第108話
「久しぶりの我が家か・・」
私は玄関の前でそう呟いた・・どうやら最近仕事が忙しかったのは家でゆっくりと休む日を作ろうというはやての考えだったらしい・・今日の朝その事をはやてが発表した時、なのは達が不満そうな顔をしたがはやてが
「最近・・仕事の量少なかったやろ?・・当然やよね・・私達と兄ちゃんに回ってたんやから・・そんでなのはちゃん達より多く仕事してた私達が休むのに文句言える?」
そう言われたなのは達は何も言えず、しぶしぶという様子で私達を送り出した・・私がそんな事を考えていると
「お兄様、早く入るですよ」
笑顔で私の手を引くリィンに頷き、私は家の中に入っていった・・
「何か・・綺麗だな・・」
私が家の中に入った時に感じた感想はそれだった・・もう3ヶ月近く帰ってないのに・・埃とかがなくとても綺麗な状態の我が家に私が首を傾げていると、ヴィータが
「はやてがヴェロッサを脅して毎日掃除させてんだよ・・しかも監視カメラついてるから・・私達の部屋で変な事したら・・処刑が待ってんだよ・・」
私はその説明を聞き、今度ヴェロッサに何か持っていこうと心に決めた・・その頃ヴェロッサは
「・・毎日毎日・・はやての家を綺麗に掃除して・・貰えるのがこれだけ・・」
ヴェロッサの手元の封筒には3万円入っていた・・彼はそれを見ながら
「文句言えば・・闇が待ってる・・手を抜けば・・極寒地獄・・僕は・・はやての言う事を聞くしかないのか・・」
るる~と目の幅の涙を流しながら酒を買うヴェロッサ・・きっと彼も相当苦労しているのだろう・・グリフィスと同じくらい・・そんな事になっていると知らない龍也は
「ふむ・・服のセールか・・」
チラシを見ながら何か計画を立てていた・・せっかくの休日・・皆で何処かへ出掛けるのも良い・・だがあんまり遠くには行けないとくれば・・取る手は外食か買い物だ・・外食はシグナムが反対したので却下・・理由は
「兄上の料理の方が美味しいのに態々外で食べる必要はないと思います」
うん・・ここまで言われるのは嬉しいので今日は少し気合を入れて作ろう・・私がそんな事を考えているとはやてが私の手の中のチラシを覗き込みながら
「デパートのセールのチラシ?・・良いね~今日は皆で買い物に行こか?」
笑いながら言うはやてに皆頷き、私達はデパートへ出掛けて行った・・その頃・・機動六課では
「龍也いないと暇だね・・」
フェイトちゃんが詰まらなそうに言う・・私も暇だなと思いながら紅茶を飲みながら食堂の片隅を見る
「エリオ・・クッキー作った・・キャロと一緒に食べよう」
無表情というか感情の起伏の少ないルーテシアちゃんだが、エリオと話す時はにこにこと笑っている事が多い・・その後ろからキャロが来て
「私はね・・紅茶を入れたの、お茶しながらルーちゃんの作ったクッキー食べよう」
2人に笑顔で言われたエリオは軽く頬を赤らめながら
「うん、ありがとうキャロ、ルーちゃん」
そう言ってクッキーに手を伸ばすエリオだが
スッ・・
ルーテシアちゃんがクッキーの皿をずらす・・エリオが首を傾げると、ルーテシアちゃんは
「ルーちゃんじゃない・・ルーテシア・・ちゃんと名前で呼んで・・」
頬を膨らましながら言うルーテシアちゃんにエリオは
「ごめん・・つい癖で・・ルーテシア・・これで良い?」
そう言われたルーテシアちゃんは微笑みながら
「うん、それで良い・・はい」
クッキーの皿を戻して3人で食べ始めたその姿を見ながらフェイトちゃんは
「良いな~キャロとルーテシアは・・エリオは鈍感じゃないもんね・・」
ぶつぶつと呟くフェイトちゃんに
「良いの?」
そう尋ねるとフェイトちゃんは
