第23話
龍也が昏睡状態から2日経った、スバルとティアナは自主的に訓練を積み、確実にレベルアップしている
「兄ちゃんは・・まだ起きんか・・」
眠りに付いている龍也のベッドの横の椅子に座り顔を覗き込むはやて
「峠は越したって、聞いとるけど・・何で起きないんや?」
シャマルが言うには消費しすぎた魔力を回復する為に深い眠りに付いているらしい
「はぁ、こんなに私は弱かったんやな・・やっぱり私には兄ちゃんが必要やで」
暫くそのまま居たが
「今日はスバルとティアナがなのはちゃんと勝負する日やから。見に行かんと。じゃあね兄ちゃん又来るわ」
「うっ・・ここは・・医務室か?」
はやてが医務室を出ていってから、数分後・・龍也を頭を振りながら目を覚ました
「王よ・・目を覚ましましたか?」
ベッドの横に立つセレスに
「セレス?・・私はあの後どうなったんだ?」
記憶が途切れているので、どうなったのかと尋ねると
「王はあの後・・血の流しすぎで意識を失い・・二日間眠っていたのです・・」
二日・・どうりで体が硬いはずだ・・と思い立ち上がり体をほぐしながら
「はやて達は?」
はやての事なら居ると思った居たが姿が見えないので尋ねると
「はやて様達は演習場です」
演習場?どうしてと思っていると
「王が倒れた事で皆訓練をしておりました、それで今日は試験の新人達と隊長陣との模擬戦だそうです」
模擬戦か・・見に行ってみるか・・そう思い歩き出した
「・・・模擬戦か・・スバル達はどれ程成長したかな」
新人達の成長具合を考えながら、演習場に向かって歩いていたが、演習場から
「ティアアアアアッ!!!」
スバルの悲鳴が聞こえてきた、何か起きたのかと思い
「くそ!何が起きているんだ!!」
慌てて走り出し、演習場に飛び込むするとなのはが狂ったように笑いながら、倒れているティアナ目掛け砲撃を放とうとしていた
「くそ・・フラッシュムーブ!!」
即座にフラッシュムーブを発動させ、スバルとティアナの前に立ち魔力で具現化させた盾で、その砲撃を防いだ
ズドーンッ!!!
凄まじい衝撃が私を襲う・・病み上がりの体には少々辛い・・と思いながら盾を振るい煙をふっ飛ばし
「どういうつもりだ!!なのは!!」
怒鳴りながらなのはに言うが、反応がまるで無いどういう事だと思っていると、
「龍也さん!?」
目を瞑っていたスバルが目を開き、居ないはずの私が居る事驚くスバルに
「スバル。今直ぐティアナを担いで下がれ、はやて達に言って結界を張るんだいいな?」
嫌な予感がしそう言うと
「何を言ってるんです?」
訳が判らないと言う顔をして、スバルが一歩前に踏み出した瞬間、スバルの前に魔力弾が打ち込まれる。それは浅いがスバルの足を傷つけていた
「殺傷設定!?」
驚きながらそういうスバルに再び魔力弾が放たれる
「ちっ!!」
舌打ちをしながら二人を担ぎ離れる、その様子を見て苦しそうに顔を歪めるなのは
「どうして!!邪魔するんです!!龍也さん、龍也さんは二人が居たから怪我をした、だから二人はもう要らないんです!!」
「「「!?」」」
突然のなのはに豹変に声を失うはやて達
「違うんですよ!!スバルじゃない!!ティアナじゃない!!フェイトちゃんでもヴィータちゃんでも無い。私が・・・私が龍也さんの隣に立てるんです!!!」
叫ぶと辺りにでたらめに殺傷設定の魔法を放ち始めたなのは
「なのは・・?」
その狂気を秘めた姿に声をなくすフェイト、他の面々を同様だ、私達の知るなのはと言う人物はあんな風だったかと
「スバル・・急げはやくはやての所へ行け!!!」
防御結界でその破壊の嵐を防ぐ私に。正気を無くした黒い瞳のなのはが
「どうして邪魔するんです?皆邪魔なんです。皆が居るから龍也さんが怪我をする、だから皆消えればいい!!!」
再び魔法を放とうとするなのはに、私は確信した
「猿芝居は止めろ!!貴様!!!何時なのはの体に入り込んだ!!!」
盾を構えながら怒声を飛ばす、そうなのはにはネクロが憑いているんだ!
