第54話
急遽有給を強制的に与えられ、皆で海鳴に行く事になったのだが
「兄様、どうしてお父さんを殴ってくるの?」
オットーが尋ねてくるが
「ああ、気にしなくて良い、この馬鹿を冥界に叩き込むだけだ。直ぐに終るから向こうで皆と話してきなさい」
ドスッ!!ドスッ!!!
「ぐほっ・・龍也・・死ぬ・・死んでしまうぞ・・・」
息も絶え絶えでジェイルが言う、先程から私とお話(殴る)をしているのが原因だ
「貴様の思考はそう簡単には治らないんだな・・私は言った筈だ・・娘にメイド服を着させるなと!!このたわけっ!!!」
チンク達の内何故か、オットー、ディード、セッテはメイド服で来た。はやて達は目を丸くし驚いた
「すまん・・もうやらないから許してくれ!!!」
泣きながら謝るのでお話を止める事にした
「お父さん?大丈夫ですか?」
膝を付いて蹲ったジェイルにセッテが尋ねる・・服は着替えさせたので普通の服装をしている
「だ。大丈夫だ・・ふふ・・龍也を怒らせてはいけないと再認識したよ・・」
フラフラとウーノ達の所に歩いて行く、ジェイルを見てからはやての隣に立つ
「・・兄ちゃんあの人は馬鹿や・・自分の娘に何を考えてメイド服を着せるんや」
六課の面子・・主に、はやて、ヴィータ、なのは、フェイト、スバル、ティアナのジェイルを見る目は非常に鋭い
「だから言っただろう?馬鹿と天才は紙一重なんだよ」
優秀すぎるのも考え物だな・・と考えてると服の裾が引っ張られたので下を見ると
「パパ。肩車してくれる?」
笑いながらヴィヴィオが言うので笑いながら
「良いよ、・・これで良いかな?」
ヴィヴィオを肩車しながら尋ねると
「うん、これで良いよ・・パパの肩の上はヴィヴィオの特等席なの」
上からなので判らないがヴィヴィオの声はとても楽しそうだ
「さて、皆さん有給を使って旅行に行きます!!目的はスカリエッティさんの娘さん達との親睦会です!!
おおっ!!となのは達が声を上げる、なんだこの空間は
「そして、帰ってきたら六課に新しい仲間が増えます!!」
はやての隣にはチンク達の姿がある
「こういうのは駄目だ・・」
「我慢しようぜ?チンク姉・・」
「あはは、宜しくっす」
「別に私は仲良く出来なくても良いです・・私は龍也様の傍に居るだけで幸せですから・・」
「宜しくですわぁ~うふふふふ」
・・・何でこう姉妹間で、こうも対応が違うんだ?チンクとノーヴェは困惑、ウェンディとクアットロは友好的。セッテは・・怖い
「それでは皆で有給を楽しも~っ!!!」
お~っ!!若干異様なテンションなまま、転送ポートに入った
「おお~素晴らしい!!此処が地球かっ!!」
前から話しは聞いていたが本当に素晴らしい!とても美しい場所だ
「ここは私のお気に入りの場所でな・・春になると桜が見れる良い場所なんだ」
確かに後ろにある木は桜の木だが今は花は付いていない
「・・花が無いのが残念だが・・記念撮影だ!!娘達よ写真だ!写真を撮るぞ!全員並びなさい・・ああ・・龍也カメラを頼む」
龍也にカメラを手渡し桜の木をバックに写真を撮る
「ふふ。いやいや本当に良いね。自由というのは・・」
頬に当たる風・・降り注ぐ太陽どれをとっても素晴らしい
「楽しそうですね、スカリエッティさん。喜んでもらえて嬉しいですよ」
はやて君が笑いながら話しかけてくる
「本当に素晴らしい!地球という場所はなんと美しい事か!!」
娘達も気持ちよさそうに大きく背伸びをしている
「そうだッ!今度は私が写真を撮ろう!さぁ!!はやて君達も並びたまえ!」
龍也からカメラを受け取り、はやて君達と龍也を写真に収めようとするか
