夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第105話

 

 

第105話

 

「ギンガさん・・本当に俺達で良いんですか・・」

 

ロビーで隊員の1人が不安げに尋ねて来る・・今日から暫くは六課との合同演習で、ここに居るのは演習のメンバーに選ばれた隊員達なのだが・・皆その表情は硬い・・かという私も緊張しているのだが・・

 

「大丈夫よ、選ばれたという事は貴方達の能力が認められたって事・・そんなに緊張しないで胸を張りなさい」

 

そう言うと1番若い隊員が

 

「で・・でも・・機動六課には蒼天の守護者・・八神中将が居るんですよね・・?」

 

確認を取って来る隊員に私は何故ここまで皆が緊張しているか理解した・・管理局最強にして、伝説とも言える最強の魔導師、八神中将…大概の隊員は龍也さんに憧れて管理局に入隊した・・その人が居る所へ行く・・それで必要以上に緊張しているのだと・・

 

「そうよ・・さっ行くわよ・・合流時間に遅れると不味いからね」

 

私はそう言うと隊員達を連れて機動六課に向かった・・

 

「108部隊の合流組みですね・・お待ちしてました」

 

ロビーで合流手続きをしていると

 

「ギン姉~待ってたよ~」

 

スバルが手を振りながら出迎えてくれる

 

「スバル、元気そうね」

 

私が言うとスバルは

 

「ん~見た目ほど元気じゃないよ~最近龍也さんの訓練厳しくてさ~あっちこっちガタガタだよ~」

 

笑いながら言うスバルに108部隊の面々は目を丸くしていた・・雲の上の人物である龍也さんの事を軽く言うスバルに驚いているのだと容易に判った

 

「ところでスバル・・八神中将達は?」

 

隊長陣の姿が見えない事を尋ねると

 

「ん~食堂だよ、今から昼食、私はギン姉達が来るって聞いてたからここで待ってたの・・ギン姉達も一緒にご飯食べる?」

 

私達はここで昼食を食べるつもりだったので頷き、スバルに案内されながら食堂に向かった・・そして私はそこで目を見開いた・・何故ならそこには

 

「うん?ギンガ?・・ああ・・今日から合同演習だったか・・」

 

当然の様にエプロンを身に着けた龍也さんの姿があったからだ・・良く見るとパタパタと厨房の中を歩いている少女が2人見える・・確かリィンとアギト・・だったと思うけど・・私がそんな事を考えてると

 

「ギン姉、なのはさん達はこっちだよ」

 

食堂の奥に歩いて行くスバルの後を追って、私達も食堂の奥に向かった

 

「うん・・おおギンガ達か、そうかそうか今日から合同演習やったな~何してるん?立ってないで座れば良いやん」

 

にこにこと笑うはやてさんに促され私達が椅子に座ろうとした時・・

 

「ギン姉、首傾けてっ!!!」

 

スバルの言葉に反応して首を右に傾けると

 

ビィーンッ!!!

 

「はっ!?」

 

私の頬を掠めてダガーが後ろの壁に突き刺さる・・そのダガーを投げたのは

 

「そこ・・兄ちゃんの席やねん・・座らんでくれる?」

 

さっきまでと違い黒い笑みのはやてさんだった・・クスクスと笑うはやてさんの後ろから

 

「ギン姉!座るならこっちにして」

 

必死な表情で私を呼ぶスバルの方に行き椅子に腰掛ける・・そのタイミングではやてさんが左手を動かすと

 

ヒュン・・パシッ・・

 

壁に刺さっていたダガーが抜け、はやてさんの手に収まる・・はやてさんは慣れた素振りでそれを服の内側にしまった・・私がそれに驚いていると、スバルが

 

「あれね・・魔力の糸で繋いであってね・・自由に動かせるんだって」

 

その説明に頷いていると

 

「・・何かあったのか?」

 

トレーを持った龍也さんが尋ねて来る、私が口を開こうとすると

 

(余計なこと言うなよ・・言うたら判ってるよな?)

 

はやてさんから強烈な殺気と共に念話が来る・・私の返答には興味が無い様で直ぐに私から目を背けた・・その私の前にトレーが置かれる

 

「昼食だ・・まぁ・・男料理だから大した物ではないがな」

 

そう言って置かれたトレーの中身はベーコンとハッシュドポテトにスクランブルエッグとシーザーサラダ・・ガラスの皿に盛り付けられたビシソワーズだった・・私はこれを見て

 

(大した物じゃない?・・どう見ても一級品じゃない・・)

 

私も料理はするが、その自信を根こそぎ薙ぎ倒されてしまう・・龍也さんは108部隊の面々の前にもトレーを置く・・すると

 

「あああ・・ありがとうございますっ!!」

 

緊張して噛みながら言う隊員に首を傾げながら龍也さんは料理を配って行った・・たぶん何をそんなに緊張しているのか判っていないだろうと私は思った・・昼食後に

 

「第108部隊から出向、ご苦労様・・知ってると思うが・・八神龍也だ」

 

と穏やかに言う龍也さんの膝の上では・・

 

「う?」

 

にこにこと昼食を食べる少女の姿があった・・時折その口を拭く龍也さんは子煩悩な父親に見える・・私がそんな事を考えていると龍也さんは

 

「とりあえず今日は出向の手続きと明日からの訓練の準備をしておいてくれ・・」

 

そう言う龍也さんに頷き、私達は宛がわれたフロアに向かった・・

 

