最終話
ヴェルガディオスとの戦いから1週間後・・私は花束を持って、ある場所に来ていた
「また来たぞ。セレス」
クラナガンを一望出来るところに私はセレスの墓を作った・・
「これがお前の護った世界だ・・その目で良く見ると良い」
私が世界を救ったのではない・・セレスがその命をすててまで救った世界・・その名の示したとおり見守っていてくれ・・
「セレス・・お前のおかげで私はこうして生きている・・まだ自分の幸せが何かなんか判らないがな・・」
私は壊れた男だ・・でも・・探してみせる・・自分の幸せを・・お前との約束を守るために・・
「だが見つけて見せるよ、私自身の幸せをな・・ではな・・また来るよ」
持っていた花束を墓の前に供え、丘を降り始めると何者かの気配を感じ振り返る、そして私は驚き大きく目を見開いた・・
「セレス・・?」
半透明のセレスがその美しい銀髪を風に靡かせて立っていた・・セレスは穏やかな笑みを浮かべ
「王よ・・どうか・・幸せに」
そう言っているような気がした・・それと同時に一陣の風が丘を駆け巡った・・
「セレ・・居ない・・」
風が止んだ時、セレスの姿は消えていた・・
「ふ・・ふふ・・ああ・・探してみるよセレス・・まだ、自分の幸せが何かなんて判らないけど・・掴んで見せるよ・・私の幸せを・・」
私はそう呟き、その場を後にした・・さぁ・・皆待ってる・・急がないと・・私は六課へとベヒーモスを走らせた・・
「兄貴~遅いぜ~」
「はよこっち来て」
「龍也さーん」
はやてや皆が手を振り私を呼ぶ、私は頷きゆっくりと皆の元へと向かった・・誰が言い出したか忘れたが、戦いが終った記念・・いや思い出作りとして皆で集合写真を取ろうという話になった・・そして良く晴れた今日、写真を撮る事になったのだ
「いや、いや待たせたね」
ジェイル達がカメラを持って歩いてくる、それを見ているとヴィヴィオが私の服の袖を引いて
「ヴィヴィオね・・記念写真初めて!!楽しみ」
にっこりと笑うヴィヴィオの頭を撫でていると
「兄貴が居ない間にくじで並び順を決めてたんだぜ、ほら早く並ぼうぜ」
ヴィータに教えて貰った順番に並ぶと、私の両隣にはやてとヴィータ、その隣になのはフェイトと、面白いように出会った順に並んでいる・・視界の隅では
「・・龍也さんと離れすぎ・・」
「・私もです・・」
ティアナとセッテが落ち込んでいた・・その隣ではスバルとチンクが苦笑しながら。2人を宥めていた・・懐かしく、そして心の底から安心できる何時もの風景だ・・私がそんな事を考えていると
「それじゃあ、行くぞ~」
ジェイルがカメラのシャッターを押して走ってくる、それを見ていると隣のはやてが私の服の袖を引く、私がその方向を見るとはやてがにっこりと微笑みながら
「私な、もう待つの疲れたし、兄ちゃんを誰にも渡すつもりもないんよ・・だからな・・」
はやてが少し俯く、どうしたんだろうか?と思い下を向くと同時にはやてが私の襟を掴み、自分のほうに引き寄せる
「!?!?!?!?」
私の目の前にはやての悪戯成功という顔、そして唇に柔らかい感触・・・キスされてる・・!?その事に気付き私が慌てて
「むぐっ!!むぐぐっ!?!?」
離れようとするがはやてから離れる事が出来ない
「何騒いで・・ああーッ!!はやてちゃん何してるの!」
その騒ぎに気付いたなのは達が私とはやてを引き離そうとするが離れない、そうこうしてる間にシャッターが切られた・・
カシャッ・・
その写真にははやてにキスされてる私とそれを引き離そうとするなのは達の姿が映されていた・・
「あ・・あう・・」
私がショックでその場にしゃがみこむと同時に、少し離れた所から
「はやてちゃん!!!」
「はやて!!」
怒鳴るなのはとフェイトを尻目に笑顔のはやて・・その光景を見ながら、キスされた事にショックを受け放心状態でいると
「兄貴~」
ヴィータに呼ばれ振り返ると同時に
チュッ!!
「!?!?!?」
ヴィータが小鳥の様に一瞬だけ私の唇に触れるキスをする・・それと同時にぱっと離れ
「へへ・・兄貴大好きッ!!!」
そう言うと同時に走り去るヴィータ・・私はというと・・妹に2人にキスをされ完全に心が折れかけていた・・だが・・それで終わりになる筈がない・・
「「ああ・・もう良いッ!!私もするもん!!!」」
話し合いに決着が付かなかったのか、そう言うと同時に私を方を見るなのはとフェイト・・頭の中で警報がガンガン鳴る・・思わずしゃがみ込んだまま後ずさりすると・・
「「フフフ・・・」」
前髪で顔が隠れたティアナとセッテと視線が合う・・それと同時に頭の中に声が響く・・逃げろッ!!逃げろッ!!と私はその声に従い立ち上がると同時に走り出した・・
「「「待てーッ!!!!」」」」
ちらりと後ろを見ると、鬼の形相と言うか・・怒っている時のはやてに似たオーラを撒き散らしながら追いかけてくるなのは達・・私はなのは達に追い回されながら
「どうして!!こうなるんだーッ!!!!!」
私は鬼気迫る表情で追いかけてくるなのは達から逃げながらそう叫んだ
「ははは、これでこそ龍也が居ると実感できる瞬間だな」
「そうだな、あいつも一人に決めればいいのにな」
「ほほう、流石に心に決めている人が居る奴が言う言葉は違・・げふッ」
「殴るぞ?」
「もう殴ってるだろうが・・」
「お前ら後で泣くまで殴るからなッ!!覚えてろーッ!!!
ジェイルやハーティーンの笑い声を聞きながら、私はそう叫んだ・・龍也の叫びと沢山の笑い声は蒼く澄んだ空へと吸い込まれて行った・・これは平和な?時の始まりを告げる一幕であった・・
エピローグに続く