夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第61話

第61話

 

「う~ん、風が気持ち良いなあ・・」

 

ベヒーモスで六課に向かっていると、はやてが楽しそうに言うが

 

「落ちたら、危ないからしっかり捕まっていろ」

 

はーい、と返事をし確り捕まってくるはやてに

 

(はやては平気なんだがなぁ?どうしてスバルとティアナは駄目なんだ?)

 

何故かスバルとティアナには妙な苦手意識があると思いながら、ベヒーモスを加速させた

 

「おおー、風が気持ち良いぜ」

 

サイドカーのヴィータが気持ち良さそうに言うのを見ながら、ミラーでフェイト達の車を見るが

 

「・・・なんだ?目の錯覚か・・?」

 

フェイト達の車は妙に黒く感じた、その頃車の中では・・

 

「はやて(ちゃん)・・・」

 

「豆狸~!」

 

「部隊長・・・・」

 

フェイト、なのは、セッテ、ティアナが嫉妬の炎を燃やしていた

 

「・・・チンクさん。どうして龍也さんはあんなに鈍感なんでしょう?」

 

「知らん。むしろ私が聞きたいくらいだ」

 

スバルとチンクが話す中

 

「私は無理っす・・ガクっ!」

 

「おい、確りしろ、ウェンディ!」

 

その黒い空気に耐え切れず気絶した、ウェンディの頬を叩くノーヴェの姿があった

 

「ふふふ、さてさて誰が八神兄様を落とすんでしょうか?」

 

と楽しげに微笑むクアットロ、車の中は混沌としていた

 

 

 

う~ん、最高やね、バイクの後ろの乗るのってこんなに気持ち良いんやね。

 

「着いたぞ、はやて降りろ」

 

六課に着いたらしく降りろと言うので、正直名残惜しいけど降りる事にした

 

「気持ち良かったな・・これ癖になりそうだ」

 

ヴィータが背伸びしながら言う、でも確かにその通りやな、なんかバイク乗る人の気持ちが判ったわ、そんな事を話してると

フェイトちゃん達が乗った車が来る、一瞬凄まじい殺気を感じたがそのまま車は駐車場に行った

 

「フェイト達も来たか、しかしスバルとティアナは驚いたな」

 

と言い笑いかけて来る兄ちゃんに

 

「そうやね、いきなり3ランクアップは驚いたわ」

 

3ランクアップは正直驚きだ、確かに兄ちゃん特製のリストで魔力も増えて、訓練で能力が上昇したがいきなりAA-は驚いた

 

「まぁ、それだけの才があったという事だな」

 

と笑ってる兄ちゃんの手を握る、良く見るとヴィータを同じように手を握っている

 

「どうした?」

 

急に手を握られ困惑する兄ちゃんに

 

「食堂に来るように言ってあんだ、此処で待ってる必要は無ぇ、だから食堂に行こうぜ」

 

ヴィータがそう言い歩き出すので私もそれに合わせて歩き出す。私とヴィータが兄ちゃんを引っ張る形になっている

 

「ああ、判った、判ったから引っ張るな」

 

と言うがそれを無視して引っ張り、兄ちゃんを食堂に連れて行く間にヴィータと念話で

 

(どうしたんや?急に兄ちゃんの手握って?)

 

(ううー昨日のあれ思い出して、恥かしくなったけど嬉しかった、だから兄貴が他の女を持つのを見たくなかった)

 

思い出したのか顔を背けるヴィータを見ながら

 

(やっぱヴィータも独占良く強いなぁ・・まぁそれは私も同じやけど)

 

そう思い兄ちゃんに見えない角度で笑う、自分でも判ってる独占欲が強いのはでもそれは仕方ないと思う

 

何せ小さい頃から一緒にいてくれて、護ってくれた人を好きにならないのはおかしい。

 

(やっぱ・・私は兄ちゃんが大好きや)

 

私はそう思いながら、ヴィータと一緒に兄ちゃんを食堂まで引っ張って行った。その間背後から殺気を感じたが無視することにした

 

 

 

「あっ、お父さんです」

 

キャロの声で食堂の入り口を見ると、部隊長とヴィータさんに引っ張られながらお父さんが来ました、

 

「お。エリオ達か。試験終ったで、もう直ぐ皆来る筈や」

 

席に着きながら教えてくれますが、聞かなくても判ります、だって黒い気配が徐々に近付いて来てますから

 

