例えばこんな、デュエルの話を。   作:天枷美春

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効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 300/守 350
フィールド上に表側表示で存在するこのカードのコントロールが相手に移った時、
相手は2000ポイントダメージを受ける。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
(遊戯王カードwikiより引用)

5000枚超のカードが参戦!!
(仮)が取れたとき、貴方は本当の山本さんと出会う!!

山本さん(仮)は、アメーバ(上記カード)を!!
検索検索ゥ!!


尚、このss内には運命のカードとアメーバは登場しません。


運命のカードと出会う!~山本さん(仮)~

「おいおい、Meの相手はMs.パーフェクト(七瀬和)じゃないのか。転入の歓迎にしては、随分と雑な扱いだな……丸藤亮、カイザー亮ですら無いとは」

 

 

七瀬和vsレジー・マッケンジーで行われた転入生歓迎デュエルは、七瀬和の勝利と言う結果で終わりを告げていた。

続けてデイビット・ラブとの試合になるのかと思われたのだが、出てきた相手は七瀬和ではないのであった。

 

 

「あいつ……山本さん(仮)をDisってやがる!」

 

「何て事を。いや、ヤツは転校生だ…………山本さん(仮)の実力を知らないから言えるんだろうさ」

 

「ホウ……周りのヤジからすると、Youはそれなりの決闘者(デュエリスト)と言う事か」

 

「それなり……か。いや、解らないな。私のデッキには結構なムラがあるからね――――ただ、交換留学生君の相手くらいなら、出来ると思うがね?」

 

 

ヤジに反応したデイビットが山本さん(仮)を挑発するが、軽くいなされ、そして逆に挑発を返される。

両者の間に、決闘者らしく熱い火花が飛び散るのであった。

 

 

「こっちのデュエルは熱くなりそうナノーネ。両者、準備は良いノーネ?」

 

「Yes」

「はい」

 

「では、ジャッジは私、クロノスが務めるノーネ! オベリスクブルーの山本さん(仮)vs交換留学生デイビット・ラブのデュエルを始めるノーネ!!」

 

「ふっ…………先攻か、ドロー!」

山本さん(仮) LP4000、手札6枚

 

 

ゲームは山本さん(仮)の先攻で始まった。

その瞬間、会場の空気が一変した。

 

 

「や、山本さん(仮)が先攻をとった!」

 

「終わったな、あの交換留学生」

 

「(…………何だ? あのMr.山本さん(仮)に、先攻を取らせることが何か問題でもあると言うのか?)」

 

「私の勝ちだ、とはまだ言い切れないな。私は《豊穣のアルテミス》を攻撃表示で召喚」

 

「…………Youのデッキは天使族か。レジーのデッキで十分に慣れているが」

 

「――――――そして、手札を全て魔法・罠ゾーンへセット」

山本さん(仮) 手札なし

 

「なっ!?」

 

「で、でた! 山本さん(仮)のハンドレススタート!」

 

「これは決まったか……いや、解らない。解らないが、其れこそが山本さん(仮)の思うが儘」

 

「まさか……! Youのデッキは、パーミッションなのか!?」

 

「ふむ、良く解ったな。そう、私のデッキはパーミッション・コントロール。伏せられたカードは相手を欺くブラフかも知れないし、真であり罠かも知れない。ただし、言える事が一つある。君が選択肢を誤れば、仕掛けられた爆弾は爆発する…………さあ、君はこの地雷原を乗り越える勇気を、実力を持っているかな?」

 

 

そう言い、山本さん(仮)はターンエンドを宣言する。

Turn2になりデイビットの手番となるのだが、そのデイビットは言い表しようのないプレッシャーにその身を縛られる事になっていた。

 

 

「Meのターン、ドロー!」

デイビット・ラブ LP4000、手札6枚

 

「(これは、Meが引いたカードは、《大嵐》! おいおい……これじゃMeの勝ちじゃ無いか!)」

 

「――――――――――だ」

 

「何…………?」

 

「ふむ、聞こえなかったか。もう一度宣言しよう、《強烈な叩き落とし》を発動だ、その手札を捨てて貰おうか」

 

「何……だと…………!」

デイビット・ラブ 手札5枚

 

「捨てられたカードは……おお、怖い怖い、《大嵐》じゃないか。矢張り良いカードをドローしていたようだな。顔に出ていたぞ?」

 

