第62話
朝の演習場で戦う、シグナムと龍也の姿があった、今日は隊長陣の訓練の日だ。なのは、フェイト、はやてが終了し残るはシグナムとヴィータだ。はやて達はへたり込んで息を整えている。その様子を横目で見ながらシグナムを挑発する
「どうした?その程度では私には届かんぞ?」
からかうように笑う私に
「笑っていて、良いのですか!」
横薙ぎにレヴァンティンを振るうが
ガキーン!
足で受け止めそれを軸に後方に飛ぶ
「戦いは常に冷静に、心は熱く頭は冷たくだ」
とんとんと頭を叩きながら笑う。今の私はデバイスを使わず魔力で自身の体を強化してるだけだ
「ふっ!言ってくれますね兄上・・私だって強くなってるんですよ!」
「!?!?」
空間が爆発し凄まじい勢いで肉薄してくるシグナムに、直感で後ろに飛ぶ
「むぅ・・服が・・」
シグナムの一撃は私の服を切り裂いていた、当たってはいない・・これは純粋な抜刀により起きたカマイタチか・・
「兄上・・いい加減。真面目にやってくださると嬉しいのですが?」
どうやらシグナムを甘く見ていたようだ
「いや・・全くその通りだ・・此処からは真剣にやるとしよう」
天雷の書をブレイクで起動し、右足でリズムを取りながら
「行くぞ?一瞬たりとも気を抜くな」
「望むところです」
その瞬間私とシグナムの姿がぶれ、レヴァンティンと私の拳がぶつかった
「ふっ!」
短い呼吸と共に上段から振り下ろされる一撃を
「はあっ!」
篭手から発生させた魔力の爪で受け止め
「喰らえっ!」
シグナム目掛け爪を振るうが
「そう簡単には!」
即座に切り返し、私の爪を受け止め、
「せいっ!」
蹴りを繰り出してくるが
「甘いぞ!シグナム!」
左の爪で蹴りを受け止め、反撃で踏み込むと同時にシグナムの鳩尾を蹴り吹っ飛ばす
「ぐうっ・・」
苦しげな呻き声を上げ、蹲るシグナムに
「はあっ!」
追撃に大きく踏む込み爪を振るうが
「・・掛かりましたね」
にやりと笑うシグナムが見える、しまった罠か!
「カートリッジロード!」
レヴァンティンから薬莢が飛び出し
「スパイラルマスカレードッ!!」
高速での斬撃が迫る、それは螺旋上の斬撃だった。反射的に爪を動かす
ガキン!ガキン!
二発受け止めたが・・其処までだったシグナムの全力は的確に私を捉える
「ぐぅッ・・・」
螺旋状の斬撃は的確に私にダメージを与えて行き
「これで決まりだ!」
全力の横薙ぎの一撃を喰らい、吹っ飛ばされる
「ぐふっ・・」
吹っ飛ばされるが途中で強引に体勢を立て直し、ビルを蹴りそのまま
「ブレイブトルネード!!」
高速で回転し発生させた竜巻と共にシグナムに体当たりを仕掛ける
「!?・・当たりません!」
一瞬驚愕の表情を浮かべるが、冷静にサイドステップで回避する、だがそれが狙いだ
「甘い!はああああっ!」
ブレイブトルネードはブラフ・・本命はこの大出力殲滅魔法だ!両手から魔力と共に炎を発生させそれを一つに纏め上げる
「不味い!レヴァンティン!」
『パンツァーガイスト』
シグナムを魔力光が包むが
「喰らえっ!!ガイア・・・フォースッ!!!!!」
放たれると同時に強大化する、巨大な火の玉
「くっ・・・・」
シグナムが苦しげに呻き、ガイアフォースを受け止めるが、徐々にパンツァーガイストがその効力を失い
「っ・・ぐああああっ!!」
ガイアフォースに吹っ飛ばされ、ビルに突っ込みかけるシグナムを
「っと・・」
回り込み受け止める・・・お姫様抱っこで
「負けましたか・・」
腕の中で寂しげに呟く、シグナムを降ろすと
「兄上、次は必ず勝って見せますからねっ!」
そう気合の入った声で言うと、はやて達がいる方へ歩いて行く。それと入れ違いで
「うっしゃああっ!次は私だ!」
アイゼンを振りながらヴィータが姿を見せる
「さてと・・次はヴィータか。ならこれだな」
騎士甲冑を一度解き、天雷の書からデバイスを呼び出す・・呼び出すのは
「アイゼン!セットアップ!」
ヴィータの物と瓜二つな大型槌を肩に担ぐ、騎士甲冑は赤塗りの重厚な物だが
「!・・そんな事も出来んのか・・凄いな」
驚くヴィータに
「ふふ、これならヴィータにも意味があるだろう?」
アイゼンを担ぎ笑う。槌という武器は強力だが使い手を選ぶ。スバルやシグナム達と違い独学で強くなるしかない。なら私も同じ槌を使えばヴィータにも良い経験になると考えたのだ
「成る程・・私に為ってか・・へへ・・兄貴ありがとうよ」
同じようにアイゼン担いでいたがそれを構え直し
「でもよ・・槌なら私の方が分が在るぜ?」
「それは判らんぞ?いつも近くでヴィータの戦い方は見てたんだぞ?」
と笑うと真っ赤に成るヴィータ、?何か変な事を言ったか?
