今回は、にじファンで公開していた。話全部を投稿したいと思います。
内容はこうなっています
第133話 王の目覚め
第134話 邪悪なる神の復活
第135話 ジェイルVSネクロ
第136話 ヴェノム&ジェイルVSバロン
第137話 龍也無双
第138話 龍也VSカオス
でお送りします、アンケートの結果は今日の活動報告で発表します、参加していただきどうもありがとうございました
第133話
不思議な感覚だ・・流れる水の上を漂っているような不思議な感じだ・・私にはそれしか判らなかった・・目を閉じているのか、開けているのか・・上を向いているのか下を向いているのか・・それさえも判らなかった・・暫くそのままの状態で居ると目の前が光り輝き、強烈な勢いで情報が頭の中に流れ込んできた・・負の神・・それを封じた初代聖魔王・・ジオガディスと神王の戦い・・そして・・未来に送られた幼子とそれを拾った一組の夫婦・・そこまで見たところで私は思わずこう呟いた・・
「私は・・神王の息子で過去の人間・・なのか・・」
自分の事の筈なのにどこか他人事の様に感じた・・それと同時に
「そうなるな・・」
背後から聞き覚えの無い男の声が聞こえ驚き振り返るとそこには
「私・・!?」
神と目の色だけが違う私と瓜二つの男が立っていた・・私が驚きそう呟くと男は
「いや違う、私はお前ではない・・お前は判っているはずだ・・私が何者なのかを」
そう言われ私はゆっくりと頷き
「神・・王・・?」
私の父である筈の男の正体をいうと男は穏やかに微笑み
「正解だ・・今更父親ぶるつもりは無いんでな、そう言われて貰って安心している」
少し寂しげな表情の神王に私が声を掛けようとすると神王はそれを手で制し
「悪いが時間が無い、恨み言も何も聞いてやれん、今は私の話だけを聞いてくれ」
そう言って話し始める神王の言葉に静かに耳を傾ける
「まずだが、お前の敵はジオガディスではない・・あれもまた操られ人形と化した憐れな男だ・・出来る事なら私が解放したかったのだが・・そうも行かなかった・・私では浄化するだけの力が無かった・・だからお前を未来に送った・・お前ならあいつを解放できると思ったからな」
そう言う神王に私は
「待ってくれ、ジオガディスは私が倒した・・もう居ない」
最後の時捨て身で倒した筈だと言うと、神王は首を振り
「残念だが倒せていない、あいつは生きていた今も自分の目的の為に動いている」
!!・・では・・まだはやて達に危険が迫ってると・・ここまで思い出したところで私は全てを思い出した
「・・そうだ・・私は死んだはず・・「いや、まだ生きている・・いや・・生かされてると言うべきか」・・誰に?」
生かされている?・・誰に?・・疑問を感じそう尋ねると神王は
「それは私の口からは言えない、お前を生かしている者にお前はもうじき会う、その時に聞け・・っと・・話は脱線したがジオガディスはまだ生きていて、負の神も健在だ・・つまりお前が命を掛けて護ろうと者達は今でも危険に晒されている訳だ」
他人事の様に楽しそうにそう言う神王を睨むと
「そんなに怖い顔で見ないでくれ、お前がここに来たのは戦う為の力を得るためだ・・まぁ・・私としてはそんな力を授けたくないのだがな・・」
溜め息を吐いてから私の額に手を触れる神王、それと同時に柔らかな虹色の光が私を包み込んだ・・
「これは・・?」
私の身体を包むように発生している虹色の魔力を見ながらそう尋ねると、神王は
「聖王の魔力・・ベルカの王族の者だけが扱える魔力・・お前もまたベルカの王の血筋・・聖王の魔力が扱えるのは当然の理だ・・今まで扱えなかったのは自分の血筋を知らなかったからだな」
そう説明してくる神王の言葉を聞いていると、神王は目を細め
「お前には沢山の仲間がいるんだな・・良い事だ・・」
にっこりと微笑む神王・・見るだけで判るのだろうか?・・私がそんな事を考えていると神王は
「お前はこれから自分が何故生きているのかを知り、居るべき空間に戻るだろう・・私の尻拭いで戦いの運命を与えてしまって本当にすまないと思っている・・だから恨んでくれて構わない・・そして頼む・・ジオガディスを・・何時までも世界を恨んでいるあの男を救ってやってくれ」
