第45話
「・・凄い・・」
目の前の光景が信じられなかった
ガンッ!ガンッ!
紅いバリアジャケットを身に纏った、スバルが龍也さんと同レベルで接近戦をしている
「・・・いや・・駄目だな」
演習場を見ながらヴィータちゃんが言う、確かにヴィータちゃんの言うとおりだ。最初の一撃は不意打ちに近かった為直撃を喰らっていたが、今スバルの攻撃は惜しい所まで行っているが。直撃はしていない。ふと視線を最初にスバルとティアナが叩き付けられたビルに向ける、ティアナは気絶しているのかピクリとも動かない
「ティアナ・・大丈夫かな?」
ティアナのことを心配しながら演習場に視線を戻した
「ここは・・・?」
私は気が付いたら、昔兄さんと暮らしていた家の中にいた。
「私は・・あれ?何をしていたの?」
何をしていたのかがすっぱり抜け落ちている。思い出そうとしていると
ガチャリ、音を立てて家の扉が開く
「ティアナ!ただいま」
入ってきたのは
「お・・兄・・ちゃん?」
「如何したんだ?お帰りは言ってくれないのか?」
悲しそうに言うお兄ちゃんに
「あっ。ごめんなさい。お帰り。お兄ちゃん」
笑顔で笑うお兄ちゃんと一緒に食事をした
「ティアナ!聞いてくれ、今度お兄ちゃん執行官になるんだ」
楽しく話をしているが、違和感を感じる
「如何したんだ?ティアナ食欲が無いのか?」
心配そうに此方を覗き込む。お兄ちゃん、だがこの時も違和感を感じる
「ううん、そんなこと無いけど・・・」
!思い出した、お兄ちゃんは・・・死んでるんだ
「貴方は誰?」
ピクリと眉が動き、目付きが鋭くなる
「ティアナそれは酷くないか?」
と悲しそうに言うが
「ううん、酷くないわ。だって・・・お兄ちゃんは執行官になれなくて死んだんだもの」
そう言うと。家が消え何も無いくらい空間に私とお兄ちゃんは居た
「もうばれちゃったか・・もう少し誤魔化せると思ったんだけどな・・」
口調や癖もお兄ちゃんそっくりで言うが
「幾らなんでも其処まで私は鈍くないわよ?お兄ちゃん」
「くく、まだ俺をお兄ちゃんと呼ぶか・・賢いお前なら判っているのだろう?」
楽しげに笑い問いかけるお兄ちゃんに
「ええ。これは私が夢見た理想の世界ね」
返事を返すと
「正解だよ。これはティアナが夢見た世界の一つ、俺が生きている世界の幻想さ」
笑っているお兄ちゃんに
「でも違うのもの・・お兄ちゃんは死んじゃったもの・・・こうして幻でも会えたのは嬉しいけど」
少し俯きながら言うと
「まあ・・騙した事は悪かったと謝るけど。これも試練でな」
パチンッ!指を鳴らすとお兄ちゃんの姿が消え。変わりに白銀の翼を持つ機械の鷹が姿を現した
「汝が望むものは何だ?」
威圧的な声で問いかけてくる鷹に
「私が望むものは・・・」
答えは決まっている。
「明日を切り開く翼です」
あの時龍也さんに答えた様に言うと
「汝。我が主たる資格を示したり、我が名は・・白銀の鷹。シュツルム、我、汝と共に大空を駆けん!!」
シュツルムが白い球体になり、待機状態のクロスミラージュと一体化する
『行くが良い。そして王にお前の答えを示せ!お前の相棒と共に!』
そして私の意識は現実に戻された
「ここは・・・そうだ演習場だ」
辺りを見回すとスバルと龍也さんが戦っているのが見える
「スバルも新しい力を手に入れたって事かな?」
スバルは紅いバリアジャケットを身に纏っている。
「私も行こう。クロスミラージュ行けるよね?」
『勿論です。龍也様に私達の力を認めて貰いましょう!』
力強く返事を返すクロスミラージュに笑みを零し
「行くわよ!セットアップ!」
クロスミラージュを起動させる
「大分違うわね・・・」
展開したバリアジャケットを見て呟いた。デザインは以前のバリアジャケットに近い物の、露出が少ない物になっていて大人っぽい印象を受けた。しかしそれより印象的だったのは
「翼・・?」
背中には白銀に輝く一対の翼があった
『どうやら、飛行魔法のサポート用の物の様ですね』
自身の体を覆うバリアジャケットを見る、なんと言うか天使のイメージかな?