「ええい。兄貴行くぞ!」
アイゼンを構え突撃してくるヴィータに合わせ、私も大きく踏み込みアイゼンを振るった
ええい!顔が赤くなるのが判るぜ!なんで兄貴はああ鈍感なんだ!
「おりゃあっ!」
それを誤魔化す為にアイゼンを振るうが
「はッ!」
短い気合と共に兄貴のアイゼンと私のアイゼンがぶつかり、火花を散らす
「ふむ・・やはり槌ではまだヴィータに分があるか・・」
と楽しげに笑い、バックステップで距離を取る、追撃に踏み込みアイゼンを振るう
「おっと・・危ない危ない」
跳躍し軽々回避し微笑む兄貴だが、その目は真剣だ
「さてと次は此方から行くぞ」
上段からアイゼンを振り下ろして来るのを回避するが
「せいっ!」
振り下ろしたアイゼンを軸に体を反転させて蹴りが向かってくる
「うおっ!」
反射的に受け止める。流石兄貴だな・・こんな連携今まで考えなかったぜ・・
「ふむ・・今ので一撃入れるつもりだったのだが・・流石だなヴィータ」
パチパチと手を叩く兄貴に
「その余裕も長くは無いぜ。一撃入れて言うこと聞いて貰うんだからな!」
はやて達も一撃入れる事は出来なかった、シグナムは一撃入れたがあいつは兄貴に頼む事は無いだろう。なら私が一撃入れてやる
「行くぜっ!カートリッジロード!」
ハンマーヘッドの片方が推進剤噴射口に、その反対側がスパイクに変形する
「行くぜ!ラケーテンハンマーッ!!!」
高速回転しながら兄貴に迫るが
「喰らう訳にはいかんな・・ならば・・カートリッジロード!」
同じように兄貴もアイゼンを変形させ
「ラケーテンハンマーッ!!!」
同じように高速回転し技を放つ
ガキーンッ!!!!
「ぬうっ!」
兄貴が苦しげな声を出す、同じ技でも使った回数が違う!兄貴のは威力が低い!同じ技を使う私にははっきり判る
「行っけぇぇッ!!!」
全力でアイゼンを振るう
「くっ・・」
力負けして吹っ飛ぶ兄貴に
「続けて行くぜッ!!」
まだ兄貴にもはやてにも教えてない、私の新必殺技
「雷帝降臨!!」
アイゼンを覆うように電撃が発生する、最近私にも魔力変換が出来るようになった。
「トールハンマーッ!!!!」
電撃を纏ったままアイゼンを振り下ろす
「なっ!プロテクション!!!」
兄貴がプロテクションを使うが
「無駄だぁぁッ!!!」
この電撃にはバリアブレイクの術式が組まれてる、幾ら兄貴のプロテクションも意味が無い。アイゼンは簡単にプロテクションを砕き
ズドーンッ!!!
