夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第40話

第40話

 

薄暗い研究室の中で

 

「ふふふ。出来た。出来たぞっ!」

 

目の前の義手を前に私はハイになっていた。持てる知識をフル活用し完成した。新しい龍也の義手は、龍也の全開の魔力にも耐えれるように改良し、握力や腕力と言う問題も強化し。元の腕と寸分変わらぬ性能を持たせることに成功した

 

「やはり。私は天才だ。はっはっは」

 

と上機嫌に笑っていると

 

「ドクター?何笑ってるの?」

 

「ジェイル、何笑ってんだ?」

 

心配そうなルーテシアと若干引き気味のアギトに

 

「見たまえ、龍也の新しい義手が完成したのだ」

 

完成した義手を見せると

 

「じゃあ。龍也此処に来るの?」

 

龍也に会えなかったので、落ち込み気味だった、ルーテシアが笑うが

 

「残念だが、龍也を此処に来ない。チンク達に頼んで届けてもらおうと思ってるのだが・・・」

 

その言葉に沈んだ表情を見せる。ルーテシアだがアギトが

 

「そんなら、あたし達も行くぜ。兄にこれも見せたいし」

 

そういうとアギトが光に包まれ、ルーテシアと同じくらいの背になる。リィンフォースⅡの、アウトフレームとやら解析し。アギトに組み込んだがどうやら成功のようだ

 

「じゃあ、ルーテシアとアギトにも六課に行って貰おう。だが私のことはクロウリードアルベルンだぞ?そこを間違えるなよ」

 

下手に私の名を出させる訳には行かないので念を押しておく

 

「判ってる・・・」

 

「そこまで、あたしは馬鹿じゃないぞ」

 

笑うルーテシアと不機嫌なアギトに義手を渡す

 

「チンクとノーヴェ、それとオットーとディードと一緒に行くんだよ?」

 

笑顔のルーテシアとアギトを見送り、

 

「眠い・・・少し眠るか・・」

 

龍也が帰ってから今まで休憩も無しで、義手の調整に集中していた為。完成したと一安心すると急激に眠気が襲って来た。研究机の椅子に座り込み白衣を布団代わりに眠りに落ちた。ジェイルは眠りに落ちた頃

 

 

「解放してくれ、頼むから」

 

私ははやての食堂の椅子にバインドで拘束されていた。解放するように頼むが

 

「嫌や、一緒にご飯食べよっ!」

 

笑顔で二人分のトレーを持ち微笑む、はやて

 

「一緒に食べるのは良い、ならばこのバインドを解いてくれないか?」

 

バインドで縛れていたら食事が出来ないので解放するように言うが

 

「大丈夫や、ほらッ。あーん」

 

箸で一口分に切ったおかずを持ち、口を開けるようにはやてが迫る

 

「いや、バインドを外してくれれば、一人で食べれるのだが?」

 

「あ~ん」

 

私の言葉を完全無視し、なお接近するはやてに、観念し口を開く

 

「ふふふ、楽しいわぁ」

 

本当に楽しそうに笑い、再び

 

「あ~ん」

 

私には逃げ道が無いことを悟った

 

「ふふふ、凄い楽しかったわぁ」

 

可也時間を掛け、食事が終わると、私はやっとバインドから解放された

 

「・・・そうか」

 

「なんや。兄ちゃんはこんな可愛い妹にあ~んして貰って、嬉しくないんか」

 

不機嫌そうになった、はやてが言うが

 

「そうじゃないが・・・凄く疲れた」

 

周りの隊員の目が痛い、又かという表情を浮かべている。完璧だと思われていたはやてが、実は重度のブラコンであると知ったときは皆目を丸くしていた

 

「はやてちゃん」

 

「はやて」

 

「「部隊長・・・」」

 

更に後方のなのは達が非常に怖い、なのは達が近づこうとすると

 

「すまないが、下がってくれ」

 

「ごめんね、皆それ以上近づかないで」

 

