夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第24話

第24話

 

キン!!キン!!!

 

交互に入れ替わりながら剣をぶつけ合う、龍也とネクロその速さは凄まじく辛うじて姿が見える。っといったレベルである

 

「凄い・・」

 

エリオが呟く他の面々も同様だが

 

(おかしい・・兄上の本気はあの程度ではないはず・・動きがどこかおかしくないか?)

 

私が違和感を感じている中も龍也とネクロの戦闘は激しさは増していった

 

 

(くっ!!やはり傷が開いたか)

 

シグナムが感じた違和感は気のせいではない。怪我は治って来ていたが完治はしていない。そんな状態で戦闘などを行えば傷が開くのは当然だ。気付かなければいいと思っていたが

 

「貴様!怪我が治ってないな!!」

 

笑いながらネクロが的確に傷口を抉る

 

「グウッ!!」

 

自身の意思と反して苦しげに息を吐く、その間も連続でネクロの剣は容赦なく繰り出される

 

「そんな!!体で!!私に勝てると思っているのか!!!」

 

「グアッ!!」

 

盾で受け止めるが、弾き飛ばされはやての張った結界の背中から追突する

 

「ガフッ!!」

 

追突と同時に体が軋む、思っていたより傷は治っていない様だ

 

「兄ちゃん!!!」

 

はやてが結界越しに寄ってくるが

 

「大丈夫だ問題ない。直ぐにすむ」

 

心配するはやてに問題無いと言い結界から離れるが、状態はかなり不味い、この状況を打破できるとすれば・・あれしかない

 

(セレス、サポートをあれを使う)

 

(了解しました、王よ。構築は此方にお任せください)

 

そういうと手から剣と盾が消える、さぁ此処からが本当のラストガーデイアンの力だ

 

「クク、デバイスなしで勝てるとでも?」

 

馬鹿にする、ネクロだがその通りだ。今のままでは勝ち目はまず無いだが

 

「デバイスが無い?何処に目を付けている?私のデバイスはここに有る。クラールヴィント!!セットアップ!!」

 

いつの間にか手に握られていた指輪を弾く、それは間違いなくシャマルのデバイスのクラールヴィントだ

 

「えっ?」

 

シャマルが驚きの声を挙げると同時に、私の鎧が変化するそれは間違いなく、シャマルの騎士甲冑だがそれは男物のデザインに変化している、そして現れた指輪を掴み魔力を通す

 

「静かなる風よ、癒しの恵みを運び、我が傷を癒せ」

 

詠唱と共にクラールヴィントが輝きだす。足元からベルカ式の魔法陣が浮かび上がり、そこから緑の粒子が溢れ出し私の体を包み込む。即座に傷は完治し減っていた魔力も全回復する。だが此れで終わりではない、即座に回復した魔力で自身にブーストを掛けるネクロに肉薄する

 

「はああああ!!」

 

連続で拳を叩き込むそれは確実にダメージを与えていくが

 

(やはりクラールヴィントでは力不足だな)

 

「グッ!!舐めるなよ」

 

横なぎに剣を振るうがそれを回避し、クラールヴィントを解除し

 

「デバイス復元!!」

 

コアから形作られていく、それは徐々に剣の形を成していく

 

「馬鹿な!!あれは私の・・」

 

シグナムが驚愕の声を上げる、そう形作られたのは

 

「レヴァンティン!セットアップ!!」

 

体を炎が包み鎧が変化する、今度はシグナムの騎士甲冑だ

 

「オオオオッ!!」

 

レヴァンティンを横薙ぎに振るい、その勢いを生かし回し蹴りをネクロの顔目掛け放つ

 

「クっ」

 

ギリギリで回避するネクロだが私の狙いは此れだ。一瞬でレヴァンティンを解除し、

 

「バルディッシュ!サイスモード!!」

 

左手で復元させていたバルディッシュ起動させる。鎧の黒の軽鎧に変化し、背に白のマント、この手に握るのはサイスモードのバルディッシュを、全力で振るうそれは回避して、動きが硬直していたネクロの鎧を深く傷つける

 

「グっ、貴様何故そのデバイスを使える。それはお前のデバイスではない筈だ!!」

 

その通りだ、アベレージワンのバルディッシュ更に古代のデバイス、クラールヴィントとレヴァンティンそれが二つ存在する訳が無いのだ

 

「ラストガーディアンの本当の力!それはデバイスの支配・復元だ!!!」

 

「!?!?」

 

驚くはやて達の目の前にデバイスが次々浮かび上がる。レイジングハート、ストラーダ、デュランダル 、グラーフアイゼン等自分達が所持するデバイスが次々浮かび上がる、

 

パチン!!

