夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第53話

第53話

 

朝日が差し込み始めた部屋の中で

 

「・・・何時になったら私らは解放されるんや?」

 

「知らねぇよ・・」

 

私の呟きにヴィータが反応してくれるが

 

「すう~すぅ~」

 

兄ちゃんは私達を抱えたまま眠っており、脱出不可・・一応眠る事は出来たが、朝になっても兄ちゃんが起きる気配は無い

 

「兄貴に抱きついて寝た事あったけど・・抱きしめられたまま寝たことは無かったな・・」

 

そういえばそうやな~酔った勢いでの行動だが・・幸せを感じていた

 

「うう・・朝か・・」

 

兄ちゃんが目を開く、その瞬間私とヴィータと目が合う

 

「兄貴おはよう」

 

「おはよう、兄ちゃん・・いい加減放してくれへん?」

 

兄ちゃんの目が驚愕に広がる

 

「おおおおおおっ!?!?」

 

私とヴィータを一瞬で放し、ベッドから転がり落ちた

 

「何で?何で?私がはやてとヴィータを抱きしめて寝てる!?・・私は何をやったんだ?」

 

立ち上がり頭を抱えながら絶叫する兄ちゃんは、信じられないくらい動揺している

 

「痛い・・頭が・・痛い・・昨日私は何をしてたんだっ!!」

 

頭をぶんぶん振り絶叫している兄ちゃんに

 

「兄貴は昨日私達を抱き抱えて・・ほっぺにキスして・・ぶんぶん振り回してたんだ」

 

ヴィータが昨日の事を言うと

 

「・・私達?複数形・・?ヴィータとはやて、あと誰だ?・・何も覚えてないのだが・・」

 

頭を抱えながら尋ねて来る兄ちゃんに

 

「キャロとリィンとシグナムにシャマル・・頬擦りして・・頬にキスして・・抱きしめて・・振り回してたで?」

 

兄ちゃんの顔が真っ青になった・・そのまま

 

「私は何という事を・・妹に私は何をしてたんだぁぁぁっ!!!」

 

ガンッ!ガンッ!!ガンッ!!!

 

「兄ちゃん!?何してるんやっ!!!」

 

「兄貴・・血が血が出てるぞっ!!!」

 

凄まじい勢いで頭を柱に打ちつけ始め・・額が割れ血が出てるがお構いなしで

 

「私はっ!私はっ!何という事をっ!!

 

ガンッ!ガンッ!!ガンッ!!!

 

「兄ちゃん死んでまうて・・ヴィータ止めるでっ!!」

 

「おうっ・・早く止めないと・・兄貴が出血多量で死んじまう」

 

二人で柱に頭を打ちつける、兄ちゃんを止めるのに可也苦労した事を此処に記す

 

 

「お父さん起きて来ませんね?」

 

食堂でキャロが首を傾げる。

 

「本当ですね?お兄様らしくないです・・でも昨日のほっぺにチュッは嬉しかったです~」

 

右頬を押さえながら笑うリィン、その場所は昨日龍也さんにキスされた場所だ

 

「・・私も・・ちょっと・・恥ずかしかったけど・・嬉しかったです・・」

 

左頬を押さえ真っ赤になるキャロの姿を見ると。私も勇気を出して近づいてみれば良かったと思った

 

「皆、おはようさん・・」

 

「おはよう・・」

 

疲れた様子ではやてちゃんとヴィータちゃんが姿を見せる

 

「あっ・・おはようございます・・お父さん!?」

 

キャロが動揺し大声を上げる

 

「ひっ!?」

 

スバル達も短い悲鳴を上げた。かという私も悲鳴を上げそうだった

 

「・・私は・・何という事を・・・」

 

ふらふらと幽鬼の様に姿を見せた龍也さんの頭は包帯が巻かれている

 

「・・朝から柱に頭を打ち付けること15回・・止めるのに苦労したで・・」

 

唖然としている私にはやてちゃんが説明してくれる

 

「覚えてたの?龍也さん酔ってた時の事?」

 

あそこまで落ち込んでいる姿を見ると、酔っていた時の事を覚えてるのかと思い尋ねると

 

「うんや・・なんも覚えてへんけど・・精神的に追い詰められてる・・ほら・・見てみい」

 

はやてちゃんに言われ龍也さんを見る

 

「私は・・妹に何という事を・・・・」

 

暗黒の鬱オーラを纏い。机に伏せている龍也さんに

 

「お兄様・・おはようです」

 

「お父さん。おはようございます」

 

リィンとキャロが接近する

 

「・・うん・・おはよう・・それと御免・・」

 

物凄い小声で返事を返す

 

「兄貴・・凄い自己嫌悪になってるみたいなんだ・・」

 

ヴィータちゃんの言う通りの様で

 

「うん・・御免・・許してくれ・・」

 

俯きどんどん鬱オーラを発生させている

 

「気にしてないですよ?むしろリィンは嬉しいです~」

 

「私・・もです」

 

二人がそういうと龍也さんは立ち上がり

 

「私はっ!私はっ!なんという事をっ!!」

 

「おっ!お兄様っ!!!!」

 

「お父さんっ!血が出てますっ!!!

