夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第116話

 

第116話

 

「酷い有様だな・・」

 

私は六課に着くなりそう呟いた・・もう既にこれは廃墟と言っても良いだろう、無事な建物が何一つない事に私がショックを受けてると

 

「旦那・・待ってたっすよ・・」

 

瓦礫の影からヴァイスが姿を見せる、ヴァイスは

 

「旦那、部隊長達はもう此処には居ないっす・・幸いなことにFW陣や隊長陣で出た怪我人は居ないっす・・隊員や一般職員は怪我人だらけっすけど・・」

 

苦笑するヴァイスは私の横に歩いて来て

 

「旦那・・部隊長達はアースラに向かいました・・俺も後で行くんで先に行ってて下さい・・」

 

そう言うヴァイスにジェイルが

 

「ヴァイス君・・君も一緒に来れば良いだろう?」

 

そう言われたヴァイスは

 

「俺も一緒に行きたいっすけど・・まだ後1人伝言を伝えないといけないんで此処で待ってるすよ・・ラグナと一緒に」

 

ヴァイスが指差した方には瓦礫に腰掛けるラグナの姿があった・・私はラグナを見ながら

 

「判った・・ではアースラで待ってる・・ハーティーンが来たら一緒に来てくれ」

 

そう言ってゲンヤさんの運転する車に再度乗り込み、移動を再開した・・走り始めて30分後、私達はアースラの前に来ていた、私が車から降りると

 

「兄ちゃん!!大丈夫やったか?怪我とかしてへんか?」

 

駆け寄ってくるはやてに

 

「私は大丈夫だ、勿論ジェイルも無事だ」

 

車から降りたジェイルは

 

「はやて君・・チンク達は?」

 

真っ先に自分の娘の事を尋ねるジェイルにはやては

 

「はい、チンクさん達は無事です・・ただちょっと・・魔力を使い切ってへばってますけど・・怪我とかはしてへんですよ」

 

ジェイルはやっと安心したと言う表情になった所でゲンヤさんが

 

「じゃあ俺は戻る・・ギンガ達が心配だからよ・・」

 

そう言って車に乗り込み走り去ったゲンヤさんを見てるとはやてが

 

「兄ちゃん・・皆待ってるで行こ」

 

私はその言葉に頷きはやて達と一緒にアースラに乗り込んだ・・

 

(懐かしいな、ここに来るのは何年ぶりだ?)

 

私はアースラの中を見ながらそう呟いた・・ここには様々な思いでがあった・・護れた者・・護れなかった者・・出会いと別れ・・色んな事があった・・私がそんな事を考えてるとはやてが

 

「アースラに乗るのも久しぶりやね」

 

「そうだな」

 

2人でそんな事を話しながらブリッジに向かう・・そこにはなのは達が待っていた・・皆無事の様で私が一安心してるとはやてが

 

「兄ちゃんが艦長席に座ると良いで」

 

そう笑うはやてに首を振りながら

 

「いや・・私では役不足だ・・ここに座るのはお前だ・・はやて」

 

私がそう言うとはやては

 

「でも・・兄ちゃんの方が適任やと思うんやけど・・?」

 

渋るはやて・・私はなのはとフェイトを見る・・2人は私が何を言いたいのか理解したようで歩いて来て

 

「でも、はやてちゃんにはそこに座る義務があるんだよ?」

 

「今そこに座れるのははやてだけなんだから」

 

「ちょっ、なのはちゃんフェイトちゃん待ってって!!」

 

なのはとフェイトに背中を押され艦長席に座ったはやては

 

「しゃあないなぁ・・んじゃあ・・私がここに座らせて貰うわ」

 

そう言って艦長席に腰掛けたはやては

 

「じゃあ疲れてる所悪いけど・・これ見て」

 

アースラのモニターにクラナガンの市街の拡大図が映る・・そこには7箇所の建物が魔法陣を描くように並んでいた・・それを見たジェイルは

 

「これは・・龍也・・遺跡にもこれと同じ魔法陣が書かれていた・・これは・・魔法陣の中に魔道師のリンカーコアを奪い取る物だ・・」

 

そう教えてくれるジェイルになのはが

 

