夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第27話

第27話

 

「こうして、ヴィータと出掛けるのも久しぶりだな」

 

二人で街を歩きながら買い物をしていると、昔を思い出し自然とそう呟いた

 

「そうだな。兄貴が行方不明になる前が最後だから、8年ぶりか・・」

 

隣を歩きニコニコのヴィータが返事を返す、二人でクラナガンの街に来て見たが、やはり偶に外に出掛けるのは良い事だと思う、そんな事を考えていると

 

「兄貴!次はあっち行こうぜ!!」

 

元気な声を上げるヴィータに苦笑しつつ、ヴィータが指差す方に歩き出した

 

 

兄貴の背は高い。あたしと比べたらそれは一目瞭然だ。こうして隣通しで歩いていても仲の良い兄弟にしか見えない、これがはやてやなのはだったら違う、少なくとも妹ではない恋人として見えるだろう、でもあたしじゃ無理だ。どんなに兄貴が好きでも、夜天の書のプログラムであるあたしは成長が無い、どれほど月日が流れてもあたしはこのままだ、決してあたしじゃ兄貴の恋人に為れない。その事実が胸に圧しかかかる、偶に思う、もしあたしが人間だったら・・プログラムじゃなかったら兄貴の恋人に成れたのかと思う

 

「よぉ、そこの兄ちゃん、良かったら見ていかないか?」

 

そんな事を考えていると横手から声を掛けられる、驚きその声の方を見ると人の良い笑顔を浮かべた露天商が居た

 

「アクセサリー、安く売るよ?どうだい妹さんに一つ」

 

あたしの方を見ながら、笑いかけてくる。露天商

 

「ふむ・・そうだな。では一つ貰おうか?ヴィータどれが良い、好きなものを選ぶといい」

 

並べられた。アクセサリーを見るどれも銀で感じが良い、余りこういう物には興味は無いあたしでも綺麗だと思った

 

「えっと・・兄貴これがいい」

 

目に留まったのは二つの三日月が重なった髪留めだった

 

「これか?すまないがこれを頂こう」

 

「毎度!へへこれは中々の一品だよ、兄さん」

 

商品のことを説明しながら丁寧に、紙に包みあたしに向け

 

「良かったな、譲ちゃん、ほれお前さんの兄さんからのプレゼントだ」

 

再び人の良い笑顔で手渡しくれた髪留めを握り締める

 

「また来てくれよ、俺はここら辺で商売してるからよ」

 

手を振り見送る露天商から離れ、再び歩き出すが

 

(やっぱり・・あたしじゃ兄貴の恋人に見えない・・あたしはこんなに兄貴が好きなのに)

 

露天商の妹と言う言葉が頭を過ぎる。それが頭の中を過ぎる度に不快感が募る

 

(嫌だ、妹じゃ嫌だ・・あたしは妹じゃなくて・・)

 

「ヴィータ?どうした気分でも悪いのか?」

 

心配そうな兄貴の声で正気に戻る

 

「んん。なんでもねえよ」

 

出来るだけ普通の声で言うが

 

「そんな顔で何を言ってる、顔が真っ青だぞ」

 

そういわれ、喫茶店の窓を見る、其処には今にも倒れそうな顔色をしたあたしの顔があった

 

「人込みで疲れたのだろう、此処の公園で少し休むか」

 

兄貴に連れられ公園の中に入っていった。

 

 

「大丈夫か?顔色が真っ青だが気分でも悪いのか?」

 

公園のベンチに座わると、心配そうな顔でこっちの顔を覗き込む兄貴

 

「大丈夫だよ、兄貴は大袈裟なんだよ」

 

心配してくれているのにこんな風に返事を返す自分が嫌だ。はやてみたいにもっと上手く甘えられたらいいのに

 

「少し待ってろよ、今何か飲み物を買ってくるからな」

 

そう言い公園を後にした兄貴を見送り、ベンチに腰掛け空を見上げていた、どれくらいそうしていたかは判らなかった、でも胸にあった、もやもやとした感じは無くなっていた。気分が軽くなり空を再び見上げていると

 

「すまん、少し遅くなった」

 

コンビ二の袋を持って兄貴が歩いてくる

 

「大分顔色が良いな、気分はどうだ?」

 

袋からジュースを取り出しながら尋ねてくる、そのジュースはあたしが大好きな奴だ

 

「へへ、もう大丈夫だぜ」

 

そのジュースを受け取りながら返事を返すと

 

「そうか」

 

笑顔で横に座り、自分の分の飲み物を取り出しているが、それを見て顔を顰める

 

「兄貴はまたそれか?それ余り美味くないぞ?」

 