 

指を鳴らすと様々な色のバインドがネクロを拘束し、騎士甲冑が元の物に戻る

 

「消えるがいい魂さえも!!そして悔いろ!!貴様が何をしたのかをな!!!」

 

レンジングハート、バルディッシュ、シュベルトクロイツの先端に魔力が収束する

 

「ひぃぃぃ!!」

 

私の本気の殺気をくらい、哀れな声を上げるネクロが背を向け

 

「消えろ、目障りだ、ジェノサイドブレイカー!!」

 

桃色と金色そして白の魔力光がネクロを呑み込み消滅させた、

 

「はやて、もう良いぞ結界を解いてもな」

 

結界の前に中空する龍也の声で正気に戻る

 

「ああ・・・御免兄ちゃん、今解除するわ」

 

結界を解除すると同時に着地し騎士甲冑を解除すると同時に髪を見ながら

 

「・・やはりラストガーデイアンを使うとこうなるか」

 

長い黒の髪は銀に染まりその目は赤くなっている

 

「兄ちゃん?どうしたんそれ」

 

指差しながら言うはやてに

 

「ラストガーデイアンを使うとな、一定期間髪と目の色が変わるんだ」

 

ペンダントを仕舞い、なのはの所に行きながら説明する

 

「お兄さん・・なのはちゃん立て直しましたよ」

 

安定した呼吸のなのはを見て一安心する

 

「そうか・・だが大事をとって休ませた方が良い、何かの後遺症が出るかもしれん」

 

なのはを背中に背負うと同時に黒い空気が漂う

 

「・・はやて?何を怒っている?」

 

はやてがその元凶だが

 

「いや・・兄ちゃん怪我治ってないの無茶をしたから、腹が立っただけや」

 

「すまん、だが嫌な予感がしたんだ。それは理解してくれ」

 

「判っとるよ、でもこんな無茶はもうせんでね」

 

心配そうなはやての頭を撫でながら

 

「ああ。もうしないさ。シャマル悪いが医務室を使わせてもらう、なのはを休ませないとな」

 

「判りました、それとお兄さんも休んでくださいね、体力はまだ回復してないんですから

 

心配そうに言うシャマルに了解と返事を返し、なのはを背中に背負い医務室に向かった

 

「やれやれ、これで一息だな」

 

ベッドに横にしたなのはの様子を見る為、ベッドの横に椅子を置き、腰掛けていると胸に激痛が走る

 

「ぐうっ!!やはりユニゾン無しの支配・復元はリバウンドが来るな」

 

支配・復元はラストガーディアンの切り札だが、それはあくまでユニゾン中のみの使用が可能な物だ、それをユニゾン無しで使用すればセレスのサポートがあっても。反動まで取り除くことが出来ない

 

「はぁっ・・・はぁ・・少し休む、なのはが起きたら教えてくれ。セレス」

 

(判りました、ではお休みください)

 

「ああ、後は頼むぞ」

 

返事を返すと私の意識は闇に沈んだ

 

 

「此処は・・・」

 

茜色の光りが差し込む頃に私は目を覚ました、暫くすると私が何を言ったのか思い出す

 

「レイジングハート・・私皆に酷いことしちゃった」

 

『あれはネクロの所為でマスターの所為では在りません』

 

レンジングハートが言うが

 

「ううん、違うよ私は本当にそう思ったんだ。皆居なくなれば龍也さんが私だけ見てくれるって・・」

 

『マスター・・・』

 

レイジングハートが何か慰めの言葉を言おうとした時

 

「ぐぅぅ・・」

 

苦しげな龍也の声が聞こえた、驚き初めて龍也が横に居ることに気付く、龍也は額から大粒の汗を流し、苦しそうに胸を押さえていた

 

「龍也さん!?如何したんです」

 

その余りの苦しみように驚き声を掛けるが反応が無い

 

「そ・・そうだ。シャマルに『お待ちください』・・誰?」

 

シャマルを呼ぼうとすると男性の声で止められた

 

『グラムですよ。なのは様。申し訳ありませんが連絡はしないで欲しい』

 

「どうしてですか?龍也さんこんなに苦しそうなのに・・」

 

龍也を自分が寝ていたベッドに横にし。額の汗を拭いてやりながら尋ねると

 

『これは治癒魔法でも完治できません、これはリバウンドなのです。ラストガーディアンをユニゾン無しで使用した代償なのです』

 

「代償・・?」

 

聞き覚えの無い言葉に首を傾げると

 

『はい。主は貴方の心を傷つけたネクロに激怒し、ラストガーディアンを使いました。ラストガーディアンの能力はデバイスの支配・復元。主が見た事の有るデバイスなら全て復元し使うことが出来ます』

 

「なっ・・」

 

その余りの性能の高さに声を失う、グラムの言うとおりなら龍也は現存する全てのデバイスを使用できるという事だが

 

