夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです

今回は最終話までの投稿です。少々長くなりますが、どうかよろしくお願いします



第139話

 

第139話

 

「はああああッ!!!」

 

「ぬおおおおッ!!!」

 

兄ちゃんとヴェルガディオスの姿が何度も交錯する・・と言っても早すぎて閃光にしか見えないのだが・・私はその光景を見ながら手を合わせ

 

(負けないで・・そんで無事な姿で私の・・皆の所へ戻って来て・・)

 

私だけではない、なのはちゃんやチンクさん・・皆同じ様に祈っている・・私達では兄ちゃんの力にはなれない・・出来るのはこうして祈るだけだ・・それが何の意味があるのか・・何の意味も無いかもしれない・・それでも祈らずにはいられない・・

 

(信じても無い神様・・今回だけは信じてもいい・・だから・・兄ちゃんをちゃんと私達に返して・・)

 

私は心の中でそう呟きながら祈り続けた・・龍也とヴェルガディオスが戦っている時、クラナガンの外れで・・

 

「う・・う・・お・・俺は・・」

 

悲しき孤独の王が目を覚ましていた・・これが何を意味するのか?・・それはまだ判らない・・・

 

 

 

「時空の狭間に消えよ・・パラドックス・・」

 

ヴェルガディオスがその膨大な魔力を一点集中させ砲撃を放とうとする、私は即座に目の前に魔法陣を呼び出し

 

「銀河の光りよ・・我が手に集え・・その力を持って・・巨悪を打ち砕け・・ギャラクシー・・ライト・・」

 

なのはの使う、ディバインバスターが進化発展させた、究極魔法・・周囲の残留魔力が物凄い勢いで目の前の魔法陣に収束していく・・自分を中心に、360度全天位から魔力を収束させる・・その輝きは正しく銀河・・同時に魔力収束を終え

 

「ブラスターッ!!!」

 

「ブレイカーッ!!!」

 

渾身の魔力を込めた砲撃を同時に放つ・・

 

バチバチ・・・

 

虹色の光りと漆黒の光りがお互いを飲み込み消し飛ばそうとするが・・威力はほぼ互角・・中々均衡状態が崩れない・・

 

(神を自負するだけはあるか・・だが・・負ける訳には・・)

 

そう負ける訳にはいかない・・皆をこの世界を守るために・・そしてその直後信じられない者が私の視界に飛び込んでくる

 

サラァ・・

 

流れるような美しい銀髪・・そして光り輝く法衣・・間違い無い・・

 

(セレス・・どうして)

 

消えた筈のセレスが目の前に居る・・その事に困惑しているとセレスは手に持った杖に魔力を収束させ

 

ゴウッ!!!

 

凄まじい威力の砲撃を打ち出す、それは私のギャラクシーライトブレイカーの後ろにぶつかり、私の砲撃を打ち出す・・

 

「な・・グオオオオッ!!!」

 

ヴェルガディオスのパラドックスブラスターを押し切り、ヴェルガディオスの巨体を完全に飲み込む・・

 

「セレ・・いない・・?」

 

ヴェルガディオスの姿の見えない間にセレスの姿を探すが、その姿は無い・・幻覚・・だったのか・・?・・私がそんな事を考えていると

 

「ウオオオオッ!!!」

 

ヴェルガディオスが煙の中から飛び出して来て殴り掛かってくる・・

 

「くっ・・雷神の裁きよ我が手に集え、ユピトールスマッシャーッ!!」

 

考えるのは後だ、今は戦いが先だ・・フェイトの砲撃魔法、サンダースマッシャーを強化したこの魔法は、フェイトと同じく片手から放つ物の威力、帯電電圧の両方が桁違いに高く、連射性も凄まじい、向かって来るヴェルガディオス目掛けマシンガンの様に打ち込む・・だが

 

「こんな物、神である我に通用するかぁッ!!!」

 

両拳を振りかざし自分に当たる物だけを迎撃しながら近付いてくる・・だがそれで良いのだ・・この魔法を使った理由は他にある・・

 

フォン・・・

 

ギャラクシーライトブレイカーを使うのに戻していた、グランドホープを呼び出す為の時間を稼ぐ為だ・・まぁ・・本音を言えば少しくらいはダメージを与えられたらとは思っていたが・・そうは行かなかった様だ・・ギャラクシーライトでもダメージは微量、やはり砲撃や射撃系では駄目だ・・やはり頼れるのは・・

 

「私の剣か・・」

 

大いなる希望をその名に持つ、この剣しかない・・・私はそう判断しヴェルガディオスに向かって行った・・

 

「「はああああッ!!!」」

 

キンッ!!キンッ!!!