「リンカーコアを奪う?・・そんな事になったら大変じゃないですか!!」

 

慌てるなのはにジェイルは

 

「大丈夫だ・・これは発動までとにかく時間が掛かる・・今日発動したという事は後1週間の猶予がある・・だが言い換えれば・・1週間経てば全てが終ると言うことだ」

 

その言葉にスバルが

 

「それじゃあ!直ぐに行ってダークマスターズを倒さないと!!・・つぅ・・」

 

苦しそうに蹲るスバルに

 

「出来る事ならそうしたい・・だが今は私達自身の傷と魔力を回復させなければならない・・今は休む時だ・・判ったな・・スバル・・いや・・スバルだけじゃない・・皆もだ」

 

私がそう言うとゆっくりと頷くなのは達・・今戦いに行っても負けるだけ・・だから今は休む時なのだ・・私はそんな事を考えながらはやてに

 

「はやて・・六課の中で重傷者は?」

 

私がそう尋ねるとはやては表情を曇らせ

 

「ザフィーラと・・ヴィヴィオが重体や・・ザフィーラは全身を切り裂かれて・・ヴィヴィオは限界まで魔力を吸い取られて意識不明や・・兄ちゃん!駄目や!!」

 

ガシッ!!

 

私が自分の拳を壁に叩き付けようとする前に、慌ててはやてが艦長席から立ち上がり私の腕を掴む・・だがそれでも完全に止めれる訳が無く私がもう1度拳を振りかぶろうとすると

 

「兄貴!そんなことしても何にもなんねぇよ!!・・だから・・止めてくれよ!!!」

 

ヴィータが私の前に立つ・・私は涙目の2人に

 

「・・すまない・・」

 

そう言って拳を降ろすとティアナが

 

「すいません!!私が・・何にも出来なかったから!!ヴィヴィオが・・私の・・私が・・「いや・・良いんだ・・ティアナの所為じゃない・・」

 

泣きそうなティアナの頭に手を置きながらはやてに

 

「面会も出来ないのか?」

 

面会が出来ないのか?と尋ねるとはやては首を振りながら

 

「うん・・残念やけどできへんみたいや・・」

 

そう言うはやてに頷き、私は

 

「そうか・・判った・・これで話は終わりだ・・皆疲れただろう・・休んでくれ・・ではな・・」

 

私はそう言ってブリッジから出て行った・・ブリッジから出て行く龍也を見ていたフェイトは

 

「・・龍也は怒ってる・・何にも出来なかった自分に・・」

 

そう呟く・・その声を聞いたシグナムは

 

「そうだな・・だが・・それは私達も一緒だ・・何も出来なかった・・だが失敗は自分の行動で取り戻せば良い・・兄上の言うとおり・・今は休む時だ・・判ったな・・」

 

シグナムの言葉に頷きスバル達もブリッジから出て行った・・その頃ハーティーンは六課の跡地に居た・・

 

 

 

「ハーティーン!!」

 

俺は駆け寄ってくるラグナに

 

「怪我は無いか?」

 

そう尋ねるとラグナは笑いながら

 

「私は大丈夫だよ!!それよりハーティーンは?」

 

俺はラグナの頭を撫でながら

 

「問題ない・・それより守護者達は?」

 

ラグナが答えようとする前にヴァイスが

 

「旦那達はアースラって言う艦の所に居るぜ・・俺達ももっと早く行く予定だったんだけどな・・お前を待ってたんだよ」

 

心なしか不機嫌そうなヴァイスに

 

「そうか・・すまない・・俺の所為で」

 

俺が謝るとヴァイスは信じられない物を見たという表情になる、俺は

 

「何だその顔は?」

 

ヴァイスは頭を掻きながら

 

「いやよ・・お前が素直に謝るなんて思ってなかったからよ・・まぁこれはどうでも良いか・・所でお前何処に行ってたんだ?」

 

俺は溜め息を吐きながら

 

「王龍の所に行っていた・・もしかしたら使えるかも知れないと思っていたんだが・・やはり駄目だった・・」

 

俺がそう言うとラグナが

 

