夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

39 / 145
第37話

第37話

 

食堂に全員集まっている、私とギン姉にお父さんとお母さんにノーヴェ達も居るがそれより気になったのは

 

「はっはっは、いやー死ぬかと思ったよ」

 

頭から血を流し、笑っているスカリエッティさんだ

 

「ドクター?頭から血が出てますよ?」

 

見た事の無い女性がハンカチを取り出し、手渡す

 

「はっはっは、有難うウーノ」

 

ハンカチを受け取り、血を拭うスカリエッティさん

 

「からかうから、悪りいんだよ」

 

ノーヴェが笑いながら言うと

 

「いや、私は本気だ、本気で龍也を義息子にしようと思って・・・・・龍也・・・包丁は無いぞ」

 

力説するスカリエッティさんの横の壁に包丁が突き刺さっている、厨房を見ると振り返らず投げたのだろう。後ろを向いたまま鍋をかき回す龍也さんの姿がある、青いエプロンを付け頭には黒のバンダナを巻いている、髪が長いからその対策だろう

 

「たわけには丁度言い仕置きだろうよ・・次は闇に沈めてやろうか?」

 

振り返らず鍋を回し、味見をし納得と言いたげに頷きながら横目で睨む龍也さんに

 

「デアボリックエミッションは止めてくれ、あれは軽いトラウマだ」

 

冷や汗を流すスカリエッティさんに

 

「お父さん、水飲んだら?」

 

オットーがコップに入った水を手渡している中

 

「龍也。作りすぎじゃない?」

 

気になっていた事をセインが言う、私も気になっていたかなりの大きさの寸胴鍋、恐らくシチューが入っているだろうがその大きさは可也異常だ。背の高い龍也さんがギリギリ覗き込める大きさの鍋なのだから・・・

 

「そうか?此れくらいなら余裕だろ?人数も多いだし」

 

そう言うと何名かが顔を顰めながら

 

「判ってないですわ。美味しすぎるから食べ過ぎて、太ってしまうというのに・・・」

 

「龍也の料理が上手・・でも美味しすぎるから駄目」

 

先程訓練場で会った・・・ディエチとクアットロが俯きながら言う

 

「そうですね・・前のケーキの時も大変でしたし・・・・」

 

ウーノさんが俯きながら言う、恐らくかなり体重計に乗るのが怖い事態になったのだろう

 

「じゃあ、訓練頑張ればいいじゃねぇか」

 

「その通りです、お姉様方」

 

ノーヴェとセッテは訓練を頑張れというが

 

「その通りだな」

 

トーレさんがカップを置きながら言う、何か私達の回りには居ないタイプの美人だ

 

「大丈夫ですか?ウェンディ?」

 

椅子に座らず崩れ落ちている、ウェンディにディードが問いかけると

 

「だ、大丈夫っじゃないっす、幾ら龍也兄に突撃したからって酷いっす・・・」

 

足が痺れて動けないのだろう、ウェンディが言うと

 

「ほお。お前は又やったのか?姉が何度話してやれば判るんだ?八神が優しいから怒らないが姉は別だぞ」

 

チンクさんが怖い笑みで迫る、どうやら龍也さんの言うとおり、常習犯らしい

 

「ごめんなさいっす、だから許して欲しいっす」

 

「駄目だな、姉と話をしよう」

 

はっ!一瞬なのはさんがお話しようって言ってるのが見えた、どうやらチンクさんのベクトルはなのはさんに似てるらしい、助けてと言う目で見るが皆視線をそらす味方はいないようだ。チンクさんが一歩前に進んだ時、救世主の一声が

 

「チンク、ディード、少し手伝ってくれないか?」

 

厨房から呼ぶ声がする、量が多いので一人では大変になったのだろう。手伝ってくれという龍也さんに

 

「むっ。、了解した、今行く」

 

「龍也兄様、今行きます」

 

呼ばれた二人が厨房に行く、その後ろでスッと微笑む龍也さん、どうやらウェンディを助ける為に呼んだらしい

 

「助かったっす~」

 