稲妻と共にアイゼンが兄貴に命中した
「おっしゃあッ!」
文句なしで一撃入れた事で歓喜の声を上げると
「痛たた、くぅ・・何時の間にあんな技を覚えたんだ?」
兄貴が起き上がりながら尋ねて来る、ちょっとやりすぎたかな?兄貴凄い痛そうだ
「へへ・・最近な・・電撃の魔力変換が出来るようになったんだぜ」
手を上げるとパチパチと帯電音がする
「凄いな・・所ですまないが肩を貸してくれ」
申し訳無さそうに言う兄貴に
「どうしたんだ?兄貴。立てないほどダメージがあったのか?」
不安になり尋ねると
「いや・・感電して動けないんだな。これが」
頭を掻きながら笑う兄貴は子供見たいで、可愛いと思ったのは私だけの秘密だ
「おお~ヴィータ何時の間にあんな技を」
モニターで見ていたがさっきの技は凄かった、電撃付きのハンマーかぁ~兄ちゃんのプロテクションを簡単に砕いた事に驚いた
なにせラグナロクブレイカーも耐えたプロテクションだ。その硬さは折り紙つきだ
「ああ~ヴィータちゃん!!なんて羨ましい事を!!」
なのはちゃんが突然そんな事を言ったのでモニターを見ると、ヴィータが兄ちゃんに肩を貸して歩いて来ていた。多分感電して動けないのだろうと私は推測した、
「龍也。どうしたの?」
フェイトちゃんが兄ちゃんに近寄りながら尋ねると
「ああ、感電してて、足にも腕にも力が入らないんだ」
からからと笑う兄ちゃんだが、そこまでのダメージがあったんかと驚いた
「はやて。ちょっと手伝ってくれ。私一人じゃ、兄貴支えられないんだ」
苦しそうに言うヴィータに頷き、二人で兄ちゃんを支える
「すまんな、暫くすれば歩ける様になると思うんだが」
と笑う兄ちゃんとなのはちゃん達と一緒に食堂に向かった
「お父さん、如何したんですか?」
食堂に入るなり、エリオが驚きながら尋ねて来る
「ヴィータの新しい技を喰らってな、体が動かないんだ。ああヴィータ此処で良い」
空いてる席にヴィータと共に兄ちゃんを座らせる
「ふう~。凄い威力だったな。此処までダメージがあるとは思わなかった」
苦笑する兄ちゃんに
「どんな技だったんですか?龍也さんが此処まで動けなくなるなんて」
スバルが笑いながら兄ちゃんに尋ねる
「稲妻と共にアイゼンでの一撃だな。凄い一撃だったよ」
兄ちゃんの説明に頷いてるスバルを見てると
「兄貴、持って来たぞ」
ヴィータが兄ちゃんのトレーを持って来て、兄ちゃんの前に置くが
「ありがとう、ヴィータ」
笑いながら箸を持つが。ぽろ・・兄ちゃんの手から箸が零れ落ちる
「む・・まだ指に力が入らんか」
困ったように笑う兄ちゃんに
「しょうがないな。私が食べさせてやんよ」
ヴィータが箸を掴みながら言うが
「「「異議あり!!!」」」
なのはちゃん達が待ったをかける
「私がやるよ」
「いえいえ。隊長達も疲れてるでしょう。此処は私がやりますよ」
「龍也、ほら早く食べないと落ちるよ?」
フェイトちゃんが抜け駆けするが
「ていっ!」
バシッ!
