「ふぅ~・・・さて、これからどうしようか」
僕の周りには倒れた複数の恐らく悪魔と壊れた建物の瓦礫で一杯だった。どうしてこうなったのかは少し時間を遡る。
~少し前~
僕はいつもの様に黒歌達に藍華が学校に行くのを見送った後、黒歌達の朝ごはんを作りに転移魔法を使ってウッドハウスに転移した。しかしそこで異変に気がついた。机や椅子などは倒されており、所々まるで争ったかのように散らかっていた。僕はすぐに黒歌達を探したが、家には誰もいなかった。外に出た僕は黒歌達の気配を探った。すると、ここから少し離れた場所に黒歌達の気配を感じ、急いでそこに飛んでいった。
「ここか!」
僕がついたのはそこそこ大きな屋敷だった。この中から黒歌達の気配を感じる
『えぇい!大人しくしていろ!』
『うっ!』
『白音!?よくも白音をっ!』
僕は屋敷から聞こえたそんな声に、屋敷の壁を魔法で破壊し、中に入った。そこには頬に殴られた様な跡がある白音を抱きしめた黒歌と、二人を取り囲むようにして複数の男たちがいた。
「な、なんだ貴様は!?」
その中でまるでヒキガエルみたいな顔の奴が僕に向かって叫ぶが、僕はそいつの言葉を無視して白音と黒歌に駆け寄る。
「白音、黒歌!大丈夫!?」
「し、シル!白音が殴られて怪我を!」
白音は気絶していて殴られたときに切ったのか、口からは少し血が出ていた。
「!?いつの間に!」
「お前も大人しくしていろ!」
「煩いっ!」
『ぐあっ!?』
僕は片腕だけ火竜の翼撃を発動して、周りの奴等を薙ぎ払った。
「待ってて、すぐに治療するから」
僕が念じると白音の口元が光、傷はすぐに塞がって血の跡も消えた。
「これで良し。それで黒歌、いったい何があったんだい?」
「いつもみたいに家でシルを待ってたらいきなりあいつらがやって来たんだにゃ!そして無理やりここに連れてこられて私の従属になれ、って言われてイヤだ!って言ったら殴られそうになった私を庇って殴らせまいってした白音が殴られたんだにゃ!」
「ぐ、ぐぅ、よ、よくもやってくれたなー!!」
さっきふっ飛ばした悪魔の一人が起き上がってきた。その顔はまるでヒキガエルのようだった
「シル、あいつにゃ!白音を殴ったのは!」
「そうか・・・わかった。黒歌、ちょっと家で待っててね。すぐに終わらせるから」
黒歌が頷き、僕は転移魔法を発動させて黒歌達をウッドハウスへ転移させた。
「貴様!よくも邪魔をしてくれたな!見た所人間の様だな。人間風情がこの私をっ!貴様は絶対に許さん!」
そう言ってヒキガエルみたいな顔のやつが僕に向かって吠える。許さないだって?
「それはこっちのセリフだよ」
「っ!?」
自分でもびっくりするくらい冷たい声が僕の口から出た。そしてヒキガエルは僕から発せられた殺気で体を固まらせた。
「(な、何なんだこいつは!?本当に人間か・・・!)」
「さぁて、黒歌達してくれたお返しをしないとね」
僕は指をながらゆっくりとヒキガエルに近づく。
「わ、私は上級悪魔だぞ!私をどうにかしようものなら、魔王様が黙っていないんだぞ!!」
ヒキガエルみたいな顔の悪魔が狼狽した声で僕に向かって叫ぶ。上級悪魔?魔王?
「上等だ!お前らこそ覚悟は出来てるんだろうな?僕の家族、黒歌や白音に手を出したことをっ!!僕は、僕の家族に手を出す奴は上級悪魔だろうが魔王だろうが関係ない!全員ぶっ飛ばす!」
「こ、このっ・・・人間風情がっー!!」
ヒキガエルが僕に向かって魔力弾を放ってくるが、それを躱して拳に炎を纏わせる
「紅蓮火竜拳!!」
「べぶらっ!?!?!?!?」
「はあああぁぁぁぁぁぁ!!」
僕はヒキガエルの顔に連続で力一杯拳を放つと、拳はヒキガエルの顔や体にめり込み、ヒキガエルは壁を突き破ってそのまま木々何本もを薙ぎ倒しながら外に吹っ飛んでいった。
そして冒頭に戻ります。
「取り敢えず黒歌達の所に戻ろう」
僕は再び転移魔法を発動させてウッドハウスに転移した。
ウッドハウスに着くと、黒歌と目が覚めた白音が駆け寄ってきた。
「ゴメンね二人とも、怖い思いをさせて。僕がちゃんと悪魔達も入って来られないように結界を張れていれば、こんな事にはならなかったのに・・・」
「うんうん、そんな事ないにゃ!シルは全然悪くないにゃ!」
「そうです!シルさんは身寄りのない私達にとっても良くしてくれました!悪いのは全部あいつ等です!」
二人は泣きながらもしっかりと僕に言葉を述べた
「ありがとう二人とも・・・さて、これからどうしようか?」
「ねぇシル、あのヒキガエルはどうしたんだにゃ?」
「うん?あのヒキガエルなら僕が本気でぶっ飛ばしといたよ。僕の大切な家族に手を出したんだし。でも、あいつしぶとそうだしなぁ~」
