夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第28話

第28話

 

「居たぞ、あそこだ」

 

報告を元にエリオとキャロが居る所に向う、そこには既にスバル達が合流していた

 

「龍也さん」

 

真っ先に気付いたスバルが声を掛けてくる

 

「すまん、少々遅くなったようだ。

 

「そんな事ないですよ、連絡してしてそんなに時間がたってませんよ」

 

言うとおりだ連絡があってから、五分ほどで現場に到着した。今の魔力が減っている状態でも身体強化は問題なく行うことが出来る

 

「あの龍也さん、ヴィータさんは如何したんです?一緒に居ると聞いていたのですが・・・」

 

同じ休暇のはずのヴィータの姿が見えない事を尋ねると

 

「兄貴いい加減降ろしてくれ」

 

背中からヴィータの声がする

 

「すまん、今降ろす」

 

背中から真っ赤なしかし騎士甲冑とは違うゴスロリ服姿のヴィータが現れる、その服は間違いなく似合っていたが、一つの疑問が浮かび上がった

 

「・・・ヴィータさん・・もしかしてゴスロリ好きなんですか?」

 

「違う!!これは・・その・・あの兄貴が作ってくれたんだ!!!」

 

顔を赤くしながら言うヴィータに驚きの表情で

 

「じゃあ・・これは龍也さんの趣味なんですか?」

 

驚きながら尋ねると

 

「ん?いや違うはやての趣味だな、ヴィータにはこれが似合うと言っていたので。はやてのデザインを元に作った」

 

倒れてる少女の様子を見ながら冷静に言う私に

 

「これお父さんが作ったんですか?」

 

ヴィータの服を見ていたキャロが目を輝かせながら尋ねてくる

 

「そうだよ、あとシグナムとシャマルにも作ったことが有る、勿論はやてにもな」

 

返事を返しながら、少女の脈を図る、詳しくは判らんがバイタルは安定しているな

 

「あの・・お父さん・・私にも服を作ってくれませんか?」

 

赤くなりながらキャロが言う

 

「別に構わないが・・はやてに許可を貰ってくれ。なんせ服を作るには正確なサイズが必要になるからな。男の私が女性のサイズを図る訳にも行かないからな」

 

前になのはに頼まれ作ろうとしたことがあったがはやてとヴィータがこれに激怒。フェイトを巻き込みかなり危険なレベルの模擬戦が行われた。ちなみサイズを図ったのは私ではなくフェイトだった

 

「じゃあ。部隊長が良いって言ったら「ああ。好きなデザインで作ってあげるよ」

 

嬉しそうに笑うキャロを見ていると

 

ババババババ

 

上空からヘリの音がする

 

「どうやら、シャマルが来たようだな」

 

その呟きと共にシャマルが降りて来るのが見えた

 

「お兄さんもう来てたんですか?」

 

大分離れた所に居たのでまさか既に現場に居るとは思っていなかった様子でシャマルが尋ねてくる

 

「ああ、連絡の後ヴィータを背負って走ってきた、所でこの子は様子は如何だ?余り詳しくないが応急処置はしてある」

 

「ばっちりですよ、的確な処置が施されてますよ・・・所でヴィータちゃんの服お兄さんが作った奴ですね。懐かしいですね」

 

少し離れたところに居るヴィータを見て、懐かしそうに目を細めるシャマル

 

「そうなのか?昔は良く着てただろ?」

 

出会って割と直ぐに作ったため良く着ていたと記憶していたが

 

「着るとお兄さんを思い出すからって余り着なかったんですよ、ヴィータちゃんそれにその服を見るとはやてちゃんも悲しそうな顔をしてましたから」

 

「そうか・・やれやれだな、あの時の私はどうしようもなく愚かだったようだ」

 

今のはやては私からあまり離れようとしないそれは全て私の所為なんだろう。悲しませ心配させた私への罰なんだろうな。

 

「お兄さん?どうかしましたか」

 

「いや、何でもないとりあえずこの子をヘリに運ぼう、ヴィータ後は頼むぞ」

 

「任せとけよ、兄貴」

 

笑顔で答えるヴィータに笑みを零す、私とシャマルはヘリに乗り込んでいった、その様子を見ている一人の少女・・チンクだ

 

「聖王の器は無事にダークネスが回収した。後は私がここから離れるだけだな」

 

そう呟きチンクはまるで最初からそこに居なかったように消えていた

 

 

機動六課官制室ではやて達は黙々と周辺調査を行っていた。すると、地下水路に反応を感知、画像を映すとそこにはガジェットがいた。

 

「・・・!ネクロそれにガジェット来ました!」

 

瞬間、管制室に緊張が走る。

 

「地下水路に数機ずつのグループで総数16・・・20!」

 

「海上方面12機単位が4グループ!」

 

管制官のシャーリー達の報告にはやては顎に手を当て考える。

 

「・・・多いな」

 

「どうします?」

 

「・・・そうやなあ・・・」

 

なのはやフェイトを向かわせればいいのだが、そうするとヘリのレリックが手薄になる。ネクロが増援しないとも限らない。こちらも余裕を持って対応しなければならない。グリフィスの質問にはやてはどうするか考えあぐねていると、通信が入る

 

「こちら108部隊、ギンガ・ナカジマです!」

 

はやてとグリフィスはその名前を聞くと驚く。

 

