夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第66話

第66話

 

「闇を晴らす黄金の輝き・・エクストリームジハード・・うう・・何が足りないんだろう?」

 

自室で私は頭を抱えていた。・・今のままでも威力はあるが、スターライトと同クラス・・スターライトを超える力は無い。それに

 

「スバルもティアナもヴィータちゃんも凄いパワーアップしてるから。私も頑張らないと・・」

 

部下の大幅のパワーアップに私は少し焦っていた。龍也さんを撃墜することに成功したのはスバルとティアナのみ・・私はダメージは与えれるが・・倒すまでは行かない。・・

 

「違う!違う!何で私は龍也さんを倒す事考えてるの!!」

 

何故か、龍也さんを倒す方法にシフトして行った思考を、頭を振る事で正常に戻すが・・それと同時に

 

「・・はぁ~最近ライバル多いよね・・」

 

私は溜め息を吐いた・・昔は、はやてちゃんとフェイトちゃんにヴィータちゃんがライバルだったが。今はかなり増え11人・・どうしてこうなったのだろう

 

「うう・・龍也さんモテすぎだよ・・」

 

昔から龍也さんはモテた。理由は簡単スポーツは水泳以外万能、頭も良い。料理等も完璧で顔も良い・・それに何より優しい・・これでモテ無い方がおかしいと私は思う・・

 

「ああ・・もう止めっ!寝る!」

 

段々イライラしてきたので、寝る事にした・・

 

次の日・・

 

「うう~ん・・良く寝た・・」

 

大きく伸びをしながら布団から出て、身嗜みを整えてから自室を出る

 

「龍也さん居ないかな?」

 

通路を歩く、龍也さんは基本朝が早いので、早起きすれば遭遇する確率が高くなる。と思い龍也さんの姿を探しながら歩いてると

 

「居たっ!」

 

黒のロングコートと腰元まで伸ばされた黒髪、間違いなく龍也さんだが

 

「・・演習場?今日は訓練無いはずだけど・・」

 

真っ直ぐに演習場に向かう、龍也さんが気になりこっそり後を付ける

 

「天雷の書とガーディアンズハート?・・何するつもりなんだろう?」

 

演習場に入るなり、二つのデバイスを取り出した、龍也さんに首を傾げてると

 

「・・なのは・・そこで何してる?」

 

振り返った龍也さんの目と何時の間にか視線が合っていた

 

「・・あははは・・すいません。龍也さんが演習場に行くのが見えたので、気になって着いて来たんです」

 

正直に言い龍也さんの傍に歩いていくと

 

「はぁ・・別に良いが・・邪魔はしないでくれよ?私だって訓練をしないと腕が鈍るからな」

 

そう言うと龍也さんはコートを脱ぎ、椅子の上に置いた

 

「なにするつもりなんですか?」

 

気になり尋ねると

 

「天雷の書の最終形態の訓練をしようと思ったんだ」

 

!?最終形態・・まだ上があったんだ、と驚いていると

 

「兄ちゃん来た・・なんでなのはちゃんが居るんよ」

 

はやてちゃんが嬉しそうに来たが。私の姿を見るなり鋭い視線で此方を睨む・・うう・・慣れてるけど怖い・・

 

「私が演習場に来るのが見えたから着いて来たそうだ」

 

はやてちゃんに龍也さんが説明すると

 

「まぁ・・良いわ。スバルとかやったら問答無用で叩き出すけど、なのはちゃんなら許すわ」

 

何気に怖い事を言って、私の隣に腰掛けるはやてちゃんと、龍也さんを見るセレスさんとユニゾンしているのか、髪は銀に瞳は蒼銀に染まっていた。ゆっくりと詠唱を行う・・

 

「大いなる守護の力よ・・天空を支配する、天雷の力と共に・・今こそ真なる力を解放せよ」

 

二つのデバイスが光り輝き、龍也さんの姿を隠す

 

「凄い・・」

 

光が晴れ、龍也さんの姿を見たとき私は思わずそう呟いた。白銀に輝く鎧とその背に生えた、龍の様な翼・・手には翼を広げた鳥の様な装飾が施された、美しい刀身を持つ白銀の剣。その姿は神々しいまでの力強さがあった・・

 

「さてと・・やるか」

 

そこから剣を振るう・・それは一種の舞の様な美しさがあった。鋭く振り下ろしたかと思えば、緩やかに後退しながら剣を振るう

剣は銀に輝く一本の線にしか見えないが、とても美しい演舞だった

 

「思ったよりも動きやすい。前は禄に動けなかったのだが・・」

 

(そうですね・・やはり王の身体能力が上がったのが理由では無いでしょうか?)