私がその手を叩いて妨害する
「はやて・・何するの?」
「兄ちゃんには私とヴィータが食べさせるで、邪魔しんでくれる?」
私達が睨み合ってると
「パパ、ヴィヴィオが食べさして上げるよ!」
ヴィヴィオがフォークにおかずをさして笑うが
「ありがとう、だけど」
笑うとヴィヴィオを抱え上げて
「もう痺れは取れたよ。だから大丈夫だよ」
ヴィヴィオを膝に座らせて、自分で食べ始めた兄ちゃんを見て
「「「惜しい事をしたよ」」」
がっくりと項垂れる、なのはちゃん達を見ながら私も食事を再開したが
(惜しかったなぁ・・堂々と間接キスするチャンスやったのに)
惜しい事をしたと後悔しながら食べた食事は少し味気なかった
「ヴィヴィオ、あ~ん」
膝の上のヴィヴィオの口に箸を持って行く
「あーん」
笑顔でもぐもぐと口を動かすヴィヴィオはとても可愛らしかった事を追記しておく
「ヴィータとシグナムに一撃貰ったから、私は何をすれば良い?」
食事を終えた所で二人に尋ねると
「私はそうだな・・兄貴又膝枕してくれ」
膝枕か・・ヴィータは随分気に入ったみたいだ
「私はそうですね、少し考える時間を下さい」
考える時間を下さいというシグナムに頷き
「ヴィータは本当に膝枕で良いのか?」
確認を取るとそれで良いと頷くので
「判ったよ。では今度な」
そう言いヴィヴィオと共に自室に戻った
「むにゃむにゃ・・・パパ大好き~」
自室に戻るとお腹が一杯になった所為か眠ってしまった、ヴィヴィオの頭を撫でてから、キャロの服を作り始める
「しかし・・少しは心を開いてくれたという事かな?」
大分完成したので作業を止めて、私はそんな事を感じていた。キャロは少し皆と一線引いてる気がする・・理由は判ってる
「ヴォルテール・・アルザスに棲む守護竜と呼ばれる竜か・・恐れてるんだろうな・・自分が皆を傷つけるんじゃないかと・・」
フェイトから話しは聞いていた、制御出来ず暴走させてしまい、そして村を追放された・・私はその話を聞いた時怒りを覚えた・・
大人が子供に全ての責任を負わせ、村から追い出す・・まだ小さな女の子に何故そんな事が出来るんだ!子供は大人が護る物なんだぞ
「何とかしてやりたいな・・・」
子供は甘える物だ、例え魔導師として活躍していてもそれは変わらない・・なんとかしてやりたいと思ってると
「龍也今良いか?・・そんなに考え込んでどうしたんだ?」
入ってきたノーヴェが心配そうに尋ねて来る・・いかんなそんなに考えてるように見えたのか
「いやな・・キャロとエリオの事なんだがな・・どうすればもう少し子供の様に甘えてくれるか考えてる」
そう言うとノーヴェも
「成る程ね・・ヴィヴィオ見たいに甘えて貰うにはどうすれば良いのかって事か」
理解したのか椅子に座り考え始める
「そうだな・・ケーキとか作ってやるのはどうだ?」
「いや・・それは前やった」
二人でああでもない、こうでもないと話してると
「ん?おい。龍也これ見ろよ」
二人のプロフィールの一文を指差す
「んっ・・これは」
其処に書かれていたのは、キャロとエリオの誕生日の事だった。エリオの誕生日まで後二日・・キャロは更にそれの二ヶ月後だ
「誕生日・・そうだ!これだ!!」
誕生日という事で二人を連れて遊びに行こう・・仕事?関係無いな。二人の方が今は重要だ
「おい。龍也どうしたよ・・きゃっ・・」
此方を覗き込んできたノーヴェを抱き抱える
「ノーヴェ、お前は天才だ。そうだ・・これだ!」
抱き抱えたノーヴェの頭を撫でながら、絶賛する。どうして気付かなかったんだ。誕生日を祝って貰って喜ばない子供は居ない
「放してくれ~」
「おっとすまん」
真っ赤に成って呟くノーヴェを降ろし
「これで行くぞ!早速はやてに許可を貰いに行って来る!」
真っ赤に成ったノーヴェをそのままにはやての部屋に駆け出した
「あう・・あう・・龍也に抱きしめられたなんて・・きゅう・・」
残されたノーヴェが目を回して倒れた事を私は知らなかった・・
「チンクさん達は優秀やね・・なのはちゃん達にも負けず劣らずって所かな~」
と笑いながら書類を纏めてると
「はやて!いるかっ!」
突然兄ちゃんが凄い勢いで扉を開き、姿を見せた
「なんや?兄ちゃん流石の私でも驚くで?」
その余りの勢いに流石に驚いたのでそう言うと
「むっ・・すまん・・しかし大事な話がある「なんや?プロポーズなら私はオッケーやで?」・・違う・・」
大事な話言うから、何時もの感じでからかうように・・いや・・結構本気で良いと言うと。兄ちゃんは酷く消耗した顔になりながら
違うと言う・・むぅ・・何時になったら兄ちゃんは私にプロポーズしてくれるやろか?
