第2話
ミッド郊外の森の中に、二人の男が居た。一人は全身を黒の服でサングラスを掛けた男。もう一人はこの場には似合わない白衣を着た男だ
「本当に行くのかい?もう少しここに居てもいいのだよ」
白衣の男が黒衣の男に言うが、男は首を横に振る
「いや、これ以上私がここに居てはお前達にも迷惑になるだろう・・「そんな事は無い!!私は君が迷惑だなんて言っていない!!!」
黒衣の男が自嘲気味に言うと白衣の男がその言葉を遮った
「君はどうしてそうなんだい?私は君のことを迷惑だなんて思ってないし、娘達だって君の事は好いているはずだ」
「だからこそだ私がここに居れば近いうちに狙われる。だから私は此処を去るそれにお前の娘達は強くなった、次はあいつ等の番だ」
黒衣の男が今はまだ会えない家族のことを想っているのか、少しだけやさしい声色で呟く
「そうか・・其処まで言うなら私はもう止めない。だがこれだけは言わせて貰おう、君の第二の家は此処だいつでも帰ってきてくれ」
黒衣の男が驚いた顔をするが、すぐに笑顔になり拳を白衣の男に突き出し
「ああ。全てが終わったらもう一度此処にくるよ、ジェイル」
「ああ。そうなったら一緒に酒でも酌み交わそう。龍「今はダークネスだ」・・判ったダークネスまた会おう」
ジェイルもまた拳を突き出しお互いに拳を軽くぶつけ合いながら
「「友よ、必ずまた生きて会おう!!」」
ダークネスが首から提げていた獣の頭を模したペンダントに
「ベヒーモス、セットアップ!!」
次の瞬間ペンダントから光が溢れ次の瞬間、ダークネスの隣に黒い大型バイクが現れていた
「私はもう行く、なにか事件だったらすぐ呼んでくれ。直ぐに来るからな」
「ああ。判っているよ。でもそんな事にはなってほしくないな」
違いないとお互いに笑いあいダークネスはバイクに乗り走り出そうとすると
「ダーク様~、お気をつけて~」
此処には居ないはずのジェイルの娘の声がする、いや一人だけではない
「ダーク兄必ず帰ってくるっすよ~」
「ダーク、絶対帰って来い!じゃないとぶっ飛ばすからな!!」
「ダーク兄様。絶対帰ってきてください」
「僕はまだ兄様に言ってないことがあるから絶対帰ってきてよ~」
上からセッテ、ウェンディ、ノーヴェ、ディード、オットー、だ
「やれやれ、見送りはいらないと言ったのにな」
溜め息を吐いているが其の顔は嬉しそうだった
「やっぱり君は私の娘に好かれているようだ、どうだい?私の娘と結婚する気は無いか?」
その発言が聞こえていたのか恐らく二人に見つからないように、ウェンディ達が隠れてたと思われる茂みが大きく揺れたが、ダークネスの立っている位置から其の茂みが見えておらず彼は茂みが揺れたことに気付いていない。
「そうだな・・悪くないと言いたいところだが、お前のことを父さんと呼ぶ気は無いな」
「むっ、そうだな私も君のことを息子と呼ぶ気は無いな」
二人は気付いてないがウェンディ達が隠れている茂みでは大きな溜め息の音がしていた
「では、戦いが終わったら私の娘を君の元へお手伝いに行かせるのはどうだろう?」
ガサッ!!と再び茂みが揺れる。どうやらダークネスは気付いてないがスカリエッティは彼女達が何処に隠れているのか気付いたようだ
「うん?何故手伝いが要る?」
さっきまでバイクに跨っていたが。いつの間にか降りているダークネスが首を傾げる
「ほら、君はここ数年ずっと私達に食事を作ってくれたり、服とかの修繕もしてくれたからさ。戦いが終わったら少しくらいのんびりしてもいいじゃないかな~って思ったんだけど」
「そうだな。それも悪くないかもしれないな・・」
ジェイルの提案によく考えず返事を返してしまった。これが後に悲劇の引き金になることに私は気付いていなかった
「ふふ、言質は取ったよ。戦いが終わった後が楽しみだね」
そう笑うとジェイルは白衣のポケットから何かを取り出しボタンを押した
「ほら、君はここ数年ずっと私達に食事を作ってくれたり、服とかの修繕もしてくれたからさ。戦いが終わったら少しくらいのんびりして
もいいじゃないかな~って思ったんだけど」
「そうだな。それも悪くないかもしれないな・・」
それにはさっきの会話が記録されていた
「ジェイル?何のつもりだ?」
何故録音する必要があったのかと問いただすと
「なに。娘の幸せを思う。馬鹿な親心さ」
「意味がわからんが、何のことだ?」
判らず首を傾げると、ジェイルは声を押し殺して笑いながら
「君は相変わらずの鈍感のようだね。でもまぁそれが君のいいとこかな」
ジェイルは振り返り歩き始め、後ろを向きながら話しかけてきた
「これ以上、話すと別れが辛くなる。だからもう行くといい」
其の声は珍しく鼻声だった
