夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです!今回は第112話までの投稿です。
最終話が143話なので後30話です。ここからは少し更新数を落として行きたいと思います。それでは今回の内容はこうなっています

第109話 はやての悪巧み
第110話 ティアナの悩み
第111話 チンク&ウェンディの話
第112話 ナンバーズ デート
でお送りします、それとアンケートの方はまだまだ募集していますのでどうかご参加頂けると嬉しいです


第109話

 

 

第109話

 

「で・・出来ました・・か・・感激です・・」

 

「出来たです~」

 

楽しげに言うリィンとシャマルの前に置かれたトレーを見る・・そこには大量の海老を丸々使った海老ギョーザが並んでいた・・私はそれを見ながら

 

「こっちも出来たぞ」

 

チャーシュー入りの饅頭、シューマイや海鮮饅頭に・・牛肉の湯葉包み・・春巻きに・・唐揚げ・・それと回鍋肉・・少々作りすぎた感があるがまぁ良いだろう・・その料理を見て目をキラキラと輝かせてるリィンに

 

「リィン・・1個味見するか?・・シャマルもどうだ?」

 

蒸籠から饅頭を2個取り出し尋ねると

 

「食べるです!!」

 

「はい・・味見します」

 

笑顔で言う2人に饅頭を渡し、代わりに海老ギョーザを蒸籠に入れてから

 

「所で・・はやては?」

 

姿の見えないはやての事を尋ねると、

 

「んーはやてか?・・なんか疲れたから少し寝るって言ってたぞ」

 

お風呂上りなのか髪を拭きながら言うヴィータに

 

「そうか・・判った・・もう直ぐ夕食だから・・起こして来よう・・シグナムは?」

 

同じく姿の見えないシグナムの事を尋ねると

 

「シグナムは今風呂だぜ・・兄貴・・シグナムは風呂好きだから長風呂になると思うから・・そんなに慌ててはやてを起こさなくても良いぞ」

 

そう言うヴィータに頷き、私ははやての部屋に向かって歩き出した・・

 

コンコン

 

一応ノックしてから

 

「入るぞ?」

 

そう声を掛けて部屋の中に入る・・はやては腕で目を隠して眠っていた・・私は苦笑しながら

 

「やれやれ・・布団くらい着ないと風邪を引くぞ・・」

 

そう呟きながらはやての枕元に腰掛け、部屋の中を見渡す

 

「変わってないな・・」

 

はやての部屋は殆ど変わっていなかった・・昔のままの姿をしていた・・机や布団カバーだけは変わっていたが・・

 

「これは・・まだあったのか・・」

 

昔・・シグナム達が現れる前・・2人だけで撮った写真、私はその写真を見ながら

 

「この時はまだ良かったな・・今みたいじゃなくて・・唯のお兄ちゃんっ娘って感じだったからな・・」

 

そう呟きながら寝ているはやての前髪を撫でる・・すると

 

「ん・・ん・・兄ちゃん・・」

 

寝言で私を呼ぶはやてに

 

「私と一緒に居る夢を見てるのか・・」

 

そう呟きながら寝ているはやての頭を撫でていると・・はやてが薄っすらと目を開く

 

「ん?・・兄ちゃん・・?・・もう朝・・?私1日寝てもうたん?」

 

寝ぼけながら尋ねて来るはやての頭を撫でながら

 

「違うよ・・もう直ぐ夕食だから起こしに来たんだよ」

 

そう言うとはやてはゆっくりと上半身を起こして

 

「んんーよう寝たわ~気分すっきり・・んでもってお腹空いたわ」

 

伸びをしながら言うはやてを見ながら立ち上がると、背中にずっしりとした重みを感じ、振り返ると

 

「えへへ・・兄ちゃん・・おんぶして」

 

にぱ~と笑うはやてに

 

「やれやれ・・仕方ないな・・」

 

私はそう呟き、はやてをおんぶしたまま歩き出した・・

 

「んー次、私がお風呂か・・なんなら一緒に入る?」

 

んふふ~と笑いながら尋ねて来るはやてに

 

「入らん・・1人で入って来い・・」

 

背中の上のはやてに言うと、はやては頬を膨らませながら

 

「ええ~つまんないやん・・偶には一緒にお風呂入ろうよ~」

 

私のコートを引っ張りながら言うはやてに

 

