第11話
六課に到着したのは、現場を離れてから20分後のことだった。後に気付くがあそこから此処までなら10分程で着くらしいのだが。道がわからない為、フェイトに道案内を頼んだのだ。がどうやら長くバイクの横で乗って居たかったらしく態々遠回りをしたらしい
「さてと、到着したな。早く降りてくれ。待機状態に戻すからな」
二人が降りてから、待機状態のペンダントに戻す。だがこの時に気付くべきだったのだ、なのはとフェイトの目の色が可笑しい事を
「遅いなぁ~兄ちゃん」
入り口の所で待っている、帰るからと連絡があってから20分は経っている。あそこなら10分程で帰って来れるはずなのだが
「何か、トラブルでもあったんか?」
何かあったのかと考えていると、龍也が入ってくるのが見えた
「あっ!兄ちゃん、おそかっ・なぁ兄ちゃん、なんで背中になのはちゃんとフェイトちゃんがしがみついとるのか説明してくれへん?」
疲れた様子の龍也と半比例して、嬉しそうな顔で背中にしがみついているなのはとフェイトに怒りを覚える
「はやて。助けてくれ。離れてくれないんだ・・・」
その余りに消耗した言い方に、何度か離れるように言ったらしい
「なのはちゃん、フェイトちゃん、知っとるか?人の物に手を出したらあかんのやで」
「はやて・・?」
助けてくれず、なにか違うことに怒っているはやてに疑問を持つ
「はやてちゃん、龍也さんは物じゃないだよ」
「その通りだよ、龍也は物じゃないよ」
三人を中心に凄まじいプレッシャーが発生する
「何だ?如何してこうなった?」
龍也に呟きに返事を返してくれる者は居なかった
「どうして、こうなってるんだ?」
現在背中になのは、フェイト、はやてがぶら下っており、背中から指示を出され部隊長室に向かっている龍也。まだ朝が早いからか人影は偶にしか見ないが、背中にぶら下っている三人と私の顔を見比べながら擦れ違っていく。
(なんだ異様な気配を感じる・・)
擦れ違う男性職員から嫉妬の視線が放たれている、はやて達は言うまでも無く美人だ。それが三人とも抱きついている龍也に嫉妬の視線を向けるのは当然だが・・
(やはり、まだ正式配属前の私が居るのが不味いのだろうか・・?)
やはりここでも見当違いの事を考えながら部隊長室へ歩いていった
「やっと・・着いたか」
数々の嫉妬の眼差しを擦り抜け、到着した頃に酷く消耗していた。ちなみに龍也はその視線が嫉妬のよるものだと気付いていない
「いや~おんぶして貰うなんて、久しぶりやったから。なんか嬉しいわ~」
ほのぼの言うがその為に龍也の精神は可也磨り減っている
「でも、いつ帰ってきたんですか?」
なのはが向かい側に座りながら言う、部隊長のソファーで、龍也の隣に誰が座るかでまた一悶着が合ったが。結局妹だからという理由ではやてが隣に座っている
「昨日の夜だな、所でリンディさんに連絡取れたか?」
「うん、でも正式に兄ちゃんが六課に入れるのは明日かな」
前に座っていたなのはとフェイトがソファーから身を乗り出しながら
「龍也「さん」六課に入るんですか?「入るの?」
「ああ、何だったか?特別遊撃隊だったかの隊長になるらしい」
それは龍也の誰とでも即座にコンビを組める、順応性からリンディが考えた部隊である、聞き覚えの無い部隊に首を傾げる二人に説明する
「誰でも部下として行動させることが出来る権限らしい。だから有事の時にはシグナムやなのはを隊員として扱えるらしい」
頷いているなのはとフェイトの座るソファーの影に隠されている書類の山を見つける
「はやて?私の見間違いなら良いのだが。やってない書類がある様に見えるんだが」
ピシリとはやてが固まる
「嫌やな、それは今からやる分やで?」
冷や汗を流しながら答えるはやて、
「そうか・・それなら良いがちゃんとやらないと活けない事はやれよ。勿論二人もな」
なのはとフェイトを見るが二人も目を逸らす。どうやら書類が溜まっているようだ、溜め息を吐きながら立ち上がる
「どうしたん?」
書類をやり始めたはやてが尋ねると
「まだ、朝食も食べてないだろ?今から仕事を頑張る。はやて達に朝食でも作ってやろうかとな」
目の色が変わる、なのはとフェイト
「本当ですか?」
凄い形相で迫るなのはに押されながら
「ああ」
返事を返すと凄まじい速さで部屋から、二人は飛び出していった
「何だったんだ?」
「さぁ?」
はやても首を傾げている、日常的に龍也の料理を食べれるはやては気付いてないが、龍也の料理の腕はレストランのコックと比べても負けないくらいの腕なのだ。
「まぁ。良いが、はやてリィンを呼んでくれないか?」
「うん?なんでリィンを呼ぶんや?」
書類と格闘しながらはやてが尋ねる
「いや、案内が無いと道が判らんからな。道案内を頼もうと思ったんだが・・」