『マスター、デバイスを具現化させますよ』
そんな事を考えている私の手の中に、大型のライフルが現れる
「凄いわね・・これ」
見た感じ可也大口径で、可也威力が有りそうだ
『マスター、どうやら、直線と散弾の2タイプに大型の大出力砲が使用できるみたいですね。マスターには残念ですが・・ストライクバレットは消滅していますね」
その事は残念だが、仕方が無いと割り切り
「行こう!スバルと協力して龍也さんを倒すわよ!」
『了解!』
クロスミラージュを構え、スバルと龍也さんが戦う所に向かった
「クッ・・強い」
先程から私の攻撃は掠りもしていない。確かに私の反応速度や攻撃力も上昇しているが龍也さんはそれ以上だ
「どうした?動きが鈍っているぞ?」
さっきの攻撃と違い、顔や腹は狙ってこないが。それでも避けたり防御するのがやっとだ。そんな事を考えていると
「うわッ!」
足払いを喰らい倒れかける
「まだ反射が鈍いな?」
龍也さんが肩目掛け、拳を繰り出してくるのが見える。来るであろう衝撃に備えようとするが
バキュン!バキュン!
上空から魔力弾が連続で龍也さん目掛け、放たれる
「ちぃ・・・」
舌打ちをしながら後方に跳躍しその弾を回避する。誰が?と思い上空を見る
「何やってるのよ?スバル」
白銀に輝く翼を羽ばたかせティアが降りてくる
「ティア?それは・・・」
「あんたと同じよ」
柔らかく微笑み浮かべていると
「話していて良いのか?」
体勢を低くして龍也さんが突っ込んでくる
「スバル、接近戦は任せるわ。私は上空からサポートするから」
そう言い上空に再び舞い上がると同時に
「玄武・・剛弾!!」
両手に蒼い魔力光を溜め殴りつけて来る
「リボルバーブレイク!!」
私も魔力光が宿った拳で殴り返した
ガンッ!!
鈍い音を立てて、拳と拳がぶつかる。やはり龍也さんの方は力が上なので少し押され気味だ
「ふっ!」
体を反転させて回し蹴りが放たれるが
「はぁっ!」
私も同じように蹴りを放つ
ガキン!
お互いの足の鎧がぶつかり鈍い音を立てる、だがやはりここでも力負けし体制を崩す
「喰らえっ!」
龍也さんの拳が放たれそうになるが
「私を忘れてませんか?モードショット。シュート!」
クロスミラージュから散弾が放たれる
「くっ!」
腕をクロスしてその弾を受け止める。この隙は逃がさない!大きく踏む込み
「リボルバーブレイク!!」
魔力を込めた拳で殴り飛ばす
「ぬうっ・・・」
そのまま苦しげな声を上げ、吹っ飛んでいく龍也さん。勝てる・・私とティアなら勝てる!!。私はそう確信し追撃の為に駆け出した
「兄貴が押されてる・・」
信じられなかった、ノーヴェやディードが兄貴に一撃入れた事にも驚いたが、今あたしの目の前で起きている事に更に驚いた。どこから持ち出したは知らないがスバルとティアナのデバイスが変化して。二人の動きが格段に良くなっている
「空戦魔導師みたいだね・・」
なのはが模擬戦を見ながら呟く。ティアナの動きはまるで最初から空戦魔導師の様に鮮麗された、美しい機動を描いている。スバルも兄貴よりかは劣るが兄貴の動きに付いて行っている。スバルが接近戦に持ち込み、ティアナが隙を見て狙撃する、的確なコンビネーションだ。兄貴の顔に余裕は無い真剣に二人の連携を崩そうとしている。
「龍也さん・・押され気味だね」
なのは見ていてそう感じたようだ。あそこにあたしかなのはどちらかが入ればまた違うかもしれないと思った
「大丈夫だ、幾ら二人の連携が良くても兄貴には間だ届かないぜ」
確かにスバルとティアナは押し気味だが。まだ兄貴には届いていない
「ほれ、見てみろよ」
スバルが突っ込みすぎて兄貴の反撃を喰らっている。ティアナも近接に持ち込まれ苦戦している
「簡単には兄貴には勝てないぜ」
ティアナがスバルの方に投げ飛ばされたのを見ながらあたしはそう呟いた。
「馬鹿スバル!あんなに突っ込んで如何するのよ!」
スバルが一時戦線を離脱した際に私もダメージを受けている
「う~御免。チャンスだと思ったんだ」
確かにさっきはチャンスだと思ったがそれは囮だった。やはり戦闘では私達まだ龍也さんに届いていない。龍也さんは拳を構えながら此方を見ている。やはり間だ龍也さんには余裕があるみたいだ。このままではジリ貧だろう・・何か大技で仕留める必要がある。そんな事を考えていると頭の中に一つの案が浮かぶ。昔兵学校でやったクロスシフトそれなら龍也さんに勝てる。
「スバル・・ちょっと耳を貸しなさい」
龍也さんは私達を試している。その証拠に龍也さんはこの大きな隙を突く事無く待っている、なら私達の全力を見せるまでだ
考えた作戦をスバルに話す
「・・・判った、ティアを信じるよ?」
神妙な表情で頷くスバルに
「任せなさい、良い二人で勝つわよ」
さぁ・・行きますよ、龍也さん私達の切り札で貴方を倒して見せます!
