夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第106話

 

第106話

 

「「「・・死ぬ・・死にます・・」」」

 

私は目の前で討ち死にしている108部隊の面々と

 

「はぁ・・はぁ・・きついですね・・流石に・・」

 

肩で息をしている物の立っているギンガを見ながら

 

「厳しかったか?」

 

隣のなのはに尋ねると

 

「そうかもしれないですね・・私達はもう慣れてますけど・・やっぱり龍也さんの訓練は厳しいですからね・・」

 

基礎だけだったんだがな・・私の感覚がおかしいのだろうか?と首を傾げているとなのはが私の肩に手を置き

 

「大丈夫ですよ、龍也さんの感覚がおかしいわけじゃないですから」

 

そう笑うなのはと話をしていると、スバル達が戻ってくる・・スバルとエリオは魔力を分散する、リストバンドを着けていて身体が重く感じるはずだが・・そんな様子はまるで無い・・相当仕上がって来ていると一目で判る・・スバル達はそのまま私となのはの前に来て

 

「ふー基礎訓練完了しましたっ!」

 

敬礼しながら言うティアナに

 

「ご苦労様、休憩が必要なら休憩してくれても構わんが・・どうする?」

 

そう尋ねるとエリオが

 

「僕は全然平気ですよ!このまま行けます!!」

 

元気よく言うエリオにスバルも

 

「私もです!続けて行けます!」

 

と答える2人に

 

「判った・・ではこのまま次の訓練に行こう・・ティアナとキャロは少し休憩しててくれ」

 

そう言って私はスバルとエリオを連れて演習場に向かった・・

 

 

 

「嘘・・休憩も無しでそのまま実戦訓練・・」

 

私が驚きながら言うとなのはさんが

 

「ギンガ、そんなに気にしないほうが良いよ、あの2人は特に厳しい訓練してるから、体力とか魔力とかが物凄く上昇してるの、あそこにリストバンドが見えるでしょ?」

 

なのはさんに言われてスバルの両手首を見るとそこには青色のリストバンドがあった・・それが何か判らず首をかしげると

 

「これ着けて見たら判るよ」

 

渡されたリストバンドを右手首に着けてみると

 

「うっ・・」

 

体が急に重くなり、魔力が減っていく・・私はそれを外しながら

 

「これ・・何ですか?一体・・」

 

体が重くなり尚且つ魔力が減るこれに何の意味があるのかと思い尋ねると

 

「これはね、体力と魔力を同時に増やす物だよ・・慣れるまでは大変だけど・・慣れると何とも無いよ」

 

そういうなのはさんの両手首には少しお洒落な印象を受ける、桜色のブレスレットが見えた・・多分これもリストバンドと同じ効果があると思った・・その時演習場から

 

ドゴーンッ!!!

 

凄まじい轟音が響き、それに驚きながら演習場を見ると、そこには美しいばかりに輝く水色の魔力を身に纏ったスバルの姿があった・・あんな姿は見た事無く驚いているとスバルが

 

「でやあああっ!!」

 

凄まじい速さで龍也さんに接近し連続で拳を振るうが・・

 

「脇が甘い・・一撃一撃事に間がありすぎる」

 

片手で軽々と受け流す龍也さんに私は驚いた・・あのスバルの攻撃はとても鋭く重そうなのに・・それを片手でいなし続ける龍也さんの技量にも驚かされた・・

 

「もう少し連携を考えろ」

 

繰り出された拳を抱き込むように掴み真上に投げ飛ばし、落ちて来たところで回し蹴りを喰らい吹っ飛ぶスバルだが

 

「まだまだぁっ!!」

 

ズシャアアッ!!

 

体勢を立て直しながら言うスバルが即座に

 

「機神拳ッ!!!」

 

凄まじい速さの拳の連打を放つが

 

「機神拳・・」

 

龍也さんも対抗して拳の連打を放つ

 

ズガガガガッ!!!

 

スバルと龍也さんの拳が何度もぶつかり轟音を上げる・・かと言っても私には辛うじて見える態度だが・・最初は互角だと思ったが徐々にスバルが押され始め・・徐々に龍也さんの拳がスバルの肩や足を捉え始める

 

「これが最強の魔道師の実力・・」

 

私がそう呟くとなのはさんが笑いながら

 

「あれが龍也さんの本気に見える?・・あんなのはまだまだ小手調べだよ」

 

あれでまだ本気じゃない・・ではあの人が本気を出せばどうなるのだろう・・私はそんな事を考えながら演習を見続けていた・・スバルはどこまで強くなるつもりなのだと思いながら・・

 

 

 

「はぁ・・はぁ・・もう無理です・・」

 

暫く模擬戦を続けていたが突然その場でへたり込み、もう無理だと言うスバルに

 

「7分か・・大分増えたな・・このレベルなら実戦でも行けるな」

 

そう言うとスバルは疲れたように笑いながら

 