「そうだな、私もそう思っていたところだ」
私も後ろを向きベヒーモスに近づく
「ベヒーモス、ずいぶん待たせたな。行くとしよう」
『イエス、マイマスター』
ベヒーモスに跨り俺はその場を後にした。それは機動六課が発足する半月前の事だった
ダークネスと別れ自分の隠れ家に向かっていたスカリエッティ一行の会話
「お父さんは、勘違いをしています」
「?」
突然そう切り出したセッテに首を傾げると
「あたし達は確かに、ダーク様が好きですですが・・私ではあの方の傍にいることは出来ないんです」
「どういうことかな?」
傍にいることは出来ない、その言葉に疑問を覚え尋ねると
「私達じゃ無理だった、ダーク様の悲しみを取り除くことは出来なかった」
ダークネスのは黒い服を脱がない、それは悲しみの証だといっていた
「だから、ダーク様の悲しみを取れる者がダーク様の傍に居る資格があると思うんです」
セッテが俯きながら言うと
「じゃあ、聞くけどセッテはそれで兄様の事を諦められるの?」
「当然です、私はダーク様の悲しみを取り除くことは出来なかった、だから共に居ることはできないんです」
無表情でセッテが言うが
「そんなこと無い、僕は兄様が好き、あの暗い場所から救い出してくれた兄様が・・それはセッテも同じじゃないの?」
「!?」
何時もの無表情を僅かに変化させるセッテに
「それでも諦めるっていうなら構わないよ僕は、でもそれで良いの?自分の気持ちに嘘付いて我慢できるの?僕はこの際だからはっきり言うよ僕は兄様が好きだよ、勿論男として」
顔を赤くしながら言うオットーに
「その通りだぜ、私はダークが好きでこれは何を言われても変わらねぇ」
ノーヴェがオットーの言葉に賛同し言うと
「その通りです、私もダーク兄様が好きですよ。それにあと一人いる筈ですよ?ダーク兄様を好きなものが」
その言葉に肩を揺らし顔を背けるウェンディ
「素直になったら如何ですか?ウェンディ」
「な・・何を言ってるすっか?わ・・私には判らねえっす」
どもりながら返事を返すウェンディに
「判らないって本当に言うのか?お前が一番最初にダークの微妙な違和感に気づいたのに?」
さすような目線でノーヴェが言うと
「あああ。もう正直に言うすっよ、私はダーク兄が好き、それで良いっすか!!」
息を荒げ、叫んだウェンディを見て。セッテは表情を大きく崩しながら
「ずるいですよ、わたしだってダーク様が好きなんですよ」
縛りだすように自分の気持ちを言ったセッテに
「素直になれば良いんですよ。だってダーク兄様が言ってたじゃないですか。生きるもの全てに幸せになる権利が有るってなら私達がダーク兄様を好きになっても何も問題がありませんよ」
「良い事言うな、ディード、そのとおりだダークが好きで何が悪い、ライバルが居る?関係ないなライバルが居ようが居まいが最終的にダークを振り向かせればこっちの勝ちなんだよ」
好戦的な色を瞳に写し力強く言うノーヴェに
「そうっすよね・・素直に自分の気持ちに向かい合えば良いんっすよね。戦闘機人でも・・」
ノーヴェ達は元は身寄りの無い孤児たちだ、それをジェイルが保護し家族として暮らしていた、だがジェイルの高い科学力に目を付けた
魔王により12人全てを人質に取られ、娘達の命が惜しければ協力しろと脅され嫌々協力していた。その間に犯罪者として指名手配された、その間も誰かが娘達を助けてくれる者は居ないかとずっと思っていた、指名手配され2年後ダークネスがノーヴェ達救助した。だが帰ってきた娘達は最早人間ではなかったネクロによって戦闘機人に改造されていた。彼女達は人間ではない体に苦悩し最初は自身らの死を望んだだが、ダークネスによって止められ今を生きている
(なんだか嬉しいね、娘達はこんなに強く生きているよ)
娘達の言葉に笑みを浮かべながらアジトに向かって行った、その頃アジトでは
「くっしゅん・・風邪か?・・ダークネスは今頃は街に向かってるだろうな・・私も皆と見送りに行けばよかった・・・」
銀髪の少女・・チンクが見送りに行かなかった事を後悔しながら本を読んでいた
第3話に続く
さて、いかがでしたか?面白かったでしょうか?面白かったなら感想を頂けると嬉しいです!
さて書いていた重大報告ですが、まあ至ってシンプルな内容です。
自分は長い間執筆をしていなかったのでかなりスランプ気味です。
・・ここで荒療治だと思うのですが・・リクエストを募集して番外編をやりつつ感覚を取り戻したいと思っています。ですので今日から一週間・・番外編のリクエストを募集したいと思います。どんな内容のリクエストでもいいですが・・百合や薔薇系は無理ですのでご了承頂けると嬉しいです。
それではリクエストが頂ける事を願いながら失礼致します