夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです

今回は第108話までの投稿です、内容は

第104話 過去編 後編
第105話 合同演習 前編
第106話 合同演習 後編
第107話 ほのぼの
第108話 ちょっとシリアス

でお送りします、なおアンケートは最終話を投稿するまで募集するつもりなので、どうかよろしくお願いします


第104話

 

第104話

 

「今度は・・・何処だ・・?」

 

私が辺りを見回していると

 

「神王・・ジオガディスの件・・どうするつもりだ?」

 

目の前の扉の中から聞こえてきたキーワードに

 

「神王!?・・まさか・・神王の戦いの記録か・・」

 

私は扉をすり抜け、その部屋に入った・・そこには

 

「セレスにハーティーン・・それと・・馬鹿な・・」

 

セレスとハーティーンを見てから、部屋の奥に座る男に目を見開いた・・何故なら

 

「龍也に似ている・・」

 

髪の色と目の色こそ違えどそこに居たのは龍也に良く似た男だった・・神王は何かを考え込む素振りを見せてから

 

「・・倒すしかあるまい・・もはや話し合いですむ問題ではないのだ」

 

その言葉にハーティーンは

 

「そうか・・俺としては奴との決着つけれれば良い・・だがそう簡単には行かないぞ・・大将格は2人・・ジオガディスとヘルズだけだが・・奴らにはネクロ達が居る・・それはどうするつもりだ?」

 

そう尋ねて来るハーティーンに神王は

 

「アイギナ、クレア、シャルナ、リューナ達に騎士団の指揮を執って貰って対処する・・私とお前はジオガディス達を叩く・・決戦は明日だ・・英気を養っておいてくれ、ハーティーン」

 

頷き出て行くハーティーンと

 

「・・私も・・失礼します・・」

 

機械の様に無表情のセレスは溶ける様に消えた・・1人残された神王は無言で隣の部屋の扉を開ける・・そこには

 

「だぁ、だぁ」

 

にこにこと笑う男の乳児の姿があった・・神王はその子供の頭を撫でてからその部屋を後にした・・そしてその直後再び景色が歪み場所が変わる・・そこは荒れ果てた荒野だった・・

 

「剣帝・・ようこそ・・我が領域へ」

 

頭を下げるヘルズにハーティーンは

 

「御託は良い・・とっとと構えろ・・貴様如きに手間取ってる暇は無い」

 

そう言うとハーティーンは右手を掲げ

 

「王龍よ!!」

 

その叫びに呼応するかのように天空から

 

「ギャオオオオオッ!!!!!」

 

咆哮を上げながら龍が舞い降りてくる・・私はそれを見て

 

「あれがハーティーンの最強の剣・・」

 

伝説にあった・・最強の剣・・私の見ている前で龍はハーティーンと融合していく

 

「ブラストユニゾンッ!!・・究極戦刃・・王竜剣ッ!!!」

 

ハーティーンの背に黄金の翼と自分の背と同じくらい大剣を片手で握り締め

 

「今日こそ決着をつけてくれる・・地獄の道化師」

 

「やってみなさい・・剣帝!!」

 

そう言うとヘルズとハーティーンの姿が交差する

 

キンッ!!キンッ!!

 

何度も何度も剣が交差し火花を散らす・・ヘルズが短剣を投げつける、ハーティーンは背中の翼でその短剣を弾き飛ばす、その隙にヘルズが飛び上がり両手を掲げ

 

「重力の闇に呑まれて果てろッ!!・・マジリス・・オブ・・ルインッ!!」

 

展開された無数の重力球がハーティーンに迫る

 

「なっ!!ぐああっ!!」

 

背中の翼で防ぐが弾き飛ばされ背中から瓦礫の山に突っ込むハーティーン・・立ち上がったハーティーンの右側の翼が完全に消失していた・・

 

「くっ・・まさか・・こんな攻撃があるとは・・ん?」

 

ハーティーンが一瞬首を傾げた直後無数の短剣が降り注ぐ、それと同時に上空から

 

「今のを避けるとは・・流石は剣帝と言った所ですか・・ですが・・次は無いです・・今度こそ消えなさいッ!!・・マジリス・・オブ・・ルインッ!!」

 

無数の重力球が降り注ぐ・・今度喰らえばアウトだろう・・・なのに映像のハーティーンは頭から突っ込んで行く・・そして当たる直前で

 