「!?はははは、やはり気付いたか」
レンジングハートの声から耳障りネクロの声が聞こえ次の瞬間、レイジングハートからネクロが姿を見せる
「!?!?!?」
驚き声を無くすはやて達
「貴様がなのはを操っていたな?」
殺気を放ちながら問いかけると
「操る?違うよさっきのは間違いなくこいつの言葉さ、自分だけを見て欲しい。他の女と話して欲しくない、そういう感情がこいつにはあった」
レイジングハートからネクロが姿を現し、それと同時になのはが意識を失い落下する
「くそ!!」
即座に短距離転移を行いなのはを抱きとめ更に
「戒めの鎖よ、化の者を捕らえよ、ヘルズ・チェーン!!!」
バインドを発動する、それと同時に複数の鎖がネクロの動きを封じる
「クソ!!こんなもの直ぐに」
鎖を外そうと、もがくネクロにもう一度バインドを発現させ、動きを完全に止める
「今だ。スバル一度下がるぞ」
「はい!!」
「兄ちゃん!!どういうこっちゃ。何でレイジングハートからネクロがというか何時起きたんや!!」」
詰め寄るはやてに
「起きたのはついさっきだ。それより今はあいつを何とかするほうが先だ」
腕の中のなのはをシャマルの足元に横にする
「シャマル!!なのはを頼む!!はやては全力で結界を張れ、いいか全力でだぞ。じゃないと巻き込まれるからな」
はやても指示を出していると
「兄上!!高町に何があったのですか?」
シグナムが混乱しながらも尋ねて来る。
「詳しくは判らんが恐らくネクロに寄生されていた、それで正気を失ったんだろう。フェイト、なのはの言ったことは本心じゃない・・だから嫌わないでくれ」
「判ってます、なのはがそんな事、言うわけ無いのは良く判ってますから」
なのはの手を握りながら返事を返すフェイトに頷いてから
「はやて、結界を全力で張れ、今リミッターを解除したから、甲冑が展開出来る・・筈だ」
一瞬眩暈がしバランスを崩す
「兄貴!」
ヴィータが直ぐに駆け寄ってくるがそれを手で制す
「大丈夫だ。傷は直っている、少し立ち眩みがしただけだ」
「お父さんは如何するんです?」
エリオが尋ねてくる
「簡単だ、あいつを倒す!!」
「なっ!無茶ですよ一人じゃ」
心配そうに言うエリオの頭を撫でながら説明する
「本気でやる、だから下手に近づくとお前たちも巻き込みかねん」
「兄ちゃん、大丈夫なんやな?」
甲冑を展開したはやてが尋ねて来る
「ああ、大丈夫だ。私の全力を良く見ておくといい」
私はそう言うと地を蹴り再びネクロの元に向かった。
「クク、貴様を殺す為にあの女に取り付いたが、なかなか良い感情だったよ」
鎖を引きちぎり上機嫌に話すネクロ
「だって馬鹿みたいじゃないか!お前を好きで、でも自分の所為で腕を無くしたお前に近づくのが怖い、はは何て愚かなんだ」
なのはを馬鹿にするように笑い続けるネクロに顔をしかめるはやて達、かなりの嫌悪感がある。そして私も嘲るような態度が頭にきた
(セレス、悪いが全力でいく、サポートを頼む)
(・・判っています、あいつの存在はかなり頭に来ます)
懐から剣十字のペンダントを取り出し
「最強の盾よ!今こそ目覚めよ!!封印されし究極なる守護者の力よ!!今こそ目覚めよラストガーディアン。セットアップ!!!」
私の体を光が包むそして光が晴れた瞬間
「なっ!あれは」
はやての驚愕の声が聞こえる、それも当然だ。今私の体を覆っているのははやての騎士甲冑と瓜二つで違いは色が銀で有る事とはやての騎士甲冑の位置と逆に装着されている鎧。そしてその手に有るのが美しい銀の装飾が施されたの幅の広いバスターソードの様な剣、そしてベルカの象徴である。剣十字が刻まれた銀の盾・・これが私の天雷の書と二つに別れ安置されていた、古代のデバイス・・ラストガーディアン
「貴様の穢れた魂この私が浄化する!!!」
背中の翼を羽ばたかせ私をネクロに向かって行った
第24話に続く