 

ガンッ!ガンッ!!ガンッ!!!

 

その凶行を二人が止めようとするが、それを完全に無視し凄い勢いで柱に頭を打ちつけ始めた。ええっ!?龍也さん死にますよ!?

 

「いかん!止めなっ!!スバル!ティアナ!兄ちゃんを柱から引き離せっ!!」

 

慌ててはやてちゃんが指示を出し、スバルとティアナが龍也さんを柱から引き離そうとするが

 

「くそっ!死んでしまえっ!!」

 

ガンッ!ガンッ!!ガンッ!!!

 

「龍也さん!死にますよっ!!!」

 

「スバル!そんな事言ってないで、龍也さんを柱から引き離すわよっ!!

 

二人が離そうとするのを振りほどき更に頭を柱に打ち付ける

 

ガンッ!ガンッ!!ガンッ!!!

 

「なのはちゃん、私らも止めに行くでっ!!」

 

この後龍也さんを止めるのに30分近く掛かった事を此処に記す

 

 

ずーんっ・・

 

試合を終えたボクサーの様に項垂れる龍也さんからは、凄まじい鬱オーラが出ている・・いやこれはもう瘴気だ

 

「どうして私はあんなに酒を飲んだ?・・私は酔うまでは飲まない様にしているのに・・」

 

ぶつぶつと呟き・・昨日の事を思い出そうとしているが、頭に包帯を巻き呟くその姿は何処かシュールだ

 

「確か・・もう飲めないと言って立ち上がろうとして・・ゲンヤさんに肩を掴まれて・・」

 

お父さん!?なにやってるの!それの所為で龍也さん瀕死だよ・・

 

「そうだ・・ジェイルだ・・ジェイルに酒瓶を口に押し込まれたんだ・・はっは・・そうかアイツの所為か・・」

 

ゆらりと立ち上がるその姿は悪鬼に見えた。体からは濃密な殺気が徐々に滲み出ていた

 

「お。お父さん何をするつもりですか?」

 

エリオが震えながら尋ねると、素晴らしくイイ笑顔で

 

「少しお話(殴り倒す)をしないといけないからな」

 

・・・・今お話って裏に殴り倒すって声が聞こえたっ!!

 

「「「・・・・・・」」」

 

皆も聞こえてみたいで、顔が引き攣っている

 

「はっはっは。しかし昨日の龍也の酔い方は面白かったなぁ」

 

「龍也様に殺されますよ?」

 

歩きながら話しているスカリエッティさんの声が聞こえる

 

「・・どうやら咎人から出向いて来たか・・ゴキっ!!話し(殴り倒す)をしないとな・・」

 

首を鳴らしながら龍也さんが笑う・・スカリエッティさん来ちゃ駄目です・・確実に龍也さんに殺されますよっ!!

 

「はっは・・龍也・・」

 

笑っていたスカリエッティさんの顔が引き攣り・・逃げようとするが

 

ガシッ!!

 

「何処へ行く?愚か者・・」

 

その肩を掴み無理やり動きを止める

 

「痛い・・龍也骨が軋んでる・・いかん折れる・・折れてしまう」

 

ミシッ!ミシッ!と嫌な音が聞こえてくる

 

「お前は知っていたよなぁ?私がアルコールに弱いと・・では何故あんなに飲ませた?」

 

濃厚な殺気が食堂を包み込む・・ゾクッ!!部隊長に睨まれている特有の気配だが

 

(・・龍也さんも出来たんだ・・)

 

嫌なところで部隊長と龍也さんが良く似ている事を知った

 

「ははは・・酔った龍也を・・げふう・・」

 

最後まで言い切る事無く、龍也さんの拳が顔にめり込み殴り飛ばされる。スカリエッティさんを踏みつけながら

 

「良し・・判った。では親友としてその愚かな思考回路を矯正してやろう・・なに礼は要らないぞ」

 

龍也さんの足の下のスカリエッティさんの骨が嫌な音を立てている

 