「怖いです・・」

 

キャロは怖いと言ってます、僕も怖いですが大分慣れました

 

「何が怖いですか?アギトちゃんは判りますか?」

 

「判んねぇ・・何が怖いんだ?」

 

この気配が判らない、リィンさんとアギトさんは羨ましいです、あっ!でもルーちゃんも平気そうな気がします(ルーテシアもリィン達と同じでこの気配には気付きません)そんな中フェイトさん達が来ます

 

「ひっ・・」

 

思わず悲鳴が出そうになります。黒オーラのフェイトさんを先頭になのはさんとティアナさんとセッテさんが来ます。その後ろからは困惑した顔のスバルさん達と笑ってるクアットロさん・・どうしてこのオーラの中で笑えるのでしょう?今度聞いてみましょう

 

「フェイト達も来たか、座ったらどうだ?」

 

お父さんは凄いですね、何故何事も無い様に微笑む事が出来るんでしょう?

 

「そうですね・・座りますよ」

 

フェイトさん達が座りますが、その視線は部隊長とヴィータさんを捉えています。部隊長は気にした素振りを見せません、凄いです

 

「なぁなぁ、ランクはどうだったんだ?」

 

アギトさんが笑いながらお父さんに尋ねると

 

「チンクとクアットロ、それにスバルとティアナはAA-、ノーヴェとセッテそれにウェンディはA+だ」

 

それは凄いです、一気に3ランク近く上がるなんて、僕もAランクになれるでしょうかと考えてると、

 

ぽふっ

 

お父さんが僕の頭を撫でる。同じようにキャロも頭を撫でられている

 

「エリオもきっとAランクになれる。もちろんキャロもだ。だがまだ早いゆっくり焦らず地力をつけような」

 

と微笑むお父さんに

 

「「はい!」」

 

僕とキャロは元気良く返事を返した

 

「大丈夫だ私が保証する、二人もきっとAランクになれる、でも今は駄目だ二人には早すぎる」

 

多分僕達はもうAランクに合格するくらいの力があるんだろう、だけどまだ早いと判断したから、僕とキャロは本局に連れて行ってもらえなかったと理解した、その頃視界の隅では

 

「豆狸、この場で処刑してやりましょう」

 

「っは!私は仮にもベルカの騎士や、広域殲滅だけが武器と思わんで」

 

ダガーをスタンバイする、部隊長・・広域殲滅に近接も出来るってどんな規格外・・あっ違うもっと規格外な人が居るや

 

「ん?どうした」

 

紅茶を啜るお父さんを見る、多分部隊長が強いのはお父さんの影響だろうなと思ってると

 

ガキン!

 

セッテさんに弾き飛ばされた、ダガーがお父さんに飛んでくる

 

「んっ?パシ・・危ないな」

 

指で挟み何事も無い様にそれをテーブルの上に置く。次々飛んでくるがそれを見ずに掴み置く。凄いな僕も出来る様になるだろうか?

 

「ふむ・・フェイト紅茶のお代わりを頼む」

 

カップをフェイトさんに渡す

 

「うん、判った」

 

直ぐに淹れ手渡し、それを飲み

 

「ダージリン・・良いな私が好きな奴だ」

 

上機嫌にそれを飲みながら何かの書類を見るお父さんに

 

「何を見てるんですか?」

 

気になり尋ねると

 

「秘密だ。だが必要な物に間違いは無い、・・・・はやて達もそろそろ座ったらどうだ?」

 

乱戦中の部隊長に言う、良く見るとウェンディさんが巻き込まれてダウンしてる。それをノーヴェさんとチンクさんが回収。その間も部隊長とセッテさんの乱戦・・いやティアナさんとなのはさんも居る、・・・・どうしてこうなるんでしょう、僕は判りません

 

でもそれより判らないのは

 

「「「「はーい」」」

 

お父さんの一声で争いを止める部隊長達でした。

 

「さてと・・チンク達はこれ纏めて出すように」

 

お父さんはチンクさん達に書類を渡してる

 

「試験での反省点と直すべき所?」

 

多分中身は僕達と同じレポートだろう。今日はお父さんに訓練をして貰ったので、僕も提出しないといけない

 

「そうだ、明日の昼までに提出してくれ、判らない所は聞きに来てくれれば良い。私は自室に居るから」

 

そう言って自室に戻っていくお父さんだが、その背後では

 