安堵を声を上げるウェンディの頭をトーレさんが掴む。

 

「どれ、では私が説教をしてやろう」

 

「あああああああっ!!」

 

無慈悲なトーレさんの言葉にウェンディが悲鳴を上げた

 

 

「チンクはスパゲティを炒めてくれ、ディードはムニエルを頼む」

 

頷いた二人を見ながら、デザートを考える

 

(アイス系か・・・それともぜリー・・いやプリンという線も良いな)

 

時間はある、ジェイルが作ったフリーザーなら。あっという間にどれも作れる故にどれを作るか迷う

 

(今日は暖かいな・・・ならば・・・・)

 

気温から何を作る決め。棚からチョコレートを取り出し。それを細かく砕きつつ、ナッツも砕いておく、生クリームと牛乳に砂糖を加え。バニラエッセンスを加え香り付けをする、最後に砕いたチョコとナッツを加え、フリーザーに入れる

メインを食べ終わる頃には即席アイスが出来るだろうと考え、シチューに火を入れる

 

「八神出来たぞ」

 

スパゲティはミートボールを入れた、少々脂っこい物だが。そこは加えるハーブや自家製のスパイスで若干辛めに仕上げ盛り付けていく。ディードも盛り付けに入っている。使う油やハーブに気をつけ、さっぱりとしつつ尚且つ旨みは逃がさないように自分で考えたレシピを渡し、ムニエルのほうは完全にディードに任せて見た、チンクは料理が上手なので特に問題は無い

 

「出来ました」

 

流石女の子というべきか・・盛り合わせに気をつけ見た目から食欲をそそる

 

「上手になったな」

 

頭を撫でると、顔を真っ赤にし俯いてしまう、ディード

 

(やはり嫌われてるのだろうか?)

 

見当違いのことを考えながら、全員の皿にシチューを盛り付け運んでいく、全員の前に並べ席に着く。正面にはゲンヤさんとジェイル両隣はスバルとノーヴェだ、視界の隅にはがっくりと項垂れる少女が2人。

 

「どうして、あそこでグーを出してしまったのです(っす)

 

ジャンケンで席を決めたらしいが。負けてしまった二人は可也遠くの方に座っているが自分ではどうしようもないので

 

「「頂きます」」

 

とりあえず目の前の料理を食べる事にした、ジェイル達も手を合わしている、やはりこういうことは大事だと思う。

 

「美味しい」

 

皆口々に美味しいと言いながら食べている、チンクとディードも、自分で作った料理の味に納得という表情をしている

 

「いや、しかし龍也は本当に料理が上手だ」

 

ジェイルは上機嫌に食べている、チンク達にはシャマルに渡した物と同じ物を渡している

 

「そうか?此れくらい誰でも作れるだろう?」

 

と言うと項垂れる、クアットロ、トーレ、ディエチ、ウェンデイ、スバル、ノーヴェ。全員可也落ち込んでいる。教えてみたが全然上達しなかった者達だ、以外にオットーは料理上手でチンクよりは劣るが十分なレベルだし。ウーノ、セインはチンクと同レベルだが、味付けを自分好みにする為余り料理はしないと言うか、させて貰えないウーノは辛口でセインは肉料理を好む、やはり各人の好みに合わして作るべきだ、と思いながらシチューを口に運ぶ、

 

「ねぇ、龍也貴方の好みの女性ってどんなタイプ?」

 

クイントさんの突然の質問に慌て、シチューを喉に詰まらせる

 

「ごほっ!ゴホッ、何を言ってるんです」

 

スバルに手渡された水を飲み干し一息付くと気付く。私のコップは目の前にある、じゃあこのコップはと横をみる作戦成功と微笑むスバル、なのはにも以前こんな事をされた気がする。

 

「龍也・・・」

 

ノーヴェが暗く言う、怖いな・・・はやてを連想させる

 

「八神・・・」

 

「龍也兄」

 

「兄様」

 

「龍也様」

 

「龍也兄様」

 