兄貴が飲むのは紅茶で、甘くない奴を好んでいる。あたしはとてもじゃないががそれは飲めない、苦すぎるからだ

 

「そうか?私とシグナムはこれが好きだが?」

 

シグナムと兄貴の味覚は良く似ている、二人とも甘いものは好きじゃないし、どちらかといえばこういう香りや風味を楽しむ物が好きだ

 

「まぁ、好みは人それぞれだからな」

 

穏やかに笑い紅茶を飲み二人で暫く話していると

 

「そうだ・・いい機会だ、これを渡しておこう」

 

兄貴はポケットからお揃いのブレスレットを取り出し、手渡してくる

 

「えっ、これ如何したんだ?」

 

そのブレスレットは見た目からかなり高価な物だと判る

 

「はやてとはお揃いのペンダントが有るからな、ヴィータにも何かお揃いでアクセサリーを付けようかと思ってな。作ってたんだ」

 

兄貴は手先が器用だから、こういうのを作るのは簡単だろう、でも見た目からは。とても手作りには見えないほど綺麗に細工が施されている

 

「本当に貰うけど、良いのか後で返せとか言っても返さないぞ?」

 

渡されたブレスレットを握り締めながら言うと

 

「私はそんな風に見えるのか?心外だ。一度渡したものを返せとは言わんよ。それにこれは元々ヴィータの為に作ったものだしな」

 

あたしの為と言う言葉がとても嬉しかった

 

「へへ、じゃあ貰っておくよ兄貴、大切にするからな」

 

渡されたブレスレットを手首につける、それはピッタリと手首に収まった

 

「ああ、そうしてくれると嬉しいよ」

 

そういうとあたしと同じデザインのブレスレットを左手に付ける

 

「さて・・次は何処へ行く?ヴィータの好きな所に行こうか?」

 

手を差し出して、微笑んでいる兄貴の手を掴む

 

「いや。次は兄貴の好きな場所に行こうぜ。図書館とかさ」

 

そう言うと難しい顔をする兄貴

 

「いや・・それだとお前が暇にならないか?」

 

「馬鹿にするなよ、あたしだって本くらい読むさ」

 

「漫画か?」

 

本を読むと言うと漫画かと尋ねる兄貴に

 

「兄貴よ。あたしだって女だぜ、料理位するさ、んで兄貴に食べさせるんだ」

 

「そうか・・それは楽しみだな」

 

「おうよ、ビックリするくらい美味い料理を作ってやるさ」

 

あたしじゃどんなに頑張っても兄貴より美味い料理は作れない、でも込める愛情なら負けない。はやてが言ってた料理は愛情だと、ならあたしだって愛情なら負けるつもりは無い

 

「そうかでは、図書館に行くか?」

 

「おう、行こうぜ」

 

二人で手を繋ぎ図書館に向け歩き出した、それはとても軽やかなものだった。

 

 

 

「所でよ、兄貴は何か嫌いな物は有るか?」

 

図書館で料理の本を読みながら尋ねると

 

「基本嫌いなものは無いな」

 

兄貴は神話の本を読んでいる、兄貴は神話とかの本が好きでよく読んでいる

 

「じゃあ好きな食べ物は?」

 

「私が好きな物と言われてもな・・そうだはやてに聞けば教えてくれるぞ。私が何が好きなのか」

 

「う~ん、やっぱそうだよな、はやてが一番兄貴のこと知ってるもんな」

 

これがなのはやフェイトならはやては絶対に教えてくれないなと思い本を捲る

 

「さて・・とそろそろ図書館を出るか、折角良い天気なのに図書館に篭りっきりと言うのも勿体無い話だ」

 

本を片付け立ち上がり兄貴に

 

「そうだな。じゃあ次はゲームセンターでも行こうぜ?」

 

「それも良いな、ではゲームセンターに行こうか」

 

もう一度手を繋ぎ歩き出そうとした時、キャロからの全体通信が入った

 

「こちらライトニング4!緊急事態につき現場報告をします!路地裏にてレリックと思しきケースを発見!更にケースを持っていたらしい小さな女の子が一人です!」

 

通信を聞き終わると、目を閉じ息を吐く兄貴、そして次に目を開くと

 

「どうやら・・休みは此処までのようだ。ヴィータ行くぞ」

 

先程までの優しい瞳では無く、戦う魔導師としての目になった兄貴、何度も見ているがやはり顔が赤くなる

 

「おう、判ってる、続きはまた今度だな」

 

赤くなった顔を隠しながら言い、二人でキャロ達が待つ場所に向かって行った

 

 

第28話に続く

 

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