「王龍?・・確かハーティーンのデバイスだよね?・・まだ駄目だったの?」

 

ラグナには全てを話していた・・自分が王龍に拒絶されてる事など・・全てをだ俺はラグナの頭を撫でながら

 

「俺はもう過去の俺とは違う・・だから王龍は俺を認めてくれないんだ・・」

 

俺は1度デクスになった、それが原因だと俺は思っている・・王龍はネクロを倒す為に作られたデバイス・・だから俺を主だと認めてくれないのだろう・・俺がそんな事を考えてるとラグナが

 

「大丈夫だよ!きっと・・また使えるようになるよ」

 

笑いながら言うラグナに

 

「そうだな・・いずれまた使えるようになるだろうな・・ありがとうラグナ・・少し元気が出た・・」

 

俺がヴァイスにそう言うと

 

「ヴァイス、俺をアースラに連れてってくれ」

 

「判ってる・・んじゃあ着いて来いよ」

 

そう言ってバイクに跨るヴァイスの後を追って俺はバイクを走らせた・・ちなみラグナは俺のバイクの後ろに乗っていた・・ヴァイスは自分のバイクにラグナが乗ってくれない事にショックを受けていたようだった・・

 

 

 

「みんなおそろいやな」

 

「失礼します」

 

ネクロ達の襲撃から3日後、私達はジュエルシード事件に協力した時に紹介されたブリーフィングルームで今後の方針が決まるまで待機していた、3日の間に傷も癒え魔力も回復した・・そしてはやてとグリフィスが来たという事は

 

「これからの方針がやっと決まったんよ」

 

「地上本部の今回の事件への対応ですが、人員が不足し大きく後手に回っています・・」

 

ネクロ達の行動は素早かった・・上位の者が目的地を破壊し、下位の者が邪魔者を排除する・・的確で素早かった・・私がそんな事を考えてるとはやてが

 

「せやから私達がやるのは、7箇所の魔法陣維持装置の破壊と、ジオガディス・・そして街に陣取ってるディアボリックとホーネット達の殲滅や・・」

 

やはりか・・正直な所LV3、4に対抗できるのは私達しかいない・・予想通りの展開だな・・

 

「こういう感じで行こうと思うんやけど・・なのはちゃん、フェイトちゃん・・それに兄ちゃん・・なにか意見ある?」

 

そう尋ねてくるはやてにまずなのはが

 

「私はこれで良いと思う・・武装隊の人じゃ、勝てないから民間人の護衛に回ってもらった方が良いと思う」

 

「私もそう思う」

 

計画に賛同する2人を見ながら私は

 

「私もそれで良いと思う・・だが・・7箇所に居るダークマスターズ・・そしてディアボリックとホーネットの件はどうするんだ?」

 

ジオガディスは私とセレスで良いだろう・・では他は?・・私がそう思い尋ねるとはやてはモニターを出し

 

「今の所に何処に誰が居るかは判ってへん・・その場所に発生してる魔力から大体の予測をつけたんや・・7箇所に居るのは、ルキルメスとその一派、ランレ・デルーパ、ヴェノム、ヘルズ、それと名前が判らない3体・・計7体や・・これはFW陣と隊長陣にやって貰おうと思ってる・・」

 

私はその話を聞いて

 

「無茶だ!LV4にスバルやチンク達が勝てる訳が「八神!」・・チンク?」

 

私が勝てる訳無いと言い掛けた時、チンクが私を見て怒鳴る・・チンクは私の目を見て

 

「八神、お前は私達を信用してないのか?」

 

「そんな事は無い」

 

私が直ぐに返事を返すとチンクは

 

「いいや、お前は私達の事を信用してない!私達はお前の足手纏いにならないように頑張ってきた!!それなのに・・何故そんな事を言う!!お前の心配してることは判る、私達が死ぬんじゃないか?そう思っているのだろう・・大丈夫だ私達は死なない!絶対にだ!」

 

チンク・・いやチンクだけじゃない・・ここに居る全員が頷く・・私はチンク達を見て

 

「・・すまない・・そうだな・・判った・・お前の言うとおりだ・・チンク・・」

 

