夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです

今回は第103話までの投稿とアンケートを募集したいと思います
詳しくは103話の後で書きたいと思うのでどうかよろしくお願いします

第99話 アイギナデート
第100話 ほのぼの  
第101話 過去編 序章
第102話 過去編 前編
第103話 過去編 中編

でお送りします


第99話

第99話

 

 

「・・ここは・・そうか・・機動六課とやらだったか・・」

 

私は自分が何処に居るのか理解し、そして喜んだ・・長い事待ち続けた漸く王の傍に行ける・・これほど喜ばしい事は無い・・私が1人感動に震えていると

 

「起きてたんですか・・えっとアイギナさんで良かったですよね?」

 

金髪のおっとりとした感じの騎士が入ってくる・・確か

 

「湖・・いや・・シャマルだったか・・?」

 

そう言うとシャマルは

 

「はい、そうですよ・・所で気分はどうですか?」

 

気分はどうかと尋ねて来るシャマルに

 

「とても良い気分だ・・王と同じ場所に入れる・・それだけでとても嬉しい」

 

そう言うとシャマルは穏やかに微笑みながら服を差し出してくる

 

「とりあえず・・それを着ていて下さい、今の貴方はシグナムでは無くアイギナさんですから、制服で居られると不味いんです」

 

そういうシャマルに頷き服を着替える、着替えながらふと

 

「お前は不安ではないのか?私がこのままシグナムの身体を乗っ取ってしまうとは考えないのか?」

 

そう尋ねるとシャマルは

 

「そうですね・・それは考えましたけど・・後で詳しく説明してくれるのでしょう?シグナムと何が合ったのか・・なら私はそれを待つだけです」

 

そう笑うシャマルに

 

「そうか・・所でこれはどうやって着るんだ?」

 

渡されたは良いが着替え方が判らず尋ねると

 

「はい、判りました・・着方はお教えします」

 

そう笑うシャマルに礼を良い、私はシャマルの手を借り着替えを終えた

 

「ふむ・・私の時には無かった服だな・・」

 

髪を左肩から前に前に降ろしながら呟く・・私が存在していた時はもっと質素な感じだった・・だがこの服は見た目にも綺麗だった

 

「ありがとうシャマル・・所で王の部屋は何処だろうか?」

 

着替えを手伝ってくれたシャマルに礼を言い、王の部屋は何処かと訪ねるとシャマルは

 

「そうですね・・レヴァンティンが教えてくれますよ」

 

そう笑うシャマルに礼を言い私はその部屋を後にした

 

「レヴァンティン・・私を王の部屋に案内してくれ」

 

そう言うとレヴァンティンがゆっくりと私を王の部屋の前へと案内してくれた・・私は王の部屋の部屋の前に立ち

 

「ここに・・王がいらっしゃるのか・・」

 

そう思うと気持ちが高ぶった・・嬉しくて嬉しくて仕方が無かった・・私はゆっくりと王の部屋の扉を開いた

 

「すー・・すー・・」

 

どうやら王は眠っているらしく穏やかな寝息が聞こえてきた・・私は王を起こさぬようにゆっくりと枕元にたった・・ああ・・なんと幸福な時間だろうか・・ずっとこのままでも良いと思ってしまったが、自分がここに来た目的を思い出し

 

「こんな事をしている場合ではない・・私はこんな事の為にここに来たのではないのだから・・」

 

若干惜しいと思いながら、目的地である厨房に立った置いてあったバンダナとエプロンを身に付け

 

「さてと・・やるか」

 

私は騎士だが王の日常生活をサポートをするという面も持っている、つまり料理などは得意なのだ・・ちなみにクレアも料理は出来る、私達の中で料理が駄目なのはシャルナだけだったりする・・その分裁縫などはシャルナが一番得意だ・・私はそんな事を考えながらフライパンを手に取った

 

 

 

「ん・・良い匂いだな・・」

 

私はキッチンから漂ってくる匂いで目を覚ました、誰が料理をしているのかとキッチンを見て

 

「シグナ・・いやアイギナ・・か・・」

 

一瞬シグナムかと思ったが、キッチンに居たのはアイギナだった、アイギナは楽しそうにフライパンを振るっていた・・暫く様子を見ていると

 

「出来た・・完璧だ」

 

嬉しそうに笑うアイギナの顔を見ながら私はベッドを抜け出した

 