 

ヴェルガディオスの拳とグランドホープがぶつかり火花を散らす

 

「はぁッ!!!」

 

踏み込んでヴェルガディオスの胴を穿とうとするが

 

「甘いわ!」

 

膝で迎撃され態勢を崩した所に

 

「喰らえッ!!!」

 

ヴェルガディオスの剛拳が迫る

 

「くっ・・」

 

何とかグランドホープで防ぎ、そのまま斬り付けるが避けられる・・だがその瞬間また信じられない事が起きた・・

 

ズバアッ!!!

 

「グォッ!!」

 

セレスが現れヴェルガディオスに斬り掛かったのだ・・攻撃が命中するとセレスの姿はまた音も無く消える・・私はそれを見て

 

(一緒に・・戦ってくれるんだな・・最後まで迷惑を掛ける・・)

 

私のために死んで・・そして今また私の為にその力を使ってくれるセレス・・ここまでして貰って・・

 

「負ける訳にはいかんだろうッ!!!」

 

私は全身に魔力を纏い再度ヴェルガディオスに向かって行った・・

 

「はあああッ!!!」

 

私が攻撃を繰り出す度に

 

フォン・・

 

セレスが現れ同じ様に攻撃を繰り出す

 

「な・・何が起こっていると言うんだ・・なぜ・・我がダメージを受けているんだ」

 

ヴェルガディオスにはセレスの姿が見えないのか、どうして自分がダメージを受けているのか判らない様で混乱している、私はヴェルガディオスにグランドホープを向け

 

「はあああああッ!!!!」

 

その巨大な刀身に魔力を収束し始めると、その隣にセレスが現れその身を魔力に変え、グランドホープの刀身に吸収されていく

 

「でやあああッ!!!」

 

私はセレスの魔力も込められた、グランドホープを気合を込めて振り下ろした

 

「くっ・・ウォオオオオッ!?」

 

巨大な魔力刃に飲まれ吹っ飛んで行くヴェルガディオス・・その時、私は確かに聞いた・・姿は見えなかった・・気配も感じなかったが・・確かに聞いたのだ・・セレスの声を・・

 

「紡いだ絆を力に・・揺ぎ無い誓いを胸に・・」

 

耳に聞こえぬセレスの声に続いて詠唱を行う・・それに伴い。私の全身を覆っていたはやて達の魔力が一点に収束し始める・・

 

「未来を紡ぎ・・世界に光を・・ナルシル発動ッ!!!!」

 

詠唱が完了すると同時に、グランドホープの柄が開きそこから巨大な魔力刃が展開される、それ伴い12枚の翼が1つになり黄金色の輝きを放ち始める

 

「これで・・終りだぁッ!!!」

 

私は黄金色の光りを纏いヴェルガディオスに向かって行った・・だが・・

 

「掛かったな!我の勝ちだッ!!!ゴッドマトリックスゥゥゥッ!!!!」

 

ヴェルガディオスの両肩から光りが放たれる、その光りに当たったビルや建物は音も無く崩れ消滅していく

 

「こ・・これは!?」

 

その光景に驚いているとヴェルガディオスが

 

「ありとあらゆる物を分解する我が浄化の光りによって消え失せるが良い!!憐れな人形よ!!!」

 

勝ち誇った笑い声を上げるヴェルガディオス・・くっ・・攻撃に回している魔力を防御に・・攻撃力は下がるが・・そうするしかないと判断し魔力の流れを操作しようとした瞬間、背後から凄まじい怒声が響く

 

