夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第14話

第14話

 

「はぁ~、エリオ君、さっきのなのはさんとヴィータさん。怖かったね」

 

演習場から逃げ出してきた。キャロが呟く

 

「うん、なんか凄く殺気立ってた・・」

 

うんうんと頷くエリオ

 

「で。さっきの人、八神中将だっけ。凄く強かったね」

 

話題を切り替えるエリオ、

 

「うん、デバイスも無しで、あんな風に戦えるんだね」

 

先ほどの模擬戦の事を話しながら歩いていると

 

「そうだ!朝ごはん作ってるっ言ってから見に入ってみよ」

 

こうして、最年少コンビは食堂に向かって行った

 

 

「あれ?エリオ君にキャロどうしたですか?」

 

ニコニコと厨房の見える席に座り、マグカップから何かを飲んでいる。リィンに声を掛けられる

 

「あのさっき八神中将が「呼んだか?」うわぁ」

 

突然話しかけてきた、龍也に驚きの声を挙げる

 

「何も、そんなに驚かなくても」

 

ちょっと落ち込んだ様子で鍋をかき混ぜている龍也、鍋からは良いにおいが漂ってきている

 

「お兄様~、リィンはお腹がすきました」

 

マグカップの中身を飲み干したのだろうリィンがお腹空いたと言うが

 

「もう少し待て、どうせなら皆で食べたほうが美味しいからな。良し完成っと」

 

それを嗜め鍋に蓋をする

 

「そんな所で立ってないで座ったどうだ?」

 

促されリィンの座っている。隣に腰を下ろす

 

「なにか飲み物は?ココアと紅茶なら用意できるが?」

 

片手鍋にお湯を入れながら尋ねてくる龍也に

 

「いえ。悪いですよ。態々八神中将に「ああ、それかそれはお飾りみたいなもんだ。龍也で良い」でも・・」

 

龍也で良いと言う、龍也にそんな風に言えないと言おうとすると

 

「駄目ですよ、お兄様はそういう呼ばれ方をされるのが好きじゃないんです

 

リィンにも言われ。観念し・・

 

「じゃあ。その龍也さんココアで」

 

了解と人のいい笑顔を浮かべ手際よく。カップにココアを入れて持ってくる

 

「熱いから、気を付けろよ」

 

渡されたココアを飲みながら談笑していると

 

「兄ちゃ~ん。お腹空いたわ」

 

突然はやてが現れ龍也に抱きつく。その様子をみて又かと言う様子のシグナムとシャマルが入ってくる

 

「おはよう、シグナム、シャマル。悪いがはやてに離れるように言ってくれんか?」

 

「すいません、私では無理です、兄上」

 

「お兄さん。私でも・・いえ多分誰でも無理だと思います」

 

申し訳なさそうに言うシグナムとシャマルにそうかと呟く龍也、どうやらこれが龍也にとっての普通らしい

 

「うん?お~エリオにキャロもおはようさん」

 

ご満悦という表情でふと横を見てエリオとキャロに気付き。おはようと言って来る

 

「「おはようございます。はやて部隊長」」

 

元気良く返事をすると、うんうんと頷き笑顔のはやてだったが、

 

「あっ!おはよう。龍也」

 

フェイトが現れ龍也に挨拶するが

 

「ああ・おはよ「なぁ、フェイトちゃん、人の兄ちゃんを呼びすてするのはどうかな~と思うで」はやて・・?」

 

辺りを先程のヴィータとなのはが纏っていた空気が包む

 

「何を言ってるのかな?龍也が好きに呼んで良いっていからこう呼んでるんだよ?それにはやての方こそ早く兄離れしたら?」

 

近づき龍也の隣の席に座るフェイト、どさくさで龍也の腕を抱え込んでいる

 

「フェイトさん?」

 

自身の身元引受人の変貌に驚いていると

 

「ああ~はやてちゃん、何してるの!!」

 

ズルズルとティアナを引き摺りながら、なのはが現れる。ちなみに引き摺られているティアナは完全に気絶していた

 