シグナムとシャマルに妨害され。なお不機嫌化が進む

 

「兄貴、朝飯美味いな」

 

ヴィータは隣で食事をしており、超ご機嫌だ。そんな空気の中私は

 

「早く、義手が完成しないかな・・」

 

と思った。このままでは私のアイデンティティは完全に破壊される、何者でもないはやてとヴィータによって、それを回避するには早く義手が完成するのを祈るしかなかった

 

 

「此処か・・・」

 

六課の隊舎前で、隊舎を見上げながら私呟いた、可也大きいなそれが見た感想だった

 

「此処に龍也が居んのか」

 

同じようなことを考えているだろう、ノーヴェも隊舎をみている

 

「早く行こうよ、兄様とスバルに会いたい」

 

二日前にあったスバルは中々面白い人物で、妹の何人かは非常に気に入っている

 

「龍也兄様」

 

ディードが笑いながら、八神の事を呼んでいる

 

「チンク、早く行こう?」

 

ルーテシアは待ちきれないと言いたげに、私の服の裾を掴み引っ張る

 

「そうそう、チンク達は兄に会ったけど、あたしとルールーは違うんだ、だから早く行こうぜ」

 

「ああ、そうだな。早く届けないと八神も不便だからな」

 

皆を引き連れ、隊舎の方へ歩き出した

 

「中は綺麗なんだね」

 

「そうみたいですね」

 

キョロキョロとオットーとディードが辺りを見回している。

 

「余りキョロキョロするなよ」

 

「恥ずかしいから、落ち着いてろ。ルーテシアを見習え」

 

ノーヴェが言う先程から落ち着きの無い、オットー、ディードと違い。静かにしているルーテシアを見習えと言って、椅子に座ると

 

「チンク姉、私達は此処で待ってるよ」

 

ノーヴェに面倒を見るのを任せ、私は受付に歩いて行った

 

「すまないが、八神龍也を呼んで欲しい」

 

受付嬢は一瞬、驚きの表情を浮かべるが

 

「アポイトメントは在りますか」

 

確か来る前に会いに行くと連絡を入れることだったな

 

「・・いや。無いんだが・・」

 

失態だった、来る前にちゃんと連絡を入れて置くべきだった

 

「そうでしたら、後日またお越しください」

 

「いや・・それは困るんだが、アルベルンが来たとだけ伝えてくれないか?それで判ると思うんだが・・」

 

此処で帰るわけには行かないので粘っている

 

「どうしたよ?」

 

揉めていることが気になったのか、一人の男が歩いてくる

 

「ヴァイス陸曹、この人達が八神中将に会いたいと言っているのですが」

 

説明を受けると、人の良い笑顔でヴァイスと呼ばれた男は

 

「何。お宅ら旦那のファンとか?」

 

「いや・・そうじゃないんだが。父さんに言われて八神の義手を届けに来たのだが・・・」

 

「旦那の義手?・・ああ成る程、アルベルンさんね」

 

八神から話を聞いていたのか、判ったと言う表情のヴァイスが

 

「この人らは旦那のお客さんだ。俺が案内するからよ、旦那が今何処に居るか教えてくれよ」

 

「えっと・・・今はミーティグルームですね、皆さんそこに集合しているみたいです」

 

「OK。ありがとう」

 

何処に居るのか調べると

 

「えっと・・・アルベルンさんで良いのか?」

 

名前がわからず困っているような素振りを見せる、ヴァイスに

 

「私はチンク、であっちが私の妹のノーヴェ、ウェンディにオットーと知り合いのルーテシアとアギトだ」

 

少し離れている所に座っている、ノーヴェ達を指差しながら言うと

 

「判った、チンクさんにノーヴェちゃん達ね、今旦那の所に案内するよ」

 

ノーヴェ達を共にヴァイスに案内されながら、通路を進んでいくと

 

「ほれ、此処に旦那とおっかない旦那の妹が居るよ」

 