 

二人の話を聞くと、どうやら前は龍也さんでも制御出来ないほどだったようだ・・しばらく龍也さんの剣舞を見ていたが

 

「あの龍也さん、頼みがあるんですけど良いですか?」

 

少し剣舞の動きが緩やかになった所で声を掛ける

 

「何だ?」

 

剣を腰の鞘に戻した龍也さんに

 

「あの・・スターライト使えますよね?」

 

龍也さんの事だからきっと、私達の魔法も習得していると思い尋ねると

 

「出来るが・・それがどうかしたか?」

 

首を傾げる龍也さんに

 

「今新しい砲撃魔法を考えてるんです、参考にしたいので使って貰いたいんですけど・・良いですか?」

 

他の人が使うスターライトを見るのも、良い参考になると思い頼む

 

「そういうことなら協力しよう。少し離れてろ」

 

龍也さんから少し距離を取ると、龍也さんは魔力の収束を始めた

 

「全ての咎人に聖なる星の断罪を・・」

 

龍也さんの目の前にミッドの魔方陣が展開される。それに凄まじい勢いで魔力が収束されていく・・

 

「・・スターライト・・」

 

収束された魔力が更に収束される

 

「ブレイカーッ!!!」

 

放たれた蒼色の砲撃は、簡単にシュミレーションのビルを消滅させた

 

「これで良いか?」

 

振り返り尋ねて来る、龍也さんに

 

「はい!ありがとうございましたっ!」

 

ヒントは得た、後はこれをベースにエクストリームジハードを完成させれば良い。と思い頷くと

 

「そうか、参考になったのなら良いが・・さてとモードリリース・・ユニゾンアウト」

 

騎士甲冑を解除し、ユニゾンも解除し

 

「さてと・・そろそろ朝食だ。はやて、なのは食堂に行こうか?」

 

と笑う龍也さんに頷くと

 

「私は失礼します。私に食事は必要ないので・・」

 

頭を下げ演習場を後にしたセレスさんを見ながら、はやてちゃんが

 

「兄ちゃん、気になってたんだけど・・セレスさんは何で物食べへんの?」

 

私も気になっていた事をはやてちゃん尋ねると

 

「なんでも私の魔力があれば、食べ物は必要ないそうだ」

 

その説明に頷き。三人で食堂に行ったがその際、ティアナとセッテの連合に、問い詰められた事を此処に記す

 

 

 

 

「ヘルズ様お呼びでしょうか?」

 

何も無い空間から突然聞こえてきた声に

 

「ふふふ・・待っていましたよ。ファントム」

 

笑みを零しながら返事を返す

 

「ファントム・・貴方には頼みたい事があるんですよ」

 

ファントムに指示を出す

 

「判りました・・必ずや成功させて見せます」

 

頭を下げ空気に溶ける様に消えたファントムに

 

「ふっふっふっ・・これで良いファントムなら必ずや成功してくれるでしょう」

 

一人になった部屋で私は笑っていた・・極上の悪夢を味わって貰いましょうか?エース・オブ・エース・・

 

 

 

 

ビーッ!ビーッ!