「ああ、そうやな。じゃあリィンを呼んで、ここの厨房を使える様に連絡しとくわ」
暫く待って、リィンが来てからはやての部屋から出て行った
「所で何故、リィンは私の背中にぶら下ってるのか聞きたいのだが?」
態々ズボンを履いてからアウトフレームになって、背中にぶら下っているリィンに尋ねると
「お兄様の背中はリィンの指定席なんですよ~」
ニコニコと笑う末妹に苦笑しながら、食堂に向かって行った
「さてと、何を作るかね?」
食堂に入るとはやての話が通っていたのか直ぐに厨房に立つことが出来た。
「ふーむ。やはり書類を遣りながらだからな。サンドイッチが良いかな」
「お兄様、頑張るですよ」
厨房に隣接している、席に座っているリィンに苦笑しながら調理を始める。パンを軽く焼き、ベーコンを取り出し炒める。更に両面を焼いた目玉焼きとベーコン、更にレタスを挟みサンドイッチを作る。更にこれだけではなくチーズとトマトのサンドイッチに。ザフィーラの朝食用に持ってきていた、昨日の残りの魚のムニエルと卵のサンドイッチを作っていく。ザフィーラは既に朝食を摂っていた為食べなかった
「美味しそうです~」
サンドイッチを見ながら目を輝かせているリィンに
「味見してみるか?」
一つサンドイッチを手渡し
「良いんですか?有難うです~」
満面の笑みでサンドイッチを食べ始めたリィンを見ていると、幼い頃のはやてを思い出し。知らずと笑顔になりながら調理を進める
「さてと・・後は紅茶だな」
ポットに紅茶を入れる
「さて、リィン手伝ってくれるか?流石に一人で運ぶのは大変だからな」
作り終えたサンドイッチは7人分はある、更に紅茶入りのポットいくら龍也でも、一人で運ぶのは無理だろう
「わかったです~。リィンがポットを運ぶですよ」
作ったサンドイッチを皿に盛り、ラップを掛けてから運びやすい様に袋に入れる。
両手にサンドイッチを入れた袋を持って、リィンと共に食堂を後にした
「リィン、此処からだと何処が一番近い?」
「う~んとですね、スターズの隊長室が近いですよ」
スターズ。なのはとヴィータか・・・あの二人は不安だな。龍也に記憶ではなのはは国語が苦手で、ヴィータは騎士の知識は豊富だが日常常識が欠けている所がある。
「大丈夫なのか?」
不安と共にスターズの隊長室に向かって行った
「う~、こんな事ならもっと早くやって置けば良かった」
あたしは大量の書類に囲まれながらぼやいた。黒騎士と言っても兄貴だが。それの事を調べるのに書類仕事を怠けていたので、大分書類が溜まっている、チラリとなのはの方を見る
「どうしよう・・・」
なのはの方もあたしと同じ状況だ、手伝いは頼めない
(兄貴が来たら、怒るよな・・)
兄貴は基本優しいが。やらないといけない事をやってないと怒るのだ。しかも感情を荒げて怒るのではなく静かに怒るためなお怖い
思い出したら体が震える。昔兄貴に怒られたことを思い出したのだ、なのはの方も顔が青い、なのはも怒られたことを思い出したのだ
「なんとしても兄貴が来るまでに少しは減さねぇと」
気合を入れて書類に取り掛かろうとした所で
プシュッ!!
扉が開き兄貴とリィンが入ってくるが、机の上の書類を見て驚きと言った様子で
「やはり、隊長ともなると仕事が多いんだな」
(!?兄貴、これが普通の量だと思ってるのか?)
なんとか誤魔化せるかと言う考えが過ぎる
「そうですよ~特にネクロが出たときは書類が増えるんですよ~」
リィンが兄貴に見えない角度で目を閉じる
(リ、リィン)
末の妹の心遣いに感動していると兄貴が机の上に皿を置く
「朝食を持って来た、これを食べて頑張ってくれ」
目の前に置かれたのはサンドイッチだ。色取りも鮮やかで見た目で食欲をそそる
「兄貴有難う、食べてもっと頑張るよ」
兄貴を騙している様で気が引けるが目の前のサンドイッチの誘惑に勝てず、口に運ぶ
「「美味しい!!」」
なのはと同時に呟く。兄貴はその様子に嬉しそうに目を細め
「飲み物は紅茶だが、ストレートかミルクか?どっちだ」
紅茶が入っているだろう、ポットを掲げる
「「ミルクで」」
これもまた同時だ。兄貴はその様子が面白かったのか笑っている。笑われていることで顔が赤くなる
「クスクス、ミルクだな。了解」
カップに入れた、紅茶に手際よく砂糖とミルクを加え、サンドイッチの皿の横に置く
「お代わりは、其処のポットに入ってるからな。じゃあ仕事頑張れよ」
頭に手を置きぐりぐりと撫でる、昔はこれが嫌だったが何故か今はこれが嬉しく思う。兄貴が此処に居るって実感できるからだ
「さて。次はシグナム達だな」
兄貴が部屋から出て行き、持って来てくれた朝食を食べる。やる気がどんどん沸いてくる。
この日なのはとヴィータの書類整理は今までで最高の速さを記録したらしい
第12話に続く