『しかし・・その力はユニゾン無しで使用することは出来ません。何故なら強大な力には何らかのリスクが付き纏います。それはラストガーディアンも例外ではなく、ユニゾンなしで使用すればリンカーコアに深刻なダメージを与えます』

 

グラムの話によると通常使用には問題ないが、復元を使用することはユニゾン無しでは反動が起きるのだ

 

「なん・・で。私・・なんかの為に・・」

 

判らなかった、何故自分なんかの為に、反動が起きるのを覚悟でその力を使った、龍也が判らなかった

 

『主はこう仰って居りました。なのはもはやてもフェイトも大切な家族だと』

 

「!?」

 

龍也がそんな事を言っていたとは知らず、目を見開く

 

『私からこんな事を言うのはおかしいと思います。ですがお願いがあります。主を支えてくれませんか?主は頼ることを知りません、主は常に頼られる存在で自身の弱さを見せません。はやて様達も今の代償の事はご存知ありません。だからその事を知るなのは様に支えて欲しいのです』

 

グラムが頼み込んでくるが

 

「私・・如何すればいいか判らないよ?誰かを支えるなんて判らないよ」

 

『簡単ですよ、主の手を握ってください。それだけで良いのです。共に歩くというのはそういうことなのです』

 

グラムに促され手を握る、その手は冷たく小刻みに震えていた

 

「龍也さんの手、震えてる。なんでですか?」

 

『主は悪夢を見ております。貴方達を護れなかった夢を・・過去の悪夢を見ているのです」

 

「でも・・最近は見てないって」

 

龍也が悪夢を見ることは知っていた、だが最近は見ないと言っていたが

 

『その通りですが・・なのは様がネクロに取り付かれていた事で。何らかの影響があったと思います』

 

龍也の手はなのはの手を痛いほどの力で握り締めている

 

「っ・・痛くない・・痛くないです。これくらい龍也さんの心に痛みに比べれば、大丈夫ですよ、私が付いてますから」

 

痛いほどの力で手を握り締める龍也の手を握り返しながら、言うと徐々にだが龍也の苦しそうな呼吸は穏やかなものになっていった

 

どれほどの時間そのままだったかは判らなかった。でもそれはとてもも穏やかで和やかな空気だったが

 

ヴィー。ヴィー

 

ブザーが鳴る

 

「ガジェットがこちらに向かってます。隊長陣は至急ヘリポートまでお願いします」

 

「・・私も行かないと・・龍也さん行って来ますね」

 

穏やかな呼吸で眠りに付いている龍也を見ていると

 

「・・少しくらい良いよね?」

 

そっと屈み込み、龍也の頬に唇を当てる

 

「・行って来ますね。龍也さん」

 

顔が赤いまま医務室を後にし、ヘリポートに向かって行った。医務室で

 

『まさか・・なのは様があれほど積極的になるとは・・・予想外でした』

 

『おめぇの所為じゃねぇか?譲ちゃんが積極的になったのは』

 

グラムとベレンがそんな会話をしていると

 

「む・・此処は何処だ?」

 

ベッドから上半身を起こしながら呟く龍也

 

『お、起きたか旦那、体の調子はどうだい?』

 

「悪くないだが、魔力は空だな・・そうだなのはは何処だ?」

 

拳を作ったり開いたりして感覚を確かめる、痛みは殆ど無い、どうやらセレスが治療を行っているらしい。そこでふと気付く。自身が寝ているベッドはなのはが寝ていたもの、どうして其処に寝ているのかと思い尋ねると

 

『ネクロ側のガジェットが出た、それで譲ちゃんは出て行ったよ』

 

「なっ!くそ、何処だ何処に集まっている?」

 

『ヘリポートです、主』

 

グラムが言うと

 

「ヘリポートだな。グラム、ベレン行くぞ」

 

グラムとベレンを掴み、私はヘリポートに向かって行った

 

 

 

デバイス設定

 

ラストガーディアン

 

はやての騎士甲冑とほぼ同じ性能を持つデバイスだがはやての物と違いは高い近接戦闘能力と防御能力。更にデバイスの支配・復元がラストガーディアンの切り札であるが、その力は余りに強大の為にセレスとのユニゾン無しでは龍也の体に深刻なダメージを与える。

支配はデバイスの所有者の権限を強制的に奪い、自己のものにする能力だが、復元の方が使い勝手良い為基本支配は使用されることが無い。 また復元でコピーしたデバイスのバリアジャケット及び騎士甲冑までの完全コピーが可能である、また天雷の書と複合使用で最終封印の解除が初めて可能になり、秘めたる力の全てを解放する初めて可能になり現在はスペックの半分ほどの性能しか持たないがそれでも非常に高い戦闘能力を有する

 

 

 

第25話に続く

 


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