夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第56話

第56話

 

「やぁ、龍也、はやて君おはよう・・セッテとウェンディは?」

 

二人揃って姿を見せた龍也とはやて君にセッテとウェンディはどうしたかと尋ねると

 

「兄ちゃんに手を出そうとした愚か者は・・まだ寝てる・・いや・・私が物理的に沈めた」

 

ニヤッ!と黒い笑みで微笑むはやて君と

 

「ジェイル・・貴様何か娘に植え付けたのか?そうなら処刑する」

 

怒ってる龍也に言われるが

 

「いや・・特に何も言ってないなぁ、何かあったのか?」

 

尋ねると龍也は疲れた様子で

 

「バインドされて・・キスされそうになった・・はやてが助けてくれなかったら・・・」

 

どんよりとした空気を発生させた龍也に

 

「大丈夫だったの!龍也さん・・手遅れになってない!?」

 

「龍也!大丈夫なんだよね!?キスされてないよね!!」

 

なのは君とフェイト君が近寄りながら尋ね

 

「ちょっと用事思いだした・・・・」

 

ヴィータ君が怖い笑みで出て行った

 

「チンクさん、少し妹さんと話しても良いですか?」

 

「ちょっと・・私もそれはやりすぎだと思うんですよ」

 

スバル君とティアナ君がチンクに詰め寄る

 

「いや・・それは私のほうから話をするから、勘弁してやって欲しい」

 

チンクはやはり良いお姉ちゃんだね、妹を庇ってるよ

 

「もぐもぐ・・どうしてみんな怒ってるですか?」

 

「知らねぇ・・兄、はやて、こっちで皆で食べようぜ!!」

 

アギトがはやて君と龍也を呼ぶ

 

「うん、じゃあアギト達と一緒に食べよか?」

 

「そうだな」

 

二人でアギト達の席に座わった瞬間

 

「くたばれえええええ!!!」

 

デバイスを振り回してヴィータ君が登場

 

「こんな所で死んでたまりますか!!」

 

「ひええええ、ごめんっす。許してっす!!!もう寝ている龍也兄にちょっかい出さないっす!!」

 

転がりながらその猛攻撃を回避する、セッテとウェンディを見つけ

 

「ちょっと私もお話しないとね・・」

 

「なのは・・私も手伝うよ」

 

何時の間にかデバイスを起動させた、なのは君とフェイト君が参戦していた

 

「セッテ達も、もう少し考えてから行動すべきでしたね」

 

ウーノは優雅に紅茶を啜りながら言う

 

「はは。しょうがないな、恋する乙女は一直線なんだよ」

 

目の前で繰り広げられる戦いを見ながら私は微笑んだ

 

 

 

 

「さて・・今日は皆で海に行きます!!水着はファリンさんたちが用意してくれたんで、皆好きなのを選ぶようにじゃっ解散!!」

 

波乱の戦いはお父さんの一喝で強制終了しました、それで今は皆で水着を探しています

 

「よっしゃ、皆水着は決めたな。それじゃあ海へ行くで!!」

 

「おお~っ!!」

 

水着を決め、みんなで海に向かって行きました

 

「綺麗な所ですね・・でも人が居ないのは何でですか」

 

綺麗な砂浜を見ながら僕はフェイトさんに尋ねた

 

「此処はアリサの家のプライベートビーチだから、他の人も来ないんだよ?」

 

そうなんだ~本当にアリサさんってお嬢様なんですねっと思っていると

 

「完成だ!」

 

お父さんがブルーシートを引いて、その上に椅子を置き、パラソルを準備していたが、その姿は水着ではなかった

 

「お父さんは泳がないんですか?」

 

皆着替えているのに一人だけ、私服のままのお父さんに尋ねると

 

「うん?ああそうかエリオは知らなかったか・・私は泳げないんだ」

 

ピシリ、世界が凍った・・えっ!?完璧超人だと思ってたお父さんが泳げない?

