夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第41話

第41話

 

「スバル達は一回訓練を止めて、上がって来て」

 

なのはさんに呼ばれ、一度訓練を止めてなのがさんたちが居る所にいく。すると

 

「スバル、元気そうだな」

 

居ないはずのチンクさんに

 

「スバル」

 

手を上げるオットーに

 

「楽しみだね」

 

ルーテシアが居た、知らない組みは沈黙している

 

「チンクさん。オットー何してるの?」

 

動揺しながら言うと

 

「八神の義手を届けにきてな。そのまま機動テストと言う訳だ」

 

冷静に返事を返す、チンクさん

 

「スバルも見ると良いよ?兄様が模擬戦をするから」

 

楽しそうに演習場を見る、オットー

 

「ルーテシアちゃん、ジュースどうぞですぅ」

 

「ありがとう」

 

リィンがルーテシアにジュースを渡し、何かとてもリラックスしている

 

「なのはさん?この人達は?」

 

エリオがなのはさんに尋ねに行った

 

「アルベルンさんの娘さんだって。それで今から新しい義手のテストをやるらしいんだ。ほら出て来たよ」

 

先程まで私達が訓練していた場所に、龍也さんが姿を見せる。その向かい側に

 

「ノーヴェにディードだ」

 

やる気満々という感じで腕を振り回すノーヴェに。目を閉じ集中している、ディード

 

「それじゃあ、始め」

 

部隊長の模擬戦開始の言葉と同時にノーヴェが駆け出した

 

 

「ディード、私はから先に行くぜ?」

 

龍也の貰ったデバイスを握り締め、龍也を見る、何時もと同じ雰囲気を受ける

 

「構いませんよ、どの道順番ですし」

 

そう言い、笑い後ろに下がったディードを見てから、意識を集中する、最高の状態で無ければ直ぐ負ける、それほど力の差が在るのだ。なら最後まで気を抜か無い事だ

 

「それじゃあ、始め」

 

はやての開始の合図と同時に私は駆け出した。

 

「フェンリル、セットアップ!」

 

距離を詰めながらフェリルを起動させる、これは龍也から譲り受けた大切な物だ。濃紺のバリアジャケットに、獣を思わす装飾が施されたガントレット、足の鎧の踵にはローラーがある、此れならエアライナーも問題なく駆ける事が出来る。接近しながら先手必勝と

 

「喰らえ」

 

右手で正拳を繰り出す。パシっ!

 

「なっ!」

 

渾身の力を込めた、拳は左手で軽々受け止められた

 

「良い調子だ、ノーヴェの一撃を止めれるか」

 

どうやら、腕の具合を確かめる為に動かなかったようだ

 

「龍也!本気で行くぜ!」

 

これなら遠慮はいらない、全力で立ち向かうまでだ

 

「良いだろう、全力を持って私を打倒して見せろ!」

 

その言葉と同時に駆け出してくる、その手には天雷の書がある

 

「セットアップ」

 

稲妻と共に騎士甲冑を生成する、黒の鎧に杖だがこれはフェイクだ

 

「モード、ブレイカー起動」

 

騎士甲冑が光り、再び変化する。黒の民族衣装の様な物に、両肩に狼の紋章が施された肩当に、胸部と足に展開された黒の鎧、両手は

大型の黒いガントレット、本気みたいだな

 

「おおおっ!」

 

雄たけびと共に正拳を繰り出してくる、こっちも負けじと

 

「おらぁっ!」

 

正拳を繰り出しお互いの拳がぶつかり合う、鈍い音が響く

 

「はあっ!」

 

即座に体を反転させて、回し蹴りを放つが

 

「甘い!」

 

軽く受け止められ、逆に足を掴まれる

 

「はああっ!」

 

気合と共にビルに向かい投げられる、このままでは大ダメージを受けるのは間違いないが

 

「エアライナー!!」

 

黄色の道を空に作り、その上を駆ける

 

「ちっ!そう簡単には一撃取れないな」

 

エアライナーの上から、龍也目掛け

 

「オラァっ!!」

 

手加減無しの踵落しを叩き込む

 

「ふん」

 

両手をクロスさせ簡単に止められる、そこでニヤリと笑う龍也の顔が見える

 

「ゼロ距離取ったぞ!」

 

肩当がスライドし、其処からスフィアが見える。反射的にガードする

 

「クラスタースフィア!」

 

両肩から散弾のようなスフィアが、連続で放たれる。

 

「ぐうっ!」

 

手加減されていたのか、それともガード出来た分なのか、ダメージは思ったより少ない、吹っ飛ばされながらそう感じていると

 

「はあああっ!」

 

追撃に接近して来る、このままじゃ次の攻撃で私は戦闘不能になる。まだ負ける訳にはいかない

 

「カートリッジロード」

 

着地と共にカートリッジを消費し。両手に冷気を集める

 

「氷狼撃!」

 

「玄武剛弾!」

 

ズドンッ!!!