 

「部隊長!市街にネクロの反応です。数は40!その内28がLV1、11がLV2・・そしてLV3が一体です!」

 

報告を聞きながら、作戦を考える。市街なら民間人の避難が最優先だ

 

「よし。アサルトフォースとライトニングは民間人の避難誘導。スターズと兄ちゃんはネクロの進軍を防いで」

 

馴染んでいないチンクさん達を前線に出す訳には行かない。ライトニングと協力して民間人の保護が最適な任務だろう

ヘリに向かうなのはちゃん達に作戦を伝えると

 

「待ちなさい!はやて。何故私達が避難誘導なんですか!私達は充分戦えますよ!」

 

セッテが怒りながら尋ねて来るが

 

「悪いなぁ・・流石に直ぐ前線に出す訳には行かんのや。それにネクロが暴れてるのは繁華街や。人がようさん居る。流石にライトニングだけや非難誘導が間に合わんのや、だから今回は裏方に回ってええな」

 

諭すように言っていると

 

「セッテ、はやてを困らせるな。説明は判った。私達も出る」

 

チンクさんがセッテに言うと、渋々といった様子で頷いたセッテを見てると

 

「はやて、私達は先に出る!」

 

兄ちゃんとなのはちゃん達がヘリに乗り込み言う

 

「うん!判った!、ネクロ達の方は任せるで兄ちゃん」

 

「任せておけ。ヴァイス!ヘリを出せっ!」

 

「了解!確り捕まってて下さいよ。飛ばしますからね」

 

勢い良く飛び立っていくヘリを見ながら

 

「うしっ!私達は皆の援護を頑張るでぇっ!」

 

「「了解!」」

 

私は皆が向かった先が映ったモニターを見ながら、そう声を掛けた

 

 

 

 

「それでメンバーの編成はどうしますか?」

 

現場に向かいながら、なのはが尋ねて来る

 

「私となのは。スバル、ティアナ、ヴィータのチームだな。私となのはでLV3とLV2の大半を押さえる」

 

作戦を話してると

 

「兄貴、二人で大丈夫なのか?スバルかティアナを連れた方が良くないか?」

 

ヴィータがそう言うが

 

「スバルとティアナはコンビだから、離す訳には行かない。それにヴィータなら二人に指示を出せる。つまりこの編成が一番良い」

 

最適な編成だと話してると

 

「旦那!現場に着きましたよ!降下してください!」

 

ヴァイスに頷き降下しながら、天雷の書をブレイドで起動させる

 

「ヴィータ!そっちは任せるぞ!」

 

別の方向に降下していくヴィータ達に声を掛けると

 

「任せとけ!こっちが早く片付いたら援護に行くかんな!」

 

頼もしい返事を返すヴィータに笑みを浮かべながら、着地する

 

「守護者ダ・・たおセ!」

 

私となのはに気付いたLV2が、耳障りな声で味方のネクロに声を掛ける

 

「なのは。後ろは任せる」

 

後ろのなのはに声を掛ける

 

「任せてください。龍也さんの背中は私が守りますよ」

 

笑みを浮かべるなのはに頷き、私は剣を構え駆け出した

 

「死ネ!守護者!」

 

LV2が武器を構え向かってくるが

 

「遅い・・」

 

この程度の攻撃目を瞑っていても交わせる

 

「ふんっ!」

 

「ぎゃあっ・・・」

 

回し蹴りから、袈裟切りに斬り付け消滅させる

 

「キキー!!!」

 

LV1が飛び掛ってくるが

 

「させません!ディバインシューターッ!!!!」

 

三つの光球を生み出し放つ、それはLV1を確実に貫く

 

「キ・・キ・・」

 

貫かれたネクロは苦しみながら消滅していく

 

「やるじゃないか」

 

迫ってくるネクロを斬捨てながら言うと

 

「当然です、私だって強くなってるんですよ?」

 

と微笑む、なのはの周りには待機状態のディバインシューターが浮かんでいる

 

「ふっ・・そうだったなっ!・・ザンッ!キキッ・・」

 

影から飛び出してきたネクロを見る事無く斬捨てる

 

「ディバインシューターッ!!!!」

 

誘導弾でLV2のネクロにダメージを与え、私が

 

「瞬連刃っ!!」

 

ダメージで動きの鈍ったLV2に接近し、高速の斬激で次々消滅させていき、LV2が殆ど姿を消した所で

 

「ソウル・・チョッパーッ!!

 

背後から巨大な鎌が回転しながら迫ってくる

 

「むっ!」

 

ガキーンッ!

 

反射的に剣で受け止めるが、回転は止まらず

 

ギャリッ!ギャリッ!