「お目覚めになられたのですか、今起こしに行こうと思った所です」

 

そう笑うアイギナに頷き椅子に座る、机の上にはスクランブルエッグとベーコンを炒めた物に、サラダとスープが並べられていた

 

「どうぞ召し上がってください・・久しぶりなので錆付いているかもしれませんが・・」

 

そう言うアイギナに

 

「ありがとう、ありがたく食べさせて貰うよ」

 

そう笑いアイギナが作ってくれた朝食を口に運ぶ

 

「うん・・美味しいよ」

 

味付けはシンプルだがその分身体には良いだろう、私はゆっくりと朝食を食べ終え

 

「ありがとう、とても美味しかったよ」

 

そう笑うとアイギナは嬉しそうに

 

「お口に合い何よりです」

 

そう笑うアイギナに

 

「そうだ・・早速で悪いがシグナムと何があったのか教えてくれるか?」

 

そう尋ねるとアイギナは

 

「・・話すのは構わないのですが・・王だけに話せば良いのでしょうか?・・妹君達にも聞いて頂いた方が良いのでは?」

 

それもそうかと思い私はアイギナを連れ、ブリーフィングルームへ向かった、ブリーフィングルームでははやて達が待っていた、アイギナはモニターの前に立ち

 

「初めましてになると思う・・天雷の騎士のアイギナだ・・今はシグナムの好意で今日一日だけ身体を借りている」

 

アイギナの説明を纏めるとこうだ、自分はシグナムに破れたと・・だが私が王のもとに行きたいと言う、願いを一日だけでも叶えてくれると・・身体を今日一日だけ貸してくれると・・だから今日の夜には元に戻るという事だった・・アイギナは

 

「例え一日だけも王の傍にいれるようにしてくれたシグナムには、とても感謝している」

 

その言葉でアイギナは説明を締めくくった・・黙り込んで聞いていた面々だが・・その中ではやては

 

「そうか・・それでアイギナさんは何をしたいんの?」

 

何をしたいのかと尋ねるとアイギナは

 

「何をしたい?・・私は王の傍に居れればそれで良いのですが・・」

 

首を傾げながら言うアイギナにはやては

 

「そんだけ?・・他に何をしたいかとかないん?」

 

アイギナは首を傾げながら

 

「私は本当に王の傍に居れればそれで良いのですが・・」

 

そういうアイギナにはやては

 

「うん・・判った・・アイギナさんは私の敵や無いね」

 

敵じゃない?何を当たり前の事を言っているのだろう・・私が首を傾げながら

 

「アイギナが敵じゃないのは当たり前の事だろう?」

 

そう尋ねるとなのはが

 

「良いんです、龍也さんには判らない事ですから」

 

その言葉の意味が判らず私が首を傾げていると、はやてが

 

「そうや!!アイギナさん折角やから兄ちゃんと遊びに行ったらどうや?」

 

突然そんな事を言われたアイギナは

 

「な・・な・・何を・・私は王の配下であり・・一緒に遊ぶ等と恐れ多くて出来ませんよ」

 

首をぶんぶんと振り無理だと言うアイギナを

 

「はいはい・・答えは聞いてないから行くで」

 

むんずとはやてとヴィータがアイギナを捕まえ

 

「兄ちゃん、アイギナさんにクラナガン案内したってや、準備はこっちでするで」

 

そう言うとアイギナを引きずって歩いて行くはやてとヴィータに

 

「お・・王よ!!助けてください!!」

 

ばたばたと暴れるアイギナに

 

「はやては言い出したら聞かない・・悪いが諦めてくれ」

 

そう言うとアイギナは

 

「そんなぁぁぁ・・」

 

ドップラーを残しながらアイギナは何処かへと引きずられて行った・・

 

 

 

 

「私は王の配下だったはず・・如何してこんな事に・・」

 

私はぶつぶつと呟く事しか出来なかった・・あの後強制的に遊びに行くことが決定し・・こうして王を待っているのだが・・その間も心臓が爆発しそうになっている

 

「でも・・王の傍には居れるし・・望みが叶ってると言えば叶ってる・・」

 

ぶつぶつと呟いていると

 

「待たせたな・・」

 

王が姿を見せる、黒の上下に何時ものロングコートを羽織っている・・一瞬その姿に見惚れてしまっていた

 