からかって居るのかと思うがその目は真剣だ、スバルの話は本当のようだ

 

「おお、スバルに聞いてるぞ、ブラコンだって」

 

ノーヴェがスバルから聞いたとおりに言うと

 

「それは言うな!殺されるぞ!」

 

どうやら、それは禁句のようだ

 

「そんなに危険なんですか?」

 

若干の青褪めたディードが言うと

 

「やばいなんてもんじゃないからな。気をつけなよ?」

 

心配そうに言い歩き去った、ヴァイスを見てから、ミーティングルームに入る

 

「あんなぁ、なのはちゃん達に言うけど、兄ちゃんは私達のや、手出すな!!」

 

「そうだそうだ」

 

「龍也さんは物じゃないんだよ!」

 

「その通りだよ!はやて!」

 

4人の女性が言い争いをしていた、その部屋の隅で

 

「お兄様、何とかなりませんか?」

 

アギトと同じくユニゾンデバイスであろう、少女が八神に言うが

 

「無理だな、今の私の状況を見ろ・・・チンク達が如何して此処に?」

 

色とりどりのバインドに拘束され、疲れた表情を浮かべる八神と視線が合うと、驚きながら言う八神の声を聞いて、言い争っていた女性たちが此方を見る

 

「・・・・兄ちゃんの知り合いか?」

 

黒い視線に射抜かれる、凄まじいプレッシャーだ。オットーとディードは顔が青い

 

「ああ、アルベルンの娘さんだよ」

 

と笑うと

 

「・・・違う、私も居る」

 

「あたしも居るぜ」

 

何時の間にか八神の前に移動した、ルーテシアとアギトが笑ってる

 

「ルーテシアとアギトか元気そうだな」

 

バインドに拘束されまま笑ってる、

 

「どうして?バインドされてるの」

 

聞きたかった事を言うと

 

「いや。私もそれを聞きたいよ。如何してバインドされてるんだ?」

 

どうやら八神も自分が拘束されてる、理由が判らないようだ

 

「はやて、バインドを解いてくれ無いか?チンク達が硬直している」

 

いや違う・・そうじゃない。バインドされてるお前に驚いているじゃなく。目の前の女達の視線が怖くて動けないんだ

 

「そうやね・・」

 

バインドが解除された立ち上がると

 

「ほら、立ってないで座ると良い」

 

全然その殺気に気づいてないのか、何の気なしに座るように言われ、椅子に腰掛けた

 

 

「はやて、こっちから、チンク、ノーヴェ、オットー、ディードにルーテシアとアギトだ」

 

「判った、私ははやてや、始めましてやな」

 

「ああ、此方こそ始めまして」

 

チンク達とはやて達がお互いに自己紹介していると

 

「リィンです」

 

「アギトだ」

 

リィンとアギトも自己紹介をしていると

 

「右」

 

「左」

 

何かお互いに右か左と言うと、二人同時にアウトフレーム化し

 

「リィンが右です」

 

「じゃあ、あたしは左で良い」

 

何故か左右別れ、背中にぶら下がる。リィンとアギト

 

「指定席は落ち着きますぅ~」

 

「納得だ、あたしも落ち着くよ」

 

何か協定が出来たようだと、思っていると

 

「はやて、うん仲良く出来そうだ」

 

「そうやね」

 

チンク達もお互いに握手をし、穏やかな空気に包まれている、喧嘩にならなくて良かったと思っていると

 

「僕は龍也の事を兄様って呼んでるの」

 

「へ~、どうして?」

 

なのはとオットーが話し込んでいる

 

「お父さんがね、お兄さんみたいな人だよ。って言ってから」

 

どうやらお互いに私の呼び名について話してるようだ

 

「リィンはお兄様です、アギトちゃんは?」

 

「私は兄だな、ルールーは龍也って呼んでるよな」

 

「うん」

 

隣の席でクッキーを食べ笑っている、ルーテシア

 

「へ~、じゃあ、ノーヴェは?」

 