「そ・・そうですか・・頑張った甲斐がありましたよ・・」

 

ふらふらと立ち上がり戻って行くスバルと入れ違いでエリオが来る

 

「僕の番ですね・・行きますよ~」

 

そう言うとエリオはインペリアルを起動させる

 

「最初からそれか・・ならばこっちも・・アギト!」

 

訓練を見ていたアギトを呼び寄せユニゾンを行う

 

「それがアギトさんとのユニゾンですか・・」

 

見た目は龍人と言った所だろう・・紅蓮色の騎士甲冑に身の丈程の剣を片手で握り締めながら

 

「さっ・・掛かって来い・・」

 

手招きするとエリオは一気に肉薄して来て槍を振り下ろしてくるが

 

「甘い・・」

 

受け止めそのまま刃を逸らし受け流し、胴を切り払おうとすると

 

「はっ!」

 

左腕の篭手で受け止め後ろに跳ぶエリオを見ながら

 

(反射速度が大幅に上昇してる・・前のエリオならあれを避ける事は出来なかった・・やはり相当影で努力してるな)

 

一目で判る・・エリオをも相当努力していると・・その努力に報いる為に・・

 

「少しは本気で相手をしてやる・・気を抜くなよ・・」

 

そう言うと私は模擬戦では初めて、自ら攻撃を仕掛けた・・

 

「4聖剣・・一の型・・玄武・・断絶剣ッ!!」

 

魔力を込めた剣を振り下ろす、エリオはバックステップで回避するが

 

「それでは駄目だな・・」

 

大地に叩き付けられた魔力がそのまま刃となりエリオに襲い掛かる

 

「!!」

 

流石これは回避できなかったようで吹っ飛ばされるエリオに接近し

 

「4聖剣・・二の型・・白虎・・烈破斬ッ!!」

 

剣を振るい虎型の魔力波を打ち出す

 

「ポジトロンレーザーッ!!」

 

迎撃に魔力弾を放ち私の魔力波を弾き飛ばすが

 

「計算通りだ・・4聖剣・・三の型・・朱雀・・火炎陣ッ!!」

 

剣を地面に突き立てる、それと同時に炎で出来た朱雀が無数に飛び立ちエリオに襲い掛かる

 

「くっ・・こんな技が・・」

 

槍で迎撃しながら態勢を立て直すエリオの上空から

 

「4聖剣・・四の型・・青龍・・蒼雷斬ッ!!」

 

蒼い魔力を纏いながら剣を振り下ろす

 

「くっ・・」

 

槍で受け止めると同時に稲妻に飲まれ姿の見えなくなるエリオ・・決まったか?・・と思い警戒していると

 

「でやあああっ!!」

 

デュナスで超低空を飛行しながら拳を振るってくるエリオ・・その拳を受け止めながら

 

「良いだろう・・持てる全ての力を使って私を打倒してみろ!」

 

そのままエリオを振り回し投げ飛ばす・・それから数分後・・

 

「はぁ・・はぁ・・やっぱり・・お父さんは強いです・・」

 

大の字で寝転がりながら言うエリオに

 

「そう言って貰えると嬉しいよ・・でもエリオだって強くなったよ」

 

そう言って頭を撫でながらエリオを抱え上げ、私はなのは達と合流した・・その訓練を見ていた108部隊の面々は

 

「あんな子供でも・・八神中将とまともに戦ってる・・俺達だってやれば・・出来る筈だ」

 

どうやら龍也とエリオ達の訓練を見て良い刺激になったようで、闘志を燃やしていた・・合同演習に参加した108部隊の面々は後のストライカー、エースと呼ばれる程強くなったそうだ・・合同演習の最終日

 

「合同演習は今日で終わりだ、だが君達は本当に強くなったと私は思う」

 

こういう風に偉そうに言うのはしょうではないのだが・・なのはに言われたので六課を代表して言う事になった・・内心溜め息を吐きながら

 

「これから先、君達が活躍する事を切に願う・・それでは解散・・ああ、ギンガは残ってくれ」

 

帰ろうとするギンガを呼び止める、何事か?と首を傾げるギンガに

 

「前にあったレリックの強奪事件の事は知ってるな?私は近い内にネクロ達との決戦があると考えている・・だから優秀な魔道師が欲しいと思っている・・そこでだ、ネクロ達との戦いが終るまで六課に残ってくれないか?・・嫌なら嫌で構わない・・本人の意思を尊重したい」

 

ゲンヤさんに聞いた所、本人に聞いてくれと言われたのでこうして聞いて見たのだが・・ギンガは残ってくれるだろうか?と思っているとギンガは

 

「・・すいません・・私ではあまり力になれそうになりません・・だから辞退させてもらいます」

 

ギンガが首を横に振る・・私は

 

「判った・・では108部隊での活躍を願っている」

 

そう言葉を締めくくり、合同演習は終わりを告げた・・

 

第107に続く

 

 


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