第48話
「それでどっちから龍也さんを誘う?」
自室でどちらが先にデートするか話す
「私はどっちでも良いよ?」
スバルは一緒に出かける事が出来ると言う事で可也満足なようだ
「それじゃあ、今日はスバルが行ったら良いわ」
私はやはり色々と準備をしたい、服や髪型、アクセサリーとかも考える時間が欲しかった
「良いの?」
自分が先で良いのかと尋ねるスバルに
「良いから早く着替えて、龍也さん誘って出掛けて来なさいよ」
早く行かないとデートする時間が減ってしまうから早く行くように言う
「うん、じゃあ着替えてくる・・・ティア服貸してくれない?」
着替えに自室に戻ろうとした瞬間振り返り、服を貸してくれと言うスバルに
「しかたないわね、良いわ来なさい。何か服を貸してあげるから」
私の服でスバルに似合いそうな物を幾つか選び渡す。選んだのは少し厚めシャツの上に半袖の上着と下は膝丈ほどのスカート。活動的なスバルにはワンピースよりかはこういう服が似合う
「ありがとうティア、じゃあ行って来るね」
渡した服に着替えたスバルは龍也さんの部屋に向かって行った
「さてと・・私も服考えよう」
クローゼットを開き、明日のデートの為の服を選び始めた
「うう・・凄い緊張する・・・」
龍也さんの部屋の前に来た物の、いざ誘うとなると緊張して体が硬直する
「でも早く誘わないと・・・」
覚悟を決め扉を開いた
「うん?スバルか如何した?」
何時ものように椅子に腰掛け本を開きながら、穏やかな笑みで迎えてくれた
「あの~龍也さん今暇ですか?」
緊張しながら暇かと尋ねる
「暇だが?何か用か」
良し!何とかこのままの流れで
「私、今日休暇なんですよ」
私とティアは二日の間休暇扱いになっている
「それは良かったな。前の休暇はネクロで潰れてしまったしな。所で態々それを言いに来たのか?」
戦闘時の鋭さを少しで良いから日常に使って欲しいなぁ~
「それで、その~良かったら買い物に付き合ってもらえませんか?」
言えた~これで一安心かな?龍也さんは少し考える素振りを見せてから
「・・・別に構わない。着替えてくるから、少し待っていてくれ」
本を机に置き着替えに行った龍也さんを見て
「良かった~。断られたら如何しようと思ったよ~」
本当断られたら如何しようと思っただけ、凄く安心した
「待たせたな、では行こうか?」
戻ってきた龍也さんの姿に目を奪われた。黒のジーンズにアクセントになるよう細身のチェーンをつけ、シンプルな黒シャツの上から青のジャケットを羽織っているが袖等には銀の装飾が施されておりとても美しい物で、長身の龍也さんと相まってとても格好良い
「どうしたんだ?ボーっとして?」
いけない・・つい見惚れていた
「いえ、何でも無いです、早く行きましょう」
龍也さんの隣に立ち歩き出す、本当は手を繋ぐか腕を組みたいが、其処は我慢しよう
「そうだな、では行くとするか」
街に二人で出掛けていく、きっと今日は良い日になる私はそう思った
「それで何を買うんだ?」
クラナガンの街中を歩きながら龍也さんが尋ねてくる
「新しい服でも買おうかと思いまして」
今までお洒落などは興味が無かったが、やはり少しはお洒落をした方が良いだろう。ティアのクローゼットを見てそう思った。
お洒落な服が大量に掛けられていて自分のクローゼットとは大違いだった。それを見て、お洒落をした方が良いと思った
「服か・・それじゃあ、デパートにでも行くか?」
行く所が決まり二人でデパートに向け歩き出した
「着きましたね、少し時間掛かりましたけど・・」
ゆっくり歩きながら来たので大分時間が掛かったが。その間龍也さんと話が出来たからとても楽しかった
「そうだが偶にはこういうのも悪くない、・・・それでは服を見に行くか?」
その言葉に頷き、二人で婦人服売り場に向かった
二人がデパートに付いた頃の機動六課ロングアーチの部隊長室
キーボードを叩く音だけが静かに私の部屋に響いていた
「仕事が捗らん・・・・止めや」
静かに仕事をしていたが、やはり苛々として仕事に集中できない