 

「冗談だよね?龍也本当は泳げるでしょ?」

 

フェイトさんも信じられないという表情で尋ねる

 

「いや。私は本当に泳げんぞ?昔海に投げ出された事があってな・・それ以来泳げないんだ」

 

あっはっはと笑ってるが、実際は笑い事では無い。隊長達やスバルさんたちは一緒に泳げると話をし、とても楽しみにしていたのだが

 

「「「「そんな・・折角一緒に泳ごうと思ってたのに・・」」」」

 

今はこの世の終わりと言いたげに、項垂れるスバルさん達の姿が見えた

 

「兄様・・泳ぎ方教えてあげようか?」

 

「龍也様・・私達で泳げるようにして差し上げますが?」

 

セッテさん・・朝あんなにお話されたのになんでこんなに元気なんです?だってウェンディさんは・・

 

「あああ・・ハンマーが・・桜色の閃光が・・金色・・が・・あああああああっ・・・」

 

虚ろな目で頭を抱えて魘されています・・・それを

 

「ウェンディ・・しっかりして・・」

 

ディエチさんが介抱しています。その様子を見ながらトーレさんが

 

「八神にいたずらしようとするから、そんなことになるんだ。馬鹿者がっ・・・」

 

呆れながら介抱していました・・同じお話をされたセッテさんは何故あんなに元気なのかと思いました

 

「いや別に泳げなくても死ぬ事は無いからな・・気にしなくて良い。二人は泳いでくれば良いさ・・私は釣りでもしてるから」

 

クーラーと釣竿が入っているだろうバッグを背負い、磯に歩いていったお父さんだが途中で止まり

 

「ザフィーラ!今日の昼食を捕りに行く手伝ってくれ」

 

砂浜で準備運動していたザフィーラさんを呼ぶ・・僕知らなかったです、ザフィーラさん人に成れたんですね

 

「了解しました、それで私は何を使えば?」

 

お父さんに尋ねると、バッグから銛を取り出して

 

「それで魚を突いてくれ、私は釣りをするから」

 

「了解しました」

 

二人で磯に歩いて行く後姿を見てると

 

「しまった・・兄ちゃんが泳げないの忘れてた・・・」

 

項垂れる部隊長の姿があった・・

 

(部隊長・・お父さんの事なんでも知ってるって言ってなかったけ?)

 

と思いながら僕は準備体操を終え、海に入って行った

 

 

「龍也殿は何を狙うんですか?」

 

シュノーケル完全装備でザフィーラが尋ねて来る

 

「スズキかクロダイ・・・運が良ければハマチやカンパチも狙えるな・・」

 

潮の通りも良いし、運が良ければハマチ等の青物の回遊もある、

 

「ハマチですか・・釣れれば皆喜びますね・・それでは私も行ってきます」

 

磯から海に飛び込み泳いでいくその姿は

 

(まるで沖縄の漁師みたいだな・・ザフィーラは肌も黒いし)

 

これで口調が沖縄の言葉だったら、完璧なのにと思い私はルアーを投げた

 

「そう簡単にはいかんか・・」

 

何回か、岩の影にルアーを投げてみるが無反応

 

「暑いからな・・トップを止めてシンキングにするか・・」

 

今使ってるのは浮くタイプの物で、活性が高い時には絶大な効果を発揮する物だ

 

「シンキングなら・・ロックフィッシュも対象だな・・」

 

シンキングは重い物で簡単に言えば沈むタイプのルアーだ

 

「さてと・・何が釣れるかね~」

 

私は再びルアーを投げた

 

カリカリカリ・・リールを巻く音だけが響く中・・沖のほうで

 

「サザエ!捕ったぞー!!!!」

 

ザフィーラの雄たけびが聞こえてきた、一瞬何をしてるんだと思ったが・・

 

「・・・楽しそうだから良いか・・グンっ!!!!・・むっこっちも来たか!」

 

竿が強烈に水面に吸い込まれる

 

「この引き・・カサゴか?」

 

独特な引きを感じさせる当りに首を傾げながら巻いていく

 

バシャ!バシャ!

