夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

28 / 145
第26話

第26話

 

「ん・・・ふう。良く寝たな」

 

布団から抜け出し大きく伸びをする

 

「やはり・・ユニゾン無しでは反動が残るな」

 

なのはがネクロに取り付かれて数日が経ったが、自身の髪はまだ元に戻ってない上に、魔力は全開時の四分の一程しかなく、回復にも恐らく今日一日掛かるだろう。

 

「これでは禄に戦えんな・・」

 

そう呟き、着替えようとすると

 

「お~い、兄ちゃん起きとるか?」

 

ノックもせずに部屋に入ってくるはやてを横目で見る

 

「はやて、せめてノックをして欲しいのだが?」

 

冷静に言うと、少しバツが悪そうに

 

「ああ、御免でも今日は新人のデバイスの第二段階の開放の試験やから。兄ちゃんにも見て貰おうと思ってな」

 

「第二段階?あいつらのデバイスはあれで完成じゃないのか?」

 

何時もの早着替えで着替え終え、尋ねると

 

「そうやで、皆のレベルが上がったら、リミッターを外そうと思ってたんや、んで皆に内緒で試験をやるんや」

 

「そうか・・では見せて貰うとするか。どれ程強くなったのか」

 

二人でシュミレーションルームに向かって行った

 

「ふむ・・大分動きがいいな。特にスバルとエリオが良いな」

 

最近は魔力がほぼ無いと言っても過言ではないので、訓練には参加して無かったので知らなかったが。二人の動きは最後に見たときより遥かに良い物になっている事に感心していると

 

「ふふ、兄ちゃんの影響やな」

 

ラストガーディアンを用いた戦闘はどうやら。皆にいい刺激を与えたらしい

 

「そうか・・自信を無くさないかと不安に思っていたが。いらん心配だった様だ」

 

スバルとエリオだけでなく、ティアナとキャロの動きも良い。その上達振りは目を見張るものが有る

 

「どうやら終わりのようだな・・やれやれもう少し早く来ていれば。良かったな」

 

訓練が終わったようで、皆が集合する所を見ながらそう呟くと

 

「ん。やっぱ、兄ちゃんは成長しとるところが見たかったんか?」

 

「まぁ・・・そうだな。後ろから追ってくる若者の存在は嬉しく思うな・・」

 

「ふ~ん、そんなもんなんか」

 

はやては、私の言っていることが今一理解できていないようだ

 

「そのうち判るさ・・さてと皆の所に行くか」

 

「うん、行こうか」

 

笑顔で隣に立つはやてと共になのは達の所へ向かった

 

 

「はい、今朝の訓練と模擬戦も無事終了。お疲れ様!」

 

FW4人はドロドロのボロボロだ。返事も絶え絶えだ。

 

「でね?実はなにげに今日の模擬戦が第2段階クリアの見極めテストだったんだけど・・・」

 

なのはがサラっとテストであったと言い、四人は「え!?」と声を揃えた。

 

「で・・結果なんだけど・・「待て、それは私が判断する」

 

後ろからの龍也の声で遮られる、慌てて振り返ると龍也とはやてが並んで歩いてきていた

 

「龍也さん(お父さん)部隊長、おはようございます!!」

 

「おはようさん、皆元気そうやな」

 

穏やかに挨拶を返すはやてに続き

 

「ああ、おはよう、さて早速で悪いが。テストの結果を発表するとしよう」

 

その言葉に表情を固くするスバル達を見てから

 

「まず、スバルだが攻撃力は今までの通り素晴らしいものが有るが・・相変わらず猪突猛進過ぎるな。もう少し一つ一つの行動を考えろこれはエリオにも言えるからな」

 

スバルとエリオに対する。辛口の評価に不安そうな顔をしている、ティアナとキャロに

 

「次にティアナとキャロだが・・ティアナの状況判断は素晴らしいものが有るだが・・柔軟性が足りない、キャロはもう少しパートナーのエリオを信じろ、フルバックなんだからパートナーとの信頼関係も大切だ、お前にはフリードとエリオという信じるに値するパートナーが居るはずだ」

 

「・・はい」

 

俯きながら返事を返す、キャロ。エリオたちも表情が固く、雰囲気は暗い

 

「さて・・テストの結果を言うが、改善点は有るが、十分に合格ラインは超えている。よって全員合格だ!」

 

さっきまでの暗い感じから一気に明るくなり

 

「本当ですか・・いろいろ駄目だしが在りましたけど」

 

「当たり前だろう?まだまだ改善の余地が有るのは当然。若いんだからな。だがその分伸びしろもある。だが私が断言する、お前たちは将来的に最高の魔導師になると」

 

龍也の言葉に笑顔になる。スバル達を見てから

 

「それでは、皆食堂に後で来るように。今日の朝食は私が腕を振るうからな」

 

「「本当ですか!」」

 

スバルとエリオが食いついてくる、目は期待に輝いている

 

「勿論本当だ、楽しみにしているといい。なのは、フェイト私は準備をしてくる。何か言うことが有るなら言って置けよ。・・・はやて

一緒に来るか?」

 

「勿論。私も行くで」

 

来たときと同じようで並んで、歩き去って行った

 

 

「ああ~。まだかな~、私お腹減ったよ」

 

スバルがお腹を擦りながら、言うと

 

「スバル、あんたそれ何回目?恥ずかしいから少し黙ってて」

 

私が本を読みながら睨むと

 

「ええ~でも。お腹空いたよね~エリオ」

 

話を突然振られ驚いた表情を見せたが

 

「ええ、僕もお腹空きましたよ」

 