「はぁ~兄ちゃんの居らんと仕事する気にならん・・・」
椅子に深く腰掛け溜め息を落とす
「今頃・・兄ちゃんは何処に居るやろ?デパートかな」
丁度その頃デパートで龍也はくしゃみをしていた
「・・私だって兄ちゃんとデートしたいのに・・・」
段々苛々してきたので、机の引き出しを開きぬいぐるみを取り出すが。そのぬいぐるみは・・・
そのぬいぐるみを見て、にへらとだらしない表情を浮かべながら。ぬいぐるみを抱きしめるそのぬいぐるみは。黒いコートを羽織った右目に傷のある男の姿をしていた
「時間掛かったけど作ったのは正解やった。兄ちゃん人形~」
そのぬいぐるみを抱きしめたままクルクルと回転する。それだけで段々苛々が消えて行くが
「我ながら末期やな・・・・」
兄ちゃんの姿をしたぬいぐるみを抱きしめながらそう思うが
「まぁええか、私は兄ちゃんと結婚するから」
今は妹の場所で良い、けどずっとその場所にいる気はないのだから、
「私も今度兄ちゃんとデートしたいなぁ~、そや遊園地のチケットでも用意しとこか・・」
思いついたら即実行、端末を操作して遊園地のフリーパスの予約をしている頃
「なのはねね、パパ居ないの・・パパ何処?」
泣きそうなヴィヴィオに言われ
「ちょっと待ってね、今龍也さん探すから。龍也さん何処ですか?」
物凄く動揺しているなのはの姿があった。その姿を見て
「そういえばお兄さん見ませんですね、ザフィーラ。お兄さん何処に居るか知りません?」
地に伏せているザフィーラにシャマルが尋ねるが
「・・・主の許可を得たスバルと共に街に出掛けていた。龍也殿に一撃入れ言うことを聞いてもらう権利を消滅させる為に、スバルとティアナに条件付でデートの許可を出したそうだ」
シャマルは少し考えた素振りを見せた後
「・・得策じゃないですか?下手な事を頼まれるくらいなら。デートさせたほうが良いです。はやてちゃんも判ってますね」
シャマルの視界にはぐったりしているなのはが居る。探しても見つける事が出来ず疲れ果ててしまったようだ
「パパ居ないの・・・ザッフィー知らない?」
そんななのはとは対照的に、まだ元気であろうヴィヴィオは泣きそうな顔のままシャマルとザフィーラの元へ歩いてきた
「龍也殿はヴィヴィオにプレゼントを買いに行った、楽しみにしていると良い」
「本当!楽しみだな~パパ何買って来てくれるだろう?
その言葉に笑顔になるヴィヴィオを見ながら
(お兄さん、デートに行ったんでしょ?嘘付いてどうするの?)
小声でザフィーラに言うと
(ふっ!簡単だ念話でヴィヴィオにプレゼントを買って来て貰うように言えば万事解決だ)
何だかんだで一番切れ者なのはザフィーラかもしれない
服を買い終え、デパートの喫茶店で休憩していると
「服とかのお金全部払ってもらって、良かったんですか?」
服の入った袋を見ながら、申し訳なそうにスバルが言うが
「気にする事は無い、私が好きでやったことだからな」
中将の地位で給料は可也の額があるが、大して欲しい物が有る訳でもない、ならこういう時に使うのが良いだろう
「でも・・やっぱり悪いですよ・・・」
気にしなくて良いと言ってるのにな、と思っていると
「それなら、頼みがある」
先程ザフィーラから連絡があったから、如何しようかと思っていたから丁度良い
「何ですか?」
頼みという言葉に不思議そうな顔をするスバルに
「うん、ヴィヴィオが私が居なくて寂しいそうなんだ、だから何かプレゼントを買って行こうと思う。だからそれをスバルに選んで貰おうか?」
スバルも女の子だし、やはりヴィヴィオのプレゼントを選ぶのは男より、女の方が良い
「プレゼントですか・・判りました!任せてください!!それじゃ早く行きましょう」
私が会計を済まそうとレジに向かうと
「ここは私が払うんで、早く行きましょう!」
凄まじい勢いで会計を済ませ、私の手を引いて。おもちゃ売り場向かい歩き出したスバルに
(なんだろうな?嫌な予感がするな・・・)
何処かで感じたことがある、嫌な予感がしていたその頃スバルの頭の中は
