「兵藤君、確かに君は他の皆と比べたら弱い」
「ーっ!?」
でもね、とシルさんは続ける
「それは当然の事なんだよ?だって君はつい最近まで普通の人間だったんだ。弱くて当たり前だよ。それに木場君達は君よりずっと前から悪魔をやってるんだ。強いのは当然だよ」
その言葉に、俺は再び俯きそうになるが、シルさんは俺の頬に手を添え、真っ直ぐに俺に目を向ける
「それと、さっき君は自分が弱くて才能が無いと言っていたけど、そんな事はない。君には、誰にも負けない強さ、才能があるよ」
「お、俺に・・・?」
「うん。それは、諦めない事、どこまでも真っ直ぐな所、頑張り屋さんな所、だよ。現に、君はついこの間まで普通の人間だったんだよ?それなのに君は今回の厳しい修行に耐え、ひたすら頑張って修行してたじゃないか。普通だったら龍王のティアに追いかけられるなんて修行、逃げ出さずに今まで続けるなんて出来るもんじゃないよ?どうして君は逃げ出したり放り出したりしなかったの?どうして頑張れたの?」
「そ、それは・・・」
『じゃぁ、またゲームでなリアス。少しは俺を楽しませてくれよな』
「・・・あいつに・・・ライザーに勝ちたいからです」
「それだけ?」
「ライザーに勝って・・・部長との婚約を解消させる為です。あんな奴に部長は渡しません。勝って、部長に笑ってもらいたいからです!その為に絶対にあいつに勝ちたい、いや、勝ちます!!」
深夜という事も忘れ、俺はシルさんに向かって大きな声で宣言する。さっきまでの沈んだ声とは大違いだ。そんな俺を見て、シルさんは満足そうに微笑んだ
「そうやって、誰かの為にどこまでも真っ直ぐに頑張れることは凄い事なんだよ?そんな努力を継続出来る事も君の強さであり才能なんだ」
シルさんはそう言って、再び俺の頭を撫でた。いつの間にか、俺の涙は止まっていた
「今回の修行で一番努力していたのは、他の誰でもない。君なんだよ。そして、努力は絶対に無駄にはならない。明日、君の努力の成果を証明しよう」
「俺の努力の成果、ですか?」
「うん、君自身が思ってる以上に、君は強くなってるんだよ?だから今は少しでも休んで。それと、もし眠れないなら・・・君が眠れるようになるまで枕元で子守歌でも歌ってあげようか?今ならおまけで一緒に頭も撫でてあげるよ」
「えぇっ!?い、いや、それは・・・」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、俺にそう言ってくるシルさんに、俺は思わず慌ててしまった。そんな俺を見て、シルさんは笑い声をあげた
「あははっ、勿論冗談だよ」
「じょ、冗談ですかぁ」
焦ったぁ、というかシルさんも冗談とか言うんだな。でも、少し残念・・・って俺は何を考えてるんだ!
◇◇◇◇◇◇
兵藤君が寝にリビングから出た。その顔は、先程までのどこか追い詰められた表情から随分変わったと思う。明日には、きっといつもの兵藤君になってるだろう。それに自信もつくはずだ
それと。兵藤君の異変に気が付いたのは実は僕じゃない、藍華だ。正直、藍華に言われるまで僕も気が付かなかった。曰く、『無理してるあいつを見てると、なんか調子狂うのよ。あいつはいつもエロい事考えてる方が似合ってるわ』だってさ。藍華によく見られてる兵藤君が、少し羨ましいと思った
「さて・・・もう出て来てもいいですよ?」
「やっぱり気が付いていたのね」
そう言って物陰から出てきたのは、手に分厚い本を持ち眼鏡をかけたリアスさんだった。そういえば少し前に、リアスさんは眼鏡をかけると集中出来るって言っていたな
「もしかして盗み聞きですか?」
「そ、そういう訳じゃ・・・ってその顔はわかってて聞いてるわね?」
慌てた様子から一転して、ジト目で僕の事を見てくるリアスさん。あらら、ばれましたか。さっきの兵藤君といい、今日はよくからかうな、僕。最近、藍華にからかわれてるからそれが移ったのかな?