もう怖いとしか言いようが無い、暗くどんよりとした空気が辺りを包む、クイントさん達が笑っている、成る程嵌められたと言う訳か

質問に答えるしか逃げ道は無い・・・ジェイルが楽しそうに笑ってる、成る程こいつの差し金か、私はそう理解すると手加減無しのスフィアを顔面目掛け打ち込んだ

 

「げふっ・・・」

 

吹っ飛んだジェイルを無視して

 

「さっ、キビキビ吐きましょう。貴方の好みについて」

 

笑顔で言うクイントさんとすまなそうな顔のゲンヤさん、に興味津々と言う顔のウーノ達と黒のオーラのチンク達。逃げ道は無い

 

「今日は厄日か・・・」

 

私はそう呟いた・・・

 

「それでは。知り合いの中で外見が好みな人を三人上げてください」

 

デザートまで食べ終えたところで、クイントさんが切り出した

 

「クイントさん、勘弁して貰えませんか・・・駄目か・・・」

 

何とか答えず許して貰えないかと言うが、殺気が増大する、答えるしか命は無いようだ

 

「外見か・・私はそういうのは余り気にしないんだが。敢えて言うなら・・・」

 

考え込む・・知り合いの中・・・知り合いの中で好みと言えば

 

「ティアナと・・ノーヴェ・・其れに・・なのはか?」

 

自分たちの中ではノーヴェしか名前が出ずに落ち込むナンバーズだが。

 

「ティア、なんですか?」

 

まさか自分の相棒の名が出ると思わなかったスバルが尋ねてくる。しかしスバル以外はティアナを知らず首を傾げてる

 

「ふん、ふん、此れは意外ね。なのはちゃんの名前が出るとはじゃあ理由は?」

 

楽しそうに笑うクイントさん、どうやら間だこれは続くらしい

 

「なのはと言うか三人共なんですが。放って置くと無茶しそうで気になるんですよ。そういえばスバルもですけど」

 

三人とも無茶というか自分の事を気にしない傾向があるので、見ていると不安になるのだ

 

「そのコメントはやはり、妹として見てますね・・・」

 

ウーノが言うと

 

「いや・・当然だろう?妹見たいじゃないか全員私より年下だし」

 

ナンバーズだけでなく、はやて達も私より年下。恋愛感情というより、妹を心配する兄の心情というのがピッタリだ

 

「ふむ・・・やはりその枠組みからでないと、龍也を振り向かせる事は難しいようだな」

 

何時の間にか復活した、ジェイルが冷静に分析する姿に本気で殺意を覚えると

 

「それじゃあ、一緒にいて楽しいのは誰?あっ!此れも三人ね」

 

間だこの吊るし上げは続くらしい

 

「・・・はやてとチンク・・・それにセッテ」

 

一緒にいて楽しいと思えるのはやはりダントツではやてだろう、一番長く一緒に居たわけだし。チンクはあれで知識欲が強くて色々聞いてくるし、セッテは何だろう?気が付いたら、傍に居て甘えてくるので、なんとなくはやてを連想させる

 

「ここで一番の強敵の名前が出たね」

 

「一番の強敵?誰だそれ」

 

「はやて部隊長だよ、一番龍也さん事知ってるし。可也のブラコンと言っても、従兄弟だから当て嵌らないかな?」

 

スバル達が後ろの方で情報を纏めてる

 

「やっぱ、はやてちゃん出てきたね~、じゃあ最後」

 

此れで終わるのかと思っていると

 

「もし彼女にするなら誰?この中でね」

 

ジーザス、最後の最後で絶体絶命の質問が切り出された、スバル達が興味津々と言う感じでこっちを見てる、出来れば逃げたいな

 

「答えないと駄目ですか?」

 

「勿論、答えないと駄目よ、もし答えなかったら・・・ふふどうなるかしら?」

 

逃げ道無し・・・ゲンヤさんとギンガ手を合わせてる。ジェイルは笑ってる、ウーノ達レコーダーをスタンバイ、下手なことを言えば此れで脅されるがそんな事を言われても

 