「駄目だ・・ほら・・早く入って来い」

 

風呂場の前ではやてを降ろし、私は居間へ戻っていた・・その後姿を見てたはやては

 

「・・やっぱ実行するしかないな・・兄ちゃんが悪いんやからな・・」

 

そう呟き風呂場へと入って行った・・

 

「んじゃあ・・頂きまーす!!」

 

はやてが風呂を出てから、夕食となった・・はやてはにこにこと笑いながら海鮮饅頭を頬張り

 

「はふ・・熱ちち・・んーでもおいひい・・」

 

熱い具に苦戦しながら食事を進めるはやてに

 

「あっ・・これ美味い」

 

牛肉の湯葉包みを齧りぽそりと呟くヴィータに

 

「やはり・・兄上の手料理が1番です」

 

にっこりと微笑みながら言うシグナムの姿を見ながら、リィンが作った海老ギョーザを口に運び

 

(うん・・美味しいじゃないか・・)

 

最近、リィンとアギトが料理に目覚めたらしく、よく教えてくれと言って来る・・良い傾向だから教えているが・・その度に昔を思い出し・・懐かしいと私は思う・・そんな事を考えてると、リィンが膝の上に座り

 

「あーん」

 

口を開くリィンに

 

「はいはい・・リィンは甘えん坊だな」

 

唐揚げを取り口に入れてやると

 

「んふふ~美味しいです~」

 

本当に嬉しそうに笑うリィンを見ながら、私は食事を続けた・・

 

 

 

 

(そろそろ・・やね・・)

 

蒸篭の中の料理が減って・・リィンがお腹一杯になったせいか、目を擦り始めた頃・・私が考えていた計画を実行するチャンスが来た・・私の考えてる事に気付いたのかシャマルが

 

「リィンはもう眠いんですね・・私も眠いですから・・もう寝ましょうか?」

 

そう言われたリィンは目を擦りながら

 

「はいです・・リィンはもう寝るです・・お兄様・・はやてちゃん・・お休みなさいです・・」

 

シャマルに連れられ部屋に戻って行くリィンを見ながら

 

「兄ちゃん・・今日くらいは・・飲んでも良いやろ?」

 

買っておいた酒瓶を持ちながら兄ちゃんに言うと

 

「・・何時買ったんだ?・・まぁ・・良いか・・あんまり羽目を外すなよ」

 

そう言いながらシューマイを口に運ぶ兄ちゃんの前のグラスに酒を入れると

 

「おい・・私は飲まんぞ・・弱いからな」

 

そう言う兄ちゃんを見ながら自分のグラスに酒を注いで

 

「んーでも私達だけで飲むのも詰まらないやろ?・・一杯だけで良いで付き合ってや」

 

そう言うと兄ちゃんは溜め息を吐きながら、グラスを取り

 

「私は一杯だけだからな?」

 

そう言う兄ちゃんに頷きながら

 

「うん・・それで良いで・・んじゃあ・・乾杯!!」

 

私は笑いながらグラスの中身を飲んだ・・久しぶりの一杯に加え、兄ちゃんと一緒というのが嬉しくて・・安い酒だが・・それはとても美味しく感じた・・ヴィータとシグナムも同じ様で本当に美味しそうに飲んでいた・・一方兄ちゃんは

 

「むう・・強い酒だな・・」

 

私達からすればかなり度数の低い酒だが・・兄ちゃんには強かったようでたった一杯でその顔は若干赤らんでいた・・私はその様子を見て

 

(上手く行きそうやね・・もう5~6杯飲んだら・・実行しよ・・)

 

そんな事を考えながら空になったグラスに再び酒を注いだ・・

 

「んん・・はふう~えへへ~兄ちゃん~」

 

ある程度飲んだ所で酔ったふりをしながら兄ちゃんに抱きつく・・すると兄ちゃんは

 

「だから・・飲みすぎるなと言ったんだ・・」

 

兄ちゃんも多少酔ってるのか、私が酔ったふりをしてるとは気付いてないようだった・・私は好都合と内心微笑みながら、上着のボタンを外す・・もちろん完全に外しはしない・・別に完全に脱いでも良いのだがそうなると兄ちゃんが気絶する可能性が出てくるからだ・・下着が僅かに顔を見せる程度の所で止め、兄ちゃんに下着を見せつけるように

 