「まぁ、いいわ。それよりも・・・ありがとう」
いきなりリアスさんからお礼を言われました。リアスさんってよく端的に述べるから分からないよね
「それは、兵藤君の事かな?」
「えぇ、それもあるけど、今回の修行の事に関してもよ。こんな事に付き合ってもらってありがとう」
そう言ってリアスさんは頭を下げた。魔王との話し合いの時も思ったけど、彼女も最初に会った時とは随分変わったな
「それにイッセーの事、本来ならあの子の『王』である私の役割なのに・・・あの子があんな風に思いつめていたなんて気が付かなかったわ。これじゃぁ『王』失格ね」
「そんな事はないよ。それに多分、君には言いずらかっただろうしね」
「それは・・・私が頼りないからかしら?」
「いや、そうじゃないですよ・・・リアスさん、男の子っていうのはね、女の子にカッコ悪い所を見せたくない者なんですよ」
「そうなの?」
「そうなんですよ」
「それはあなたもなのかしら?」
「まぁ、そうかもしれませんね」
「男の娘なのに?」
「そう、ってそれは違います!」
確かに性別男の娘だけど、僕はそれを認めてません!僕は男です!リアスさんはふふっ、と笑った後、さっきまで兵藤君が座っていた席に座り、持っていた本を机に置いた
「ねぇ、正直今回のゲーム、あなたから見てどう思うかしら?」
腕を組んだリアスさんは、そう問いかけてきた
「それは君たちの勝率かな?」
「えぇ、遠慮なく正直に聞かせてちょうだい」
リアスさんは僕に向かって真っすぐに見てくる。だから僕も彼女の言う様に、正直に答える
「わかった。君たちの勝率は・・・良くて精々三、四割って所かな」
「・・・そう、そうよね」
「眷属の皆も、君も皆レベルは高い、この短期間でもみんなかなり力を上げてきた。単純な戦闘力なら向こうにも負けてないと思う、実戦経験もあるしね。兵藤君は、悪魔になって日が浅いけど、彼には可能性がある。ゲームで化ける事が出来れば、大きく戦況を覆す事も可能になると思う。けど、君達はゲームは今回が初めて、向こうは公式のゲームの経験もあるからね」
ライザー・フェニックスの眷属はレーティングゲームというのをよく知っている。それに戦闘力はこちらが上でも、彼女達もそれなりに強い。決して油断は出来ない
「それと・・・」
僕は机に置かれた本のページを捲っていき、あるページを開いて指を指す。そこには雄々しく炎の翼を広げている火の鳥が描かれていた
「相手の王、ライザー・フェニックスはその名の通り、フェニックス。不死鳥フェニックスの涙は、あらゆるものの傷を治すとされる。そして・・・不死身。攻撃されても、何度でも炎の中から再生して復活する」
「そう、不死身。ほとんど無敵ね。レーティングゲームが悪魔の中で流行してきてから、一番台頭してきたのがフェニックス家だった。今まで悪魔同士で戦うなんて、したことはほとんどなかったわ。『王』も参加するレーティングゲームで、フェニックスの強さは浮き彫りになったわ」
まぁ、確かに不死身っていうのは結構厄介だね。どれだけ攻撃しても傷は再生するし、反対に相手は攻撃されれば傷を負う。何度でも回復出来る奴を相手にするのは結構きつい。それはゲームじゃなくてもだ
「まぁ、倒せない事もないのだけどね」
「魔王や神クラスの圧倒的な力で倒すか、精神的に限界まで倒し続けるか、だね」
正直どっちも今のグレモリー眷属には厳しい。まず、魔王や神クラスの力は不可能だろう。彼女達にそこまでの力は無い。そして、何度も倒し続ける方だけど、それはライザー・フェニックスの精神がどれだけ持つかと、グレモリー眷属達のスタミナ、魔力、精神力がどこまで持つか、だ。
ライザー・フェニックス以外の全員を倒して、全員で攻撃してかかっても、可能かどうかは・・・正直微妙な所だ。でも、勝負は何が起こるか分からない。リアスさん達が勝つ確率だってゼロじゃない、正直、修行前だったらもっと低かったんだ、これは凄い事だ。彼女達の頑張りの成果と言える。兵藤君については、赤龍帝の籠手のもう一つの力に目覚めれば、かなり大きな力になる。それに、諦めない方に勝利の女神は微笑むって言うしね、悪魔だけど
「婚約相手がライザーと聞かされた時、嫌な予感がしたの。今思えば、お父様達は私が断る事を見越して、否応無しに結婚させるようにライザーを結婚相手に当てたんだわ。こうして身内同士のゲームになっても、ライザーが、不死鳥と言われるフェニックスが相手なら、勝てるはずがないと踏んでいたんだわ。断っても、断らずとも、どちらにしても結婚させる。これじゃぁ、まるでスウィンドルね」
嘆息しながらリアスさんはそう言うーーースウィンドル、チェスで相手を嵌め手にかけるという意味を持つ。