「そのまま進めええッ!!!夜天の守護者アアアッ!!!!」

 

そのあまりの怒声に驚きそのまま進んでしまう・・もう魔力の操作は間に合わない・・このまま突っ込むしかない・・そう思った直後

 

「オオオオッ!!!」

 

私の視界に黒い影が落ちる・・驚いて正面を見るとそこには・・

 

「ジ・・ジオガディス!?」

 

その全身を覆う漆黒の甲冑はひび割れ、特徴的な翼も残り2枚・・ダインスレイフには皹が走っている・・満身創痍・・いやそれすらも当て嵌まらない程、ボロボロのジオガディスが私とヴェルガディオスの間に飛び込んできた

 

「ウォオオオオッ!!!」

 

ズガンッ!!

 

全てを分解すると言うヴェルガディオスの光りを切り払いながら、ジオガディスは

 

「俺が道を作る!!だから・・俺の・・俺達から・・全てを奪った・・奴を・・倒せッ!!夜天の守護者!!!」

 

ジオガディスの表情は前を向いているから判らない・・だが私の頬に詰めたい雫が当たる・・それが何であるか・・私には判った・・

 

「ああ・・任せろ!!」

 

お前の身体がどうとか・・無謀だとかの野暮な事は尋ねない・・ジオガディスのやりたいようにやらせてやろうと思い、その後を着いて飛ぶ・・

 

「はあああああッ!!!」

 

ジオガディスはダインスレイフや己の身体を使い、私に当たる光を消していくが、その度に騎士甲冑が・・身体が消滅していく・・それでも奴は止まらない・・私はジオガディスに護られながら確実にヴェルガディオスの元に向かっていた・・

 

「いい加減に・・くたばれぇッ!!この死に損ないどもがぁッ!!!」

 

ヴェルガディオスがそう叫ぶと同時にジオガディスの目の前に、今までとは明らかに大きさの違う光球が現れる・・回避も防御も間に合わないタイミングで現れたそれにジオガディスは反応しきれず

 

「がはッ・・」

 

胴体から下が消し飛ばされる、私が思わず

 

「掴まれッ!!!」

 

空いてる右手を伸ばすとジオガディスはその手を掴む、それを確認してからジオガディスを自分の方に引き寄せようとすると

 

「いっけえええッ!!!夜天の守護者アアアアアッ!!!!!」

 

ジオガディスはそう叫ぶと同時に、私をヴェルガディオスの方に向かって投げつけた・・

 

凄まじい勢いでヴェルガディオスの方に向かって移動していく・・私はジオガディスの手を掴んだ右手を見る、そこにはジオガディスの魔力光である、赤黒い光りがあった・・私はそれを握り締め

 

「お前の意思は受け取った・・一緒に行こう!ジオガディスッ!!!」

 

ゴウッ!!!

 

私が身に纏っていた魔力が更に強大になる、それと同時に私はゴッドマトリックスの光の渦を抜け、ヴェルガディオスの元へ辿り着いた

 

「ヴェルガディオスゥゥッ!!!!」

 

私が奴の名を叫びながら近付いていくとヴェルガディオスは

 

「馬鹿な!?ゴッドマトリックスを回避したというのか・・ならば・・我のこの手で倒すまで!!ディストピアランシーズッ!!!」

 

ヴェルガディオスの左腕が槍に変化し、更にゴッドマトリックスの光を帯びる

 

「「ウォオオオオオッ!!!!」」

 

お互いに裂帛の気合を込め、お互いの獲物を振るった・・

 

バキンッ!!!

 

グランドホープの魔力刃とディストピアランシーズが同時に砕けるが

 

「まだだッ!!!」

 

フォンッ!!!

 

次の瞬間には再生されそしてまたお互いにぶつかり砕け散る・・

 

「人形如きが、神である我に勝てるものかぁッ!!」

 

バキンッ!!

 

再びグランドホープの魔力刃とディストピアランシーズが同時に砕ける・・だが砕ける度に再生しまたぶつかり合う

 

バキンッ!!バキンッ!!バキンッ!!!