「そうそう大切な話がある、エリオとキャロの事だ」
?なんやろかと思い首を傾げると
「エリオの誕生日が近付いてる、だから私達で誕生日パーティーをしようと思う」
兄ちゃんは真剣な顔で語る
「私はそれで良いと思うけど・・何で?急に誕生日パーティーをやるつもりになったんや?」
其処が気になり尋ねると
「二人にもう少し子供らしく振舞って欲しい、子供らしく笑いながら過ごせる時間を過ごして欲しいんだ」
成る程ね・・兄ちゃんは二人の事を凄く心配してるから・・私は理解した。兄ちゃんはまだまだ甘えたい盛りの二人が、無理をしてないかと心配になったんだ
「了解。二人に内緒でパーティの準備しよか?それで誕生日まで何日や?」
やっぱそれを聞かないといけないと思い尋ねると
「あと2日だ。当日は私が二人を連れて遊園地に行こうと思っている。その間にパーティーの準備を終らせて欲しい」
計画を聞きつつ、エリオとキャロ以外に、この誕生日パーティーの事を伝える為にメールを作成する
「よっしゃ!みんなにメールで送ったで・・所で何処の遊園地に行くか決めたんか?」
そうなると行く場所も非常に重要に成って来るの尋ねると
「前に雑誌で見た、遊園地に連れて行こうと思う。大人気の場所らしいな」
うんうん、それは私も知ってる場所や、あそこなら二人も満足する筈だ
「すまないな・・私の我侭ではやてに負担を掛けてしまうな」
そう笑うとゆっくりと頭が撫でられる、確かに仕事をしながら内緒でパーティーの準備をするのは大変だ。だが兄ちゃんに頭を撫でて貰えるなら、それくらいの苦労は喜んで引き受ける
「嫌やな~そんなん気にしんでええよ?」
頭を撫でて貰いながら笑うと兄ちゃんは笑いながら
「そうか・・では今度二人で遊びに行くか?」
最高や・・兄ちゃんと二人だけで遊びに行く・・しかも兄ちゃんからのお誘いだ
「行く!絶対行く!」
思わず大きな声で言ってしまったが、兄ちゃんは笑いながら
「良し、それじゃあエリオとキャロのパーティーが終ったら、二人で遊びに行こうな」
と穏やかに笑うと
「私もプレゼントを用意するから、部屋に戻るからな」
と言い部屋から兄ちゃんは出て行き、一人になった部屋で
「おっしゃあああっ!やる気が出てきたでっ!!」
二日分の仕事の資料を取り寄せ、やり始めた・・流石に量が多くて大変だが・・
「兄ちゃんと遊びに行けるならこれ位なんとも無いわ」
私は凄まじい勢いで書類を処理し始めた・・・
何処か判らない深い森の中で
「ねぇねぇ・・ヘルズ・・どうして戦いに出て行っちゃいけないの?守護者を倒せば王様も喜ぶよ?」
無邪気な声とは対照的に、不気味な赤黒い鎧を身に纏ったネクロが部屋の中奥にいる、青い鎧のヘルズと呼ばれたネクロに話しかける
「・・確かに・・王様が喜ぶでしょう・・ですが勝手に出撃するのも如何なものかと思いますよ?ブリッズ」
ヘルズは丁寧な口調でブリッズと話してると
「そんなことは関係ない!守護者とあの魔導師達を倒せば敵は居ないのだぞ!」
龍を思わす黒い鎧のネクロがそれに反論するが
「うるさいですよ、カーズ・・・・折角良い気分で眠っていたのに・・」
赤のマントを羽織ったネクロは文句を言うと
「黙ってろ!ヴェノム!俺はヘルズと話してるんだ!」
いらいらとした声でカーズがヴェノムに黙れと言う
「やれやれ・・もう少し紳士的に話せないのですか?我ら選ばれしLV4のネクロですよ?品が無いのはどうにも納得できませんね?」
大袈裟な素振りで落胆したと言いたげなヴェノムに
「ヴェノムの言うと通りだ・・カーズ少し黙って居なさい」
ヘルズがカーズを睨みつけると
「うっ・・判った!黙れば良いのだろう!!」
不機嫌に椅子に座り込んだカーズ
「ヴェノム・・所でヨルムンガンドの完成は近いですか?」
ヘルズが尋ねると
「そうですね・・後一ヶ月と言う所でしょうか?体は完成が近いですが・・如何せん知能が低いんですよ・・「があああああっ!!」ほらね?これでは我らに牙を剥くかもしれないでしょう?」