 

剣と鎌がぶつかり、火花を散らす

 

「はあっ!」

 

力を込め切り払う

 

「流石は守護者だ。この程度では倒せんな!」

 

クルクルクル・・バシッ!

 

飛んでいった鎌を掴むネクロの姿が見えた

 

「ひっひっひ・・私はファントム・・悪夢を司る者だ」

 

黒のマントに巨大な鎌を背負ったファントムは・・まるで死神のようだった

 

「大層な事を言うな・・っ!!」

 

地を蹴りファントムに接近し、剣を振るうと

 

「おっとっと・・危ない・・危ない・・」

 

マントを翻しながら私の攻撃を回避し笑いながら、なのはに近付くが

 

「ディバイン・・・バスターッ!!!!」

 

それより早く、なのはがファントム目掛け、ディバインバスターを放つ

 

「ひひ・・そんなのは当たりませんねぇ?」

 

マントで受け止めたと思うと

 

「そら・・守護者。味方の攻撃をお返ししますよ?」

 

マントを振るうとディバインバスターは向きを変え、私に向かって来る

 

「何ッ!・・くっ・・」

 

剣を盾代わりにするが、衝撃までは殺せず後方に飛ばされる

 

「龍也さんっ!」

 

なのはの声が聞こえ、私が体勢を立て直した時に見た物は

 

「ひっひっひ・・覚める事の無い悪夢に沈め・・ナイトメア・・クローズッ!!」

 

「っきゃああああっ!!」

 

暗黒の球体に飲み込まれて行く、なのはの姿だった

 

 

 

ここはどこ・・寂しい・・悲しい・・辛い・・

 

何も無い暗い空間に私は居た・・

 

「ひっひっひ・・お前に何のとりえがある?」

 

先程まで対峙していたネクロの声がする

 

「・・何を言ってるの!」

 

「ひっひっひ・・知らないと言うのか?お前に魔法が無かったら何のとりえがある?役立たずのなのは・・?」

 

!!!嘲笑うネクロの声は私の心を抉る

 

「いや!止めて!聞きたくないっ!」

 

耳を塞ごうとするが、塞ぐ事が出来ない

 

「ひっひっひ・・お前の友達のフェイトにはやて・・それに愛しい守護者・・お前に魔法が無かったら。あいつらはお前は認めてくれるか?」

 

嫌だ!聞きたくないっ!

 

「認めろ・・お前は役立たずに過ぎないんだ・・ほら・・聞こえるだろう?」

 

「役立たずのなのは・・」

 

!フェイトちゃん・・

 

「なのはちゃんは何の役にもたたんなぁ?」

 

はやてちゃん・・

 

「お前が居なければ私は目と腕を失う事は無かった・・お前が居なければ良かったんだ!」

 

!?嫌だ聞きたく無い・・聞きたく無い・・首を振るがその声は消えない・・

 

「「「居なければ・・お前が居なければ・・」」」

 

繰り返される、言葉・・

 

「嫌だ!嫌だ!聞きたくな・・・い」

 

これは違う現実じゃない!龍也さん達がそんな事言う訳無い!

 

「認めろ!お前は要らないんだ・・消えろ・・消えてしまえ・・その方がよっぽど役に立てるぞ?」

 

ネクロの声は途切れる事無く私の心を抉る

 

「いや・・いや・・いやあああああああっ!!!」

 

私は大声を上げ首を振るが声は消えない・・嫌だ・・嫌だ・・龍也さん・・たす・・け・・て・・

 

私は意識を失った・・

 

 

 

 

「貴様!なのはに何をした!」

 

剣を向けながらファントムを睨むと

 

「いっひっひ・・何もさ・・こいつは己の心の闇に喰われ・・心が死ぬ・・そして残った空っぽの体は、我らの尖兵にするのさ・・」

 

黒い球体を見ながら笑う、ファントムに

 

「カイザー・・デルタ・・」

 

目の前にエネルギーを三角形の形で生み出し、それを

 

「ブレイカーッ!!!」

 

剣で打ち出す。それは炎。氷、雷の力を帯びた衝撃波になるが・・

 

「ひっひっひ・・無駄無駄・・」

 

当たった瞬間ファントムの姿が消える・・これは幻かっ!!

