夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです

今回は第36話までの更新になります、一応目は通してますが誤字脱字がありましたらご連絡頂けると嬉しいです


第31話

第31話

 

「う・・うん、良く寝たな」

 

布団から上半身を起こし大きく伸ばす、基本的に私の朝は早くまだ日が上がり切らない時間に起きる

 

「昨日・・そうだ・・ヴィータが居たな」

 

布団を頭で被り眠っているヴィータを起こさぬようにベッドから出る、だがこの時気付くべきだったのだ、布団の膨らみが大きい事に

 

本を読みながら時間を過ごす、朝起きて本を読むのは私の日課になっている。暫くそのまま呼んでいたが

 

「そろそろ。6時か・・起こすとするかな?」

 

ヴィータは朝が弱い、外見相応というか起こしてもらうか、目覚ましじゃないと起きる事が出来ない。

 

「紅茶とココアにしておくか・・」

 

起きて直ぐ飲めるように紅茶とココアを淹れ、ヴィータを起こしに行く

 

「おい、そろそろ起き・・れる・・か・・」

 

起こしに行き驚愕に目を開く、振り返り一度寝室を出て右手のベヒーモスに話しかける

 

「ベヒーモス、昨日ヴィータが来たよな」

 

『イエスマスター、昨晩ヴィータ様が尋ねて来られましたよ』

 

返事を返すベヒーモスを寝室に入れる

 

『!?!?!?』

 

驚いているだろうベヒーモスを戻す

 

「私の幻覚か?それともまだ寝ぼけているのか?答えてくれベヒーモス」

 

『私の視覚センサーが壊れている可能性もあります、マスターあの方は本当にヴィータ様ですか?」

 

「私が聞きたいのだが」

 

もう一度寝室に入る、布団からヴィータの顔が出ているが・・何と言うか成長している?10歳前後だと思われるヴィータだが今は15~18と言う所だろうか?

 

「判らない。どうしてだ?・・・・成長期か?」

 

混乱し訳の判らない事を言うが

 

『落ち着いてください、クールにKOOLに・・いやCOOLになってください』

 

ベヒーモスも可也混乱している

 

「うう~ん、うるせぇな・・・もう朝か?」

 

不機嫌そうに起き出すヴィータ、着ていた真紅のパジャマは明らかにサイズが合っていないと判る

 

「ヴィータだよな?」

 

恐る恐る声を掛ける

 

「あ、何言ってんだよ兄貴、あたし以外に何が居るって言うんだ?」

 

完全に起きたのかハッキリとした声で返事を返すヴィータに

 

「良いか?絶対大声を出すな、動揺するなよ。ゆっくり後ろの鏡を見てみろ」

 

「なに・・言って・・んだよ・・・」

 

振り返り鏡を見るヴィータが驚きに目を開く、眼を擦る、下を見る。むにむにとほっぺを引っ張りたっぷり2分硬直した後

 

「えええええええええっ!!!!!!!」

 

ヴィータの絶叫が木霊した

 

 

「騒ぐなと言っただろう?」

 

目の前に座るヴィータ?に言うと

 

「すまねえ、つい動揺した」

 

目の前のヴィータは明らかにサイズが合っていない、パジャマを着ている所為か。はっきり言って目の毒だ。若干目を逸らしながら

 

「この部屋が完全防音だから良い物を普通だったら大変だ」

 

紅茶を口に含むそれは完全に冷めていた

 

「どうして急に大きくなった?成長期なのか?」

 

「いや・・そんな訳無いだろう。何か夢を見ていたのは覚えてるんだけどよ、思い出せねぇんだ」

 

頭を抱えるヴィータだがそれがいけなかった、サイズの合っていないパジャマは良く頑張ったと思うだが、それは頭を抱えたヴィータに耐えることは出来ず、ボタンが弾け飛び、そして成長した胸が露になる

 

「「・・・・・・・」」

 

重い沈黙包み込みが冷静になると。顔が赤くなり慌てて目を逸らす

 

「事故だ・・これは事故だ、お互いに忘れよう、良いな」

 

「あーうん、大丈夫気にしない。兄貴以外だったら殴るけど、兄貴だから大丈夫」

 

何が大丈夫なのか聞きたかったがとりあえず、予備の制服を取り出し、後ろを向いたまま投げる

 

「とりあえずそれを着ろ、着替え終わったらはやての所に行くぞ」

 

「判った、直ぐ着替えるよ」

 

暫くそのまま後ろを向いていたが、良いぞと言う声で振り返る

 

「兄貴のだから少し大きいけど問題ないな」

 

裾等は折っているが取りあえず着る事は出来ていた、だが私にその言葉は私の耳に届いていなかった。

ヴィータの緋色の髪に強気な光を宿した瞳に目を奪われた、美しかった。ただそう思った、長く伸びた手足に女性らしい体つきに整った顔その全てに不覚にも目を奪われてしまった

 

「兄貴?どうした」

 

無言の私を心配して此方を覗き込んでくるが

 

「大丈夫だ、それより早く、はやての所に行こう」

 

