夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第1話

第1話

 

黒く垂れ下がる曇り空から白い雪が落ちてくる。

 

その雪は地面に落ち、地面を白くしていく。

 

かなり降ったのだろう、地面はかなり白の割合が多くなっている。

 

赤く可愛らしい服、ゴスロリチックな服を着た少女と白い服を着た少女が目の前に広がるクレーターを信じられないといった表情で見ていた。

 

それはまるで爆弾でも爆発したような跡だった、そしてその中心にある砕けたデバイスの欠片と大量の血痕

 

それは赤い少女の兄の様な男が持っていたデバイス。どんな時も家族を守り導いた男の相棒の姿。

 

それを見つけた二人は大声で泣きながら

 

「兄貴!!居るんだろ、出てきてくれよ」

 

「龍也さん!!居るんでしょ、早く出てきて」

 

それは余りに悲痛な叫びだった、信じられない・・いや信じたくないのだ。

 

赤い少女「ヴィータ」には兄でありまた好きな男、そして白い少女「高町なのは」にとっても好きな男だった

 

「八神龍也」の死を

 

楽な仕事の筈だった最近出現するようになった。アンノウン未確認体の出現を聞いて。なのはとヴィータそして龍也はそれを破壊する為に三人で出撃した。確かにアンノウンはいただが三人の敵では無かった・・いや正確には龍也の敵では無かった

 

アンノウン未確認体は三人に気付き襲ってきた、なのはとヴィータが戦闘態勢に入る前に龍也が前に出て。二人の前に立った

龍也はどんな時も家族を守るために力を使った。

 

襲ってくるアンノウンを左手の盾で受け止め、まるで意に介さないと言った表情で右手の剣に魔力を込め

 

「蒼龍一閃!!」

 

電撃が込められた、恐ろしい速さの一撃でアンノウンを破壊し、スクラップにした

 

「さすが兄貴だぜ。あのアンノウンを一撃かよ」

 

ヴィータがまるで自分で撃破した様に嬉しそうに話しかける。このアンノウンはどういう訳か魔法がまるで効かないのだ、だから接近戦で戦うしかないが、接近戦にも非常に強く並みの魔導師では手も足も出ないのだ

 

「確かにあれの相手をするのはミッド式では難しいな、やはりベルカ式がいい様だ」

 

冷静に敵の情報を分析している、この男が八神龍也だ。全身を覆う青い鎧にその手に持った巨大な盾と剣。これが彼のデバイス「ガーディアンズハート」だ、これは龍也の死んだ父親が持っていた、お守りだったらしいのだがPT事件の際に、家の近くでジュエルシードが発動した際に目覚めたデバイスで種類としてはインテリジェンスデバイスに分類されるが非常に無口で喋っている所をマスターである、龍也自身見たことが無い

 

「ねぇ、龍也さん本当にミッド式じゃ、あのアンノウンは撃墜できないの?」

 

二人のベルカ式での戦闘展開についての話し合いに着いて行けず。というかヴィータと楽しそうに話していることに、訳がわからずイライラしてしまい思わず大きな声でなのはが言う。その声に驚いた顔をしていた龍也だが

 

「いや、遣り様によっては、ミッド式でも破壊できる、だがそれには条件がつく。信頼できるベルカの騎士に前衛を頼み。その間に魔力をチャージして、あいつのバリアを破壊するくらい強力な砲撃を放てる魔導師ならな。だからお前やフェイトならシグナム達と協力すれば破壊できるはずだ・・・おい話聞いてるか?」

 

諭すようになのはの頭を撫でながら、ミッド式でアンノウンの対処を話したが、なのははその話をまったく聞いておらず龍也に頭を撫でられまるで猫のように目を細め笑っていた、おそらく龍也の言葉など何一つ頭に入っていないだろう。

 

まったくとため息を吐きながら肩を落とす。

なのはにしてもなのはの友達のフェイトに従兄弟のはやてにしても何故、私が頭を撫でるとこうなるんだろうな?