「ジャケットアーマーパージッ!!」

 

背中の翼と装甲の一部が爆ぜて飛んで行く・・それは重力球に当たり一瞬ハーティーンの姿を隠す・・

 

「はっ・・何処です!何処に逃げたのですか!!「こっちだぁっ!!ドラゴン・・デス・・バイトォッ!!」・・し・・しまっ!」

 

ハーティーンとヘルズの姿が闇色の光に飲まれて消えた・・そして再び景色が変わる・・こんどは聖王のゆりかごに似た兵器・・恐らくパンデモニウムの前だろう・・そこに白銀の騎士甲冑の神王と赤黒い騎士甲冑のジオガディスが居た・・どうやら決着が付いたらしく、ジオガディスの身体は徐々に消え始めていた・・神王はもう戦う気が無いのか剣を鞘に戻した・・その直後

 

「くたばれッ!!!」

 

ジオガディスが最後の力を振り絞り魔力刃を飛ばす、無防備の神王に当たると思った直後

 

「王様ッ!!」

 

神王の身体を青色の騎士甲冑を纏った少女が突き飛ばす・・その背後にはアイギナ達が居る・・恐らく彼女が消えてしまった最後の騎士なのだろう・・少女はその魔力刃に切り裂かれ血を撒き散らしながら落下していく・・それをシャルナ達が受け止めて治療を始めるが・・もう間に合わないのは目に見えていた・・私は神王とジオガディスの方を向いた・・ここからどうなるのか確りと見て置きたかったからだ・・

 

「リューッ・・くっ・・」

 

一瞬飛び出しかけた身体を押し止めジオガディスを見据える神王・・神王にジオガディスは

 

「今一度は俺達の負けだ・・だが!!覚えていろ!!俺は必ず蘇る!!!俺から・・エリナを・・全てを奪った貴様らを決して許しはしない!!」

 

そう叫ぶジオガディスの背後に

 

グオオオッ・・

 

半透明のヴェルガディオスの姿が見えた・・それは神王も同じだったのだろう・・消えていくジオガディスを見ながら神王は何かを呟いていた・・ただその声が小さすぎて私にはその呟きは聞こえなかった・・

 

「終わったのか?」

 

着地した神王の前にハーティーンが現れる・・甲冑は所々陥没しているが命に別状は無さそうだった・・神王は首を振りながら

 

「すまない・・ルシルファー・・私ではジオガディスを倒しきる事が出来なかった・・恐らく・・遠い未来・・再び奴は蘇るだろう・・」

 

そう言われたハーティーンは

 

「では当初の予定通りだな?」

 

そう言われた神王は俯き涙を流しながら

 

「私はお前に過酷な運命を与えてしまう・・誰よりも私を理解してくれたお前に・・」

 

神王の手から魔力が放たれハーティーンに当たる・・それはクリスタルになりハーティーンの身体を覆い隠していく

 

「気にするな・・俺はこうなる事を判っていた・・だからお前が気に病む事はない・・」

 

穏やかに微笑むハーティーンに神王は

 

「すまない・・本当にすまない・・ルシルファー・・我が生涯の親友よ・・」

 

そう呟くと同時にハーティーンはクリスタルに封じられた・・ここで再び景色が変わる

 

「本当に良いのですか?」

 

王宮でセレスが神王に尋ねる・・神王は苦しそうに頷き、その手に抱き抱えた赤子を魔法陣の上に寝かせる

 

「う?」

 

無邪気な顔で笑う赤子を見ながらセレスが

 

「お言葉ですが・・ここまでする事は無いと思います・・未来で蘇るジオガディスのカウンターとしてハーティーンを封じたのですから何もここまでする必要は無いと思うのですが?」

 

そう言われた神王は苦しそうに

 

「・・確かに・・ジオガディスのカウンターとしてハーティーンをクリスタルに封じた・・だがそれでは駄目なのだ・・ハーティーンでは奴を苦しめている・・鎖を切る事は出来ないんだ・・だから・・私はこの子を未来へ送る・・」

 

未来へ!?・・どういう事だ?・・私がその言葉の意味を考えていると神王は赤子の産着に何かを入れる・・私にはそれがはっきりと見えた・・龍を模したそのペンダントは・・

 

「ガーディアンズ・・ハート」

 