 

魚が水面を割り姿を見せる

 

「キジハタ・・良いサイズだな」

 

網で掬い上げる・・かなり大型で40はある

 

「ふふ、一発目にしては良い獲物だ」

 

血抜きをしてからクーラーに入れる

 

「シンキングは当りだな・・」

 

再びルアーを海に投げ込んだ

 

カリカリカリ・・・

 

「居るなら此処で食ってくる筈だが・・・グンッ!!来た!!」

 

竿を起こす、グングンっと糸が持っていかれる

 

「これは・・かなりの大物だな」

 

竿は折れんばかりに海面に向かっている

 

「これは・・切られるか?・・」

 

かなりの引きの強さにラインが切れるかと思うが、何とか耐え魚を浮かせる

 

「クロダイ・・良いね・・こいつは美味いんだ」

 

海面で暴れるクロダイを掬い上げる

 

「やはり磯は正解だな・・この調子なら昼食は豪華な物になる・・・」

 

血抜きをしてると再び沖から、

 

「タコ!捕ったぞーーー!!!」

 

ザフィーラの雄たけびが響いてくる

 

「アイツは多分銛さえあれば生きていけるな・・・」

 

野生の本能が刺激されたザフィーラの逞しさに脱帽していた

 

「・・大分釣れたが・・もう少し大物が欲しいか・・・」

 

クーラーは半程埋まっていたが、サイズで言えば45のクロダイが最大だ。出来れば当初の狙い通りハマチ系が欲しい

 

「もう少し遠投するか・・」

 

竿を大型のルアーロッドに換えていると

 

「八神、調子はどうだ?」

 

後ろから声を掛けられ振り返る

 

「チンクか・・どうしたんだ?もう少し泳いでれば良いだろう?」

 

パーカーを羽織ったチンクに言うと

 

「それも良いが・・魚釣りというのに興味があってな。少しやってみようと思ったんだ」

 

と笑うチンクに

 

「そうか・・ではお前の分も準備するか・・」

 

竿の袋からチンクに使えそうな竿を用意する

 

「八神・・その虫は苦手なんだが・・」

 

恥かしそうに虫が苦手と言うチンクに

 

「ルアーだから大丈夫だ・・良し・・準備できたぞ・・投げて見ろ」

 

「ああっ判った・・」

 

おっかなびっくりという感じでルアーを投げるチンク・・飛距離は無いが・・真っ直ぐ飛んでいるな

 

「上手いじゃないか・・後はゆっくり、リールを巻いて弱った魚の様に見せるんだ」

 

「あっあ・・これで良いのか?」

 

カリ・・カリ・・と不規則な音を立ててリールを巻いてると

 

バシャアア!!!

 

突然水面から轟音がする

 

「うわぁ!!何なんだ今のは!」

 

慌てて竿を立て、びっくりするチンクに

 

「くっく、今のが当たりだよ。惜しいな。あれで合わせを入れたら掛かっていたのにな」

 

自分の竿を投げながら説明する・・今の当りは間違いなくスズキだな

 

「そうなのか・・だが今ので判ったぞ」

 

再びルアーを投げるチンク・・そして先程当りがあった所で再び

 

バシャアア!!とスズキがルアーに食い付く

 

「良し!今度は確り喰わせたぞ!!」

 

リールを巻こうとする・・チンクの手の上から竿を握る

 

「やっ八神!?」

 

動揺するチンクの手の上から竿を握りながら

 

「スズキは初心者には難しい・・私がサポートする」

 

スズキは気性が荒く・・ジャンプしたりエラ洗いをする・・初心者では間違いなくラインブレークする

 

「落ち着けよ?・・これはかなりの大型だ」

 

二人で竿を握るがかなりの力で水面に引き込まれる

 

「あっあ・・判ってる・・大丈夫だ」

 

ギッ!ギッ!と音を立ててリールが回る、暫くスズキと格闘していると

 

バシャバシャ!!!

