第4話
合流地点に向かうと管理局の制服を着た。鉢巻を巻いたスバル・ナカジマとツインテールのティアナ・ランスターが心配そうな顔をしながら待っていた
「二人とも、御免ねちょっと遅くなっちゃった」
心配そうにしている二人を安心させるために笑顔で話しかけるなのはだが
「ちょっとどころじゃないですよ!!通信は出来ないし、場所も判らないからすごく心配したんですから」
ティアナが本当に心配そうに言うが、なのは達にはその前に言われた言葉のほうが気になった
「通信が通じなかった?どういう意味だ?」
「えっと、そのままの意味です。ヴィータ副隊長」
スバルからの報告によると逃げ送れた民間人の誘導を終え、なのは達に報告をしようとしたが強力なジャミングで場所も通信も出来なかったらしいのだ
「じゃあ、お前達はあいつが来たのを知らないのか?」
てっきりモニターか何かでこちらの状況を知っていると思っていたヴィータが呟く
「「あいつって誰ですか?」」
その様子を見ると本当にこっちの状況を知らなかった様で声をそろえて尋ねる二人に
「黒騎士だよ。わたしがヴィータちゃんを助けに行ったとき。もうネクロは黒騎士に殲滅されてた」
「「!!?」」
スバルもティアナも驚いている。ネクロはなのは達でさせ苦戦する相手だ。それをたった一人で殲滅した黒騎士に驚いているのだ
「とりあえず、戻ってはやてちゃんに報告しよう。もしかするとネクロの正体が判るかも」
「!!?何か判ったんですか?」
目的が何か判らないネクロの正体が判るかもと発言に食い付くスバルに
「それも含めて報告するんだ、だから今は帰るぞ」
詰め寄ってきたスバルを嗜め、ヴィータ達はヘリに乗って機動六課に向かっていった、その様子を見ている黒い服にサングラスつけた男・・・・ダークネスだ。幻術を使い近くに隠れていたのだ。
「良かったのか?正体を現さなくて?」
ダークネスの背後に1人の男と少女が現れる。1人は死んだ筈のゼスト・グライガンツと希少魔法の召還が使える、ルーテシア・アルピーノに融合騎のアギトだ。恐らく自分と同じでネクロの反応を感知してこの場に来ていたのだろう。
「ああ、まだな・・私は彼女達の前に出る勇気がない。それにヴィータだってあの不意打ちが無ければ一人で勝っていただろう・・やはり私は不必要な人間なんだろうな「「違う!!」」・・ルーテシア?アギト?」
自嘲気味に笑うダークネスの言葉を遮ってルーテシアとアギトが叫ぶ其の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「ドクターが言ってた。ダークネスの怪我は家族を守ったときに出来た物だって。それにダークネスが居たからゼストも居るし私のお母さんだって生きてる。だからダークネスは不必要なんかじゃない!!」
「あたしは、兄に助けてもらった!兄が居なかったあたしはネクロに殺されてた、だから不必要なんて言うんじゃねぇ!!」
「ルーテシア・・アギト・・すまんな。少し弱気になってしまったようだ、心配掛けてすまない」
泣き出してしまいそうなルーテシアとアギトの頭を撫でながらダークネスが謝る、
「もう言わない?」
泣きそうな顔で尋ねるルーテシアに
「ああ。もう言わんよ。本当に心配掛けてすまない、お詫びと言っては何だが、何か好きなものでも作ってやろう何がいい?」
頭を撫でながらしゃがみ込み、ルーテシアの目線に会わして尋ねると
「ケーキが食べたい・・」
顔を赤くしながら呟くルーテシアに
「ケーキだな。それじゃあ帰ったら直ぐに作り始めよう」
そう言ってポケットから何かを取り出し投げる、なにもない空間も扉が現れた。これはダークネスが居る空間に直接いく為のゲートである
「すまなかったなゼスト、フォローに来てくれたんだろ?」
「何のことだ?俺には判らんな」
そう言いながら笑っているゼストに内心感謝していると
「早く、早く行こう。ダークネス!!」
「そうだぜ、兄早くケーキ作ってくれよ!!」
私の手を握り早く行こうと催促するルーテシアとその周りを飛ぶアギトに苦笑しながら私達はゲートの中に入っていった。