「クイントさん流石にそれは無理ですよ、だって今までそんな事を考えたこと無いですから」

 

ピシッ音を立てて世界が止まる

 

「えっ、考えた事が無い?でもほら告白された事とかラブレター貰ったこと無い?」

 

記憶を探る・・・

 

「そんな事は今まで無かったですね・・」

 

龍也が知らないだけで、ラブレターとかは下駄箱に入れられていたが、その全てはやてによって処分+出した人はやてによって脅迫される、つまりそういう恋愛事に疎いのははやての策略にがっちり捕まっているからだ

 

「成る程・・・予想が出来たな、龍也が恋愛に疎いのは全て譲ちゃんの策略に嵌ってるからだな」

 

はやてを良く知る、ゲンヤは気付いた。僅か19歳で部隊を立ち上げた才能溢れる美女。寄って来る男は多いだろうだが、彼女の傍には龍也が居た、どんな良い男でも龍也と比べれば霞んで見える、妹として育った譲ちゃんがそうなのだ、他の女性も同じ発想だろう、だが譲ちゃんはえらく龍也に執着してる、つまり考えるは他の女が近寄るのを防ぐ事。恐らくラブレター等を出した人物は譲ちゃんによって排除されている(脅されてる)な

 

(恐ろしいな・・譲ちゃん)

 

概ねその予想が当たっていると確信し、そう思っている頃

 

 

「ああ~兄ちゃんに会いたいわ」

 

部隊長室で詰まらなそうに書類整理をするはやての姿があった、詰まらなそうだがその指は一度も止まることなく動き続けている

 

「そうや・・今日は兄ちゃんの布団に潜り込んだろ、それが良いな」

 

と怪しい計画を立てていた、ヴィヴィオは龍也の事をパパと呼び懐いてるが、寝るときはなのはやフェイトの部屋で眠っている。潜り込んでも大丈夫だ

 

「夜が楽しみやね」

 

ふふふふと怪しい笑みを浮かべながらも完璧に書類整理をしていた

 

 

最後の質問は該当なしと結果に終わり、皆詰まらなそうだが解散し、スバルとギンガはノーヴェ達に案内されてアジトを回り、ゲンヤさんとクイントさんは散歩に出かけた・・・と言ってもアジト内部だが・・・私はジェイルと共に研究室に居た

 

「龍也、ジオガディスには、遭遇したか?」

 

「いや・・無いな、LV3には遭遇したが。ジオガディスには会っていない、何を考えてるんだ。あいつは私を狙ってくると思っていたのだが」

 

ジオガディスは黒騎士としては何度か対峙している、私を上回る剣技に動きを拘束する呪術、ハッキリ言って負け越している。だが私を殺すことなくその場を去っている、言うには

 

「お前は神王ではない。アイツは何処に居るんだ」

 

と言い消える、ではアイツの言う神王とは何なのだ?

 

「神王・・かつてジオガディスを封印した、歴代最強の王、聖王の称号と共に神の名を冠した。最強の王」

 

「判る事は無いのか?情報が少なすぎる」

 

ジェイルと共に天雷の書が安置された。遺跡に調べに行って判ったことは、少しだけだ

 

「金色の鎧に、赤き不死鳥の如き炎の翼。その身に纏いし虹色の魔力・・彼の者は聖王であると同時に神である・・か」

 

遺跡の刻まれた、古代文字に刻まれたのはその一文のみだ

 

「ふむ、蘇ったジオガディスがそう言うんだ、神王も又蘇ると言う事なのだろうか?」

 

「判らない・・だが私がやることは決まっている。私は今度こそアイツを倒す、全力でな・・」

 

「ふむ・・あれを使う気か、私は余りオススメ出来ないな、確かに強力だが体に掛かる負担が大きいぞ」

 

それは私も承知してるが。倒しきるにはあれを使うしかないという結論に至った

 

「判ってる。だがジオガディスを倒すには、あれしかない無いのはお前も判ってるだろう」

 