それにあいつ(ヒキガエル)なんか偉い奴みたいだったし(魔王様がどうのこうの言ってたし)、下手したら悪魔全員を敵に回しちゃったのかな?取り敢えずここではもう暮らせないなぁ~
「か、家族・・・?」
「いいんですか?」
「うん?だって僕達ってもう家族でしょ?ってあれ?どうして二人とも泣いてるの?あ、もしかして嫌だったかな?」
「「違うにゃ!!・違います!!」」
「おぉう」
近くでいきなり大声出されたから耳がキーンってするね
「これは悲しくって泣いてるんじゃなくてうれし泣きにゃ。ね?白音」
「はい、とても嬉しいです」
「そっか・・・」
僕は2人を優しく抱きしめると、二人も僕に抱き返してきた。
◇◇◇◇◇◇
そして、人間界の真夜中、僕は転移魔法を使い、藍華の部屋に来ていた。お別れを言う為に。眠っている藍華の頬には涙の跡があった。
「すぅ・・・すぅ・・・」
「(ゴメンね藍華)」
僕は今日でここを離れないといけない。僕がこのままここにいると藍華達に迷惑がかかってしまう。だから今日でお別れだ。
僕は藍華の枕元に一つのビー玉を置く。ビー玉には赤、青、シルバーの三色の綺麗な模様が入っていた。
「藍華、これは僕からのプレゼントだ。このお守りは僕の代わりに藍華の事を悪い者から守ってくれるよ。大事にしてね。バイバイ、藍華。元気でね」
最後に別れの挨拶を済ませた僕は、そっと藍華の部屋から出て、扉を閉めた。
玄関から外に出ると、黒歌と白音がいた。僕が別れの挨拶を言いに行く間、ここで待ってもらっていたのだ
「お待たせ、二人とも」
「お別れは済んだんですか?」
「うん」
「シル、本当にこれでいいのかにゃ?」
「いいんだ、これで。それに、渡すものは渡してきたしね」
「それってこの綺麗なビー玉の事かしら?」
「「「っ!?」」」
その声に振り返ると、玄関には藍華のお母さんがビー玉を持って立っていた
「ど、どうして・・・」
「私ね、昔から狸寝入りが得意なのよ☆シルちゃんが私のベットの傍にこれを置いて行った時からバッチリ起きてたのよ」
「マジですか・・・」
「マジです♪」
ウィンクと共にサムズアップで僕に答える藍華のお母さん。見た目のせいか違和感が全くない。寧ろ似合っている。いや、今はそんな事じゃなくって
「いつから僕の事気がついていたんですか?」
「う~ん。なんとなく、かしら?」
「なんとなくですか・・・」
「初めて会った時から普通の猫ちゃんとは違うな~って思ってたけど、人型になれるなんて知ったのは今日が初めてよ?しかもこんなに可愛らしい感じだったなんて、もっと早く知りたかったわ~」
すごいのかすごくないのかよくわからないな藍華のお母さんって
「男が可愛いって言われても微妙なんですが・・・あと、今まで黙っててごめんなさい」
「いいのよ、それくらい。それよりも・・・行っちゃうのね」
「はい、僕がここにいると藍華や貴方に危険が及んでしまうので。そのビー玉はお守りです。二人の事を守ってくれますよ。だからちゃんと持っていてくださいね・・・では、今までお世話になりました」
最後に頭を下げて去ろうとした時、背後の僕に向かって藍華のお母さんがこう言った
「いつでも帰ってらっしゃい、ここは貴方の家なんだから、私も藍華も待ってるわ。藍華には私が上手く言っておくわ。勿論、そこにいる二人も一緒に帰っていらっしゃい」
「わ、私達もかにゃ?」
「えぇ勿論よ。だから例え何年かかってもいいから、ここに帰ってきてね」
「・・・・・はい」
僕の声は寒くはないのに少し、震えていた。
そして、僕達は藍華のお母さんに見送られて桐生家を去った。
その数日後、シルの言っていたヒキガエルの様な顔の上級悪魔によってシルは危険生物認定にされ、はぐれ悪魔と同じように見つけた場合、討伐されるようになった。それからシルの事を見つけた悪魔達や堕天使、エクソシスト、時には天使が何度も彼の事を討伐しようとしたが、その全員が彼一人に返り討ちにあった。しかし、彼の事を討伐しようとした中には、無傷で済んだ者もいた事と、SS級の凶悪で討伐困難と言われていたはぐれ悪魔も何体も葬っていることから彼の事を恐れる者と、英雄視する者で分れている。彼の事を皆は『オッドアイの銀猫』と呼び、その名と実力は冥界や天界、さらには神々達までに広く知れ渡る事になった
そして、シルが桐生家を去って約10年程が経った頃、
「あ、あの!兵藤一誠君、ですよね?」
「は、はい!そうですけど、俺に何か?」
「好きです!私と付き合って下さい!」
「えぇ!?お、俺でよかったら喜んで!!」
物語が今、始まろうとしていた。
こんな感じにして見たんですけど、どうでしょうか?