 

何度も何度も砕けは再生するの繰り返しだったが・・

 

「オオオオッ!!!」

 

ギャリギャリッ!!!!

 

グランドホープの魔力刃とディストピアランシーズが砕けず、そのまま鍔迫り合いとなる、それを見たヴェルガディオスが

 

「ば・・馬鹿な・・貴様の何処にこんな力がっ!?」

 

驚き困惑するヴェルガディオスに

 

「確かに貴様の言う通りかもしれない・・私には何も無い・・人の振りをしている人形かもしれない・・だがっ!!!」

 

心も身体も砕け・・残されたのは唯の抜け殻としての私・・だがそんな私を支えてくれた・・慕ってくれた・・者達がいる。

 

確かに私は人形なのかもしれない・・だが・・私の皆を護るという想いだけは・・本物だ・・そして・・私は・・私のすべき事をする!!

 

「覚えておけ!、この力はこの暗闇を破る為の物だ!そこから先は後から続く者が道を切り開く!私を信じる者の願いと、私に命を託し、与えた者の希望!」

 

ネクロ・・そして・・それを創り出した・・ヴェルガディオス・・何よりも深く冷たい闇・・それを打ち破るのが・・私に与えられたただ1つの使命・・そしてこんな私を信じてくれる者の願いと・・こいつに操られ世界を憎んだ・・ジオガディス・・そして私を生かすために死んだセレスの希望・・

 

「その思いが私を突き動かし、明日への道を斬り開く力になる!それが・・グランドホープ!それがファラス!この力は!!この技は!!この武器は!!未来を紡ぐものだァァァァ!!!!」

 

そこから先は・・はやてや皆が切り開いていく・・私は未来を作る為の礎で構わない・・未来を掴むのは私ではなく、もっと相応しい者達が作り上げていく物だ・・

 

「抜かせええええッ!!」

 

ヴェルガディオスが激昂し上段からディストピアランシーズを振り下ろしてくるが

 

「ウォオオオオッ!!!」

 

自らそれに突っ込みギリギリのタイミングでそれを回避し

 

「これで・・終わりだぁッ!!!天羽々斬(あまのはばきり)ぃぃぃッ!!!!」

 

天を突くまで巨大に伸びたグランドホープの魔力刃がヴェルガディオスを両断する

 

「ば・・馬鹿なぁぁぁ・・か・・神である・・我が・・負ける等・・ありえぬううう・・」

 

両断され消えて行くヴェルガディオスに

 

「貴様は神などではない・・ただの化け物だ・・化け物は化け物らしく、永遠の闇の中で眠れ」

 

私がそう言うとヴェルガディオスは

 

「ふっ・・ふっはははははッ!!!人形如きが言うわッ!!・・お・・覚えておけッ!!!貴様は所詮戦うだけの存在・・いずれ誰からも必要とされなくなる・・そして孤独の中で・・絶望し・・世界を憎・・ズバアッ・・が・・ガハッ・・」

 

最後までヴェルガディオスが言う前にグランドホープを振るいその頭部を切り裂き、私はヴェルガディオスに背を向け

 

「判っているさ・・そんな事貴様に言われなくてもな・・だが・・良いじゃないか・・少し位夢を見たって・・必要とされていると思ったってな・・」

 

判っている・・私はこの時間に本来居る人間ではない・・いずれ必要とされなくなる時が来るだろう・・でも・・それまでは・・夢を見ていてもいいだろう・・?楽しい、楽しい夢を・・私はそんな事を考えながらグランドホープを収納し、落ちて行ったジオガディスの元へ降下していった・・

 

「見ていたぞ・・守護者・・俺達の国の敵を取ってくれたのだな・・」

 

そう呟くジオガディスは咳き込みながら

 

「哀れな事だ・・操られてるとも知らず・・叶いもしない夢想を追い続け・・世界全てを憎んだ男の末路がこれだ・・」

 

消えていく足を見ながら、ジオガディスは自分のデバイスである。ダインスレイフを手渡して来る

 

「これは・・俺の魂・・その物だ・・これを貴様に託す・・だから・・コイツを救ってやってくれ・・」

 