 

「ひっひっひ・・正解・・私の本体はこの闇の中・・私は倒す事が出来ないのさ」

 

嘲笑いながらファントムは姿を消した、どうすれば良いのか考えてると

 

「兄貴!大丈夫か!」

 

「「龍也さん!」」

 

ヴィータ達が合流してくるが

 

「なのはは?まさかやられたのか?」

 

ヴィータが不安げに言う

 

「いや・・違う・・なのははあの球体の中だ。早く助けないとなのはが死ぬ・・だがどうすれば良いか判らないんだっ!」

 

判らない・・どうすればなのはが救えるのかがっ!!

 

「いっひっひ・・あと少し・・あと少しでこいつの心は死ぬ・・いっひっひ・・」

 

嘲笑うファントムの姿が球体の中に消える・・!そうか・・なんで気付かなかったんだ・・

 

「兄貴?どうした何か思いついたのか?」

 

ヴィータが尋ねて来るので

 

「ああ。簡単だったんだ・・私があの中に飛び込んでなのはを救う・・ヴィータ・・後は任せるぞっ!!」

 

剣を腰の鞘に戻し駆け出す

 

「無茶ですよっ!龍也さん!」

 

慌てるスバルの声が聞こえるが、私にはそれしか思い付かなかった。魔力を込めその球体に触れる・・・その瞬間

 

「っ・・ぐああああああっ!!!!」

 

凄まじい電撃が私の体を駆け巡る・・

 

「兄貴っ!!無茶だ!!」

 

ヴィータの無茶だという声が聞こえるが、それを無視し更に魔力を込め

 

「う・・・うおおおおおおおおっ!!!」

 

強引にその球体の中に飛び込んだ

 

「っう・・」

 

電撃が絶え間なく私を襲う

 

「ぐうっ・・何処だ・・何処に居る?」

 

電撃に耐えながら。なのはの姿を探す

 

「ソウルチョッパーッ!!!」

 

ザシュッ!!!

 

「ぐあっ!!」

 

背後から突然ファントムが飛び出し、私を襲う

 

「くっくっく・・馬鹿め・・此処は私のフィールド・・貴様に勝ち目は無いぞ?」

 

連続で振るわれる鎌を回避しようとするが、体が動かず直撃を喰らい吹っ飛ばされる

 

「うぐっ・・」

 

騎士甲冑ごしでもダメージは大きい

 

「苦しいか・・くっくっく・・良い機会だ。お前も一緒に殺してやるッ!!」

 

再び振るわれた鎌で吹っ飛ばされる

 

「うぐっ・・・!!なのは」

 

吹っ飛ばされたおかげで、なのはを見つける事が出来た

 

「なのは!なのは!しっかりしろっ!!」

 

なのはに声を掛けるが、反応が無い

 

「くっくっ・・こいつは闇に囚われている。お前の声は届かない・・そうだ・・良い事を思いついた・・ソウルチョッパーッ!!!」

 

私ではなくなのは目掛け振るわれる鎌・・!!いかん

 

「くっ・・がああああっ!!」

 

なのはの前に立ちその攻撃を受け止める

 

「くっくっくっ・・死ね!死んでしまえっ!!」

 

次々振るわれる鎌を背で受け止めながら。なのはを抱きしめる

 

「戻って来い・・戻って来いっ!!・・ぐっ・・戻って来いッ!なのはっ!!」

 

 

 

 

「戻って来いッ!!!」

 

!龍也さんの声・・

 

「戻って来い!なのはッ!!」

 

・・満たされていく・・龍也さんの声が聞こえる度に・・心が・・満たされていく

 

「「「居なければ・・お前が居な・・けれ・・ば・・・・・・」」」

 

さっきまで聞こえていた声は消え代わりに

 

「戻って・・ぐっ・・来い!・・戻ってくるんだ!なのはっ!!」

 

力強い龍也さんの声が聞こえる。私は近くに落ちていたレイジングハートを握り締める

 

『マスター、聞こえますか?龍也様が貴方を呼ぶ声が?』

 