「死ぬ!死んでしまう!ウーノ龍也を止めてくれぇ!!」

 

その痛みに耐えかね助けを求めると

 

「龍也様・・程々にして置いてください。これからの事を話さないといけないので」

 

ウーノさんも度が過ぎていたと判断したのか、助ける気は無さそうだ

 

「・・では9割破壊するか・・」

 

・・9割!?それ普通に死にますよ!?それ以前に破壊!?殺すき満々じゃないですか

 

「・・エリオ達は目を塞いだ方が良いな・・」

 

子供組みの目を塞ぐ、隊長達

 

「・・久しぶりに見たよ・・本気で怒ってる龍也・・」

 

「そうだね・・・・」

 

・・・昔を思い出しているのか遠い目をしている、なのはさんとフェイトさん

 

「さて・・お話し(処刑)をしようか?・・ああ・・スバル達も目を塞いでおきたまえ・・女の子が見るものではない」

 

そう言われ目を塞いだ瞬間

 

「ちょ・・まっ・・ぎゃあああああああっ!!!」

 

スカリエッティさんの悲鳴が聞こえた・暫くの間声だけをお楽しみください・・

 

ドゴッ!ドスッ!!ベキャッ!!!

 

「龍也・・折れる・・折れる・・ぐおおおおっ!!!!」

 

ドスッ!ドスッ!!ドスッ!!!

 

「ぎゃあああっ!!!内臓・・内臓はやばい・・ボディーブローを止めてくれぇぇ!!!」

 

ゴガッ!ドスッ!!フォンッ!!!

 

「ま、魔法!?止めろ龍也!!それは駄目・・ぎゃああああッ!!」

 

「穿て・・ブラッディダガーッ!!!!!」

 

ドガッ!ドガガガッ!!!

 

シーン・・・

 

スカリエッティさんの悲鳴が途絶えたので恐る恐る目を開く

 

「・・・・・・・・」

 

ブラッデイダガーで壁に縫い付けられた、ズタボロのスカリエッティさんの姿が見えた

 

「お話し(処刑)は終ったぞ・・はやて」

 

頬に血をつけたまま龍也さんが歩いてくる

 

「兄ちゃん?血が付いてるで?」

 

部隊長!?スカリエッティさんはスルーですか?

 

「兄上?まさか・・殺したのですか?」

 

シグナムさんが震えながら言うと

 

「まさか・・殺しはしてないさ・・骨が幾つか逝ってるかもしれんがな・・クックックッ・・」

 

声を押し殺し笑う龍也さんを見て、この人を怒らせない方が良いと感じた

 

今日の教訓・・優しい人ほど怒ると怖い 

 

 

「さて・・ウーノ何の話をするんだったか?」

 

処刑を受けた馬鹿を放置しウーノに尋ねる

 

「えっとですね・・姉妹の中で何人か六課にお預けしようと思っているのですが・・」

 

当初の予定通りだな

 

「はやて・・私の方で誰を呼ぶのか決めてるのだが・・はやての方でも意見が有るなら聞こう」

 

私の目で見たトーレ達の能力を話し、部隊長としてのはやての意見を聞く

 

トーレ 所持デバイスなし 

 

空戦適正あり・・戦闘スタイルは高速機動からの接近戦 スピードはフェイト同レベルか少し下

 

チンク 所持デバイス ルナエッジ 

 

中距離支援と近接戦闘による陸戦適応を持つ デバイスは二振りのダガーだがチンクの意思で数を増やす事が出来る

またそれを投げつけ爆弾としての使用も可能 指揮官の能力を持つがまだ荒削りである

 

クアットロ 所持デバイスなし 

 

後方指揮タイプ 戦闘力はほぼゼロに近いが防御はそれなりの物がある 幻術系のISを所持している

 

セイン 所持デバイスなし 

 

非戦闘タイプ ISで無機物に潜行する事が出来るが、戦闘力は皆無 護身レベルの近接戦闘は可能

 

ディエチ 所持デバイスなし 

 

後方タイプ ISで可也の威力の砲撃、狙撃が可能 だがその分近接能力が低く単独行動は出来ない

 

ノーヴェ 所持デバイス フェンリル

 

陸戦適応あり 高い近接技能を持つが、感情的で頭に血が上りやすいという欠点がある デバイスは篭手で氷雪の付加の特性を持つ

 

ウェンディ 所持デバイス バニシングバード

 

万能タイプ 防御・射撃・飛行とほぼ万能に対応できる筈だが経験不足、デバイスのバニシングバードはボードモードと騎士甲冑の二つのモードがある ボードモードなら物や人を運ぶことが可能 騎士甲冑の能力は可也高いと思われるが本人に使う気が無い為保留