話題を切り替える、やばいなヴィータと判っていても赤面してしまう。早く慣れないとな、昔ははやてやなのはが抱きついて来るだけでも赤面していた、だがそれは自身の精神力で抑えていたが流石にこれは無理だ、ヴィータと判っていても顔が赤くなってしまう、それを抑えるのが精一杯だ

 

「兄貴何処行くんだ?はやての部屋は此処だぞ」

 

考え事に集中する余りはやての部屋を通り越した事に気付かなかった

 

「すまん、少し考え事をしていた、ヴィータ私が説明してから呼ぶから、それまで待ってろよ」

 

「うん、待ってるから大丈夫だぜ」

 

にこやかに笑うそれでまた赤面しかけるが、それを必死で押さえ、はやての部屋に入っていった

 

「兄ちゃん大事な話って何や?はっ・・まさかプロポーズとか?」

 

朝からテンション全開のはやてに

 

「そんな訳無いよ、もしされるなら私だよ」

 

フェイトがばっさりと切り捨てる、どさくさでとんでもない事を口にしているが気にしない、部屋の中には主要メンバーが全員集合している居ないのセレスとヴィータとザフィーラだが

 

(そういえば戻ってきてから一度しかザフィーラに会ってないな?あいつ何処に居るんだ?)

 

そう思っていた頃六課の影で

 

「風邪か・・盾の守護中とあろうものが情けない」

 

くしゃみをした狼状態のザフィーラが居た、完全な余談だがザフィーラが人になった回数は非常に少なく。人の姿になれると知っているのはごく僅かな者だけだ

 

「朝から悪いと思うが大変な事件がおきた、私でも動揺しうろたえた、それだけ言っておく」

 

「お父さんが其処まで言うんですか?一体何があったんです?」

 

エリオが驚きながら問いかけてくる

 

「今まで類を見ない緊急事態だ、どうしてこうなってしまったのか判らないんだが」

 

「あの・・ヴィータさんが居ないんですが、良いんですか?」

 

スバルが挙手してから言うが

 

「良い所に目を付けた、今回のトラブルはヴィータに起きた。ヴィータ本人も非常に驚いている。とりあえず聞くより見ろだ。ヴィータ入って来い」

 

扉が開きヴィータが入ってくる

 

「「「「「・・・・誰?」」」」」

 

皆首を傾げていると、ヴィータが少し寂しそうに

 

「兄貴そんなに判らないか?」

 

「「「「「!?!?!?!?」」」」」

 

その言葉に全員まさかという顔になる。六課の中で私のことを兄貴と呼ぶ人物は一人しか居ない

 

「・・・今兄貴って言ったよね?」

 

ティアナがスバルに確認を取る

 

「うん・・確かに兄貴って」

 

「お父さんまさか・・・」

 

キャロが一番最初に気付いた、キャロの洞察力には驚くなと思いながら

 

「その通りだ、何故かヴィータが大きくなった」

 

隣のヴィータを指差すと、全員眼を擦る、次の瞬間大きく息を吸い込んだ、やばいと思い私とヴィータは耳を塞いだ。塞いだ次の瞬間

 

「「「ええええええええええええっ!!!!!」

 

私とヴィータを除く全員の絶叫が六課に響き渡った

 

 

「よく見ればヴィータさんだけど、信じられないな」

 

皆ヴィータの顔を覗き込み信じられないと思いながらも納得していた、強気な目の色に髪その全てがヴィータ本人という証明の様な物だがどこか信じられないという表情を浮かべている

 

「けど・・なんで大きくなったんや、何か心当たりは?」

 

はやてが首を傾げながら尋ねると

 

「夢を見たんだ、白い世界で騎士に会った、その騎士に兄貴を護れって言われたのは覚えてる、でもそれしか思い出せない」

 

「白い世界?まさか・・ヴィータその騎士は空色の目をしてなかったか?」

 

白い世界で思い浮かぶ騎士は一人だけだ、だが何故か判らないが恐らく間違いない

 

「何で判るんだ?」

 

ヴィータが頷くそれで確信した

 

「間違いないヴィータが夢であったのは、天雷の騎士のクレアだ、でも何故だ、あいつらは今眠っているはず何だが?」

 

訳がわからず首を傾げると

 

「なぁ、クレアって兄ちゃんの守護騎士やろ、なんで夢に出て来たんや」

 

「判らないがセレスに聞けば判る筈だ」

 

そう呟きセレスを呼ぼうとすると

 

「何様ですか?王よ」

 

驚きながら振り返ると其処には柔らかい笑みを浮かべたセレスが居た、皆驚き目を開いている

 

「今呼ぼうとしたんだが相変わらずだな」

 

呼ぼうと思うと既に居るセレスに毎回驚かされるが、今回はそんな事を言ってる場合じゃないので直ぐに本題を切り出す

 

「ヴィータが夢でクレアに会ったと言うんだ、何故か判らないか?」

 

「クレアですか・・すいませんが此方に来てもらえますか?」

 

ヴィータを自分の傍に呼び寄せると頭に手を置き、目を閉じて意識を集中している

 