それは龍也のデバイスであった・・ガーディアンズハートだった・・馬鹿な・・龍也は・・龍也は・・神王の血統・・私は目の前で起きる出来事を信じる事は出来なかった・・

 

「息子よ・・すまない・・私はお前に父親らしい事を何一つする事は出来ない・・本当にすまない・・」

 

何度も謝る神王の顔を赤子は

 

「だぁ・・だぁ」

 

にこにこと微笑みながら叩く・・神王は振り返り

 

「後は・・頼む・・」

 

そう言うとセレスは地面を叩き魔法陣を発動させる・・そこから強烈な光が放たれ光が晴れた頃・・赤子の姿は無かった・・神王はセレスに

 

「1つだけ・・たった1つだけ・・私の頼みを聞いてくれないか?」

 

そう言われたセレスは

 

「命令ならば・・」

 

やはりこの時のセレスは感情が乏しく機械の様な印象を受けた・・神王はセレスに

 

「もし・・もしもお前が我が息子に会ったのであれば・・護ってやってくれ・・」

 

神王がセレスにそう頼んだ所で再び景色が変わる

 

「おぎゃあっ!!おぎゃあっ!!」

 

大声で泣き叫ぶ赤子の下に1組の男女が現れる・・男の方が赤子を抱き上げ

 

「こんな所に捨て子が・・可哀想に・・」

 

とんとんを背中を撫でながら言う男に隣に居た女性が

 

「どうするんです?・・この子を」

 

判っていますよ?と言いたげに微笑む女性に男は

 

「判ってるんだろう?・・私達がこの子の親になろう・・この子を捨てた親の変わりに愛情を注いで育てよう」

 

そう言う男が赤子を抱き上げるとちゃらり・・音を立ててペンダントが落ちる・・男がそのペンダントを拾い上げ

 

「見るからに高価な物だな・・きっとこの子の両親の物だろう・・この子と自分達の繋がりに・・決めた・・この子の名前は龍也だ・・私達の息子・・八神龍也だ」

 

そう笑う男に私は唖然とするしかなかった・・この子は過去から送られた神王の息子・・そしてこの子を拾った夫妻が名付けた名は龍也・・私が見ている物・・それは

 

「八神龍也が・・生まれた瞬間・・」

 

私がそう呟くと同時に夫妻は歩き始めた・・私はその夫妻の後を追おうとしたが再び景色が歪み始める、私は慌てて

 

「待ってくれ!!後少し・・あと少しで良いんだッ!!この続きを見せてくれっ!!」

 

そう叫ぶがその願いは届かず私は現実に引き戻された・・

 

「はっ!はっ!・・ここは・・」

 

私はクリスタルに手を伸ばした姿勢のまま停止していた・・私はよろよろとその場にしゃがみ込み・・時計を見た・・5分・・現実の時間ではたった5分の出来事だったが・・私にはとんでもなく長い時間に感じた・・

 

「龍也は・・神王の息子・・」

 

その事実は私を動揺させた・・これを龍也に伝えるべきか否か・・私は迷った・・だが・・

 

「この事は私の胸の中だけに仕舞っておこう・・・」

 

私はこの事を伝えるべきではないと判断し立ち上がった・・

 

「・・・」

 

眩いばかりの輝きを放っていたクリスタルはその光を失い、沈黙していた・・私はそのクリスタルを睨みながら

 

「ヴェルガディオスが生まれた理由とその戦いの顛末を教えてくれたのは感謝する・・だが最後の最後のだけは余計だったな・・」

 

私はクリスタルから目を背けその部屋を後にした・・私はもうこの部屋に戻るつもりは無かった・・知る事は全部知った・・ここにはもう何の用も無いからだ・・ジェイルがこの部屋を去ってから数分後

 

ビシリ・・ビシリ・・

 

クリスタルに皹が走り割れる・・その下から古代文字が現れた・・それには

 

『滅び行く魔城・・最強の守護者は炎に呑まれ、次元の海へ消える・・だが哀しむ事無かれ・・守護者と共に進む天空の風の祈りが・・守護者を救う・・4つの季節を越え・・再び守護者は現れる・・大切な者を護る為・・2度と全てを失わない為に・・再び世界に君臨する・・その時こそ・・守護者は神となり・・究極の超越者にならん・・』

 

その石碑をジェイルが見るのは全てが終わってからの事である・・

 

 

第105話に続く

 

 


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