スバルと同様にお腹が空いたというエリオ、それは仕方ないと思うが、此処まで何度もお腹が空いたと言われると此方が恥ずかしくなる

 

「ふふ、しょうがないんじゃないかな?私も楽しみだし」

 

コーヒーを飲みながらなのはさんが言う、以前なら黒くなることがあったが最近はそれが無い。終始にこやかだそんな事を考えていると

 

「すまない、大分待たせてしまったな。だが待った分の価値は有るぞ」

 

大きめのトレイを両手に持って。龍也さんと部隊長が私達が座る席の前に来た

 

「いや、何を作るか迷ってな・・結局洋食で固めてみた」

 

そう言って並べられたのは、スクランブルエッグ、サラダ、コーンスープ、それとカリカリに焼かれたベーコンだ

 

「このベーコンは私の自家製でね。見てくれは悪いが味はいいぞ」

 

龍也さんの言うとおりで形は多少悪いがとても美味しそうだ

 

「では、食べるとしよう、頂きます」

 

「「「「頂きます」」」」

手を合わせ、最近習慣となっている、挨拶をしてから置かれた料理を口に運ぶ

 

「美味しい・・」

 

思わすそう言ってしまう。何度か龍也さんの料理は食べたことが有るが。やはり美味しい女としては男性に料理負けているのは嫌だが、龍也さんの腕は間違いなく一級品だ。

 

「うっ!やっぱり龍也の料理は美味しい・・何時になったら追いつけるかな?」

 

料理を口に運び難しい顔をしながら呟く、フェイトさんと

 

「うう。私お兄さんの料理のレシピ持ってるのに、この味が出せません」

 

コーンスープを口に運び、泣きそうな声でシャマル先生が嘆いているのが見えるが

 

「むっ・・失敗だ。塩が濃い」

 

龍也さんがスープを一口飲み、次の一言でシャマル先生とフェイトさんが凍りつく。これだけ美味しいのに失敗と言う龍也さんが信じられなかった。こんなに美味しいのにな・・そう思いながらスープを再び口に入れた

 

「それで・・何の話をしてたんだ?」

 

食後の紅茶を飲みながら龍也さんが尋ねてきた。どうやら自分たちが居なくなった後の会話が気になったらしい

 

「特に何も無いですよ。唯今日は新人達に休暇にするよって話しただけですよ」

 

コーヒーを呑みながら、フェイトさんが返事を返す

 

「休暇か・・そうだなスバル達も休みが無ければ辛いだろうな」

 

紅茶を飲みながらそう返事を返しているがふと気になった

 

「龍也さんて、黒騎士の時から休んでますか?」

 

ビクっ!肩が大きく動き目を逸らす、まさか

 

「兄ちゃん、まさかとは思うやけど、休んでないとか無いよな」

 

「・・そんな事は無い、ちゃんと休んでいた・・・」

 

目を逸らしながら言う龍也さんの顔を掴み無理やり目を合わす

 

「兄ちゃん、正直に言うてくれない?休んでるのか休んでないのか」

 

この位置からは見えないが、部隊長の目は恐らく黒くにごっているだろう

 

「・・一日丸々休んだことは無い・・」

 

遂に観念したのか搾り出すように返事を返した。龍也さんだがその額から汗が流れている

 

「はぁ~兄ちゃんは相変わらず無茶をするんやな、よし決定や兄ちゃんも今日は休み、街にでも出掛けて来たらええ」

 

呆れ半分といった口調で部隊長が頭を抱えながら言う

 

「いや・・しかしはやて達が仕事しているのに、私だけが休むわけにはいかないのだが」

 

固いと言うか律儀と言うのかそんな事を言う龍也さんに

 

「気にしんでええよ、偶には羽を伸ばすのも大事やで。な!なのはちゃん達もそう思うやろ?」

 

うんうんと頷いているなのはさんとフェイトさん。何だろうこういう時の連帯感は

 

「・・わかった、今日は休ませてもらう。私は一度部屋に戻るからな」

 

何時もの黒いコートを翻し歩いて行くその姿は銀の髪と一致してとても美しいと思った

 

 

「街に出掛けるなど、久しぶりだな」

 

制服から私服の黒の上下に変え。コートを羽織る

 

「確か・・ノーヴェ達と街に出掛けたのが最後だな」

 

何だかんだ言ってくるが、やたら私の手伝いをすると言って来た。ノーヴェ達の事を思い出す。やる気は有るのだが残念ながら経験が少なかったのがマイナスになっていたなと思う、苦笑しながら首からはやてから貰ったペンダントを下げ

 

「さて、出掛けるとするか」

 

コンコン、

 

ノック音がする

 

「うん?誰だ」

 

扉を開くと。其処には私服を着たヴィータが居た。ヴィータが今来ているのは、以前私がヴィータに贈ったもので、ヴィータの騎士甲冑をモチーフに私が縫った服で赤を基調とし金の刺繍が施された服だ、ちなみフェイトとなのはも作って欲しいと言っているが。その度にはやてに却下されている

 

「あのよ・・兄貴あたしも今日休みなんだ。良かったら一緒に遊びに行かないか?」

 

服に負けないくらい赤くなっているヴィータが俯きつつ服を握り締めながら言う

 

「私とか?別に構わんよ」

 

「本当か?」

 

バッと顔を上げるヴィータ

 

「ああ、一人では詰まらないからな。ヴィータさえ良ければ一緒に行くか?」

 

「うん。行く、一緒に出掛けるぜ、早く早く行こうぜ」

 

笑顔のヴィータに手を引かれながら街に出掛けていった

 

第27話に続く

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。