そう言うと神王の後ろに門が現れる、神王は門の横に立ち
「行け、もう私が話す事は無い」
そう言って黙り込む神王の方に歩いて行き、門の前で立ち止まると
「どうした?」
不審そうに尋ねてくる神王に私は
「いや・・何でもない・・それと・・言わないといけない事があるんだ」
立ち止まり神王の・・いや・・自分の本当の父親の顔を確りと見据え
「貴方は恨んでくれて良いといった・・でもその必要は無いんです・・私は貴方のお陰で素晴らしい家族と仲間を手にすることが出来た・・だから恨むつもりなんて無いんです」
自分の気持ちを正直に言うと神王は驚いた表情を浮かべた後、柔和な笑みを浮かべ
「強く育ったんだな・・もし出来たのならばお前の近くで育っていく姿を見たかったよ・・お前・・いや・・八神龍也・・神王からの言葉だ・・負の神はお前の心を破壊しようとするだろう・・だが強く心を持て、揺らぐな迷うな、お前の信じた1つの事がお前の世界の真実であり真理だ、決して揺らぐな、最後まで自分の信じた道を行け」
私の胸に手を置いて言う神王に
「ああ、行ってくるよ・・父さん」
「!!」
神王が驚いたのを感じながら、私は門の中へと飛び込んだ・・残された神王は
「父さん・・か・・ふふ・・嬉しいような悲しいような複雑な気分だな・・セレス・・お前が主と認めた私の息子は・・強く優しい男だったんだな・・」
穏やかにそう微笑んだ神王は空を見上げ
「今度、龍也に出会えたのならば・・もっと・・話を・・した・・い・・もの・・だ・・」
神王の身体は喋りながら粒子化していき、姿が完全に消えると同時にその世界も最初から存在しなかったように、全て消滅していた・・ッ残されていたのは開かれた状態の一冊の本・・古めかしい蒼い表紙に金の装飾が施されたその本は音も無く閉じ、神王と同じ様に粒子となり消えていった・・
何処まで道は続いているのだろう・・・?
私は何処までも続く黒い道を駆けていた・・景色が無いので判らないが、自分では走っているつもりだ・・暫く走っていると目の前に人影が現れる・・一瞬驚いたがその人影の正体は直ぐに判った・・
「セレス・・」
自身の半身であり相棒のセレスだった、セレスは少しだけ寂しそうな表情を浮かべながら
「行くのですね、我が王よ」
そう尋ねてくるセレスに頷き
「ああ、行くぞセレス」
セレスに行くぞと声を掛けるとセレスは悲しそうに首を振り
「いいえ、私は行けません・・私はもう・・貴方の傍には・・居られないのです」
悲しそうに言うセレスは私を見ながら
「オリジンの融合騎には1つだけ特殊な力があります・・それは・・己の命と魔力をマスターに渡すこと・・」
!!まさか・・私が生きているのは・・私が驚いているとセレスが近付いてきて私の頬に手を触れて
「そんな顔をなさらないでください・・私が望んだ事です」
にっこりと微笑むセレスは私から離れながら
「私は王に出会えて良かった・・磨耗した私にとって貴方と過ごした時間が何よりも素晴らしく大切な時間でした・・だから・・私は貴方の為に命を捨てることが出来た・・貴方に生きていて欲しかったから・・貴方に笑っていて欲しかったから・・」
その言葉に私が何も言えずに居るとセレスは
「私は幸せでした・・貴方の傍に居れて、もう充分です・・私は幸せに生きる事が出来ました・・思い残す事はありません・・」
ゆっくりと消えて行くセレスに慌てて手を伸ばそうとするが、セレスは手でそれを制し
「王よ・・我が愛しい人よ・・貴方が掴む腕は私の腕ではありません・・貴方が掴むべき腕は他にあります」
にっこりと微笑みながら消えて行くセレスに何と言えば良いのか判らずその場で立ち尽くしていると
「王よ、生きてください・・貴方には幸せに活きる権利がある・・生きて生きて・・そして再びこうして話すことが出来る時には・・また色んな話を聞かせてください」
そう微笑むとセレスの姿は最初から存在しないように消え失せ、それと同時に私が居た黒い通路も消滅した・・
「ここは・・」
気付くと私はセレスと初めてであった遺跡の中に居た・・正面に置かれた鏡を見て私は眼を見開いた・・何故なら閉ざされた右目が開いていたからだ・・
「セレスが治してくれたのか・・?」