なのは達が戻ってくるとリィンが待っていた、降りて来た隊員の中にヴィータの姿を見つけると心配そうに駆け寄ってきた
「ヴィータちゃん大丈夫だったですか?モニターは途中で見えなくなるし、すごく心配したですよ」
「ああ、大丈夫だよ。途中で助けが来たから」
心配そうに話すリィンを安心させるために頭を撫でながら話す
「助けですか?なのはちゃんの事ですか?」
「いや、違う奴だ。黒騎士が来たんだ」
驚いた顔をしている、リィンそれはそうだろう今まで何度も黒騎士は出現しているが、六課の中で黒騎士に遭遇した者はいないのだ
「それに。ネクロの親玉の事も判った。それを含めて報告に行こうと思ってたんだ」
「そうですか、フェイトちゃん達も待ってるです、早く行きましょう」
リィンに先導されながら部隊長室に向かって行った
コンコン
「失礼します」
部隊長室に入ると、なのは達の幼馴染のフェイト・T・ハラオウンとヴィータと同じ守護騎士のシグナム。それと彼女達が率いるライトニング分隊のキャロ・ル・ルシエ とエリオ・モンディアル が心配そうな顔をして待っていた
「ヴィータさん、大丈夫ですか?」
一番近くにいたエリオが心配そうに尋ねる
「ああ、大丈夫だぞ。そっちのほうはどうだったんだ?」
ガジェットが出現したエリオ達の尋ねると
「レリックが在ったんですが持ち去られてしまいました」
若干気落ちしながら言うエリオに
「大丈夫だ、この次は渡さない様にすればいい、そうだろエリオ」
「はいっ!!有り難うございます」
エリオが元気を取り戻すと
「そろそろ、そっちのほうも報告も聞きたいやけど。ええか?」
はやてが微笑みながら尋ねてくる
「はい。こちらの方にレリックは在りませんでした。おそらくネクロの陽動だったと思います。私のほうにネクロが20体。ヴィータちゃんの方には30体出現しました」
なのはの報告が終わったところではやてが口を開く
「こっちの方でもモニターしてたから、なのはちゃんの方は判っとるけど、私が聞きたいのはヴィータの方やグラーフアイゼンを落とす所まではモニター出来てたけど途中から酷いノイズが走ってな。何も映らんかったんよ」
新人達が息を呑むヴィータは達隊長陣は百戦錬磨言ってもいい。ヴィータの方がピンチに成っていたとは聞いていたが其処までとは思って無かったのだ。
「あたしがグラーフアイゼンを落とした後、黒騎士が来たんだ。あたしは黒騎士に助けられた」
「黒騎士が出たんか。見た感じどうやった?」
「報告どおりだな。全身真っ黒の騎士甲冑と仮面それと剣型と槍型のデバイスに銃型のデバイスを使ってた」
「ふんふん。他には新しく判ったことは?」
「ネクロの親玉と黒騎士が敵対関係にあることと其の親玉の名前が魔王って事だけど。これは映像見てもらった方が判るな。グラーフアイゼン映せるよな」
『イエス。マイマスター』
そしてグラーフアイゼンから映像が映し出される。それは黒騎士が現れた所からが記録されていた。黒騎士とネクロの会話そして戦いが始まり。黒騎士が使った技と所ではやて達も驚いていた。黒騎士が使った邪龍一閃は兄貴の技の蒼龍一閃にそっくりなのだ。そしてなのはが現れた所が映し出される
『機動六課所属、高町なのはです。黒騎士ですね。話を聞かせてください』
そして映像が流れるそして問題のシーンが映し出される
『なのは・・か大きくなったな』
「「「!!?」」」
はやて達が驚いている。その間にも映像は流れ、黒騎士が黒い渦・・恐らく転移魔法を発動させたところで映像は途切れていた・・、見ていた隊員たちは驚いていたが一番最初に口を開いたのはスバルだった
「あの・・なのはさん、黒騎士が大きくなったって言ってたけど知り合いですか?」
其の言葉に首を横に振る
「ううん。知らないんだ・・でもどこかで会った事があるような気がするんだけど」
黒騎士の口調は親しい者に話すような穏やかな口調だった。だがなのはには心当たりが無い。いや確かにこの条件に当てはまる人物はいるがその人物は現在行方不明だ。
「取りあえず、ネクロの親玉と黒騎士の戦闘力の事が判っただけでええんやん。悪いんやけどちょっと隊長陣だけで話し合いたい事があるんや、だからスバルたちは出てってくれるかな」