 

お互いの拳が凄まじい轟音を立ててぶつかる、そのままお互いに

 

「「はあっ!(喰らえっ!」」

 

ガンッ!!!

 

膝蹴りを放ち再び凄まじい追突音がする

 

「ふんっ!(おりゃあっ!)」

 

ドガッ!!!

 

体を反転させながらお互いに肘打ちを放つが、それも又お互いに相殺される、そのまま後方に飛び体制を立て直す

 

「やるな」

 

握り拳を作りながら言う龍也だが・・・

 

「まだ本気じゃないくせによく言うぜ!」

 

まだあっちは本気じゃない。まだ上がある

 

「本気で勝負しろ!じゃなきゃ意味が無い!」

 

本気の龍也に勝つ、それが私の目標だ、今の手加減された状態じゃ意味が無い

 

「良いだろう・・・後悔するなよ?」

 

気配が変わる、冷たく鋭い視線だ。体が震える怖いだが・・・それでこそ戦う意味がある

 

「はっ!、今日こそあんたを超えるぜ!龍也!!」

 

恐怖心に負けない為に大きな声を出し、再び駆け出した

 

 

 

「調子に乗りすぎだな・・」

 

ノーヴェと八神の模擬戦を見ながら、そう呟いた

 

「どういう意味ですか?」

 

隣のティアナ・・だったか?がその独り言に気付いたのか此方を見る

 

「ノーヴェはさっきの動きが最高の状態のはずだ。だが八神はまだ上がある、それが理由だ」

 

先程のスフィアクラスターも可也手加減して使われた。本気ならその攻撃でノーヴェは戦闘不能になっている筈だ

 

「でもノーヴェは前に一撃入れたって、言ってましたけど?」

 

「一撃入れることは出来ても、倒し切ることは出来ない」

 

八神の武器、それは膨大な魔力でも多彩な戦闘技能でもない。八神の武器それは経験だ、そんな事を考えていると

 

「チンクさんは一撃入れれますか?」

 

スバルが聞いてくる

 

「ああ、出来るがそれだけだ、とても倒し切るまでのレベルではない」

 

ランブルデトネイターと譲り受けたルナエッジを使えばダメージを与えることは出来る。だがそれまでだな。密かに譲り受けたルナエッジを触る。投擲武器としてはこれ以上無いと言える最高の一品だ。それを持ちえても掠り傷が限界、八神の戦闘技能の高さには唯脱帽するまでだ、そんな事を考えながら模擬戦の行われているほうを見る。実は姉妹の中で確実に龍也に一撃入れれるのはチンクとトーレだけだったりする

 

 

「行くぜぇっ!」

 

エアライナーに乗り突撃し、そのままの勢いで

 

「喰らえっ!」

 

拳を繰り出す

 

「ふっ!」

 

小さな溜めの呼吸と共に龍也の拳が繰り出される、ぶつかり合うが

 

「うわっ!」

 

私の拳は押し負け、後ろに後退させられる。信じられない、エアライナーで加速してからの一撃だ。そう簡単に止めれる筈が無いのに

 

「今度はこっちから行くぞ・・」

 

ヒュンッ!

 

「えっ・・」

 

大分離れていた筈なのに、龍也はもう目の前に居る

 

「はあっ!」

 

拳が放たれる、条件反射で左腕で止めるが

 

(お、重い)

 

さっきまでの一撃とは違う、とんでもなく重い一撃に目を見開く

 

(龍也は本気だ、なら此処で倒してみせるっ!)

 

と思い反撃をしようとするが

 

「遅い・・・白虎咬!」

 

一瞬で後ろを取られ、両手の一撃で宙に上げられる

 

「グッ!」

 

体制を立て直し、龍也を見ようとするが居ない

 

「何処だ!」

 

辺りを見るがその姿は無い、ゾクッ、後ろから気配を感じ反射的に体を少し横にずらす

 

ビュン!

 

鋭い突きが一瞬前まで私の肩が会った場所を貫く

 

「外したか・・・」

 

背後から驚きの声が聞こえる、その声を頼りに

 

「はあっ!」

 

後ろ回し蹴りを放つ

 

「ぬうっ」

 

若干苦しげな声が聞こえるが、当たってはいないのが判る

 

「はあっ・・はぁっ」

 

着地する荒い息を整える、龍也は腕を組み目を瞑っている

 

「まだ、私は負けてないぜっ!」

 

全力で向かわなければ負ける、龍也はまだ全然余裕がある、今動きを見せないのは私を試していると言うのが判る。ならまだチンク姉達ちにも見せてない、一撃に賭けるまで!

 

「カートリッジロード!」

 

両手のガントレットから空の薬莢が飛び出す

 

「行くぜ!私の最高の一撃で決めてやる!エアライナー!!」

 

上空目掛けエアライナーを展開する。それに乗り上空に駆け上がる

 

(此れに賭けるしかない!)