「私は龍也だな、フェイトは?」

 

「私も龍也って呼んでるよ」

 

お互いに話していると、どうやら一つの結果に至ったようだ

 

「兄ちゃん、この人ら良い人や」

 

笑顔で言うはやて、チンク達も同様だ

 

「それなら、良いがな、所で如何して此処に居るんだ?」

 

思い出したようにルーテシアが

 

「龍也の新しい義手を持って来たの」

 

背負っていた鞄から義手を取り出し机の上に置く、ルーテシア

 

「おー、此れが兄ちゃんの新しい義手か。チンクさんのお父さんが作ったんやろ?凄いなあ本物そっくりや」

 

はやてが義手を持ちながら言うと

 

「当たり前ですよ?お父さんが作ったのですから」

 

微笑みながらディードが言うと

 

「お前も何か手伝ったのか?」

 

ヴィータが余りに自信満々に言うので手伝ったのか?と問いかけると

 

「当然ですよ、龍也兄様の義手の調整を良く手伝っていましたから

 

「へ~そうなのか」

 

ヴィータが感心という表情で言うと

 

「それより、兄ちゃん。早く義手を付けたらどうや」

 

そうだなと思い、義手を付ける為に一回部屋から出ようとすると

 

「八神、悪いが此処で服を脱いでくれ、微調整をしないといけないんだ」

 

チンクに呼び止められる、はやて達は若干興奮気味だ

 

「ここ・・・で上着を脱げと?」

 

部屋の中、男1人女12人、流石にそれは無いだろう

 

「「「気にしない」」」

 

全員気にしないと言うので、嫌々上着を脱ぐ、ルーテシア、リィン、アギトはお互いに手で目を塞いでいる

 

「お~」

 

はやてが歓声を上げる、物凄く恥ずかしいのだが・・・

 

「我慢しろ、直ぐ終わる」

 

チンクも若干顔が紅い、部屋の隅で

 

「やっぱり、龍也は体鍛えてるね」

 

「龍也兄様・・・凄いです」

 

「//////兄様凄い」

 

「レイジングハート、写真取れないかな?」

 

『出来ますよ、マスター』

 

「兄貴・・・」

 

物凄く怖い、身の危険を感じる

 

「よし、じゃあ行くぞ。少しビリッと来るが我慢しろよ」

 

ジェイルの義手は見かけは完全に人の腕だが、中身は金属で生身の体と義手の間機械の接続部があり、そこに疑似神経を繋げる、際静電気に似た刺激がするのだ

 

「行くぞ・・1・2・3」

 

チンクが神経を繋ぐ為の金具を回す。その瞬間ビリィと静電気が走る

 

「痛いな・・・」

 

この感覚だけは何度やってもなれないと思う

 

「我慢しろ、それで感じはどうだ?」

 

手を閉じたり、開いたりして感覚を確かめる

 

「良い具合だ。前よりずっと良い」

 

脱いだ上着を再び着込む、その際に聞こえた、落胆の声は気のせいだと思いたい

 

「当然だな、アクチュエータやモータとジェネレーターを強力な物に交換したのだからな」

 

この感じなら問題なく戦闘も可能だろう

 

「感覚を確かめる為に模擬戦でもやるか?」

 

こうして調整の後は感覚を確かめる為に模擬戦をするのが良い

 

「頼んでも良いか?」

 

チンク達がどれ程レベルアップしたのか気になるので。頼むことにする

 

「任せろ、私とディードは準備はしてある」

 

ノーヴェが好戦的な色を瞳に浮かべながら笑う

 

「お願いするよ」

 

座っていた椅子から立ち、コートを着込む。ノーヴェは拳を使う近接型、ディードは剣を使うから、模擬戦相手には丁度良い

 

「はやて、シュレーションルームを使うが良いか?」

 

「うん、ええで、その代わり私達も見に行くでな」

 

はやて達も見ると言うので、全員で演習場へ移動した

 

第41話に続く

 


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