「私達がやろうとしてる事の成功例があれだよ?・・良いも何もないよ・・」
そうか・・よく考えればあの3人の関係が私達が目指す所で・・良いも何も無いのだ・・私が納得して頷き辺りを見ると
「そうか・・2人でばらばらに料理を作って持って行けばいいのか・・」
私と同じようにエリオ達を見ていたスバルが納得という表情で言うと、隣のティアナが
「スバル・・あんた・・料理出来るの?」
そう言われたスバルは目の幅の涙を流しながら
「出来ない・・ティア~簡単なので良いから教えて・・」
そう言われたティアナは
「しょうがないわね・・ほら今から教えてあげるから来なさい・・まったく・・料理の1つ位は覚えなさいよ?」
そう言うティアナの目はスバルではなく私を見ていた・・うっ・・私も料理はまったく駄目な方だ・・唯一できるのはゼリーくらい・・私はフェイトちゃんに
「フェイトちゃん・・私にも料理教えて・・」
そう言うとフェイトちゃんは
「良いよ、それじゃあ今から教えてあげるよ」
笑顔で言うフェイトちゃんに頷き、私達は食堂を後にした・・・私だって女の子ですからね・・好きな人に料理を作って美味しいって言われたいんですよ、今はまだ殆ど料理なんか出来ないけど・・絶対料理を作れるようになって龍也さんに美味しいよって言って貰えるようになるんだから!私はそう決心しフェイトちゃんに料理を教わり始めたが・・
「・・なのは・・もう少し頑張ろう・・」
焦げ焦げの目玉焼きを見ながら言うフェイトちゃんに
「うん・・頑張る・・」
私が龍也さんに料理を作れるようになるにはかなりの時間が掛かりそうです・・
「んー何買おうかな~」
私はヴィータとシグナムを連れて、デパートの中を歩いていた・・兄ちゃんとシャマルにリィンは新しい包丁やエプロンを探しに行ったので、その隙に兄ちゃんを追い詰める小道具を買いに来たのだ
「酒やね・・」
私が酒コーナーに歩いて行こうとするとシグナムが
「主はやて・・兄上は酒を好みませんが・・それでも買うのですか?」
そう尋ねて来るシグナムに
「うん、買う・・この酒を呑むのは兄ちゃんや無い、私達や」
そう微笑むと訳が判らないと言う表情のシグナムとヴィータに
「うふふ・・こういう計画や」
私が考えた作戦を2人に耳打ちすると、2人は耳まで真っ赤になりながら
「えええっ!?・・そ・・そ・・そんな事すんの・・わ・・私・・恥かしい・・」
スカートの端を持ちながらもじもじするヴィータに
「わ・・私は・・そ・・そんな事は出来ません・・」
首をプルプルと振るシグナムに
「あんな・・そりゃ・・私だって恥かしいで?・・でもなぁ・・私は知りたいんよ・・兄ちゃんが・・私達をどう思ってるのか・・」
自分で考えた作戦だが、これをやるのは相当勇気が要る・・でも実行するだけの価値があるのだ
「・・度数の低いので良いから何本か・・買ってと・・」
赤ワインや普通の酒を数本選び籠に入れていく・・必要な量を買った所で
「さてと・・こんなもんで良いやろ・・んじゃあ兄ちゃんと合流するで」
そう2人に言うと2人はまだ赤面しながら
「うう・・恥かしい・・でも兄貴が喜ぶなら・・でも気絶するかも・・」
もじもじと呟くヴィータに
「わ・・私も・・どうしてもやらないといけませんか?」
赤面しながら言うシグナムに
「ええか?・・女には時に自分から攻めなかん時がある・・それが今や、恥かしいとかの気持ちは捨ててまえ」
私だって恥かしいのにこうももじもじされていると決意が揺らぐ・・今回の休暇はこれをやる為に取った物なのだ・・私がそう言うと
「ううー判ったよ・・やるよ・・やってみるよ・・」
赤面しながら頷くヴィータと
「判りました・・これで兄上の気持ちが判るなら・・」