悪魔は貴族社会で、今回の様な高い地位の者の政略結婚はざらだ。人間界でもよくあった事だ、今でも一部では残っていると聞く。当人同士の意思など関係なしに決められる結婚。本来なら、親という者は、子の幸せを何よりも願うはずなのに、それを無視してまでする結婚に意味はあるんだろうか?今はいないけど少なくとも、僕の、もうほとんど覚えていないけど、前世の両親は、僕の事を・・・
「でも、私は負ける気なんてないわ。イッセーや皆だって頑張ってくれているんですもの、私が諦める訳にはいかないわ。勝って、この縁談は終わらせる。そうすれば、お父様達も何も言えないはずよ」
そう息巻くリアスさんの瞳には、強い光が宿っていた
「そっか、ならあと二日、頑張らないとね」
「えぇ」
10日の内、最終日は疲れを残さない為に特訓は無い。明日で8日目だから明後日で合宿は最後なのだ。明日は修行に入ってから使用を禁止していた兵藤君の神器の解禁だ。神器に耐えられるだけの器はこの一週間で大分出来たからね
と、そんな事を考えていると、目の前に座ったリアスさんが表情を引き締めて何やら真剣な顔になった
「・・・ねぇ、あなたは一体何者なの?」
「何者と聞かれても、ね」
ちょっと返答に困るんだけどなぁ。ここでいきなりのそんな直球に思わず苦笑いになってしまった。リアスさんはそのままつらつらと述べていく
「『オッドアイの銀猫』。10年前、冥界の外れにある、とある上級悪魔の屋敷に侵入し、その上級悪魔と眷属に重軽傷を負わせて屋敷も半壊させ、その重傷を負った上級悪魔の報告によって「危険生物認定」とされた。特徴は、白銀の一部が少し跳ねた髪に、赤と青の左右がそれぞれ色の違った瞳の人間の少女。人間でありながら、討伐しようとした悪魔、堕天使、エクソシスト、天使をたった一人で下した。討伐しようとした悪魔の中には、時に上級クラスの悪魔もいたり、討伐チームを組んで挑んだ者もいたけど、その人間には傷一つつける事すら出来なかったとか。それからも幾度となく討伐の為に動いたらしいけど結果は変わらず」
「あぁ、確かに結構の数が来た時もあったね」
中には僕の事を変な目で見てくるのや、奴隷とか言ってくるのもいたから・・・うぅっ、思い出したら鳥肌が。ちなみにそういう奴は容赦なく、丸焦げ、氷漬け、感電させたけどね★
反対に、ちゃんとした使命感を持ってた感じの人達は気絶させるだけで済ませたよ
「さらに、討伐不可能と言われた、この間私達の前に現れたようなSS級のはぐれ悪魔を何体も討伐したらしいけど、それも本当なの?」
「そうだよ」
クリコットの様に、狂気じみた戦闘狂も多かった。中には口から酸や毒を吐いて来るのもいたなぁ~
「やっぱり本当だったのね・・・SS級のはぐれ悪魔といえば、上級悪魔クラスやそれ以上の実力者もいるっていうのに。それもあって、彼女、つまりあなたは冥界、天界、さらには他の勢力にも名を轟かせた。人間でありながら、魔王や神と並ぶとされる実力を持つとされる『オッドアイの銀猫』という名を」
そうなんだよねぇ~、なんか有名になっちゃったんだよな~。そういえば、いつの間にかそんな名前がついてたけど、一体誰がつけたんだろう?結構恥ずかしいんだよね、通り名とかって。ただでさえ目とか厨二っぽいのに。あと、未だに僕って女だと思われてるんだよね・・・
「一部の噂では『オッドアイの銀猫』は強大な力に溺れた危険な者、残虐な行為や殺しが好き、と言われていたりするわね」
あぁ、それってあのヒキガエルが流したやつらしいよね。全くあのヒキガエルは・・・あいつの事思い出してたらちょっとイラッとしてきた
「でも、この一週間あなたと一緒にいて、そんな事は感じなかったわ。あなたは親身になって私達の指導をしてくれていたし、さっきイッセーの悩みを聞いてる時や、黒歌達と一緒にいるあなたはさっき言った様な人には思えないわ。聞けば、イッセーやアーシア、この間の私達だけでなくて、黒歌達や朱乃の事も昔救ったとか。噂の中にも、あなたに命を救ってもらったという者が大勢いるというものがあるらしいし・・・本当のあなたは一体どちらなの?世間や噂に聞くあなた、それとも黒歌達と一緒にいるあなた、どちらが本当のあなたなの?」
・・・。
「・・・さぁ、どちらでしょう?」
僕は少しおどけた様に言ってみた。今日の僕は普段しない事をよくやるなぁ~
「・・・バカにしてるの?」
すると案の定、リアスさんは怒りからか、額に青筋を立てて少し体から紅い魔力が出ていた。はい、僕のせいですね
「だって僕がどう言った所で何もここでそれを証明するものはないですもん。それともあなたは僕が言った事を全て信じられますか?」