「なぁ・・兄ちゃんは~私の事どう思ってるんよ~私は・・好きや・・ううん大好きや・・誰よりも何よりも・・ひっく・・兄ちゃんが大好きや」

 

胸の間に兄ちゃんの腕を挟みこみながら上目目線で言うと

 

「うっ・・うわ・・」

 

耳まで真っ赤にし・・私から視線を逸らそうとする兄ちゃんの顔を両手で挟みこんで

 

「なんでそっぽ向くんよ・・やっぱ・・兄ちゃんは私が・・ひっく・・嫌いなんか?」

 

業と泣き出しそうな声で言うと、兄ちゃんはうろたえながら

 

「い・・いや・・嫌いじゃない・・嫌いじゃないんだ・・」

 

動揺しながら言う兄ちゃんに罪悪感を少し感じたが・・

 

(兄ちゃんが悪いんや・・何時までも何時までも・・私を待たすから・・好い加減・・本当の気持ちを知りたいんや・・)

 

そう呟きながら一瞬、ヴィータの顔を見る・・私が何を言いたいのか理解したヴィータは顔を真っ赤にしながら・・私と同じ様に服を脱ぎながら、兄ちゃんに抱きつき

 

「兄貴・・わ・・私は・・どうなんだよ~・・ひっく・・嫌いなのか~最近は昔みたいに一緒に寝てくれないし・・私・・ぐす・・兄貴に嫌われるようなことしたか・・?」

 

ヴィータは割とこういうのが得意なのかもしれない・・泣きながら言われた兄ちゃんは・・完全に平常心を失ったようで・・

 

「いや・・いや・・ち・・違う違うぞ!!ヴィータ・・私はお前の事を嫌ってなんか無いぞ!!だから泣くなよ・・なっ!」

 

完全にてんぱってる兄ちゃんにヴィータは目を真っ赤にしながら

 

「んじゃ・・なんで前みたいに一緒に寝てくれないんだ?・・わ・・私は・・兄貴と一緒に寝ると・・安心出来るのに・・何で何時も駄目って言うんだよ・・」

 

上目目線で兄ちゃんの胸元に抱きつきながら言う、ヴィータに兄ちゃんは

 

「いや・・その・・ヴィータが・・その・・綺麗に成り過ぎて・・緊張すると・・いうか・・何と言うか・・」

 

しどろもどろに言う兄ちゃんの言葉を聞きながら、シグナムの方を見る・・今兄ちゃんは・・大分精神的にダメージを受けてる・・ここのシグナムも加われば・・好い加減本心を聞けるかもしれない・・私の言いたい事を理解したシグナムは後ろから兄ちゃんに、その大きな胸を押し付けながら

 

「兄上・・前に言いましたよね・・私が兄上の事を好きだって・・ひっく・好い加減に返事をお聞かせください・・」

 

兄ちゃんは耳所か首筋まで真っ赤になり

 

「あ・・ああ・・そ・・その・・いや・・まだ・・時間を・・」

 

そう言って私達を引き離そうとする兄ちゃんに・・そうはさせないと全力で兄ちゃんに抱きつく

 

「うあ・・ああ・・その・・わ・・私は・・はやて達の事は好きだが・・」

 

この言葉を聞きたかった・・私達は兄ちゃんの方を向いて・・目を閉じ・・こういう時に涙は自然と流せ事を初めて知った・・私は流しながら

 

「好きって言うなら・・証拠が欲しいわ・・それとも妹にはキス出来ん?」

 

この体勢を見れば・・どれだけ鈍感でも判るだろう・・目を閉じてるので兄ちゃんの表情は判らないが・・声だけはちゃんと聞こえていた

 

「・・あ・・うう・・証拠・・?それは・・その・・酔ってる・・よな・・それじゃあこの事は覚えてないよな・・ええいっ!!1回・・1回だけだからな!!」

 

兄ちゃんは私達が酔ってると思い込んでるようでそう呟いてから、私の頬に軽く触れるだけのキスをしてくれた・・頬なのが少し癪だったが兄ちゃんからの初めてのキスだった・・兄ちゃんは

 

「うう・・はやて達は・・その・・私にとって・・家族で・・でも1番近くに居る・・異性で・・その・・意識しない筈が無い・・はぁ・・酔ってて良かった・・こんなのはやて達に知られたら・・私は終わりだ・・」