「なのはちゃん!兄ちゃんの隣は私とヴィータやっ!!そこを退き!!」
「いや・・こういうのは早い者順なんだよ?はやてちゃん?」
龍也の隣が誰かで言い争っているはやて君達を見ると
(龍也・・君は本当に罪な男だ・・12人も女性に好かれる等と滅多にある事ではないよ)
後ろで娘の中で、龍也に想いを寄せてる者が不機嫌に成るのが判るが。此処は我慢してもらおう
「これで良いだろう!」
龍也が痺れを切らしたのか、微弱な身体強化を発動させ
「きゃっ・・兄ちゃん、何すんや・・良いかもこれ・・」
「兄貴の肩の上か・・これ良いぜ・・」
はやて君とヴィータ君を抱え上げ、自分の肩の上に腰掛けさせる、大柄な龍也だから出来る荒業だな
「「「「・・・ずるい・・」」」」
なのは君達が肩の上の二人を睨むが完全に無視している
「ジェイル、早く撮ってくれ」
「ああ、判ってるよ・・動くなよ・・カシャッ!!」
写真には龍也の両隣になのは君とフェイト君、その隣にスバル君とティアナ君が続き。龍也の両肩にははやて君とヴィータ君。龍也の前にエリオ、キャロ。リィンとヴィヴィオに続き、龍也の後ろはシグナム君、シャマル君、ザフィーラ君と続いている
「ふむ、良い写真だ、はやて君。すまないが今度は私と娘達と龍也で写真を撮りたい。カメラマンを頼めるかね?」
「良いですよ・・良い記念になりますからね」
心良くカメラマンを引き受けてくれた、はやて君に礼を言い桜の木の前に行く
「龍也!お前は私の隣だっ!」
「やれやれ・・もう少し静かにしたらどうだ?」
文句を言いながらも私の隣に立ち。私達の周りに娘達が並び立つが、龍也の周りはチンク、ノーヴェ、オットー、ウェンディ、ディード、セッテで固められている、そに様子を見ていると
「なぁ、兄あたしも肩に乗せてくれよ」
「私も肩に乗せて欲しい・・」
ルーテシアとアギトが肩に乗せて欲しいと言う
「構わない・よし・・行くぞ」
二人を抱え上げ、器用に肩の上に座らせる
「おお~高いぜ~」
「本当・・」
二人の喜んでいる姿を見ていると
(ゼストも来れば良かったのにな・・)
メガーヌの調子が悪いからと、残ったゼストも来れば良かったのに・・
「兄ちゃん。スカリエッティさん行くで・・カシャッ!」
この写真は良い記念になるなと思った
「さて・・はやて君此処からどうするんだい?ホテルにでも泊まるのかね?」
「ちゃいますよ・・私達の幼馴染の所に泊めて貰うんですよ・・ほら来ましたよ」
二人の女性が此方に向けて歩いてくる
「なのは~!フェイト~!はやて~!龍也~!!」
「あっ!アリサちゃん!すずかちゃん!」
「久しぶり~!」
「本当に久しぶり!元気にしてた?」
「もちろんや!二人も元気そうで何よりや!」
「ほう・・アリサとすずか、か久しぶりだな」
「龍也!前の時は会えなかったけど。あんたも元気そうね」
「アリサちゃん、そんな言い方無いよ?それにしても元気そうで良かったです」
はやて君の幼馴染と言う事で、龍也も面識があるようだ
「所で・・そこに居る白衣の人と女の人たちは誰?」
おっと・・私とした事が自己紹介がまだだった
「始めまして、私の名前はジェイルスカリエッティだ。龍也とはまぁ・・簡単に言えば友だな」
はやて君達が苦笑している・・はて?可笑しな事を言ったかね
「それで私の後ろに居るのが私の最愛の娘達だ!!ほら皆自己紹介だ」
「私はアリサバニングス。でっこっちは友達の」
「月村すずかです」
「ウーノです。宜しくお願いしますね」
「トーレだ・・暫く世話になる」
「チンクだ・・アリサとすずかだな。宜しく頼む」