前に起動した時は体が付いていけず、直ぐに解除されたが今なら問題ないだろう。あれから体を鍛え続けていたのだから

 

「ああ、だがその為にはやることがある。義手の強化だ」

 

ジェイルが言うにはその膨大な魔力に今の義手では耐える事が出来ず、崩壊するとの事

 

「2日で完成させてみせる」

 

頼もしい笑顔のジェイルを信じ、義手をジェイルに預けた、そしてそろそろ帰る為、スバル達と合流する為に部屋を出た

 

「龍也さん?義手どうしたんです?」

 

帰る為に待っていたスバル達の所に行くと、真っ先にスバルが気付いた、どうやらチンク達は居ないようだ

 

「うん、調子が悪いからな、調整を頼んだんだ」

 

「そうなんですか。でも片腕で不便じゃないんですか?」

 

ギンガが言うが

 

「急に隻腕になった訳じゃない、ジェイルに会うまではずっと隻腕だったからな。もう慣れてるさ」

 

慣れている確かにその通りだ、最初こそ苦戦したが、今では隻腕でもなんら問題は無い

 

「今日は楽しかったぜ。クイントにも会えたしな」

 

見送りの為にアジトの入り口まで、来ているクイントさんを見ながらゲンヤさんが笑う

 

「ふふ、私も楽しかったわ。今度会うときは皆で又暮らしましょう?あの家で」

 

「ああ、そうだな、また家族四人で暮らそうぜ、クイント」

 

「ふふ、さあ四人とは限らないかもね」

 

怪しく笑いながら私の顔を見る、クイントさんにスバルは何故か下を向く。

 

「?どういう意味ですか」

 

首を傾げると、全員深い溜め息

 

「苦労するわね、でも大丈夫諦めなければ、きっと叶うわ」

 

スバルの肩を叩きながらクイントさんが笑う、スバルも頷き握り拳を作る、何だろう打倒なのはでも誓ったのか?と思いながら鍵を取り出しゲートにする

 

「名残惜しくなるので、そろそろ行きましょう」

 

「そうだな・・・クイント又会おうぜ」

 

「「お母さんも元気でね」」

 

「勿論よ、ゲンヤさんもスバル達も元気でね」

 

クイントさんに笑顔で見送られゲートを潜った

 

「龍也、今日は本当に楽しかった、礼を言うぜ」

 

家の前で笑うゲンヤさんとギンガ。二人ともとても楽しそうだ

 

「喜んでもらえて何よりですよ、ただゼストに会えなかったの残念でしたが」

 

なんでもネクロの基地を見つけ、ルーテシアとメガーヌ共に出ていたので会えなかったのが残念だったが

 

「生きてるんだ、またいつでも会えるぜ。それより早く帰らないと不味くないか?譲ちゃんが怒るぜ?」

 

時刻はもう夕方、大分永く居過ぎた様だ

 

「そうですね、それじゃあ失礼します」

 

スバルと共にベヒーモスが泊めてある場所に行くが、此処で一つの問題気付く、現在私は隻腕バイクの運転は出来ない

 

「・・・・・スバル任した」

 

考えた結果スバルに運転させることにしたが

 

「無理ですよ、私免許持って無いし。バイクなんて運転したことありません」

 

「大丈夫だ。ベヒーモスがサポートしてくれるから」

 

『お任せをスバル様、私が完璧にサポートして見せます』

 

チカチカとスピードメーターを光らせる、ベヒーモスを見て観念したようにバイクに乗るスバル

 

「まさか私がタンデムシートに乗るとはな」

 

後ろのタンデムシートに乗ろうとすると

 

「えええええっ!、龍也さんが後ろ乗るんですか?」

 

動揺MAXでスバルが絶叫する

 

「仕方ないだろう?サイドカーなんて出せば、べヒーモスのサポートがあっても大変だからな」

 

後ろに乗る、スバルは真っ赤になりながらベヒーモスを走らせた

 

 

思っていたより帰るのに時間がかかり、辺りはもう真っ暗だ。一応はやてには連絡を入れているので怒ることは無いだろう・・多分そんな事を思っているとき消耗+真っ赤でスバルが言う、