(これはチャンスだ!ヴィヴィオに気に入って貰えれば・・ふふふふ)
打算だらけだったりする。
「何が良いですかね~」
おもちゃ売り場を見ながらスバルが呟く
「うーん、やっぱりぬいぐるみが良いよね」
私はスバルに任せた為何も言わない、
「あっこれ・・龍也さんこれにしましょう」
差し出された人形は
「ほう・・中々可愛らしいな」
ピンクのウサギのぬいぐるみだ、ヴィヴィオはウサギが好きだからこれは良い物だ
「良しそれでは会計を「私がするんで、それじゃあ・・」・・何なんだ?」
そのぬいぐるみを持ったままレジに向かって行った、スバルに首を傾げると
「うん?あれは・・ふむ丁度良いな・・」
視界の隅に止まった店の中に入っていった
「すいません、ちょっと包装して貰ってたんで」
私がその店から出たと同時にスバルが戻ってくる
「私も買う物が有ったからな、気にしなくて良い。それじゃあ・・そろそろ戻るか?」
日も大分傾き空は紅くなっていた
「そうですね・・帰りましょうか」
茜色の空の下を二人でゆっくりと歩く、周りには人の姿は無く居るのは私とスバルだけだ
「今日は楽しかったです」
ポツリとスバルが言う
「如何したんだ?急に?」
突然そんな事を言い出したスバルに困惑しながら尋ねると
「私だって女の子です、好きな人とデートしたいって思います」
デート、その言葉に硬直する
「その反応やっぱりデートって思って無かったですね?」
私の微妙な顔の変化に気付き詰め寄るスバル
「むう・・前も言ったがな。私は隻眼隻腕だそんな男を好きに「違います、少なくとも貴方の目の前に一人、貴方の事が好きな人が居ます」・・うっ」
私の言葉を遮り、真っ直ぐに此方を見るスバルから視線をずらす
「ふふふふ、良いですね。こういうのも」
と微笑み私から離れるスバルはそのまま夕日を背に
「女の子は一途なんですよ。思えばあの時からですか・・空港火災の時。貴方に助けられたあの時から私は貴方が好きでした・・だから貴方には見て貰いたい物がある」
目を閉じ次に開いた時、スバル瞳の色が緑から黄色に変わっていた
「この眼は私が戦闘機人・・兵器という証。それでも貴方は私のことを人として見てくれますか?」
不安げな表情で問いかけるスバルに
「ああ見えるな、何処から如何見てもお前は人だな」
そのくらいでは私の考えは変わらない
「・・くす・・だから私は貴方が好きなんですよ。龍也さん」
スバルが笑うと瞳の色は元の緑に戻っていた
「くすくす・・本当・・私は・・貴方を好きになってよかった」
ポタポタ、スバルの目から涙がこぼれる
「ああ。嬉しくても涙は出るんですね。私はこんなに嬉しいのに・・」
スバルはずっと思い悩んでいたのだろう、人じゃない体に・・・
「帰りましょう、早く帰らないと部隊長が怖いですから・・」
涙を拭いながら微笑み二人でまた歩き出した
「・・・龍也さん・・その・・手繋いでも良いですか」
歩きながらそう尋ねるスバルに
「好きにすれば良い」
「はいっ!それじゃあ好きにします」
スバルはそう笑うと手を繋がずに私の腕を確りと抱きしめた
「おい、何で腕を組む?」
尋ねるとスバルはにっこり笑い
「好きにして良いって言いました、だから腕を組むんです。好きな人と腕を組むのは女の子の憧れですから」
そう笑うスバルの顔はとても美しかった
「龍也さん、私は本気なんです、本気で貴方が好きなんですよ?」
歩きながらスバルが言うが
「もっと良い男が居ると思うがな?」
「そんな事無いですよ、龍也さん程素敵な人はそうは居ません」
私の腕を更に抱きしめながら言う、スバルは本当に幸せそうな顔をしている
「楽しい時間はあっという間だな~もう少し龍也さんとデートしたかったな」
隊舎が見えてきた所でスバルが言う
「スバル手を離してくれないか?」
何時までも腕を組んでるわけには行かないので話すように言う
「・・判りました。本当はもう少し腕を組んで居たいけど我慢します」
手を離したスバル、渡すなら今しかないか・・