「クアットロですわ~仲良くしましょう」
「セインだよ。宜しくね二人とも」
「ディエチ・・お世話になります」
「ノーヴェだ、暫く世話になるぜ」
「ウェンディっす。いや~此処は良い所っすね~」
「オットーだよ。宜しくね」
「ディードです・・宜しくお願いします」
「セッテ・・」
皆の自己紹介が終ると
「旅行だったわよね?」
アリサ君がなのは君に尋ねる
「うん。2拍3日の旅行だよ。すずかちゃん・・いきなりでごめんね」
「気にしなくていいよ。皆に会えるの楽しみにしてたしね」
ふむ・・本当に仲の良い幼馴染みたいだ
「・・・龍也様?どうしてそうなったのですか?」
セッテの怒りと困惑の混じった声がし。振り返ると
「私も知らんが別に良いだろう?皆喜んでいる」
龍也に抱き抱えられるヴィヴィオ。肩の上にリィンとアギトが腰掛け、背中にはエリオ、キャロ、ルーテシアがぶら下っている
「う~ん、お兄様の肩の上は落ち着きますね~」
「判る・・凄く安心するからな」
肩の上でほのぼのとした空気でリィンとアギトが笑い
「・・・本当のお父さんみたいです・・」
「うん・・私もそう思うよ・・・」
「龍也は暖かい・・安心する・・」
エリオ、キャロ、ルーテシアが心底安心と言う声で呟き
「パパの腕の中は暖かいの・・すぅ~すぅ~」
腕の中で眠りに付くヴィヴィオ・・何故ああなるんだっ!本当に龍也の子供の好かれ方は異様だ
「それで翠屋に行くのだろう?早く行くとしよう」
何事も無いように歩いて行く龍也の後姿を見ながら
「一度龍也の中の常識を調べた方が良いな・・」
皆も頷いていた・・皆そう思ったようだった・・
「それで翠屋と言うのはどんな店なんだ?」
スカリエッティさんが楽しげに笑いながら尋ねて来る
「翠屋は私のお父さんとお母さんがやってる店ですよ?」
皆で移動している中、擦れ違う人の目は龍也さんとスカリエッティさんに集中している
「うん?人の視線を感じるのだが何故だと思う?はやて」
「・・・多分、ヴィヴィオとかが原因ちゃうかな?」
龍也さんの方は、ぶら下っているキャロ達が原因で
「いや~本当に良い所だ」
スカリエッティさんの方は白衣が原因だ
(早く行こう・・何か視線が辛いよ・・)
擦れ違う人の目が痛く、私は早歩きで歩を進めた
「お父さん、ただいま~」
今この時が凄く嬉しかった
「なのは、お帰りどうしたんだ?おおっスバル君達も一緒か。さっ暑かっただろう、まずはこれでも飲みなさい」
「「ありがとうございます」」
お父さんが笑いながら皆に紅茶をいれる・・龍也さん達は外で待っている
「それで急に如何したんだ?また何か事件でも起きたのか?」
店の中は私達で貸しきり状態の為、こういう話をしても問題が無い
「ううん、違うよ。有給が出たから旅行に来たんだ・・それでまだ人が居るんだけど呼んで良い?」
店の外にはスカリエッティさん一行と龍也さんが居る、可也の大勢なので一応聞いてからにしようとなった
「構わないが・・可也の人数なのか?」
流石お父さんだ、感覚的に判ってるのだろう
「うん・・19人かな?そのうち4人は龍也さんとリィンちゃんにキャロとエリオ君なんだけど・・良いかな?
「19人か・・はっはっ、満員になってしまうな」
お父さんが笑いながら看板を本日貸切にする
「ほら、早く呼んで来なさい・・幾ら龍也君でもこの暑い日に外に居るのは辛いだろう?」
「うん!じゃあ呼んで来るよっ!!」
良かった!駄目だって言われたら如何しようって思ってたから、私は一安心し。外に居る龍也さん達を呼びに行った
第55話に続く