 

ぶつぶつと呟く兄ちゃんの言葉を聞いて、私は思いっきり兄ちゃんに抱きついた・・それは私だけでは無くシグナムとヴィータも同じ様だった・・だが・・それは間違っていた・・良く考えるべきだった・・私達は兄ちゃんを動揺させる為・・下着が見えるようにしていた・・つまり・・

 

「えっ・・えううう・・きゅう・・」

 

刺激がどうやら強すぎて兄ちゃんは目を回して気絶してしまった

 

「あちゃー・・もうちょい考えて行動すべきやったなぁ・・」

 

上着のボタンをしながら私はそう呟いた・・兄ちゃんは女の子に対する免疫が低い・・それを計算すべきだった・・

 

「んーえへへ・・兄貴~」

 

気絶してる兄ちゃんを抱き抱えて楽しそうに笑っているヴィータに

 

「・・多分兄ちゃん、明日になったら今日のこと忘れてるで」

 

そう言うとヴィータは

 

「ええ~ッ!!何で!?」

 

訳が判らないと言う表情で尋ねて来るヴィータに

 

「兄ちゃんはな・・昔からショックな事があると・・それに関する記憶を自分で消去する癖があるんよ」

 

昔・・なのはちゃん達と出会った頃だろうか・・兄ちゃんとお風呂に入ってる時にタオルが取れて兄ちゃんに全裸を見せてしまった事があった・・次の日妙に気恥ずかしくてもじもじしてると、兄ちゃんはその時の事を丸々忘れていた・・だから今回の事も忘れてるだろうと言うとシグナムは

 

「それでは・・恥かしい思いをして・・こんな事をした意味が無いではないですか・・」

 

がっかりした声で言うシグナムに

 

「意味はあるで?・・少なくとも兄ちゃんは私達の事を異性として見てくれてるって事が判ったやろ?・・そんで充分収穫があったわ」

 

兄ちゃんは私達が酔ってると思って自分の本心を話してくれた・・それで充分だ・・

 

「妹としか見られてないなら・・私達は終わりやろ?・・でも兄ちゃんは私達の事を異性をして意識してくれてる・・そんで充分や」

 

兄ちゃんは自制心が凄く強いから、そんな事は表面に決して出さないが・・やはり内面では私達の事を意識してくれていた・・それで充分・・後は時間を掛けて兄ちゃんの意識を変えれば良い・・私はそんな事を考えながらヴィータに

 

「なぁ・・ヴィータ・・兄ちゃん部屋に連れて行こう・・このままや風邪引いてまうで」

 

そう言うとヴィータは頷き私と同じ様に兄ちゃんを抱き上げ・・私に

 

「部屋に連れてくだけか・・一緒に寝ちゃ駄目なのか?」

 

一緒に寝たいと言うヴィータに

 

「良いに決まってるやん、久しぶりに兄ちゃんに抱きついて寝よ・・シグナムはどうする?」

 

振り返り尋ねるとシグナムは顔を真っ赤にさせながら

 

「・・その・・大変魅力的な提案なのですが・・恥ずかしいので辞退します・・」

 

そう言って自分の部屋に歩いて行くシグナムを見ながら、兄ちゃんの部屋に向かった

 

「「よいしょっと・・」」

 

兄ちゃんをベッドに横にし・・その両隣に寝転び

 

「ん・・へへ・・暖かい・・」

 

兄ちゃんの腕を抱き抱えるように抱きつく・・反対側を見ると

 

「ん・・兄貴の匂い・・それに暖かい・・凄く安心する・・」

 

目を細め兄ちゃんの腕を抱きしめてるヴィータを見ながら

 

(兄ちゃんは・・やっぱり・・私達の事を意識してくれてた・・えへへ・・嬉しいわ)

 

兄ちゃんの腕を確りと抱きしめ・・良く考えれば兄ちゃんが最近一緒に寝てくれないのは・・妹としてではなく確かに異性として認識してくれてる証拠でもあったのだ・・これが判れば充分なのだ・・少なくとも私達はなのはちゃん達より兄ちゃんの心の深い場所に居る・・それが判って安心した・・私は兄ちゃんの体温を感じながら

 

(今日は・・良い夢が見れそうや・・)

 

私は眠りに落ちて行った・・

 

第110話に続く

 

 


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