決心した表情で言うシグナムに頷き
「うんうん・・頑張ろう、皆でやれば怖くないやから」
私はそう言いながら移動を開始した・・私は手に持った酒瓶を見ながら
(待つのも良いけど・・良い加減・・兄ちゃんの気持ちが知りたいかんな・・)
この計画で兄ちゃんの気持ちを少しでも知れると思い、私は微笑みながらそのフロアを後にし洋服売り場に向かった・・
はやてが怪しい計画を立てる頃龍也は・・
「リィンは何を食べたい?」
夕食の材料を探していたりする、隣をチョコチョコと歩きながらリィンは
「う~んとですね・・そうだ!中華です!中華が食べたいです!!」
中華か・・それなら・・
「それじゃあ、海老とか野菜を買い足しに行こうか?」
材料はある程度家にある、だが足りない食材もある、だからそれを探しに行こうと言うとリィンは
「リィンが取ってくるです!何がいるんですか!」
笑顔で飛び跳ねながら言う、リィンの頭を撫でながら
「それじゃあ、海老とピーマンとニラに湯葉を取って来てくれるかな?私とシャマルは他の材料を探すから」
比較的覚えやすいもの物だけを取って来てくれと言うと、リィンは笑顔で走り出した・・私はその後姿を見ながら
「それじゃあ、シャマル他の材料を探しに行こう」
「はい、行きましょうお兄さん」
そう笑うシャマルと他の材料を探す・・
「まずは牛肉と・・次に鶏肉・・と」
牛肉は塊りの奴を選び、鶏肉は腿肉の柔らかく尚且つジューシーな物を選ぶ・・
「それと小エビっと・・これで終わりだな・・」
材料を集め終えた所で
「お兄様~集めてきましたよ~」
リィンがとことこと歩いてくる、手に持った籠の中身を見る・・ちゃんと言った材料が揃っている・・その籠を受け取り
「良し良し、ちゃんと1人で出来たな偉いな」
頭を撫でながら言うと
「んふふ~リィンは頑張ったのです!」
目を細めながら笑うリィンに私とシャマルが笑みを零していると
「兄ちゃん~私の買い物は終ったで~」
洋服の入った袋を抱き抱えたはやて達が歩いてくる・・
「良し・・買い物も終ったし帰ろうか?」
支払いを終え私達は家に向かって歩き出した・・
「お~これは何ですか?」
昼食を終え休憩した後、夕食の準備の為に調理器具を用意してるとリィンが目を輝かせながら尋ねて来る
「これは蒸籠と言うんだ、これで色んな飲茶(ヤムチャ)を作るんだ、さっ・・頑張って手伝ってくれよ」
エプロンを身に着けたリィンの頭を撫でながら言うと
「頑張るです!!」
胸を張りながら言うリィンの後ろから
「私も頑張ります!」
シャマルが握り拳を作りながら言うが、私はジト目で
「手伝うのは良いが・・言う通りにしろよ?」
シャマルは料理は出来るがオリジナルで作ると大変危険な猛毒になる・・だからそう言うと
「だ・・大丈夫です!ちゃんとお兄さんの言う通りにしますから!」
慌てながら言うシャマルに小エビとニラと白菜を渡して
「それじゃあ、小エビをフードプロフェッサーでミンチにした後、白菜とニラを刻んでそれに混ぜ合わせてくれ・・つなぎに卵を使えよ」
シャマルに指示を出すと笑顔で頷き調理を開始したシャマルを見ながら
「リィンは豚肉にたこ糸を巻いて置いてくれ」
リィンに豚肉とたこ糸を渡しながら言うと
「頑張るですよ~」
にこにこと笑いながら言うリィンを見ながら、調理を始める・・
「まずは・・牛肉を一口大に切って・・」
塊りの牛肉を食べ易いように一口大に切り・・筋切りをする・・そして
「これに醤油とラー油で味付けして・・湯葉で包んで・・蒸籠に入れると」
湯葉で牛肉を春巻きの様に包み込み、蒸籠に放り込む・・かなり長時間蒸す必要があるので1番最初に蒸籠に放り込んだ、私が蒸籠に入れ終えると同時にリィンが