「では早速聞きに行きますか・・ビンッ!!・・何をするんです豆狸?」

 

足元に投げられたダガーが突き刺さる

 

「最初から聞きに行かんで、少しは考えるべきやと思うで?兄ちゃんは優しいけど、判るのに判らない振りなんてすれば怒るで?」

 

左手にダガーを持ち笑う部隊長。と少し考える素振りを見せるセッテさん

 

「そうですね・・いきなり聞きに行くのも何ですね。ありがとうございますはやて」

 

初めてセッテせんが部隊長の事を名前で呼びましたね、普段は豆狸か禁止ワードですから

 

「まぁ、どうしても判らんかったら聞きに行けば言いやろ。場所はスバルかエリオに聞いてな」

 

立ち上がりダガーを回収しながら自分の部屋に戻って行く、部隊長・・服の中にダガーを入れるのは危なくないのかな?

 

「すまんがエリオ、私達を仕事をする部屋に案内して貰えないだろうか?私達はまだ此処に詳しくない」

 

チンクさんに言われたので

 

「判りました、こっちです」

 

僕とキャロで仕事部屋まで案内しました、部屋に着くと直ぐに宛がわれた机に座り、作業を始めたチンクさん達を見て

 

「エリオ君、私達もレポートを纏めないと」

 

キャロに言われて、僕も自分の机に座り

 

「そうだね、ちゃんと纏めないとお父さんに怒られちゃうもんね」

 

からかうように笑う、お父さんがそんなことで怒る人ではないのは判ってる。どこまでも優しいお父さんが僕は大好きです

 

互いに笑いながら自分のレポートを纏め始めました。スバルさん達も同様です。さぁ・・張り切っていきましょう!

 

僕はそう思いながら、訓練での反省点と次に置ける目標をレポートに纏め始めた。

 

 

 

「パパ。お帰り~」

 

自室に戻るとヴィヴィオが出迎えてくれた、最近はますます懐かれてこの部屋に居る事が多くなっている、

 

「ただいま、ヴィヴィオ」

 

寄って来るヴィヴィオの頭を撫でると、えへへ~と笑い目を細める姿は昔のはやてを連想させる

 

「ヴィヴィオね、パパにプレゼントがあるの」

 

後ろ手で紙を持ったヴィヴィオが笑う

 

「何かな?」

 

頭を撫でながら尋ねると

 

「えへへ、はい!ヴィヴィオからパパにプレゼント!」

 

差し出されたのは

 

「これは・・私か」

 

クレヨンで書かれた私の絵に、その下にやさしいパパと書かれていた

 

「えへへ~、ヴィヴィオ頑張ったの!」

 

可愛らしく笑うヴィヴィオを抱き上げる

 

「ありがとうヴィヴィオ、大切にするよ」

 

抱き上げてヴィヴィオの目を見て言う

 

「うん!大切にしてね!」

 

元気良く笑うヴィヴィオを降ろしてから、渡された絵を壁に張る。とても嬉しいと思い。戸棚からクッキーを取り出す(自家製)

 

「ヴィヴィオ、クッキー食べるか?」

 

と尋ねると飛び跳ねながら

 

「食べる!食べる!ヴィヴィオパパのクッキー大好き!!」

 

飛び跳ねるヴィヴィオを椅子に座らせて、牛乳と一緒にクッキーの入った皿を机に置く

 

「いただきまーす!」

 

笑顔でクッキーを食べ始めたヴィヴィオを見ていると

 

コンコン

 

ノックと共に

 

「すいません、お父さん今良いですか?」

 

キャロとフリードが部屋の中に入ってきた、その手にはレポートがある

 

「キャロか・・判らない所でもあったか?」

 

「いえ・・終ったので持って来たんです」

 

「きゅく」

 

キャロがレポートを渡すと同時にフリードが前足を上げる。それを受け取りながら

 

「良し良し、頑張ったな。クッキーがあるからキャロも食べると良い」

 

頭を撫でながらクッキーを食べるように言うと

 

「ありがとうございます」

 

椅子に座り、ヴィヴィオと共にクッキーを食べるキャロを見てると

 

「きゅう」

 

私のズボンの裾を加えて何を言いたそうにするフリードに

 

「判ってるよフリード、牛乳で良いか?」

 

立ち上がろ冷蔵庫の前でフリードに言うと

 

「きゅくっ!」

 