 

「お~い、兄貴そろそろ帰ろうぜ。さすがに冷えてきたからな」

 

「それもそうだな。なのはそろそろ帰るぞ」

 

撫でていた手を退けるとどこか残念そうだったが「は~い」と返事をし。飛行魔法で飛び上がろうとしたとき。

 

「っ!!」

 

首筋に静電気に似た痛みが走る。これは殺気だ、何処だ何処に居る!!辺りを見回すが殺気を放っている者が見つけられない

 

「龍也さん、如何したんですか?」

 

「兄貴、そんなに辺りを見回して如何した?」

 

二人が私の突然の行動に驚いていた、つまり殺気を放っている奴の狙いは私か!!ならば二人を早くここから遠ざけなければ

 

「何、どうやら携帯を落としてしまったようだ。探してから帰るから先に帰っててくれないか」

 

苦しい言い訳だが、二人を此処から逃がすことが最優先だが

 

「じゃあ、私も一緒に探すよ」

 

「あたしもな」

 

なのはとヴィータは魔法を解除して降りてきてしまう。

 

「いや、私一人でだ・・・・」

 

その時私は見てしまった。なのは達が居た、遥か上空にいる漆黒の鎧に身を包んだ騎士の姿を。騎士と目が合うそして騎士はニヤリと笑い腰から下げていた剣を抜き。私に向かって何かを呟き姿を消した「間に合うか?」だと・・・まさか!!慌てて後ろを見るなのはとヴィータの背後にいた。漆黒の騎士の存在に二人はまだ気付いていない

 

「なのは!ヴィータ!!そこを退けえ!!」

 

「えっ!!」

 

突然の怒声に驚き体が硬直した、二人を突き飛ばし、左手の盾を構えた

 

ザシュ!!!

 

肉を切り裂く嫌な音が響く、馬鹿な・・あいつの攻撃は防いだはずだ、左腕を見る在る筈の左腕は存在してなかった。その事を認識すると凄まじい痛みが走った

 

「ぐあああああ!!」

 

此処で初めて襲撃者の存在に気付いたなのはとヴィータが俺のそばに来ようとするが、それより早く騎士が放ったバインドで拘束されてしまう

 

「クク、間に合った事は褒めてやろう」

 

此処で初めて黒騎士の声を聞いた、それは馬鹿にするような人を蔑む様な声だった

 

「てめぇ!!何者だ!!」

 

ヴィータがバインドで拘束されたままで叫ぶ。いやよく見るとバインドを破壊しようとなのはと一緒に力を込めているが、一向に壊れる気配が無い。

 

二人ががりでも破壊できないということは。こいつの魔導師ランクはSSS・・いやもしかするとそれ以上だ。痛みで意識が飛びそうになるが必死でそれを繋ぎ止め。右手で剣を構えながらなのはとヴィータの前に立つ

 

「兄貴・・腕が!!」

 

ここでヴィータとなのはが私の左腕が無いことに気付く。ヴィータでさえ声が震えている、なのは声も出ないようだ

 

「大丈夫だ、右手があれば戦える」

 

二人を安心させる為に強がりを言うが正直限界に近い。ガーディアンズハートが治癒は発動させているが一向に血の止まる気配が無い。つまりあいつの攻撃には治癒を妨げる呪式が刻まれていることになる。

 

「強がりは止めたらどうだ?俺の剣には切りつけた相手の魔力と体力を奪う呪式が刻まれている、正直立っているのが限界だろう」

 

目の前に居る騎士が言う。やはり私の予想は当たっていたか。さっきから眩暈がする血の流しすぎとから起きる症状だ、このままでは出血多量で死に至るだろう。なにか言い返してやろうと口を開くが声が出ない、相当体力が減っているようだ

 

「返事をする気力も無いか。こんな奴が俺を倒す可能性を待っているというのか。どうやらこの時代の騎士は相当弱いようだな」

 

「この時代ってどういう意味だ!」

 

ヴィータが騎士に向かって叫ぶ、その様子をみて詰まらなそうに騎士が鼻を鳴らす

 

「いまから。死ぬ奴に教えるほど俺は暇じゃないんでな。」

 

その言葉で薄れていた意識がハッキリとしてくる。こいつはなのは達を殺すつもりだ。そんな事はさせない私の存在意義に掛けて

 

「ぅおおおお!!」

 

力が抜けていた右手に無理やり魔力を込めて。騎士に切りかかる

 

「ぬぅ!!まだ動けるのか」

 

反撃の暇など与えない。一気に仕留める。体に無理やり魔力を通し、騎士に攻撃を仕掛ける、袈裟切り、逆袈裟、我武者羅に騎士に攻撃を仕掛けるが、どれも当たらない

 

「調子に乗るな!!この死に損ないが!!」

 

騎士の放った一撃が逆に俺を吹き飛ばす。それと同時に目に走る激痛どうやら右目が潰れたみたいだ。それと無理をして体に通していた魔力が消えるそれと同時に痛みが戻ってくるが剣を杖代わりに立ち上がろうとする。

 

「兄貴・・あたしは良いから早く逃げろ!!」

 

「龍也さん、早く逃げて」

 