 

オットー 所持デバイス ケルビム

 

中距離支援タイプ バインドと結界構築が得意だが射撃も可能 デバイスはケルビム 腕輪型で射撃のサポートとオットーの姿を隠す幻影の能力を併せ持つ 経験が少ない為柔軟性に難あり

 

ディード 所持デバイス ベルゼルガ

 

近接タイプ 前までは近接に不安があったが今ではその不安は無い デバイスのベルゼルガは二刀の両刃刀で可也の重量があるはずだが片手で軽く振り回す ISと組み合わせる事でリーチを変化させたり槍の様な使用も可能

 

セッテ 所持デバイス ソルエッジ

 

中距離支援と近接戦闘が可能、柔軟性、状況把握の能力が高い デバイスはチンクのルナエッジと対を成すソルエッジで形状はブーメラン切れ味威力ともに文句無し、さらにISで自在に操る事が出来る

 

「さて・・これを踏まえた上で、私はチンクとノーヴェにセッテとウェンディを六課に迎えようと思うがどうだろう?」

 

「ううん・・ちょい過剰戦力の気がするなぁ・・特にチンクさんの爆弾って何?」

 

顎の下に手を置き難しい顔をしながら、尋ねるはやてに

 

「金属製の物に触れた瞬間、爆発物に置き換える事が出来て。昔義手を誤って爆破された事がある・・」

 

あの時は少し死を感じた・・なにせゼロ距離爆破は少々きつい物があった

 

「そうですね・・あの時は大変でしたね・・チンク首を吊ろうとしてましたし・・」

 

自殺しようとするチンクを止めるのにかなり苦労した

 

「・・チンクさんって意外とどじっ娘?」

 

はやてが首を傾げながら尋ねると・・愚か者の声で

 

「そうでもないのだが・・予想外の事が起きると中々立て直せないな・・」

 

頭から血を流した、ジェイルがふらふらと歩いてくる・・軽いホラーだ

 

「スカリエッティさん!?生きてたんですか!?」

 

なのはが驚きながら尋ねると

 

「なのは君、私はこの程度は死なんよ・・昔ゼロ距離でのスターライトとラグナロクブレイカーを喰らったが・・全治三日で回復したからな!!」

 

頭からを血を流し、良い笑顔でサムズアップする。ジェイルに皆ドン引きだ

 

「それで何の話だね?」

 

頭から血を流したまま椅子に座る。エリオとキャロ、リィンは大きく距離を取った

 

「ふむ・・チンク達の内、何人かを隊員として呼ぶと言っただろう?そのメンバーでチンクとノーヴェにセッテとウェンディを推薦してるのだが?」

 

ジェイルは少し考えた素振りを見せ

 

「クアットロも呼んだ方が良い、ティアナ君は幻術系でクアットロも幻術系・・良い経験に成ると思うが?」

 

頭から血を流しているが言ってる事はまともだ

 

「それもそうか・・はやては同思う?」

 

此処の部隊長ははやてだ、最終的な決定権ははやてにある

 

「私は全員呼べば良い思うけど?」

 

「そうも行かないんだ、ジェイルは天雷の書があった遺跡を調べに行くんだ、その護衛を除くと4~5人にまでしか此方に呼べないんだ」

 

これは前々から考えていた事だ、謎に包まれたままの神王とジオガディスの事は詳しく調べておきたい

 

「そうか・・そんならそのメンバーで良いと思うで?」

 

はやての了承が出たのでチンクとノーヴェにセッテとウェンディにクアットロを呼ぶ事になった

 

「う~ん、どんな人なのかな?楽しみだな~」

 

フェイトは少し楽しそうだ・・それにジェイルを睨んでないどういう事だ?

 

「スカリエッティさん、武装隊で何人かこちらからも護衛を用意しましょうか?」

 

なのはが武装隊に要請を出そうかと尋ねるが

 

「申し出はありがたいが遠慮しておく、あの場所はネクロの出現率が高い、それこそSかSS相当の魔導師で無いと足手纏いになる」

 

実力の無い者があそこに行くのは死にに行くような物だからな・・・ジェイルのいう事は的を射ている

 

「・・そうですか・・それで何時出発するつもりなんです?」

 

なのはが尋ねると

 

「うーん逃亡生活で大分疲れてるからな。ゆっくり骨休みをしてからに・・そうだ!海鳴だったかね?私は其処に行きたい」

 

と子供のように笑うジェイルに

 