「そ、それは・・・」
リアスさんは魔力を収めて言い淀む。僕はこの一週間、彼女が僕に対して少し警戒の眼差しを向けていたのを感じていた。まぁ、『オッドアイの銀猫』という存在の事を知っていたら当然だよね。この前会った魔王の方も、口ではあぁ、言ってたけど最後まで僕から視線を外さなかったし
アーシアとかなら一切疑わずに言った事を信じちゃいそうだけどねぇ。あの子、詐欺とかだったらすぐに騙されちゃうタイプだからなぁ。それに一般常識にも疎い所があるから、今度しっかりと教えておかないと。黒歌達にその辺を任せると、とんでもない事を教えそうだからね。それと、証拠というのも黒歌達がそんな事はないって全力で否定するだろうけどね。あの子等が一番長く、僕と一緒にいるしね
「まぁ、一つ言える事は僕は藍華や黒歌達の家族のシル、ただそれだけです」
それは僕の命に誓って断言するよ、と心の中で付け加える
「・・・それって答えを言ってるようなものじゃないのかしら?」
「さぁ?どうでしょう」
とまぁ、ここら辺でこの話はお終いにして、っと
「さて、そろそろ寝ないと明日に響きますよ?僕もそろそろ寝る事にします」
それだけ言って僕は席を立った。取り敢えず、今日はどこか空いた部屋にでも、なくても屋根の上でもいいや。今日のティアの寝相はかなり酷いからなぁ
「えぇ、そうね・・・ねぇ、最後に一つ聞いていいかしら?」
扉に手をかけて出ようとした僕に声がかかり、動きを止めた
「僕に答えられる事なら」
振り向いて半身だけ体を向けて、そう答える。リアスさんは少し迷ってから口を開いた
「 」
リアスさんの言葉に、少し考えてから僕も口を開いた
「そうですね。僕は・・・」
次の日の朝、オカルト研究部の皆は別荘の前の広場で行われた模擬戦で、兵藤君が修行で使っていた山を一つ吹き飛ばすのを見た。何を言って(ry
行われた模擬戦で兵藤君は、強くなった木場君にガードが遅れて何発か攻撃を喰らうも、ほとんどダメージを受けておらず、兵藤君が八回の倍加で打ち出した魔力弾は、ブーステット・ギアにより岩位の大きさになり、避けた木場君の横をそのまま通り過ぎて、山一つを消し飛ばした。あの魔力弾は、上級悪魔に迫る程の威力だった
兵藤君は、自分がやった事に酷く驚くと同時に、自分の力を自覚し、昨日の悩みも吹っ飛んだご様子だった。藍華も、そんな兵藤君を見てやれやれ、といった表情になっていた。僕の視線に気が付くと、すぐに顔を反らされたけどね
そして残りの修行期間も終わり、僕達はそれぞれ解散した・・・んですが
「という訳で今日は私ここに泊まるから」
「いや、どういう訳なのさ・・・」
何故か藍華が家に泊まる事になりました。まぁ、ちゃんと藍華のお母さんには許可を取ってるみたいだけど。ちなみに今夕麻とカラワーナは用事で出ている
「さぁ、シル。まずはこれに着替えて」
そう言って、藍華がカバンの中から取り出したのは、一着の服だった。でもそれは・・・
「ねぇ藍華、これってどう見ても女の子物だよね?スカートついてるし」
そう、藍華が持っているのは明らかに女の子物の服だ。藍華の私服かな?
「だってあんた、いつもパーカーかシャツに、ジーパンじゃない。偶には違った物も着てみなさいよ」
「だからって何で女の子物なのさ!僕は男なんだってば!!」
「だって似合いそうだから」
『うんうん!』
アーシア達も一様に頷いていた。というか今、僕皆に囲まれた状態で逃げ場がありません。皆の目が獲物を狙った物になってるのは僕の気のせいだと思いたい。思う。というかそうであってなくちゃ困る!!
「さぁ、シル。観念して着せ替え人形になりなさい!」
ビシッ!と服を突き出してくる藍華。僕の答えは決まってる!
「だが、断る!」
僕は皆の隙間から駆け出した
『逃げた!』
「者どもー!であえであえ~!!」
『了解!』
「何でこうなるの!?」
その日は一日中、妙に息があった皆と家の中で追いかけっこになった。でも、最後には結局捕まってしまいました。グスン、もうお婿に行けません(´Д⊂
「じゃぁ、私がお嫁にもらってあげるにゃ」
「・・・」パシャパシャ!
「心を読まないで!?あとミッテルト、無言で写真撮らないで!!血走った目が怖いです!!」
「ふむ、次はメイド服とか・・・」
「いや、次はちゃいなどれすが良いと思うぞ」
「し、シスター服なんてどうでしょう?」
「わかってませんね。次は猫耳装備の・・・」
「私の知り合いにコスプレショップをやってる人がいるから今度色々持ってくるわ」
「何の話し合いしてるのさ!?あと、まだ着せる気なの!?」
そして騒がしい一日が過ぎ翌日の真夜中、リアスさんとライザー・フェニックスのゲームの日になった