「どうしたんだよ、なのは大きい声だして・・フェイト、てめ~兄貴から離れろ!!」

 

同じく、気絶したスバルを引き摺りながら、ヴィータが来るが。龍也の腕を抱えているフェイトに気付き怒声を上げる。周りで食事を摂っていた職員は既に誰もいない。この4人が放つ暗黒の空気に耐え切れず逃げたのだ

 

「やっと全員揃ったか。では朝食にしよう」

 

何事も無いように朝食の準備をし始めた、龍也だが

 

「「「「ウフフフフフ」」」」

 

辺りをどんよりとした空気が包み込んでいる、この空気では食事も美味しくは無いだろう

 

「はやて達も早く座っとけよ、今順番に持っていくからな」

 

「「「「は~い」」」」

 

なんと龍也の一声でその空気は消え、席に着いたはやて達に驚いていると

 

「エリオ、あれはいつもの事だ、気にしていたら負けだぞ」

 

肩に手を置き其れだけ言って、席に着くシグナム

 

「あれが普通なんですか?」

 

この呟きに答えるもの無かった

 

 

「さてと、私は何処に座ればいいのかね?」

 

自分の分の朝食を持っていくと、席が二箇所空いている、はやてとヴィータの間となのはとフェイトの間だ

 

スバルとティアナは意識を取り戻したが可也消耗していた。よほどきつい訓練だったのだろうか?

 

「兄ちゃん、こっちやで」

 

「龍也さん、ここ空いてますよ」

 

二箇所から同時に声が掛けられるが

 

「ふむ、でははやての隣で頂くとするか」

 

距離的に言えばはやての隣が近いので、はやての隣に座るが

 

「むぅ、じゃあお昼はこっちですよ」

 

不機嫌に呟くなのは、私が何をしたんだ?

 

「では、頂きます」

 

「「「「「「「「「「「「頂きます」」」」」」」」」」」」

 

全員で手を合わしてから、食べる、メニューはヴィータのリクエストの玉子焼きに鮭の塩焼きと味噌汁だ。これぞ日本の朝ご飯という感じだ、といっても此処は日本ではないが・・

 

「美味しい!!」

 

私の食事を食べたことの無い。エリオとキャロが美味しいと言って食べていてくれるのは。作ったほうとしてはとても嬉しい

 

「う、負けた、何時になったら、追いつけるかな?」

 

なのはが一口食べる度に、落ち込んでいるがそれでも箸は一度も休んでいない

 

「お代わりは在りますか?」

 

食べ終わった、エリオがお代わりは有るかと尋ねてくる

 

「ああ、あるぞ」

 

食べ終わった茶碗と味噌汁のお椀を持って、エリオとスバルがお代わりを取りに行く、姿に笑みを浮かべながら私は食事を再開した

 

「所でよ、なのはから聞いたんだけど、兄貴はスバルとティアナの知り合いらしいな」

 

食事を終え、休憩しているとヴィータが尋ねてくる

 

「へ~それは初耳や、兄ちゃん何処であったか教えてくれる?」

 

そこから私は話し始めた、空港火災のときにスバルを助けたこと、つぎに無茶な訓練をして倒れていたティアナを介抱した事、そして最後にスバルとティアナに諭されもう一度はやての前に姿を見せたことを・・セレスの事はまだ伏せておきたいのでそこは話さなかったが

 

「へ~。スバルたちが。居ったから兄ちゃんは姿を見せてくれたんやね」

 

「ああ。私は姿を見せるつもりは一切無かったからな・・」

 

「でも、何でですか。どうして姿を隠してたんですか?」

 

なのがが尋ねてくる・・私は少し考えてから

 

「・・それは・・多分怖かったんだ」

 

本音をぼそりと呟いた・・

 

「怖かった?」

 

フェイトが聞き返す。私は其れに頷きながら

 