そう言うジオガディスに

 

「救う・・どういう意味だ?」

 

そう尋ねるがジオガディスは何も答えず・・虚空を見つめ涙を流しながら

 

「み・・見える・・俺の・・国が・・民が・・皆が・・」

 

手を伸ばしながら呟く、ジオガディスは大粒の涙を流しながら

 

「父上・・母上・・カイエル・・エリナ・・俺は・・いや・・私も・・今・・そちらに逝きます・・」

 

そう言うとジオガディスの身体は灰になり消えうせた・・まるで最初から存在しなかったように・・私は風に乗って消えていく灰を見ながら

 

「憐れな・・魂に・・永久の安らぎを・・」

 

そう十字を斬った・・

 

 

 

 

「憐れな・・魂に・・永久の安らぎを・・」

 

私達は兄ちゃんがヴェルガディオスを倒した後、直ぐに兄ちゃんの降りて行った方向に向かって走り出した・・私達がその場所に着いた時、灰が風に乗って飛んでいく所だった・・多分あの灰はジオガディスだろう・・私がそんな事を考えていると

 

サアアア・・

 

兄ちゃんの纏っていた騎士甲冑が消滅する・・黒いコートと長い銀髪が風に揺れる・・それは間違いなく私の最愛の兄の姿・・幻ではない手を伸ばせば・・後数歩前に進めば・・触れられる位置に居る・・だが・・

 

「あ・・あ・・」

 

私の足は動かなかった・・私は・・私達は知ってしまった・・兄ちゃんがどういう存在なのか・・どうしてここに居るのかを・・頭では判っている兄ちゃんがどんな存在であれ、私にとっては最愛の兄である・・だから今すぐにでも飛びついて行きたい・・でも・・その思いに反して私の身体は動かない・・私がその場で立ち竦んでいると

 

トン・・

 

背中を軽く押される、驚いて振り返るとなのはちゃんが笑いながら

 

「龍也さんに1番最初にお帰りなさいを言うのは、はやてちゃんとヴィータちゃんだよね」

 

私と同じ様に背中を押されたヴィータと共に兄ちゃんの所に向かう、1年前と違うのは両目が開かれている点だ・・左腕は肩の所から無く袖は風に揺れている・・私とヴィータがゆっくりと近付いていくと、それに気付いたのか兄ちゃんは振り返りながら

 

「ん?・・はやて、ヴィータ・・少し背が伸びたんじゃないのか?」

 

にっこりと微笑む兄ちゃんに私達は

 

「「あ・・ああ・・うう・・ぐす・・ひっく・・」」

 

ボロボロと涙が溢れ出す・・変わってない・・何も変わっていない・・私の・・私達の大好きな兄ちゃんだ・・

 

「どうしたんだ?・・何故泣いているんだ?」

 

訳が判らないと言う様子で首を傾げる兄ちゃんに

 

「兄ちゃんの・・馬鹿ーッ!!寂しかったッ!!寂しかったんやでッ!!!」

 

抱きついて涙を流しながら言うと兄ちゃんは私達の背を撫でながら

 

「すまなかった・・」

 

謝ってくる兄ちゃんの腕の中で首を振り

 

「違うんだ・・あ・・兄貴は悪くないよ・・」

 

泣きながら言うヴィータ・・でも・・何時までも泣いていては駄目だ・・兄ちゃんが心配する・・涙を拭い兄ちゃんの顔を見て

 

「兄ちゃん・・」

 

「兄貴・・」

 

ヴィータと一緒に兄ちゃんを呼ぶと

 

「うん?何だ・・?」

 

穏やかな微笑を浮かべる兄ちゃんに

 

「「お帰りなさいっ!!!」

 

今見せれる最高の笑みを浮かべて言うと兄ちゃんは、一瞬驚いた素振りを見せた物の次の瞬間・・

 

「ああ、ただいま・・はやて、ヴィータ・・」

 

と微笑んだ・・それと同時に柔らかい風が吹いた・・それは長かったネクロとの戦いが終わりを告げた瞬間だった・・

 

第140話に続く

 

 


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