 

大きな音を立てて暴れるスズキを網で掬う

 

音を立てて暴れるスズキの頭部を石で殴る

 

「八神!?何で殴るんだ?」

 

魚釣り初心者のチンクに

 

「スズキはひれが鋭い・・下手に触ると手を切るからな。殴って気絶させるんだ」

 

気絶したスズキを血抜きしてから、メジャーで図る

 

「やったな。良いサイズだ」

 

65はあるかなりの大物だ

 

「あっああ。魚釣りは面白いのだな・・だが・・私はもう良い腕が痛い」

 

流石にいきなり65のスズキは大変だったか・・

 

「そうか・・それじゃあ私の釣りでも見てるか。はやて達の所に戻ると良い」

 

自分の竿を握りリールを巻き始める。

 

「そうだな・・少しお前の釣りを見ているよ」

 

後ろの岩場に腰掛けるチンクを横目で見ながらルアーを投げた

 

 

 

八神め・・いきなり手を握るからビックリしたじゃないか・・

 

ルアーを投げる八神の後姿を見ながら私は胸を押さえた

 

(ドキドキする・・私はやはり八神が好きなんだな・・だがアイツは気付いて無いだろな・・)

 

八神の鈍感は今に始まったことではないが・・酷い物がある

 

(まったく・・これほど女に囲まれても平然としてる八神は凄いな・・)

 

八神の回りは女性が多い、従兄弟のはやてにヴィータ、なのはにフェイト、そしてスバルとティアナに私達だ

 

(どうすれば・・八神は気付いてくれるだろうな?)

 

私は八神が好きだ・・無論男としてだ。ネクロの基地から救い出してくれた、八神の姿は今でも鮮明に思い出せる

 

(・・いずれは気付いてくれるだろう・・)

 

ルアーを投げる八神の姿を見ていると

 

「来たッ!!」

 

グン!グン!!大きく竿が曲がる

 

「この引き・・間違いないな・・ハマチだ」

 

岩場で足に力を込め、その強烈な引きに耐えている八神の姿を見ていると

 

「チンク!網を準備してくれ。これは網がいる」

 

声を掛けられ慌てて網を掴む

 

「チンク!次に魚が浮いたら網で掬えよ」

 

竿を大きく上げ魚を浮かせる

 

「良し・・八神良いぞ」

 

網で魚を掬い上げる

 

「ふぅ~、ハマチだ・・やれやれ疲れたよ・・」

 

汗を拭い笑う八神に

 

「まったく、一人だったら、どうやって掬うつもりだったんだ?」

 

「そうだな・・考えてなかったな」

 

ったく・・変なところで無計画だな、と思うと笑みが零れる

 

「むっ・・何故笑うんだ」

 

「いや・・くっくっ・お前は変な所で無計画だと思ってな」

 

笑われた事で不機嫌になる八神に

 

「いやいや・・むくれるな・・そういう所がお前の良い所だよ」

 

優しく強く、そして何処か抜けている八神の存在はまるで太陽のようだ・・

 

(まったく・・お前と居ると・・とても楽しいよ・・)

 

私は胸の中でそう思ってると、沖の方から

 

「ウツボ!捕ったぞーーー!!!!!」

 

ザフィーラの雄たけびが響き渡り、お互いに顔を合わせ笑いながら

 

「なんなんだ、アイツはまるで野生児だ」

 

「まったくだ。アイツなら銛があれば生きて行けそうじゃないか?」

 

とお互いに笑い会いながら、はやて達との合流場所に向かって歩いていった。その間を笑い声は絶えることが無かった

 

(何時の日か・・私の想いに気付いてくれる日が来ると良いな・・)

 

そんな事を思うが、それはかなり先の事になるだろう・・・でもそれでも構わない

 

(お前は何時の日か私の物になるのだからな・・それまでは今の関係で構わない)

 

友達でもなく、かと言って恋人でも無い。今のこの関係はとても穏やかな物だ

 

(願わくばこの幸せな時が続きますように・・)

 

私はそんな事を思いながら歩を進めた

 

第57話に続く

 

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