「ああ。私はあの謎の魔導師に襲われ、辛うじて生きながらえることは出来た、だが知っての通り私は隻眼になってしまった。それから数年は毎日の様に夢を見たんだ。どうして護ってくれなかったと言うはやて達が出てくるんだ」

 

数年かん見続けた悪夢・・護りたい者を護りきれなかった悪夢・・私にとっては最悪の夢だ

 

「それで、私はリハビリを終え、腕のいい義手職人に義手を頼んだ。そして直ぐにはやて達の元に行こうと思った、だが出来なかった

はやて達の近くに行ったら脚が動かなくなった、怖かったんだもし夢のようにどうして護ってくれなかったと言われるのが・・それで私は姿を隠しながら見守っていたわけだが。ある日スバルとティアナが尋ねて・・・いやこの場合寝ている間に家を家捜しされたと言うべきか」

 

非難の視線が集まりサッと目を逸らすスバルとティアナ

 

「その時私はヴィータに素顔を見られた時だった」

 

「あの時か・・」

 

ヴィータが納得といった表情で頷く

 

「じゃあ、やっぱり龍也さんが黒騎士だったんですか」

 

エリオがやっぱりという表情で頷く

 

「ああ、その時はダークネスと名乗っていたがな。それでなスバルとティアナに言われたんだ、本当に護るつもりなら姿を見せるべきだとそれで私は決心しはやての前に姿を現したんだ・・」

 

自分の前の紅茶を口に含む

 

「でも兄ちゃん酷いな。私がそんな事言うわけないで?」

 

黙って聞いていたはやてが怒った様にいうが

 

「判ってるさ、だが私には勇気が無かっただけだ、今思えば、どうしてもっと早く姿を見せなかったのかと思う私が居るよ」

 

苦笑を浮かべ再び紅茶を口に含む

 

「所でスバルさんとティアナさんは、どうして家捜ししたんですか?」

 

エリオが聞くと

 

「ほら。えっと、なんていえば良いのかかな」

 

明らかに動揺した様子のスバルの反応に

 

「まさか・・龍也さんが好きとか違うよね。二人とも」

 

「あっ!ははははそんな事無いですよ」

 

目を逸らし冷や汗を流しているスバルの様子を見れば、モロばれだろう

 

「ああ~なるほど、スバルとティアナは兄ちゃんが好きと。そういうことか?」

 

はやてが暗黒のオーラを纏う

 

「そんなち「ええ、そうですよ、私達は龍也さんが好きですよ」ティアー!!」

 

日に油を注ぐティアナに悲鳴を上げるスバル、ちなみに龍也は聞き違いか呟きと多少現実逃避をしていた

 

「ほほ~二人は身の程を知らん見たいやな」

 

笑っている。笑っているが目が全く笑っていないはやてを真っ向から見返し

 

「何言ってるんですか?恋愛は自由ですよ。そこに身の程とか無いですよ」

 

はやての暗黒のオーラを真っ向から受け止め反論するティアナ

 

「でも付き合いは短いよね」

 

同じくオーラを纏い始めたなのはが言うが

 

「好きになるのに時間は関係ないですよ」

 

「でも年の差があるよね」

 

黒い笑みを浮かべるフェイトに

 

「たかが8歳ですよ。其れくらいどうって事ないですよ」

 

少しも臆せず真っ向から立ち向かうティアナ

 

「O~K。スバルとティアナは私から兄ちゃんを取ろうとしとる、これは宣戦布告ととるで」

 

私にどうしろと言うんだと言う表情で遠くを見ている龍也、ちなみにシグナムとシャマルとリィンは既に食堂から退避しており、最年少コンビはその黒いオーラに耐え切れず気絶している

 

「「「「「アハハハハハハ」」」」」

 

笑いあっている、はやて、ヴィータ、フェイト、なのは、ティアナ

 

「どうして?」

 

スバルは遠い目をしながらその円の中に居た。彼女は確かに龍也の事が好きだが、はやて達ほどでは無い

 

龍也の女難はまだ始まったばかりだった

 

第15話に続く

 


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