「Meの表情からの推察だと……!?」

 

「おっと、話しているのも良いが、私は《豊穣のアルテミス》の効果でドローさせてもらうよ。君との長話で、効果を忘れる所だった」

山本さん(仮) 手札1枚

 

「くっ…………(まだだ、まだMeのターンは始まったばかりだ。次は召喚を……いや魔法を…………?)」

 

 

最初の一歩から躓かされたデイビットは、次の一手に戸惑ってしまう。

デュエルは始まったばかり、手札も潤沢に存在していると言うのにである。

これは、デイビットのドローが勝利を確信させる《大嵐》であった事にも起因するであろう。

勝利と言う考えに全て持っていかれ、それが一瞬にして突き崩される事で心理的に大きく揺らぐ事となったのだ。

 

 

「交換留学生の奴、動揺してやがる。無理もねえ、山本さん(仮)の戦術にあそこまで見事に引っかかったんだからよ!」

 

「そうだ、アレが山本さん(仮)だ」

 

「カ、カイザー亮!? 見に来ていたのか!!?」

 

「ああ、優秀な新入生のデュエルを見るついでにな…………ふ、変わらないな、山本さん(仮)の戦法は。初めの《強烈な叩き落とし》と言うよりは、その後に続いた言葉が効いて居るようだな。ピンポイントで良いカードを狙われたとでも思っているのだろう。正に、選択権利支配(パーミッション・コントロール)と言う訳だ」

 

「じゃ、じゃあ、山本さん(仮)のあの言葉はブラフ……?」

 

「………………さあな。若しかしたらブラフかも知れんし、そうでは無いかも知れない。重要なのは相手にそう思わせる事だ。言うだろう、沈黙は金、雄弁は銀と。銀は金より良いと書く。今の時代は金の方が価値があるかも知れんが、それでも金よりも良い物を取り行く。そういう男だ、山本さん(仮)と言うデュエリストはな」

 

 

未だに何を行おうとしているか迷うデイビットを見ながら亮は言う。

 

 

「悩んでいるな、俺も苦労させられた」

 

「カイザーが……! 山本さん(仮)との勝敗はどうだったのです?」

 

「ふ………………ライフ4000ルールに助けられたよ。万能なカウンターは、支払うべきコストも重いからな。だが――――――」

 

「決めたぞ! Meはパンドラを攻撃表示で召喚する!」

 

「《キックバック》を発動させてもらう。帰れ」

山本さん(仮) 手札2枚

 

「ぐぅっ……!」

 

「だが、どうやら十分な程にデッキが答えたようだ。ピンポイントでデイビットを罠へと絡め取っている。このままでは流れは変わらんな」

 

「《パーツ補充》を発動。何も無いか、ならばMeは手札を1枚捨て、デッキからレベル4機械族を手札に加える。Meは《クオリティー》を手札に加える」

デイビット・ラブ 手札4枚

 

「《強烈な叩き落とし》だ。捨てて貰おうか」

山本さん(仮) 手札3枚

 

「……………………カードを2枚セット、ターンエンドだ」

デイビット・ラブ 手札1枚

 

 

結局、何もする事が出来ないまま、手番を終了させる。

誰もが山本さん(仮)の勝利を確信する中、デュエルを行って居る当人達はそう思っては居ない様である。

 

 

「私のターン……ドローの後、3枚のカードをセットさせて貰おうか」

山本さん(仮) 手札1枚

 

「良く回るパーミッションだ」

 

「ふっ、今日はカードの巡りが良い……バトルフェイズ! 《豊穣のアルテミス》でダイレクトアタック!」

 

「させん! Meは罠カード《リビングデッドの呼び声》を発動する、蘇生するカードは《クオリティー》だ!」

 

「攻撃を続行する!」

 

「ぐっ…………フィールド上の《クオリティ》が破壊されたとき、墓地にある《クオンティティ》を可能な限り特殊召喚する。特殊召喚できる枚数は1枚だ」

デイビット・ラブ LP3600

 

「ほう。《パーツ補充》で捨てたカードとのコンボか。見事に後に繋いだな、矢張り後先考えずに捨てさせるのは考え物だな。ターンエンドだ」

 