 

「何か凄く疲れました・・・」

 

「そうだな・・途中でバランスを崩して抱きついたのは謝ろう、すまない」

 

途中で不覚にもバランスを崩し、咄嗟に抱きついてしまってからずっとこの調子だ

 

「いえ・・そういう訳じゃないんですが、ちょっと・・その恥ずかしくて」

 

俯きながら言うスバル。突然抱きつかれれば、恥ずかしくもなるし動揺もする

 

「すまない」

 

「いや、もう気にしてないんで良いです、それより私明日早いんでもう寝ますね」

 

と早口に捲くし立て、スバルは駆け足で消えた

 

「嫌われたか・・な」

 

と呟き私も自室に戻った

 

 

自分とティアの部屋に戻ると

 

「お帰り、遅かったわね」

 

何時もの本を読みながらティアが待っていた

 

「うん、ちょっと。龍也さんの義手職人の所まで行ってたから」

 

「そう、どんな人だった?」

 

「なんて言うか面白い人だったよ」

 

スカリエッティさんはとても面白い人だった、そうだ言うことがあったんだ

 

「ねえ、ティア。私前龍也さんは諦めるって言ったじゃない?」

 

「そう言ってたわね」

 

読んでいた本から視線を外し、こっちを見るティアに

 

「私決めたんだ。諦めない振り向かせて見せるって」

 

「どういう心境の変化?なのはさん達には勝てないから諦めるんじゃなかったの?」

 

「そのつもりだったんだけど・・やっぱり無理みたいなんだ。私は龍也さんが好きだから」

 

「良いんじゃない?私も好きだし。とりあえず二人で攻めれば落とせると思うけど?」

 

と笑うティアに見せる物がある

 

「でね、龍也さんがお父さんと話してる時、急に落ち込み始めてね。その様子を写真に取ったんだ」

 

落ち込んでいる龍也さんの写真をティアの前に置く

 

「!?スバル・・・此れ貰って良い?」

 

写真を見て顔色を変えながら言うティア、それは判る何時も堂々としている、龍也さんが俯いて何かを言う姿は凄まじい破壊力がある。多分なのはさん達に見せても同様の反応を見せるだろう

 

「良いよ、まだあるし」

 

ノーヴェ達にも現像し分けた、この写真はティアに上げる為に持って来たものだ。ティアはいそいそとその写真しまう

 

「それでさ。義手職人さんがね、龍也さんの好きなタイプについて聞いたんだ」

 

本当に聞いたのはお母さんだが、引き金を引いたのはスカリエッティさんだ。ティアが座っていた椅子から落ちる

 

「・・・なんて言ってた?」

 

床の上から言う、見た事の無いティアだ

 

「その職人さんの娘さんたちは省くけど、ティアと私と、なのはさんと部隊長だって」

 

「・・・本当?」

 

自分の名前が出た事に驚きながら尋ね返してくるティアに

 

「本当だよ。だから教えてあげようと思って」

 

立ち上がり手を差し伸べてくる

 

「頑張りましょう、何としても龍也さんを落としましょう」

 

その手を握り返しながら

 

「うん」

 

返事を返した。スバルティアナチームが結成した頃

 

「ブルッ!何だ急に寒気が・・・」

 

直感的に身の危険を感じた、龍也は

 

「早く寝よう、風邪かもしれない」

 

素早く布団に入り眠りに付いた、スカリエッティの言う女難はまだ始まったばかりだ

 

 

おまけ

 

簡易呼称表   龍也   ジェイル

ウーノ     龍也様  ドクター

ドゥーエ    八神様  父さん

トーレ     八神   父さん

チンク     八神   父さん

クアットロ   八神兄様 父様

セイン     龍也   父さん

ディエチ    龍也   父さん

ノーヴェ    龍也   父さん

ウェンディ   龍也兄  お父さん

オットー    兄様   お父さん

ディード    龍也兄様 お父さん

セッテ     龍也様  お父さん

 

第38話に続く


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。