呆れた様に言うヴェノムが指差した方には、鎖に繋がれた巨大な龍のネクロの姿があった
「でもさ~なんであんな欠陥品作ったの?・・確かに強そうだけどさ・・僕はデクスの方が好きだよ、強いし死なないし」
ヨルムンガンドと呼ばれたネクロは雄たけびを上げながら鎖を破壊しようとしている
「ふふふ・・あれで良いのですよ・・あれに知能が付けば守護者とて苦戦するでしょう・・あれは無差別破壊のネクロですから・・それにデクスにも欠点はありますよ?無限再生の代わりに知能が低くて命令どおりの動きしか出来ない・・はぁ・・完成形のデクスウルゴレラは一体のみ・・あとは劣化コピーばかり・・私としてはゴレラを量産したかったですよ」
頭を抱えるヴェノムを見て、ブリッズは
「ゴレラね~アイツは訳判んないよ・・子供助けたり・・殺しをしなかったり・・アイツも欠陥品でしょ?まぁ・・守護者を倒すって言ってるから僕はどうでも良いけど」
と笑うブリッズの元に
「ブリッズ様、貴方様の出撃許可が出ました」
LV3のネクロが現れ頭を下げる
「本当?」
ブリッズが楽しげに笑いながら尋ねる
「はっ!本当にございます」
ブリッズは笑いながら跳ね起き
「良いねぇ・・くく・・最高の気分だから・・お前死ねよ・・ブリッズハンマーッ!!!!」
「はっ?ブリッズさ・・ぎゃああああっ!!!!」
爆発音と共にLV3は跡形も無く消し炭になった・・
「ブリッズ・・アイツはお前の部下だろう何故殺した?」
カーズが非難の眼を向けると
「だってさぁ~LV3だよ~代わりなんて掃いて棄てるほど居るんだから別に良いじゃん」
ハンマー担ぎ笑うブリッズに
「それで直ぐに出撃するおつもりですか?」
ヘルズが尋ねると
「うんや・・何して遊ぶか決めてから行くよ・・折角外に出れるんだから楽しまないと」
と笑い出て行ったブリッズを見て
「一番恐ろしいのは無邪気な子供ですか・・ブリッズには期待しましょう。我らダークマスターズの一員として」
と笑うヘルズ達・・龍也達が知らない所でネクロの陰謀が動き始めていた
第63話に続く
ネクロ
ネクロマンシーによって再生された、死んだ魔導師のなれのはて。
魔力を喰らう事により成長し4段階の進化がある、また亜種としてデクスと言う種類が居る
LV1
影の様な姿をしており、片言でしゃべり知能も低い・・団体で行動する
LV2
進化し知能が少し向上した、姿はボロボロの鎧を身に纏う亡霊騎士、特殊な力を持つ
LV3
更に進化し高い知性と戦闘技能を持ち、更に特殊な力を持つ
今まで登場ではレイジングハートに寄生した者、姿を隠し砲撃した者、等様々なタイプが居る
LV4
進化を繰り返し凄まじい力を取得したネクロ、言葉は片言では無くスムーズに喋る。性格は残虐性が表に出る者、冷静な者様々なタイプが居る
ダークマスターズ
ネクロの中でも希少で貴重なLV4のネクロに与えられる称号。各々が高い戦闘技能と特殊な力を持つリーダーはヘルズで、彼に逆らえるネクロは居ない・・
デクス
ヴェノムが作成したネクロ・・高い再生能力と魔力を喰らう特性を持つが知能は低い・・姿はLV1とLV2の中間で獣の様な姿に鎧を身に纏っており。戦い方は獣そのものである
デクスウルゴレラ
デクスシリーズの唯一の完全体LV3とLV4の中間で。限りなく人型に近い・・また他のネクロと違い子供助けたり・・殺しをしなかったり・・と慈悲を持つらしい・・目的は守護者(龍也)に勝つ事で、その所為か剣の扱いに長ける・・また他のネクロと違い魔力を自分で生成出来る為、人を襲う事は無くまたジオガディスに忠誠を誓っている訳でもない・・異端の存在で自身の事をハーティーンと名乗る
ブリッズ
ダークマスターズの一人、不気味な赤黒い鎧を身に纏いその手に持ったハンマーで戦う
性格は無邪気で邪悪。殺す事にためらいが無く、同じネクロでも邪魔するなら簡単に殺すが、自分が死ぬ事は極端に恐れる魔導師ランクで換算するとAA+に匹敵する魔力を保持している