「出来たですよ~」
ぐるぐる巻きにした豚肉を差し出してくるリィンからそれを受け取り、同じ様に蒸籠に放り込む
「これは何になるんですか?」
興味津々と言う表情のリィンに
「これはチャーシューにするんだ、その後に肉まんの具の中に刻んだチャーシューを入れて、チャーシュー入り饅頭にするんだ」
何を作っているのか説明しているとシャマルが
「こっちも出来ましたよ~」
シャマルが海老のすり身の入ったボウルを手渡してくる、それを受け取りながら
「良し・・上手く出来てるな・・これに塩・コショウを入れて・・醤油で味付けをしてと・・」
味付けはシャマルに任せられないので味付けをし、シャマルとリィンに餃子の皮を渡して
「良いか・・こうやるんだ・・」
海老のすり身を皮の中心に置き、その上に
「殻を剥いた海老を乗っけて・・皮が破けないように丁寧に包むと・・」
見本を2人の前に置いて
「こういう風にやってくれ・・初めてだから難しいと思うが・・最初はそんな物だ焦らず頑張れよ」
2人にそう言うと
「頑張るです!!」
「頑張ります!」
頑張ると言う2人を見ながら、買って来た野菜を刻み・・中華鍋に油を引いて
「よっと・・」
刻んだ野菜と挽肉を炒める・・
「味付けは・・甘めにと・・」
お子様のリィンとヴィータが居るので辛味を抑えた・・食べ易い回鍋肉を作りながら、横目で
「あれ・・上手く行かないです・・」
「で・・出来ました・・私でも出来たんです・・」
海老餃子を作っているリィンとシャマルを見ながら
(妹に料理を教える・・懐かしいな・・)
随分昔はやてに料理を教えていた頃の事を思い出し、笑みを零しながら、調理を進めた・・
龍也がシャマルとリィンに料理を教えている頃はやては・・
「今回は・・どんだけ兄ちゃんを騙せるかがポイントやね・・」
今回の作戦では酔ったふりをする必要がある・・幸いな事に私達はお酒に強い方だ・・そう簡単には酔わない・・それに酔ったと思わせた方が行動し易いのだ
「兄ちゃんの目を上手く騙せたら・・後は上手くそれを維持しながら計画実行するだけや・・」
私はそう呟きながらベッドに横になり
「本当はこんな事したないんや・・兄ちゃんを騙すみたいで・・」
そう本当ならこんな事はしたくない・・最愛の兄を騙すのは本当は嫌で嫌でしょうがない・・だが
「でもな・・知りたいんや・・兄ちゃんが私達の事を本当に妹としか見てないのかどうか・・」
私は唯真っ直ぐにずっとずっと・・兄ちゃんを見てきた・・勿論兄としてではない・・男としてだ・・だが兄ちゃんはどうだろう?・・私達の事を妹としか見てないのかどうなのか・・良い加減に知りたいのだ
「ごめんな・・兄ちゃん・・本当はこんな事したくないんやけど・・今回だけ・・今回だけ・・勘弁してや・・」
私は部屋に飾ってある兄ちゃんの写真を見ながら、そう呟いた・・もうすぐ計画が実行出来る・・シャマルには既に作戦を説明してある・・私達が動く頃にはリィンを連れて部屋に戻る手筈になっている・・丁度今頃ヴィータとシグナムも準備をしているだろう・・
「上手く行ったら良いな・・」
私は計画が上手く行く事を願いながら少しだけ眠る事にした・・兄ちゃん達より多く書類があったので疲れが溜まっていたのだ・・私は沈み行く意識の中・・
「兄ちゃん・・大好きやで・・」
写真の中で微笑んでいる兄ちゃんに向かってそう呟き・・眠りに落ちた・・
第109話に続く
今日はとりあえずココまです、この後にアンケートがあるのでどうかよろしくお願いします、なおこの次のアンケートは活動報告にも書いてありますのでどうかよろしくお願いします