前足を上げるフリードを見て、牛乳で良いと判断しフリード用の皿に牛乳を入れ、それをフリードの前に置く

 

「きゅう~」

 

頭を下げるフリードの頭を撫でてから、キャロのレポートを見る、色々書いてあるが要約すると

 

反省点は・・スフィアに怯えてしまった事・・これは慣れるしかないな

 

目標は時間ギリギリではなく、もう少し余裕を持ってタッチできるようになるだ。うん良い目標だ、キャロなら出来る様になる

と思いレポートを閉じる

 

「どうですか?」

 

不安げなキャロの頭を撫でながら

 

「完璧だ、流石だな」

 

褒めると嬉しそうに笑いながら

 

「ありがとうございます」

 

と笑うキャロと暫く話をしてると

 

「あの・・お父さん覚えてますか?その・・服を作ってくれますか?って言ったのを」

 

おずおずと尋ねて来る、キャロの頭を撫でながら

 

「ちゃんと覚えてるよ。はやての許可は貰ったのか?」

 

はやての許可を貰ったら作ると約束したが、どうなったんだろうかと思い尋ねると

 

「はい!部隊長から許可を貰えました!!」

 

嬉しそうに笑いながらキャロが言うと

 

「パパは服も作れるの?」

 

目が輝くヴィヴィオに

 

「作れるよ、ヴィヴィオにも作って上げようか?」

 

頭を撫でながら笑うと

 

「うん!ヴィヴィオもパパの服欲しい!!」

 

笑うヴィヴィオを見て笑ってると

 

「それで、デザインを書いてみたんです」

 

差し出された紙を見る

 

「キャロはこういうのが好きなのか」

 

バリアジャケットの様な民族衣装の流れを汲んだ、フリル付きの服のデザインが書かれていた

 

「はい!それでこういうのは作れますか?」

 

そう尋ねて来るキャロを見ながら、立ち上がり棚の中身を確認する

 

「えーと。生地もあるし・・うん・・大丈夫だ。今からでも作れるがどうする?今から作るか?」

 

生地を取り出しながら尋ねると

 

「はっ、はいお願いします」

 

早速服を作る作業に取り掛かった

 

「キャロすまないが、こっちに来てくれ」

 

キャロを呼び、メジャーでサイズを図るが・・

 

「少し恥かしいです・・」

 

恥かしいと言うので素早くサイズを測り終え、紙に書き起こしていく

 

「良し・・サイズは全部判ったぞ。後はクッキーでも食べてると良い」

 

「判りました。凄い楽しみです」

 

ヴィヴィオと共にクッキーを食べ始めた、キャロ達を見ながら作業に取り掛かった

 

型紙にデザインを書き、布に書き写していく、白の布でベースの型を取り、次にピンクと青の生地でアクセントになる部分の形のデザインを書いていく・・

 

「わぁ・・凄い」

 

キャロの驚きの声を聞きながら、次に布をサイズ通りに切って行く

 

「ふむ・・次は針と糸か・・」

 

裁縫箱を取り出し縫う準備をし、仮縫いを始める

 

布を縫い上げていく、布は徐々に服の形を形作っていく

 

「凄い・・パパはやっぱり凄いんだ」

 

ある程度仮縫いが終った所で

 

コンコン

 

ノック音がしてから

 

「八神少し良いか?・・何してるんだ?」

 

チンクが入って来て困惑する

 

「何って・・服作ってるんだが?どうした?」

 

スタンドにキャロのデザインした服を作りながら、チンクに尋ねると

 

「いや・・レポートが終ったから来たんだが・・あれからずっと作っていたのか?もう夜だぞ」

 

そう言われ、窓の外を見ると既に日が暮れていた

 

「もう夜か・・全然気付かなかった・・そう言えば腹が空いてるな」

 

どうやら服を作るのに集中しすぎた様だ

 

「そういえばそうですね。お父さん食堂に行きましょうよ」

 

キャロも見てるのが楽しかったようで、時間を気にしてなかったようだ

 

「そうだな・・食堂に行くか・・チンクも来るか?」

 

ヴィヴィオを抱き上げ。肩の上に乗せながら尋ねると

 

「そうだな。私も一緒に行こうか」

 

チンクとキャロと共に食堂に向かって行った

 

 

 

八神は一つの事に集中すると周りが見えなくなるからいかんな、私が行かなかったら多分完成するまで作業していただろう

 