「Meのターン、ドロー…………(引いたカードは《The big SATURN》!)」

デイビット・ラブ 手札2枚

 

「(ふむ。良いカードを引いたようだな、矢張りあの時《クオリティ》にカードを発動したのは間違いだったか)」

 

 

山本さん(仮)は、ブラフでも何でもなく相手の表情観察に長けている。

寧ろ、パーミッションの使い手であるならば必然的に表情から相手の引いたカードを想像し、そして口八丁手八丁で場をコントロールする力が身に着く。

そんな彼が、今に引かれたカードはデイビットにとっての起死回生足りえるカードである事を確信し、されど妨害する手段が無い事に自身の読みの浅さを嘆くのであった。

 

 

「カードオープン! 《アイアンコール》! 墓地の《クオリティ》を特殊召喚させてもらうぞ、そして《クオンティティ》《クオリティー》の2体を生贄に捧げ――――現れよ《The big SATURN》!!」

 

「――――――でかい!」

 

 

巨躯を誇る機械の星がフィールドに姿を現す。

正に、切り札足りえるその姿であった。

 

 

「何とか通ったか。Meの《The big SATURN》は、相手によって破壊されると、互いに攻撃力分のダメージを受ける事となる。そして、もう一つ、手札を捨て、ライフを1000払う事で…………《The big SATURN》! SATURN FINALモード!!」

デイビット・ラブ LP2600

 

「ふむ………………攻撃力が、更に1000上昇か」

 

「《The big SATURN》! そのちっぽけな天使を踏み潰してしまえ! end of COSMOS!」

 

「良かった、安心した。まだ私の話術と、戦術の効果は続いていたようだ」

 

「何っ!」

 

 

雄々しき巨躯の一撃がアルテミスへと向かう。

下級モンスターには酷な一撃だ、耐えきるには戦闘破壊耐性以外には他あるまい。

されどアルテミスには攻撃は届いていなかった。

 

 

「此処まで放置すれば、攻撃が通ると思ったか? 罠カード発動、《攻撃の無力化》……その攻撃を無効にし、そしてバトルフェイズを終了させて貰う」

 

「くっ……Meのターンを終了させてもらう!!」

 

 

SATURNの一撃は、渦へと吸い込まれて消える。

そしてデイビットは力なくターンエンドを宣言するのだが――――――

 

 

「待て、まだメインフェイズ2が残って居るだろう。君になくとも、私にはある」

 

「何……?」

 

「私がカウンター罠の発動に成功した時、自身のフィールド上のモンスターを全て生贄に捧げる事で特殊召喚が出来る……そう、《裁きを下す者-ボルテニス》だ」

 

「……! Youも、攻撃力2800か!」

 

「そして、そして《裁きを下す者-ボルテニス》の効果。生贄に捧げた天使族の数まで、相手フィールド上のカードを破壊することが出来る…………破壊するカードは当然!」

 

「《The big SATURN》……!」

 

「私がソレを破壊した時、互いに攻撃力分のダメージを受けるんだったよな?」

山本さん(仮) LP1200

 

「うわああああああああ!!」

デイビット・ラブ LP0

 

 

機械の星が大爆発を起こし、互いのライフに大ダメージを与える。

煙が晴れたのち、立って居たのは其れまで一度も攻撃を喰らわなかった山本さん(仮)なのであった。

 

 

「勝者! 山本さん(仮)ナノーネ!!」

 

「見事だ、Mr.山本さん(仮)……Youには完敗だった」

 

「ふ、君がもっと冷静であれば、結果はまた変わっていた。そうだな、例えばSATURNの効果を使わず、そして不用意に戦闘を行わなければ、まだまだデュエルは長引いて居た」

 

「結果論だ、慰めは止してくれ」

 

「結果論だ、だが物事は、結果を積み上げて進んでいく。結果から、何を学ぶかだな」

 

「………………Youは、かつての結果から、一体何を学んだ?」

 

「ふ…………ライフ管理さ」

 

 

観客席から見ていた、嘗て負けた相手、丸藤亮に向かい『ガッチャ』とポーズをとる。

苦笑し、亮も同じくポーズを返してくるのであった。

 

 

「成程……所で、そのポーズは何だ?」

 

「ん……? ああ、何か新入生の間で流行っているポーズだ、意外とミーハーでな」

 