私は要らない心配をしていたようだ・・そうだチンク達が負ける訳が無いんだ・・

 

「ん、話は決まったな・・んで今考えてる7箇所に向かうのは、スバル、ティアナ、ノーヴェ、ゼストさん、ヴィータ、シグナム、なのはちゃんとフェイトちゃん、スカリエッティさん、エリオ、キャロ、ルーテシア、それとハーティーンや・・今はまだ判ってへんけど・・出来るだけ何処に誰が居るか調べるで・・何処に誰が行くか決めるのはまだ後や・・んで街に向かうのは、私とチンクさん、セッテ、ディード、オットー、ウェンディ、ディエチ、トーレさんやね・・クアットロとウーノさんはここに残って貰って戦況を見て貰うつもりや」

 

はやての作戦を聞いた私は

 

「そうだな・・それが1番ベストか・・それで作戦実行はいつだ?」

 

私がそう尋ねるとはやては

 

「2日後や・・それまでは皆ゆっくり休んでな・・私達の全てが掛かってるんや!・・負けは許されへんで?・・それじゃあ・・解散!!2日後まで確り身体を休めておくこと!これは部隊長命令やからな!!」

 

そう笑いながら言うはやてに頷きその場は解散となった・・そして決戦前夜・・私は自分の部屋で瞑想をしながら呼んでいた人物達が来るのを待っていた・・予定の時間から5分ほど過ぎた頃私の部屋の扉を叩く音がする・・私は閉じていた目を開きながら

 

「鍵は開いている・・入って来てくれ」

 

扉が開き4人の男女が姿を見せる・・レジアスとジェイルにクロノとリンディさんだ・・決戦の前にどうしても頼みたい事があると言って無理に来てもらったのだ・・私は立ち上がりながら

 

「忙しい所すいません・・ですがどうしても話しておきたい事があったので」

 

私がそう言って頭を下げるとレジアスが

 

「ワシ達だけで良いのか?・・はやてとか・・なのは達は良いのか?」

 

そう尋ねてくるレジアスに

 

「この話はなのは達には教えないで欲しいのです・・これから聞く話はどうか貴方達の胸の中にしまっておいてください」

 

そう言ってから私は自分の胸中を語った・・私が話し終えるとクロノが

 

「ふざけるな!!幾らお前の頼みでもそんな事を聞けるか!!」

 

そう怒鳴るクロノの隣でジェイルが

 

「・・判った・・引き受ける・・「スカリエッティ!!貴様何を言ってるのか判ってるのか!!」

 

頷きながらそう言う、その言葉を聞いたクロノはジェイルに詰め寄りながら怒鳴り声を上げるが

 

「君こそ何を言ってるのかわかってるのか?・・君は龍也を信じないと言っているんだ・・だが私は違う、龍也なら絶対そんな事にならないと信じている!」

 

その言葉にクロノは苦しそうに顔を歪め

 

「・・くっ・・判った!・・判ったよ!!僕も引き受ける!だがな!!絶対に死ぬなよ!!」

 

そう言って部屋を出て行くクロノの後姿を見てるとリンディさんが

 

「1つだけ聞かせて・・・どうして私達にそんな事を頼んだの?」

 

そう尋ねてくるリンディさんに

 

「こんな事を頼めるのは貴方達にしか居ないと思ったんです・・」

 

私がそう言うとリンディさん達は

 

「仕方ないわね・・そこまで言われたら引き受けるしかないわね・・でも・・出来ればやりたくないわね・・フェイト達に恨まれそう・・」

 

「そうだな・・はやて達に恨まれそうで怖いな・・だがワシも引き受けよう」

 

そう言って出て行くリンディさん達・・私は1人になったブリーフィングルームで

 

「絶対に死ぬな・・か・・クロノにそんな事を言われるとはな・・」

 

私はそう呟き座子に腰掛けながら

 

「悪いが・・クロノ達には貧乏くじを引かせてしまうな・・だが・・こうするしかないんだ・・」

 

私はそう呟きブリーフィングルームを後にした・・私が力を得る為に払った対価・・それを払う時が来た・・私はこの運命から逃れる事は出来ないのだから・・

 

第117話に続く

 

 

 

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