 

 

 

「ふーむ・・これが来たメンバーのプロフィールか・・」

 

ゲンヤさんから送られてきたプロフィールを見る・・誰もが皆期待の新人ばかりだそうだ・・

 

「それでギンガか・・」

 

送られてきたプロフィールに一通り目を通していると

 

コンコン

 

「龍也入るよ?」

 

フェイトが書類を持って入ってくる、フェイトは書類を置きながら

 

「えっと・・これなのはから、明日の合同演習の予定だって・・とりあえず普段より軽いのにしといたけど・・これでもついて来れるか不安なんだけど」

 

そう言うフェイトに

 

「ああ、それは大丈夫だろう・・仮にもホープと呼ばれる新人達だ・・基礎体力はちゃんとしてるだろ」

 

そう言うとフェイトは

 

「そうだよね・・最初の方のスバル達がやってた訓練にならついて来れるよね」

 

うんうんと頷くフェイトに

 

「まぁそれより不安なのはスバル達だな・・」

 

そう言うとフェイトは私が何を言いたいのか理解したようで

 

「極光とインペリアルの事だね・・やっぱり何か問題があるの?」

 

不安げなフェイトに

 

「問題は何もないさ・・ただ私が予想してたのより早くエリオとスバルが完成した、もう実戦で使っても問題ないさ・・少々くたびれたがな」

 

そう笑うとフェイトは

 

「龍也は少し頑張りすぎだよ、少し休んだら?」

 

フェイトの言葉に私は

 

「頑張りすぎか・・良くはやてにも言われたな・・私は自分の事を考えないと」

 

そう苦笑しているとフェイトは

 

「私も言ったよ・・あんまり無茶して心配掛けないでって・・覚えてないの?」

 

確認するかの口調のフェイトに

 

「ちゃんと覚えてるさ・・だから偶には息抜きもしよう・・紅茶を入れるが・・フェイトはどうする?飲むか?」

 

フェイトが頷いたのを確認してから、私はキッチンに言って2人分の紅茶と茶菓子を持って、リビングに戻った・・2人で紅茶を飲みながら昔話をしていた・・それはとても穏やか時間でとても安心したが

 

「兄ちゃんクッキー作った・・何で・・フェイトちゃんが・・兄ちゃんと一緒に居るんや・・」

 

プルプルと肩を震わせるはやてと

 

「別に私が龍也と一緒に居ても何の問題もないでしょ」

 

挑発するような口調のフェイトにはやてがキれ、激しい口論となった・・私は怒鳴りあう2人を見ながら

 

「やれやれだ・・」

 

そう呟きながら紅茶を1口含んでから、2人を止める為にソファーから立ち上がった・・

 

 

 

 

「何だ?騒がしいな・・この声は・・はやてとフェイトだな・・」

 

私は騒がしい声にまたはやてとフェイトが喧嘩してるなと思いながら演習場に足を進めた・・

 

「来たか・・ノーヴェ」

 

演習場にはセレスが腕を組んで待っていた・・セレスは私を見ながら

 

「今日で私が教える事は全て無くなるが・・どうだ?極光はマスター出来そうか?」

 

そう尋ねて来るセレスに

 

「まぁ・・見てろよ・・はぁぁっ・・」

 

意識を集中して魔力を練り上げる・・すると赤色の輝きが私を包み込みバリアジャケットが展開される・・色こそ違えどそれはスバルの物に良く似ていた・・セレスはそれを見て

 

「なるほど・・そこまで仕上げたか・・もう私が言う事は何も無いな」

 

そう言うセレスに私は

 

「セレス、本当にありがとう!お前のおかげで私も極光が出来るようになった、これで龍也の傍を歩いて行ける・・護られるだけじゃないんだ」

 

そう・・私は護られるだけなんて真っ平だ・・私は龍也が私を護ってくれたように龍也を護れるようになりたかった・・その為の力をくれたセレスに礼を言うとセレスは

 

「気にするな・・全て王の為・・お前を強くする事は間接的に王の身を護る事に繋がる・・唯それだけだ」

 

口を開けば王としか言わないセレスに前から気になっていた事を聞いて見る

 

「なぁ・・セレスは何で龍也を護りたいんだ?」

 

私が龍也を護りたいのは好きだからだ・・あの暖かい場所を失いたくないから私は龍也を護ろうと思った・・ではセレスは?と思い尋ねると

 

「私は王によって救われた・・その方の為に何かしたいと思うのは間違っているか?」

 

そう言われると何も言えない・・私だって最初はそう思った・・それが次第に恋心に代わって行ったのだ・・私が黙り込んでいるとセレスは

 

「ではな・・ノーヴェ・・それと今日聞いたことは王には言わないでくれ・・」

 

珍しく赤面しながら言うセレスに

 

「もしかして恥かしいのか?」

 

茶化すように言うとセレスは何も言わず消えてしまった

 

「あちゃー地雷だったかな・・悪い事しちまったかもな・・」

 

私は今度あったらセレスに謝ろうと思いながら、自室に戻った・・それから数分後・・セレスが再び演習場に姿を現す

 

「そうだ・・私が王を護る理由など・・それで良い・・私は所詮道具・・それ以上でもそれ以下でもないのだから・・」

 

セレスは悲しそうに呟き消えて行った・・セレスが立っていた場所には数滴の涙の跡があった・・

 

第106話に続く

 

 

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