「今日は私も楽しかった、だからこれはお前へのプレゼントだ」
上着のポケットから箱を取り出す。スバルがぬいぐるみの会計をしている間に買った物だ
「あの・・開けても良いですか?」
その箱を見ながら言うスバルに
「構わないよ。気に入ってくれれば良いがな」
スバルはゆっくりとその箱を開けた
「わぁ・・綺麗・・」
箱の中にあったのは花をモチーフにしたブローチだった。スバルはそのブローチを見て
「龍也さん、この花の花言葉知ってますか?」
見た感じが気に入って買ったので。モチーフの花の花言葉までは気にしていなかった
「いや知らないが、スバルは知っているのか?」
ブローチのモチーフの花は。五枚の花びらを持つ紫色の花だ
「この花の名前はアネモネ、花言葉は「あなたを愛しています」ですよ?」
「なっ!・・・」
そんな花言葉とは知らなかった。動揺し顔が赤くなるのが判る、その様子を見て悪戯っぽく笑いながら
「嬉しいですね・・まさか龍也さんから愛の告白を受けるなんて」
ブローチを握り締めクスクスと笑うスバルに
「違う、そんなつもりで買ったのでは・・」
動揺しながら言うと
「判ってますよ、唯少しからかっただけですよ。まぁそのつまりだったら嬉しいですけど・・」
悪戯成功と笑い、ブローチをポケットにしまいながら。私の目の前に立つ
「ありがとうございます、これ大切にしますね・・それとこれは私からのお礼です」
スバルの唇が私の頬に当てられる、一瞬硬直するが直ぐに
「ななななななな、何を・・・・」
キスされた右頬を押さえながらスバルから距離を取ると
「今日のデートのお礼ですよ、本当今日は楽しかったです。それじゃあ失礼しますね」
振り返らず走って行ったスバルの後姿を見ながら
「本当・・私なんかの何処が良いだか。判らんな」
ヴィヴィオのプレゼントが入った箱を持ち直し。私も隊舎の自室に帰っていった
「あっ!パパお帰り」
私の部屋にはヴィヴィオが待っていた
「ただいま、ヴィヴィオ」
可愛らしい足取りで私の前まで歩いてきて
「ヴィヴィオね、パパ居なくて寂しかったの」
俯きながら言うヴィヴィオの頭を撫でながら
「ごめんなヴィヴィオ、ほらプレゼントだよ」
隠していた箱をヴィヴィオに手渡す
「ありがとう、パパ」
目を輝かせながら箱を開け、中のぬいぐるみを見て
「ウサギさんだ・・・あれ?パパまだ何か入ってるよ?」
ウサギのぬいぐるみを抱きしめ、笑っていたヴィヴィオだが。箱の中にまだ何か入ってると言いそれを取り出した
「何だろう?」
出てきたのは可愛らしくラッピングされたクッキーの袋だった
「クッキー?何でこんな物が?」
私もそれに驚いていると
「パパ、これスバルが選んでくれたの?」
ヴィヴィオが何かを見ながら尋ねてくる
「そうだけど、何で判ったんだ?」
「ほらだってこれ」
差し出された物には
「これは・・スバルめ、こんな仕掛けを隠していたのか・・」
出てきたのはスバルがピースサインしている写真だった。そしてその下には
「ヴィヴィオへ、あなたのすきなウサギのぬいぐるみとクッキーをおくります スバル」
まさかこんな仕掛けを隠して居たとはな・・
「スバルに言わないと、ウサギさんとクッキー、ありがとうって」
ウサギのぬいぐるみを抱きしめながら言うヴィヴィオだが
「ふぁあああ、パパ。ヴィヴィオ眠いから・・なのはねねの所行くね・・」
眼を擦りながら部屋から出て行こうとするヴィヴィオに
「偶には一緒に寝るか?」
一緒に寝るかと尋ねてみる
「良いの?」
俯きながら言うヴィヴィオに
「構わないさ、ほら行こうか?」
「うん・・」
ヴィヴィオの手を引きベッドに入った。ヴィヴィオは寝るのを我慢していたの直ぐに眠ってしまった
「う~ん、パパ大好き・・・」
寝言を言うヴィヴィオの頭を撫でながら
「パパか・・結婚もしてないのに子持ちか。だが悪くは無いな」
願わくばこの幸せが長く続きますように・・別れの・・運命の日が来るその時まで、皆が笑顔で居られますように・・
私は信じても居ない、神にそんな事を願いながら眠りに付いた
第49話に続く