「まず私が行くよ・・ウィングロード!!」
複雑に入り組んだウィングロードが展開されその上をスバルが駆ける・・
「さてと・・私も行きますか!」
自分自身の残像を大量に生み出す。そして
「ブラスターショット!!」
高速移動しながら、連続で砲撃を放つ。龍也さんが回避しようとするが
「させません!クラスタースフィア!!」
スバルの肩から龍也さんも使える散弾型の射撃魔法で動きを塞ぐ、その止まった隙に連続で砲撃を放つ
「ぐうっ・・・」
雨の様に降り注ぐ砲撃の嵐が龍也さんを襲う、その内何発かはスバルに当たりそうになるが
(スバル!右後方のウィングロードに飛び移って!!)
(了解!ティア少し任せるよ!)
縦横無尽の張り巡らせたウィングロードはスバルの回避手段であり、次の一手に繋ぐ為の布石だ
「はあああああっ!!」
全力だ後を考えず、全力で砲撃の嵐を放ち、スバルの姿を隠す
「く・・・プロテクション!!」
龍也さんがプロテクションを発動させる・・それが私がさせたかった行動だ。此処で一度砲撃を止める
「・・・スバルは何処だ?」
先程まで入たスバルの姿が見えない事に驚きの声を上げる龍也さんの上空から
「でやああああっ!!」
全体重を乗せた踵落としを放ちながら落下してくるスバルの姿が見える。先程の砲撃の嵐それはスバルから意識をずらす為の囮だ
「スバル!?」
咄嗟に腕をクロスさせてその踵落としを防ぐが、砲撃の嵐とスバルの渾身の一撃で、強固な龍也さんのプロテクションは完全に砕けた
「まだまだぁ!!」
着地と同時に強烈な膝蹴りを放つ
「ぐふっ・・」
動きが止まる龍也さんに
「でやああああああっ!!!!」
スバルが高速でラッシュを叩き込む
「ぐっ・・がっ・・・」
苦しそうにう呻き声を上げる龍也さんに
「ティア!そっち行くよ!!」
此方目掛け全力で殴り飛ばす
「ナイス!スバル!!」
待機していた場所にピンポイントで飛んで来る龍也さんの背中に
「ブラスター!!フルパワーショット!!!」
銃口を押し当て全力の砲撃を撃つ
「ぐあッ!」
その砲撃に押され凄まじい勢いでスバルの方向に押し戻す
「カートリッジロード!!」
スバルがその真下でカートリッジを消費し
「ヘブンズ・・・ナックル!!!」
龍也さんに教えて貰った技を放つ
「がっ・・・」
バキン!!
水色の光を帯びた拳が龍也さんに命中する。その瞬間音を立てて騎士甲冑が砕ける・・だがこれでまだ終わりではない!!
「ティア!!」
水色の魔力光に押され此方目掛け龍也さんの体が浮かび上がってくる。間に
「カートリッジロード!!」
これが私の全力魔法・・・
「ファントム・・・ブレイザーッ!!!!」
私のファントムブレイザーとスバルのヘブンズナックルがぶつかった瞬間爆発が起きる。辛うじてそれから離脱する。余波に巻き込まれないよう、ギリギリのタイミングで上空へと離脱した。そしてフラフラの状態で着地する。魔力も体力も限界だ
「決まったかな?これで倒せてなかったら・・・」
幾ら龍也さんでもこれは耐えれないと思うが・・・
ガチャッ!ガチャッ!