「クレアのプログラムの一部がインストールされてますね。恐らくそれが原因でしょう」

 

閉じていた目を開き言うセレスに

 

「あの・・セレスさん。どういう意味なんですか?」

 

スバルが尋ねると

 

「守護騎士プログラムについては知っていますね?」

 

「大体聞いていますが」

 

ティアナが返事を返すと

 

「それなら好都合、簡単に言うと夜天の騎士は変化が起きず、そのままの姿で王を守護します、しかし天雷は王と共に成長し王と共に強くなります、そのプログラムがインストールされていますが・・これには副作用がありまして。恐らくもう直ぐ出始めるでしょう」

 

副作用と言葉にキャロの顔が青くなる

 

「あの・・もしかしてヴィータさんが消えるとかじゃないですよね」

 

キャロの頭に手を置き微笑みながら

 

「そんなことは起きないが。恐らく王が困ることになるとは間違いないと言える」

 

その言葉を聞いた途端背中が重くなった、恐る恐る振り向くとヴィータが背中に背中に確りと抱きついている

 

「ヴィータ?如何したんだ?」

 

その余りに突然な行動に驚きながら言うと

 

「なんでもねぇ」

 

真っ赤な顔で背中に確りとしがみつく、全然振りほどけそうに無い

 

「セレス・・如何いう事だ」

 

尋ねると

 

「クレアの忠誠心がコピーされたので。それが回り回って抱きつくという行動に出たのでしょう、大丈夫です、半日もすれば元に戻りますから」

 

そういい残し出て行こうとするセレスに

 

「おい、何処へ行く、私に如何しろと言うんだ」

 

「単純に言いましょう、ヴィータが納得するまでそのまま我慢してください。大丈夫です、きっと昼すぎには安定しますから」

 

振り返るそう言い残し今度こそ部屋から出て行ったセレスを見ていると、黒い気配を感じる振り返ると

 

「フフフフフフ」

 

怪しい笑みを浮かべたフェイトとティアナが居た、なのはは苦笑しているが目が単色だ、はやては

 

「此れでええ、二人掛りなら鈍感の兄ちゃんも落ちるやろ」

 

怪しすぎる笑みを浮かべるはやて、嫌な予感がする、もう自身のアイデンティティが完全崩壊しそうだ。スバル、エリオ、キャロたちは既に逃亡している

 

「龍也、ヴィータを降ろそうか?何時までも女の子を背負ってちゃいけないよ」

 

黒い兎に角黒い、こんなのは久しぶりだ

 

「龍也さん、ヴィータさん、降ろしましょうか?」

 

クロスミラージュを構えている、何時セットアップしたんだ!?

 

「龍也さん、妹だよね?ヴィータは妹だよね?判ってるよね?」

 

ベレンとレイジングハートを構えるなのは、修理が終わってるならベレンを返してくれ、それは一応相棒なんだ

 

「大丈夫だ、今降ろすから。ヴィータそろそろ降りてくれないか?」

 

背中のヴィータに言うが

 

「嫌だ、嫌だ、嫌だ、絶対嫌だ!!」

 

背中に抱きつく力を強め嫌だと連呼する、なのは達の空気が悪化する、ヤバイこのままでは死ぬかもしれない、幾ら私でもこの距離でなのは達の攻撃を回避する自信は無い

 

「頼む、降りてくれ、このままだとお前も危ないぞ」

 

「・・・兄貴は私が嫌いなのか?」」

 

涙声で言う、普段なら絶対に出さない声に硬直する。それと同時に空気3倍黒くなる何故だ、私が悪いのか助けてくれとはやてを見ようとするが居ない、何処だと思っていると

 

「兄ちゃん、此処や」

 

背中からはやての声がする

 

「何時の間に・・」

 

背中には笑顔のはやてとヴィータが居る、目の前には黒い気配を身に纏った、なのは、フェイト、ティアナ。ああこの温度差が痛い

 

「龍也・・・」

 

「「龍也さん・・・」」

 

とんでもないプレッシャーだ。

 

「逃げるか・・・」

 

私はそう呟き背中にヴィータとはやてを乗せたまま逃亡を開始した

 

「「「待て~!!」」」

 

背後から3人の声がするが全力で逃げる、結局この追走劇は早朝から昼過ぎまで行われ、私は瀕死寸前になったが辛うじて逃げ切る事が出来た。正気に戻ったヴィータは赤くなりながら謝り部屋に戻り、はやては

 

「覚悟してや、私とヴィータはもう止まらへんで?」

 

と微笑み部隊長室に帰り、なのはとフェイトは

 

「「聖王病院に行くんだった!!」」

 

と慌てて聖王病院に向かって行った

 

「龍也さん、今度ケーキをお願いします、それで今日のことは無かったことに」

 

ティアナはそういい残し部屋に戻って行った。一人残された私は

 

「私が悪かったのか?誰か教えてくれ」

 

そう呟きながら食堂で遅めの昼食を摂り、書類整理を始めた、この時スバル達が大変でしたねと、紅茶を持って来てくれた事がとても嬉しかった

 

第32話に続く

 


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