 

龍也目掛け上空から一気に駆け抜ける

 

「氷雪撃!!」

 

カートリッジで魔力を増加させ、強烈な冷気の嵐を発生させる

 

「前が見えん」

 

フェンリルから発生させた吹雪で龍也の目を潰す

 

「おらあっ!」

 

全力で踵落しを叩き込む

 

「ぬっ!」

 

防がれたがそれで良い、着地と同時に肘打ちを叩き込む

 

「ぐっ!」

 

苦悶の声と共に後ろに吹っ飛ぶ龍也目掛け

 

「氷刃閃!!」

 

エアライナーで加速しながら、肘から発生した氷の刃で切りつける

 

「っ!」

 

吹雪で視界を塞がれているのに的確に私の攻撃を回避していくが、何発かは掠っている

 

「氷幻演舞撃!!」

 

氷で作った分身を次々龍也にぶつける。徐々に体が凍り、完全に動きが止まった龍也目掛けて

 

「これで止めだ!」

 

全力で氷の刃を振り下ろした

 

ガキィーン

 

金属がぶつかる独特な音が響く

 

「今のはやばかったな」

 

両手に炎を灯した、龍也のガントレットに私の渾身の一撃は止められていた。私は全力を出し切った時、特有の脱力感に襲われていたそんな事を知ってか知らずか

 

「降参か?」

 

と冷ややかな目で私を見るが

 

「まだだ!まだ負けてない!!」

 

魔力は空に近い、だが負ける訳に行かない、拳を繰り出すがそれは軽く回避された

 

「そうか・・・なら今度はこっちの番だ!」

 

降参の意思が無いことを知ると、龍也のガントレットから空の薬莢が飛び出す

 

「コード、麒麟!参る!!」

 

両手に青い魔力光を湛えたまま跳躍する

 

「喰らえっ!」

 

散弾のようなな光が降り注ぐ

 

「くうっ!」

 

プロテクションを全力で張りそれを防ぐが

 

「はあっ!」

 

腰だめに両手を構え此方目掛け急降下してくる

 

「でええええええい!!!」

 

手が分裂して見えるほどの高速でラッシュが叩き込まれる

 

ピシッと音を立ててプロテクションに皹が入っていく

 

「おりゃあ!!!」

 

アッパーでプロテクションごと宙に打ち上げられる

 

「くうっ」

 

全力でプロテクションを張っているが、それももう限界に近い

 

「この一撃で極める!!」

 

左腕に魔力で形成された刃が見える

 

「っ・・私の負けか・・・」

 

「はあああっ!」

 

私が最後に見たのは、私に向かい迫り来る蒼い魔力の刃だった

 

ドオオオオッン!!

 

刃がプロテクションに命中と同時に凄まじい爆発音が響いた

 

 

「やれやれ・・思ったより腕を上げていたな」

 

赤くなった左頬を擦る、ノーヴェの攻撃は私の頬を確実に捉えていた

 

「・・痛てて・・私の負けか・・・」

 

ダメージでダウンしていたノーヴェが言うが

 

「そうでもないぞ?」

 

「あっ?慰めは良いぜっ!」

 

慰められてると勘違いしたノーヴェが不機嫌に言うが

 

「良く見ろ、一撃確かに貰っているぞ」

 

「本当だ。よっしゃああ、龍也に一撃入れたぜー」

 

当たっている場所を見せると両手を上げ叫ぶ、やっぽど嬉しかったのだろうか?と思っていると

 

「龍也兄様、次は私と勝負してください」

 

待機状態のベルゼルガを持ちながら、ディードが笑う。かなりやる気だ

 

「そうみたいだな・・私はチンク姉達の所に行くよ」

 

ノーヴェが立ち上がり歩き去り、演習場の戦場は私とディードだけになる

 

「一撃喰らったみたいですね」

 

微笑みながら赤い左頬を見る、ディード

 

「・・思っていたより、ノーヴェが腕を上げていたという事だな」

 

「それなら・・私も負けていませんよ?今日こそ龍也兄様に一撃入れて。言う事を聞いてもらいます・・」

 

異様な殺気を放っている、ディードは少し怖いと感じる

 

「無茶な要求は無しな・・」

 

若干身の危険を感じ言うと、笑いながら

 

「判ってますよ、唯少し買い物に付き合っていただければ、良いのです・・・それでは始めましょうか。ベルゼルガ、セットアップ」

 

白の清純というイメージがピッタリなバリアジャケットに、二振りの大型の両刃刀を軽々振りましながら

 

「龍也兄様はそのままで宜しいので?」

 

「このまま戦おうとは思わんな。モードブレイド起動」

 

剣相手に素手で挑む等と馬鹿なことはしない、ブレイクモードからブレイドモードに切り替える

騎士甲冑が光に包まれ再び変化する、黒のバリアジャケットに胸部と両肩、そして篭手と脚に新しく鎧が構築される。グラムの物と瓜二つだが所々金の装飾が施され少し違うところがある、その手には大型で両手で持つ幅広のバスターソードを握る

 

「行くぞ・・?」

 

「望むところです」

 

私とディードは同時に駆け出した

 

第42話に続く

 


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