 

そんな事を言いながら男2人は握手をする。

互いに、次のデュエルでも良い勝負をしようと言う意思の表れであり、デュエルによって作られた友情の証であった。

 

 

TAKE2

「(Meが引いたカードは《大嵐》! オイオイ、これじゃMeの勝ちじゃ無いか……!)」

 

「――――――――どうした、早くしろ」

 

「慌てるなよ。Meは魔法カード《大嵐》を発動!」

 

「えっ」

 

「どうした、何も無いのか?」

 

「何もないな。続いてだが、サレンダーを認めて貰って良いか?」

 

 

最早やれることは何もないと言う清々しい表情でデッキの上に手を置いている。

そんな物を見せられたデイビットとしても、サレンダーを受け入れるしか無いのであった。

 

 

「……………………ブラフだったか。いかにもと言う表情を見せておいて相手の動揺を誘う。それが山本さん(仮)と言う男だ。だが、今回ばかりはカードの引きに愛されなかった様だな」

 

「煩いぞ亮、常にカードの引きに愛されているお前が言うのは皮肉にも程がある。大体だ、人が《オーバーロード・フュージョン》の発動を《魔宮の賄賂》で阻止して、その後のドローが再び《オーバーロード・フュージョン》なんて引きをやったのは何処のどいつだ」

 

「ふっ…………俺だな」

 

 

観客席から見ていた、嘗て負けた相手、丸藤亮に向かい『ガッチャ』とポーズをとる。

苦笑し、亮も同じくポーズを返してくるのであった。

 

 

「良いデュエルだった。デイビット、またデュエルをしてもらえるか?」

 

「いや、良いデュエルだったのか…………? 序に、そのポーズは何だ?」

 

「ん……? ああ、何か新入生の間で流行っているポーズだ、意外とミーハーでな」

 

「何だそれは。まあ良い、Meは何時でも受けて立つ。所で、Meは不完全燃焼にも程があるんだがどうすれば良い」

 

「まてまて、そろそろMs.パーフェクト(七瀬和)が復活する」

 

「何?」

 

「彼女は、体があまり丈夫ではないそうだ。だから私が回復するまでのその場凌ぎを行ったと言う訳だ」

 

 

その場凌ぎも糞も無い速さでデュエルが終了したように見えるのは、きっと気のせいでは無いだろう。

しかし、本人が言う通り時間は稼げていたようで、山本さん(仮)が入ってきた入り口には、七瀬和が確りと居るのであった。

 

 

「ええと、之は一体、何だったのでしょうか?」

 

 

それは、コッチが聞きたいと、山本さん(仮)以外皆が思うのであった。

どっとはらい。




このデュエルに出て来る山本さん(仮)は私の友人を参考にしました。
ツッコミはいくらでも待つ。



TAKE2は何時もの如く別パターンです。
まあ、パーミで、全伏せして、大嵐防げなかったらもうそれは負けで良いだろうと、展開考えるのに飽きたので勘弁を。
実在する会社名出しちゃいけない約束ですが、実在するアメーバは綴り英語なので問題無い筈。
結構ギリギリな感じですがね。
その話は置いといて、実はTAKE2で切り札もっと別の出そうかと考えては居たんですが、テテュスとThe splendid VENUSはマッケンジーカード、ヴァンダルギオンは遊戯のカードと、もう使用者居るんですよねぇ、オネストも論外ですし。
だから、必然的に友人のデッキを考えると、之が一番スマートな文章になるんじゃないかと妄想。




以下返信
ヤリザの方は置いといて、サイクロンで破壊しておけば~の方。
いえ、全くその通りです気づいていませんでした。
………………何て言うと思ったのかハハハ!
之はいくら彼女が主席でも、まだまだ知らないカードが存在すると言うちゃんとした伏線なのだ!

………………よし、こう書いておけば、作者の知識不足もばれずに済むな!
いや実際、後に発覚したミスが、都合の良い解釈が出来てミスを利用したssが書ける時が間々あるので修正したりはしませんけどね、実際リフレインさんの感想見て納得できる場所多かったので! 特に会話の内容からしてカードを知らなかったとか! 私そんなこと全く考えていませんでしたよ!
都合がいいからこのままですけどね!
はい、ご指摘ありがとうございました。

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