「どうした?」

 

反応の無い私を気遣ってか、王が尋ねて来る

 

「あ・・すいません少々考え事をしてました・・それではその・・案内をお願いしても良いでしょうか?」

 

私がそう言うと王は穏やかに微笑み

 

「ああ、判っている・・行こうか」

 

そう笑う王の後を着いて、私は街へと向かった・・

 

「凄いな・・」

 

私の感想はこれだった・・見る物全てが初めての物だった・・高いビルやデパートという物は私の時代には無かった物で・・こうして歩いているだけでも楽しかった・・目に止まる物その全てが珍しく気になる度に

 

「王、これは何ですか?」

 

と尋ねた、王は嫌そうな顔をせずに色々と教えてくれた、今回私の目に止まったのは車輪のついた店だった、漂う香りから甘いお菓子系統の食べ物だと判るが・・気になり尋ねると王は

 

「これはクレープだな・・甘いお菓子なんだが・・食べてみるか?」

 

食べてみるか?と尋ねて来る王に

 

「はい、食べてみます」

 

笑いながら言うと王は店主に

 

「すいません、イチゴのクレープ1つお願いします」

 

メニューを見て注文をする・・暫くしてから

 

「はい、お待たせしました。■■■円です」

 

お金を手渡し王はクレープを持ってくる、私はそれを両手で受け取りながら

 

「ありがとうございます」

 

お礼を言ってから1口齧る・・甘い生クリームと酸味の利いたイチゴが合っていて、とても美味しかった

 

「もぐ・・美味しいです・・これはとても気に入りました」

 

気に入ったと言うと王は

 

「それは良かったな、食べながらで良いから行こうか」

 

私はクレープを齧りながら王の後を着いて回った、管理局の本局とやらに聖王教会等・・私の時代に無いものを沢山見た・・だが楽しい時には終わりが来る物だ・・クラナガンを一望できる丘の上に私と王は居た・・私は丘の上からクラナガンを見ながら

 

「今日という日は夢の様に楽しかったです・・でも夢には終わりが来ます」

 

そう言うと王は

 

「そうか・・もう戻らないといけないのか・・」

 

私が何を言いたいのか理解してくれた王はそう静かに呟いた・・私は王の前に立ち

 

「本当に私はシグナムに感謝しています、一度は身体を奪おうとした私に身体を貸してくれた・・シグナムには言葉に出来ないほど感謝しています」

 

そう言うと急激に身体の力が抜けていく・・どうやらタイムリミットの様だ

 

「王よ・・シグナムの意識が戻ったら御礼を言って置いてください・・宜しくお願いします・・」

 

私はそう言うと意識を失った・・いや・・私の本来の居場所である天雷の書の中へと戻って行った・・

 

 

 

一瞬シグナムの瞳から光が消え直ぐに戻る・・その瞳の色はアイギナの物ではなくシグナムの物だった・・辺りをきょろきょろと見回していたシグナムは

 

「どうしてこんな所に居るのですか?」

 

どうしてこんな街外れに居るのか?と尋ねて来るシグナムに

 

「アイギナに街を案内していたからだ」

 

事情を説明するとシグナムは

 

「そうですか・・アイギナはそんな事を言っていたのですね」

 

アイギナの感謝の言葉を伝えるとシグナムはそう呟き

 

「私にはアイギナの気持ちが良く判った・・騎士である事に誇りを持っている以上、兄上の傍にいたいと思うのは当然の事だと思ったんです」

 

シグナムは空を見上げながら言う、シグナムは振り返り私を見ながら

 

「私だってそうですよ・・ずっと兄上の傍に居たいと思っています・・だからアイギナに身体を貸したんです」

 

そう言うとシグナムは私の手を取り

 

「さっ、兄上六課へ戻りましょう・・主はやてやヴィータ達が待っていますよ」

 

言うだけ言うとシグナムは私の手を引いて歩き出した・・私はシグナムに手を引かれながら

 

(アイギナ・・いやアイギナだけじゃないクレアもシャルナも早く目覚める事が出来ると良いな)

 

天雷の書の中で眠りにつく3人の騎士の事を考えていた・・

 

一日だけの魔法・・それは直ぐに消えてしまうけれども・・思い出となり心の中に残り続ける・・今日の出来事はそんな魔法の1つ・・

 

 

第100話に続く

 


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