髪と目はユニゾン中である、銀髪と蒼銀の瞳・・だが私の中にセレスの存在を感じない・・いや僅かに・・僅かにだけセレスの存在を感じるが、それは弱く今にも消えてしまいそうなものだった・・私は思わず天井を見上げ
「幸せに生きろか・・難しい事を押し付ける・・だが・・お前の頼みだ・・考えてみるよ・・私の・・幸せを・・」
私はそう呟きながら遺跡を後にしクラナガンにまで転移する・・街を一望できる丘の上からクラナガンを見て、私は目を見開いた・・平和な街の姿はそこには無く、住民の悲鳴と黒い煙があちこちで挙っていたからだ・・
「・・始まっている・・急がねば・・」
私がそう呟くと同時に、炎、氷、風が巻き起こり、肩膝立ちのアイギナ達が現れる私は3人に
「お前達はシグナム達を頼む、私は・・私の成すべき事をする」
「「「了解いたしました!!」」」
現れたときと同じ様に消えるアイギナ達を見ながら私は
「今助けに行くからな・・」
首から提げた剣十字を握り締め風と共にその場から走り去った・・魔力反応で判る・・ジオガディスト交戦してるのがはやてとヴィータだと、2人は強い、だがジオガディス相手では分が悪い・・私は全身を強化して走り直ぐにはやて達の所へと到着した・・今正に漆黒の砲撃に飲まれる着後のはやてとヴィータ・・私は慌てて魔力で来た槍を作り出し砲撃を弾き飛ばすために即座に投擲する
「クォ・ヴァディス!!!」
虹色の魔力で出来た槍は砲撃を弾き飛ばす、驚いた表情を浮かべるはやてとヴィータを見ながら魔力を剣型に変化させ私はジオガディスへと斬りかかった・・デバイスを使おうと思ったが、それではセレスが消えてしまう・・そう思うと私はデバイスを具現化させることが出来なかった・・そのまま何合か打ち合いをしたが・・魔力で出来た剣を砕かれ体制を崩し膝を付く、それと同時にジオガディスが私の首にダインスレイフを当てながら
「幾ら神王とはいえ・・デバイスも無しで俺に勝てると思ったかっ!!」
その通りだ幾ら魔力が増大していても、デバイス無しでは勝てない・・だがデバイスを使えば・・私がデバイスを使うかどうか迷っていると脳裏にセレスの声が聞こえた・・いや・・聞こえたと言うよりかは感じたのだセレスの意思を・・戦えと・・失うなと・・
(そうだな・・そうだよな・・護ると誓ったんだ・・失う訳には行かないよな)
大切な家族を仲間を失う訳には行かない・・その為に私はここにいるのだから・・
(何時までも迷惑を掛けるな・・セレス・・だが判ってる・・判ってるさ・・私のするべき事が何なのかを・・)
私がそんな事を考えていると背後から
「はやてちゃん!!」
「部隊長!!」
「主はやて!!」
なのはやシグナム達が合流してくる、ちらりと確認しただけだが皆無事のようだ・・私はゆっくりと立ち上がりながら
「俺の・・いや・・私の武器はここにあるっ!!」
勢い良く腕を振りぬく、それと同時に白銀の閃光が走り、ジオガディスの鎧を深く傷つける・・それと同時に背後のはやて達が驚いた様子で呟いているのが聞こえる、それと同時に目の前のジオガディスは動揺した素振りを見せながら
「馬鹿なっ!!!貴様は死んだはずだ!!何故貴様が生きている!!夜天の守護者っ!!!」
その怒声と共に私の顔を隠していたフードが弾け、素顔が晒される・・私は握り締めていたオメガブレードを頭上に掲げながら
「・・何故?・・簡単だ・・私は護るべき物がある限り!!消して死ぬ事は無い!!」
そう・・護る者がいる限り私は死ねない・・命続く限り護り続けると誓ったのだから・・背中に現れた炎の翼を羽ばたかせ上空へと浮かびながら
「ジオガディス!!貴様の穢れた魂・・八神龍也が浄化するっ!!!
神王の話によれば、操られているジオガディスの魂を解放してやれるのは私だけらしい・・ならば解放してやろうその鎖から・・
「抜かせッ!!今度こそ確実に貴様を殺してやる!!」
どす黒い殺気を放つジオガディスに重なる様に異形が見えた・・きっとあれが負の神なのだろう・・倒すべき真の敵・・私はそんな事を考えながらオメガブレードと腰駄目に構えジオガディスに向かって行った・・この戦いの後こそが・・本当の戦いの始まりだ・・
第134話に続く