「良いんじゃないのか?レジアスに頼んでお前達が行けるようにしておこう」

 

転送ポートを使えるように手続きを取ろうとすると

 

「何を言ってる?龍也達も一緒に決まってるだろう?はっはっはっ!一度行ってみたかったんだ、龍也が育った街に」

 

立ち上がり大声で笑い始めたジェイル・・いかんな何時もの発作が出たか

 

「いや・・それは少し無理やと思います・・仕事がありますし・・」

 

はやてが無理だと言うとジェイルは笑いながら

 

「私を誰だと思っている!天才科学者ジェイルスカリエッテイだ!!私の辞書に不可能は無い!!」

 

そう叫ぶと仮想モニターを展開し

 

「レジアス!レジアス!!早く出ろ!!私はお前に用があるんだ!!」

 

モニターに向かい叫ぶその姿は、とても天才には見えない

 

「龍也さん・・あの人・・本当に天才なんですか?私にはそうは見えないのですが・・」

 

ティアナがジェイルを指差しながら言う

 

「あれは天才だが、ほら言うじゃないか、天才と馬鹿は紙一重と・・だから今のアイツは馬鹿だ」

 

皆引き攣った顔でその凶行を見てると

 

『やかましいわぁぁぁ!!!何だ貴様わしに恨みでもあるのか!!お前の無実を証明する為に三日三晩寝ていなかった。わしの安眠を妨げるとは何のつもりだぁぁ!!』

 

凄まじい怒声と共にレジアスの顔がモニターに映る

 

「おお、やっと出たか!それよりお前に頼みがある」

 

物凄い怒りのオーラを出しているがそれを完全に無視し言う

 

『・・何の様だ・・下らんことだったら貴様を殺す!』

 

可也頭に来ている様だ・・このままだと火に油を注ぐ続けるだけだと思い

 

「レジアス・・少し落ち着け血圧が上がるぞ?」

 

馬鹿の頭をヘッドロックしながら言う

 

『龍也か・・馬鹿は何を言いたいんだ?』

 

ギブ!ギブ!!死ぬと叫ぶジィエルを完全無視し話を進める

 

「何でも骨休みに私の育った街が見たいそうなんだが・・私達も一緒に来いと言うのだこの馬鹿は」

 

ぐったりしたジェイルを持ち上げながら言う・・いい具合に痙攣し死ぬ一歩手前に見える

 

『本当に馬鹿だな・・こんな奴がどうして天才なんて呼ばれるんだ?』

 

同時に溜め息を吐く・・その間ジェイルの口から青い人魂の様な物が出ていた

 

「ににに兄ちゃん!?スカリエッティさんの口から魂見たいのが出てる!?」

 

はやてが動揺しながら言う・・皆顔が引き攣っている

 

「レジアス、少し待ってくれ、ふんっ!!」

 

ゴキャッ!!間接に力を込め蘇生を施す

 

「はっ!?此処は何処だ!?あの美しい川は何処へ消えた!!」

 

どうやら本当に死に掛けていたようだ・・三途の川かミッドチルダの人間でも三途の川を見るんだな・・私は少し感動した

 

「それでやはり無理だろ?私達は仕事が有るから。馬鹿とウーノ達を行ける様に手続きをしてくれるか?」

 

だがレジアスの返答は私の予想を超えていた

 

『別に構わんぞ?お前達も海鳴だったか?に行っても構わんが』

 

「冗談のつもりか?私達の仕事は如何するんだ?」

 

はやて達を指差しながら言うと

 

『前のTVの取材で可也管理局のイメージアップになった・・だから有給を出そう。龍也お前もはやて達も骨休みすると良い・・ああ・・言って置くが拒否権は無い。大人しく有給を楽しめ・・ではなわしは寝る・・』

 

言うだけ言ってレジアスは画面から消えた

 

「どうする?はやて?有給だと」

 

はやて達を見る

 

「良しっ!!全員今から着替えとかの準備!!兄ちゃんも準備せなかんで?」

 

全員ハイテンションで消えた・・残されたのはウーノと私だけだ

 

「ウーノ?馬鹿は如何した?」

 

何時の間にか消えたジェイルに首を傾げると

 

「姉妹を迎えに行きました・・龍也様私も準備が有るので失礼致します」

 

物凄い早歩きでウーノも消えた

 

「・・・・私も準備しに行くか・・・」

 

若干疲れながら自室に戻り準備をしながら

 

「・・・どうしてこうなるんだろうか?」

 

この呟きは誰にも聞かれず消えていった

 

第54話に続く

 


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