「あ、はい判りました」
スバル達が出て行き、部隊長室には隊長陣だけなった所ではやてが切り出す
「・・本当は黒騎士が誰か心辺りがあるんやろ」
その言葉に頷きヴィータが話し始まる
「あの戦闘技能に技、黒騎士は兄貴だと思うんだけど・・・」
確かにその通りだあの戦闘スタイルは龍也の物とまったく同じだ
「でも、仮に龍也だとすると何で私達の前に出てきてくれないの?」
フェイトの言う通りだ、仮に龍也とするとなんで前に出てきてくれないのかという問題が出てくる。
「・・・これは仮説だが、いいか?」
黙っていたシグナナムが口を開く
「兄上が何故我々の前に出てこないかと考えると3つ仮説が出来る。一つは兄上が記憶喪失になっている、次に黒騎士が兄上の人造魔導師である可能性。そして最後に自らの意思で姿を隠しているの3つだ」
シグナムの言う通りだ考えられるのこの3点だけだ。あの襲撃事件のショックで記憶喪失になっている可能性も判る。また人造魔導師の線も判る。だが最後の自ら意志というのが判らない
「自らの意思で姿を隠しているとすれば、何が原因だ?」
仮に自らの意思でと言えば考えられる可能性は一つ
「ネクロと魔王が関係してるとしか考えられねーよな」
ヴィータが自分の考えを言う、その通りだその可能性しか考えられない、龍也は昔から自分の抱えていることは誰にも言わないで一人で解決しようとする癖がある、
「次に会う事が有ったら、尋ねてみようとする方向でいいやろ、皆も疲れるとるから今は休んでえな」
「判った、少し休んでから、報告書を出すから」
そういってなのは達が出て行く、そして部隊長室ははやて一人だけになった
「兄ちゃんやよな、何で出てきてくれへんのやろか。」
部隊長室のデスクの横にある写真立てには8年前のはやて達の写真が収められており、それには龍也の誕生日に贈ったお揃いのペンダントが掛けられていた
「会いたいなぁ、兄ちゃんに・・・」
自分の椅子に座りながらはやては呟いた、そしてその眼からは涙が流れていた。それは八年間一度も泣く事が無かったはやての涙だった
ガチャンっ!!
ダークネスの手からマグカップが滑り落ち割れる
「ダークネス?如何したの?」
笑顔でケーキを食べていたルーテシアが心配そうに顔を覗き込んでくる、アギトも同様に覗き込んでくるが
「大丈夫だ、少し手が滑っただけだ。心配するな」
心配そうなルーテシアの頭を撫で、割れたマグカップを片付けていると
「大丈夫か?何か割れる音がしたか・・・」
隣の部屋に居たゼストが何事かと此方の部屋に来るが
「ああ、大丈夫だ。少し手が滑っただけだ」
「そうか、それなら良いが・・」
再び隣の部屋に戻っていくゼストを見送ると
「ダークネス?大丈夫」
再び心配そうに話しかける、ルーテシアの頭を撫で安心させ。
「大丈夫だ。それよりケーキのお代わりは入るか?」
頷くルーテシアにケーキのお代わりを取りに行く為にダークネスが部屋から出ようとすると、一瞬部屋の片隅にダークネスの目が行き。動きが止まる、そこには黒い布に隠された写真立てと黒い箱が合った、動きが止まったダークネスを心配したアギトが
「兄?如何したのか?」
「んっ、何でもないさ」
そう行って部屋から出て行った。ダークネスの背が見えなくなると。ルーテシアとアギトダークネスの動きが止まった場所に行き、黒い布を外し写真立てを見る、其処には幼い時のダークネスの困ったようだが、それでも幸せそうな笑顔を浮かべたダークネスとそれに寄り添うに笑う幼い3人少女達の姿があった。そして隣の黒い箱には鎖が切れていたと思われる、ペンダントが入っていたがそれの鎖はダークネスの手によって直された後があり、鎖の長さも調整されていた、ダークネスは身に着けていないがどれだけこのペンダントを大切にしているかが判る
「これがダークネスの本当の笑顔・・・何時か見てみたいな」
「そうだな・・・今みたいな作り物の笑顔は見たくねぇな。はやくあたしも兄の本当の笑顔が見てえな」
二人でそう言うと再び写真立てに黒い布を掛け、箱の中にペンダントを戻し、椅子に座りダークネスが来るのを待っていた
第5話に続く