爆炎の中から龍也さんが姿を見せる
「そんな・・あれでも倒せなかったの?」
スバルが驚きながら言うと
「・・・全く・・・お前たちには驚かされる・・まさか私を・・始めて倒すのがなのは達じゃなくて、スバルとティアナとは・・な」
グラッ!ドサリッ!!
音を立てて倒れこむ龍也さんに驚き、慌てて駆け寄る
「・・・気絶してる・・・」
完全に意識を失っている様だった
「「やった!!龍也さんに勝った!!!」」
嬉しくて大きな声で勝ち名乗りを上げた瞬間。立ち眩みがしてふらつく
「ティア・・ごめん私・・もう限界・・」
スバルも疲労で倒れる
「私もみたいね・・・」
意識を失う前に見たのは心配そうに此方に駆け寄る、なのはさんとヴィータさんの姿だった
「まさかお兄さんがスバルとティアナに負けるなんて」
医務室に気絶したお兄さんとスバルとティアナをつれて、なのはちゃんとヴィータちゃんが来た時は本当に驚いた。しかもお兄さんがスバルとティアナに負けたと聞いたときは信じられなかったが、診察してみるとスバルとティアナよりダメージが可也酷い。
「魔力が限界まで削られてますね・・・やれやれどんな攻撃をしたんですか?」
お兄さんが眠るベッドの隣で同じように眠りに付く、スバルとティアナを見てそう呟くと
「シャマル。主はやてが呼んでいる。模擬戦の様子を記録した物を皆で見るそうだ」
「判りました」
シグナムと共に医務室を後にし、はやてちゃんの部屋に向かった
「シャマルも来たか・・・はぁ~信じられへんけど、兄ちゃんがスバルとティアナに負けたみたいや」
自分の机に座りながらはやてちゃんが大きく溜め息を吐く、はやてちゃんも信じられないみたいだ
「本当?なのは龍也が負けたって?」
フェイトちゃんが信じられないとと言う表情でなのはちゃんに言うと
「私も・・信じられないよ。龍也さんが負けるなんて。でも本当だよ・・これを見てくれれば判るよ」
レイジングハートから映像が移しだされる、最初の方はお兄さんが押していたが、突然スバルとティアナのデバイスが変化してからはお兄さんが押され始めていた、そして最後に映し出されたのはスバルとティアナの連携攻撃を喰らい、倒れるお兄さんの姿だった
「う~。兄ちゃんが負けた・・・」
その映像を見て不機嫌そうにはやてちゃんが言うが
「しかし・・どうしてスバルとティアナのデバイスが変化したんだ?」
シグナムが映像を見て疑問に感じたことを言う、それは私も気になっていたが考えても判らない、セレスはお兄さんに付いていると言い、医務室に私と入れ違いで来ていたので此処には居ない・・それを言えばエリオとキャロも居ないが
「うー、考えても判らへんから。兄ちゃんが起きてから聞こうか?」
デバイスの件は此処で切り上げられた
「所でシャマル、兄ちゃんとスバル達の様子は?」
はやてちゃん、やっぱり気になるみたいね
「大丈夫よ、3人共魔力ダメージで気絶してるだけなんだけど・・・ね」
言いにくい事が一つだけあった
「どうしたの?」
フェイトちゃんが不信に思ったのか尋ねて来る、隠すのも無理なので正直に言うことにする
「その・・・スバルとティアナの顔に怪我が・・・」
時間がたてば完全に消えるだろうが、確かに二人の顔に切り傷があるのだ
「・・マジか・・・」
はやてちゃんの顔が絶望一色に染まる・・お兄さんの性格からして女の子の顔に傷をつけたなると、責任を取るとか言い出しかねない皆その結論に到達したようで、次の瞬間
「嫌やーーー、兄ちゃんがスバルとティアナに取られるー!!!!」
頭を抱え絶叫するはやてちゃん
「嫌だ~兄貴がー!!!」
ヴィータちゃんも今にも泣き出しそうな顔で絶叫している
「なのは・・・スバルとティアナ・・・殺ろうか?」
「うん・・それで行こう」
怖い笑みで部屋を出て行こうとするなのはちゃんとフェイトちゃんに
「大丈夫だから!傷は消えるから!!と言うか私が消すから落ち着いて~!!
うう・・お兄さん恨みますよ・・もう少し考えて模擬戦して下さい。暴走しかける皆を止める為に多大な労力を消費した事を此処に記しておく
第46話に続く