「後どれくらいで出来ますか?」

 

食堂を目指しているとキャロが八神に問いかける

 

「そうだな・・2~3日っといった所だな」

 

そう言い微笑む、八神の顔はとても穏やかな物で私が余り見た事のない表情だった

 

(私はやはり八神の事を何も知らんな・・こんどはやてにでも聞いてみるか)

 

そんな事を思いながら、食堂に行くと

 

「ううー頭痛いっす・・」

 

机に伏せ呟くウェンディと

 

「おいおい、確りしろよ。まだ半分も出来てないぞ」

 

机の上でウェンディのレポートを確認する、ノーヴェに

 

「えっと・・これで良いですか?」

 

クアットロにレポートを見せながら、尋ねるセッテ。

 

「えーとですね・・ふんふん・・これで良いと思いますわ」

 

クアットロは指揮を学んでいる為、こういう時の書類の整理は早い

 

「皆頑張ってるようだな・・うん良いことだ」

 

そう笑いノーヴェの隣に腰掛ける、当然ヴィヴィオとキャロは八神の膝の上だ。八神は子供好きだからなと思い、私も椅子に腰掛ける

 

「うん?何だ龍也じゃねぇか。如何したんだ?」

 

気付いたノーヴェが笑いながら尋ねると

 

「夕食を食べるのを忘れていた・・だから今から3人で食べようかと思って。ヴィヴィオとキャロは何にする?」

 

「うーんとね・・ヴィヴィオ。パパと同じの食べる!」

 

膝の上で楽しげに笑う、ヴィヴィオと

 

「私も・・お父さんのと同じので良いです・・」

 

真っ赤ながらそう言うキャロ。八神は本当に子供に好かれるようだ

 

「私と同じで良いのか?」

 

八神は二人に確認を取る

 

「はい、(うん)!」

 

笑顔で頷く二人を見て、苦笑しながら

 

「それじゃあ、貰ってくるから降りてくれるか?」

 

膝の上に居る二人に降りるように言うと

 

「いや(です)」

 

首を振る二人に

 

「退いてくれないと取りに行けないのだが?」

 

「いや(です)」

 

降りる気ゼロの二人を見て苦笑しながら

 

「クアットロすまないが、とって来て貰っても良いか?」

 

メニューを指差しながら言うと

 

「良いですよ~」

 

ニコニコ笑いながら、料理を取りに行ったクアットロを見ながら

 

「ヴィヴィオは八神が好きか?」

 

気になったので尋ねてみると

 

「うん!ヴィヴィオパパ大好き!暖かくてぽかぽかするの!」

 

と笑うヴィヴィオはとても可愛らしい

 

「それでは私は好きですか?」

 

セッテが尋ねると

 

「ヴィヴィオね!皆大好き!でもパパが一番なんだよ!」

 

笑うヴィヴィオと

 

「私も・・その・・お父さんが大好きです・・本当のお父さんだったら良いです」

 

指をチョンチョンとしながら言うキャロの頭を八神が撫でながら

 

「うんうん、二人に好かれて私はとても嬉しいよ」

 

微笑み笑うその姿は、何処までも優しく包み込む暖かさがある・・私・・いや姉妹は皆これに心を奪われたのだ。

 

クアットロが3人分のトレーを持って来て、食事をしている間も、その穏やかな空気は消して消える事無かった

 

「さてと・・食事も終わった事だし、私はもう寝るとするよ」

 

ヴィヴィオとキャロを一度降ろし立ち上がってから、ヴィヴィオを肩の上に座らせる

 

「書類は明日で良いからな?チンク達も休めよ?無茶は体に良くないからな」

 

と笑いキャロの頭を撫でながら

 

「又明日なキャロ、そうだ。部屋の前まで送ろう」

 

「あっ・・ありがとうございます!」

 

頭を下げるキャロを肩に担ぎ軽き出した八神を見ながら

 

「龍也兄って、子供好かれるっすね」

 

しみじみ呟くウェンディと

 

「龍也なら保父に成れるな、むしろそれが天職の様な気がするぜ」

 

ノーヴェがレポートを片付けながら言うと

 

「そうですね~八神兄様なら。良い保父さんになれそうですわ~」

 

と笑うクアットロ達と共に自分達の部屋に戻って行った。

 

こうしてチンク達の六課での初日は終わりを告げた

 

第62話に続く

 


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