なのは達がバインドで拘束されたまま言うが。私に2人を置いて逃げるという選択肢は無い。私はいつだって誰かを守るために居るのだから。震える足に力を込めて立ち上がる

 

「まだ立つか、それほどこいつ等を守りたいと言うのか・・いいだろう。こいつ等を見逃してやろうか?」

 

「な・・・に?」

 

騎士の意図が判らず聞き返すと

 

「だからこいつ達を見逃しやろうかと言っているんだ。俺の目的は貴様を殺すだけだからな」

 

「私・・を殺せばお前は此処から消えるのか?」

 

「ああ。そのとおりだ。如何する?お前が決めろ3人とも死にたいならそのまま立ってろ。2人を見逃して欲しいなら其処に座れ」

 

私はその言葉を聞き。剣を手放しその場に座り込んだ

 

「兄貴!?」

 

「龍也さん!?」

 

「いい覚悟だ。仲間を救うためその命を差し出すか。いいだろう二人の事は見逃してやろう」

 

騎士はそう言うと剣を腰の鞘に収め浮かび上がると、左手に魔力を収束し始めた

 

「兄貴。なにやってるんだよ、早く逃げろよ!!」

 

「龍也さん、逃げてお願い!!」

 

2人が泣きながら言うが私にはもう立ち上がる気力も無い、いや仮に立ち上がったとしても今の俺には二人を護る力は無い、これが最善なのだ自身の命を差し出すことが・・

 

「消えろ!!カオスブレイカー!!!!」

 

騎士から放たれた。黒い光が私に向かってくる・・これを喰らえば私は間違いなく死ぬだろう・・その事を理解した直後私の脳裏に浮かんだのは、ただ1人の肉親の姿・・泣き虫で甘えん坊で・・でもそれでも心が強い・・私の大切な妹の姿・・

 

「ヴィータ、なのは。はやてにすまないと・・・」

 

私は最後まで言うことなく光に包まれた・・

 

『緊急転送システム起動』

 

俺は薄れ行く意識の中でガーディアンズハートの声を聞いた気がした

 

『未確認との戦闘で時空管理局所属。Bランク魔導師「八神龍也」のデバイスの残骸と大量の血痕などの状況証拠から死亡の確認がされたが聖王教会に所属する従兄弟の八神はやてより。行方不明にしてほしいとの要請があり、それを承諾し行方不明とする』

 

 

 

何処かわからない場所で青の服を着た、左腕の無い少年が倒れていたそしてそれを見ている1人の女性

 

「どうして此処に?此処には私の主たる資格も持つものしか来れぬ筈だが?」

 

疑問を感じながら女性は少年の頭に手を置く

 

「何ということだ、あいつが蘇ったのか・・」

 

驚愕を含む声で呟くが、少年の頭に手を置きながら

 

「この少年なら、あいつを倒せるかもしれない」

 

女性は何かを考え込む素振りを見せたが

 

「少年恨むなら恨んでくれて構わん、だが今はこうするしかない」

 

女性は少年にそう呟くと抱え上げ、遺跡の奥に消えたそしてこれから8年後、異世界ミッドチルダで物語が幕を開ける

 

 

八神龍也 15歳

 

事故で両親を失い。そのまま孤児院を転々とし、最終的に父親の弟の元に預けれた。

そして新しい家族を得たがそれから2年後交通事故ではやての両親が亡くなってしまう、それからははやての兄として過ごしており。足の動かないはやての為に車椅子を押しながら散歩に行ったりなど、常に彼女のそばに居た、だがPT事件の時に形見のガーディアンズハートが起動し魔導師となり事件の解決に貢献した。そしてそこではやてと同い年なのはとフェイトと知り合いになる。そして管理局に身柄を拘束されそうになった、フェイトの弁護を勤め無事に無罪を勝ち取った。ちなみに弁護した理由ははやての友達を作ってやりたかったの事また後に発生した。闇の書事件も自身が大怪我をするものの無事解決に導いている。またシグナム達の魔導師を襲ったという事を無罪にして貰う為、司法取引をして管理局に仮入隊する。そして魔導師ランクはB+だが冷静に戦況を見極める観察眼と様々な武術に精通しておりその能力は非常に高く、バリアジャッケットの色から蒼天の守護騎士と言う二つ名を取るほどにその能力は評価されている。そして基本的になのはやシグナム達とチームを組んで行動をしていたが基本彼はオールラウンダーで単独行動もできるが、彼は守る事を得意としており守るべきものがあるときその力を最大に発揮する。また学校ではトップクラスの成績を誇り、運動もあるひとつを除けば完璧で料理も非常に得意である

 

 

弟2話に続く


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