「別件捜査の途中だったんですが、そちらの事例とも関係ありそうなんです。参加してもよろしいでしょうか?」

 

ギンガのような優秀な捜査官が参加してくれるなど願ってもないことだ。今は一人でも手がいる状況で、この申し出は渡りに船だ。

 

「うん!お願いや!」

 

はやては新たにフェイトを呼び出し、モニターに映す。フェイトの肩にはリインが乗っている。

 

「ほんなら、リインはヴィータ達と合流。強力してネクロの制圧!」

 

「了解です!」

 

はやての命令にリインは元気良く返事をする。

 

「なのは隊長とフェイト隊長は、北西部から!」

 

「了解!」

 

なのはとフェイトが同時に返事をする。

 

「ヘリのほうはヴァイス君とシャマルに任せてええか?」

 

「お任せあれ!」

 

「しっかり守ります!」

 

ヴァイスとシャマルも頼りになる返事をする。なかモニターの申し訳無さそうな兄ちゃんの顔が映る

 

「すまない、今の私では足した戦力にはならんな」

 

シャマルに聞いていたが今の兄ちゃんの魔力は良くてCプラス、下手をすればEランク現状では自身のデバイスのグラムとベレンの起動ささることさえ出来ない状態だ

 

「気にせんといて、兄ちゃんお願いやから今の状態で無茶せんとてな?」

 

「了解だ」

 

兄ちゃんが返事を返すと同時に一度通信が切れる

 

「皆。怪我せんといてな」

 

祈るように呟きモニターに写るネクロを見ていた

 

 

 

地下水路を調査しながらギンガが何故近くに居たのかの説明が行われていた当然、龍也達にも。

 

「私が呼ばれた事故現場には、ガジェットの残骸と壊れた生体ポッドだったんです。ちょうど、5~6歳の子供が入るくらいの。近くに何か・・・重いものを引きずって歩いたようなような跡があって、それを辿って歩いていこうとした最中に連絡を受けた次第です」

 

生体ポッドの中には「聖王」が入っていて、レリックボックスを引きずって行ったということだろう。

 

「それにこの生体ポッド少し前の事件で良く似たものを見た覚えがあるんです」

 

ギンガが暗い顔をする。

 

「私も・・・な」

 

はやても同じく言葉を重くし、顔を暗くする。

 

「人造魔導士計画の・・・素体培養器」

 

その言葉を聞いた皆が驚く。

 

「これは、あくまで推測ですが、あの子は人造魔導士の素材として造り出された子供ではないかと」

 

地下水路を調査中のフォワード陣もギンガの通信を聞いていた。人造魔導士という単語にキャロを除く3人が苦い顔をした。

 

「人造魔導士って・・・」

 

キャロがわからない単語を質問した。

 

「優秀な遺伝子を使って人工的に生み出した子供。投薬とか、機械部品の埋め込みで後天的に強力な魔力や能力を持たせる。それが人造魔導士」

 

普段のスバルからは考えられないような難しい単語をスラスラ口にする。しかし皆そんなことを気にすることもなく、地下水路は重苦しい空気が流れる。スバルの言葉にティアナが続く

 

「倫理的な問題はもちろん、今の技術じゃどうしたっていろんな部分に無理が生じる、コストも合わない。だから、よっぽどどうかしてる連中じゃない限り、手を出したりしない技術のはずなんだけど」

 

ティアナの説明が終わりかけたとき、キャロのデバイス「ケリュケイオン」が光り、警告する。

 

《 動体反応確認。ガジェットドローンとネクロです。)》

 

「来ます!小型ガジェット、3機それとLV1が2体です!」

 

キャロの声と共にフォワード陣は周囲を警戒した。

 

 

報告で戦闘を開始した聞いたとき嫌な予感が頭を過ぎった

 

(不味いな・・戦力を分散奴らの狙いは恐らくこの子と私だな)

 

モニター見る、この波状作戦、最低でもLV3が二体はいる、恐らく指揮官タイプと流れからして砲撃タイプ狙いはヘリこれに間違いはないだろう

 

(四の五の言ってられん・・・セレス聞こえるか?)

 

セレスに呼びかける

 

(聞こえてます、王)

 

即座に返事を返すセレスに

 

(念のため姿を消してヘリの近くに居てくれ、この流れブレイザー(砲撃)とミラージュ(幻影)がいる可能性が有る)

 

黒騎士の時に何度か対峙したことが有るネクロの事を思い出す、何度か対峙したが倒せずにいる厄介なネクロがブレイザーとミラージュだ、二人一組で動きネクロやガジェットに幻術で数を増えたように錯覚させ、ブレイザーの砲撃で仕留める作戦を得意としてるネクロで厄介なのがブレイザーは近接をこなす砲撃なのだ、近接戦闘をしながら魔力を溜め不意打ちで砲撃を放つそれが奴のスタイルだ。

 

(判りました、待機しておきます)

 

(すまないが頼む、頼りにしているからな)

 

(お任せください、王よ)

 

念話が切れ、近くにセレスの気配を感じる。どうやら既にヘリの近くに居るらしい、行動の早さに驚ろいたが、直ぐに冷静な思考に戻る

 

(備えは出来た、出来ればこのまま終われば良いのだがな)

 

そう呟やき、自身の髪を見る。それは徐々にだが元の色に戻りつつあった

 

第29話に続く

 


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