問いかけてくるレイジングハートに

 

「うん・・聞こえる・・聞こえるよ・・龍也さんの声が・・」

 

目を閉じる・・確かに聞こえる龍也さんが私を呼ぶ声が・・

 

「戻って・・ぐっ・・来い!・・戻ってくるんだ!なのはっ!!」

 

その声と共に私の意識は浮上していった・・!?えっ!抱きしめられてる!?抱きしめられてる事に驚きながら龍也さんを見て、私は目を見開いた・・酷い怪我だ、騎士甲冑も殆ど砕けている

 

「ぐっ・・大丈夫か?・・」

 

自分のほうが酷い怪我をしているのに、私に大丈夫かと尋ねて来る、龍也さんの顔は血で汚れている

 

「馬鹿なっ!自力でこの闇を祓える人間が居るなんて」

 

ファントムの驚きの声と共に。黒い世界に皹が入っていく

 

「馬鹿なっ・・馬鹿なっ!馬鹿なあああっ!!」

 

ファントムのその叫びと共に、黒い世界は完全に砕け、私達は元いた繁華街の上空に居た

 

「うぐっ・・」

 

苦しげに呻き、落下して行く龍也さんを抱き抱える

 

「龍也さん!大丈夫ですか!」

 

背中の甲冑は殆ど無く、背中から血が溢れている

 

「うぐ・・問題・・ない・・なのは!後ろだ」

 

反射的にプロテクションを張る

 

ガキーンッ!!

 

鎌とプロテクションがぶつかり火花を散らす

 

「くそっ!貴様達だけは・・」

 

大きく振りかぶったファントムの隙を突いて、

 

「ディバイン・・バスターッ!!」

 

砲撃を放つ、それはファントムの胴に命中し

 

「なっ!がああああッ!!!」

 

苦悶の声と共に、吹っ飛んでいったファントム。今の内に、辺りを見回す・・居たっ!ヴィータちゃんを見つけ、慌てて其方に向かう

 

「なのは!大丈夫だったか・・・兄貴!!!」

 

私が抱き抱えた、血まみれで意識を失っている龍也さんを見て、ヴィータちゃんが絶叫する

 

「ヴィータちゃん!早く手当てを!!このままだと龍也さんが危ない」

 

このままだと出血多量で命を落としかねない、

 

「ティアナ!お前回復魔法が使えたな!兄貴の治療をっ!」

 

ヴィータちゃんに指示を出され、ティアナが治療を始めると

 

「そうはせるか!ソウルチョッパーッ!!!」

 

巨大な鎌が回転しながら迫ってくる・・狙いは龍也さんだ

 

「させないっ!!リボルバー・・ブレイクッ!!」

 

スバルが一番最初に気付き、その鎌を殴り弾き飛ばす

 

「ヴィータちゃん!スバル!龍也さんをお願い!私はアイツを倒す!」

 

私はファントムに向かって行った・・

 

 

 

 

「うぐ・・ここは・・そうだっ!なのはっ!・・ぐっ」

 

なのはの事を思い出し、慌てて起き上がろうとすると

 

「駄目です!今は動いちゃいけませんっ!!」

 

涙目のティアナに押し戻される

 

「ティアナ?・・どうして・・うっ・・・」

 

体中に激痛が走る・・

 

「兄貴!目を覚ましたのかっ!」

 

心配そうにヴィータが顔を覗き込んでくる

 

「うぐっ・・ヴィータ・・ファントムは?」

 

ファントムの事を尋ねるとスバルが

 

「なのはさんが戦ってます」

 

スバルとヴィータに抱き起こされ、なのはとファントムの戦いを見る

 

「アクセルシューターッ!!」

 

なのはが光弾を放つが・・

 

「無駄無駄ッ!私にはそんな物は効かんッ!!」

 

鎌で光弾を弾き飛ばすファントム

 

「まだまだッ!!エクセリオン・・バスターッ!!!・・ブレイクシュートッ!!!!!!」

 

かなりの近距離でエクセリオンバスターを放つ

 

「なッ・・くそっ!!」

 

この距離でこんな大威力の砲撃を使うと思わなかった。ファントムは慌ててマントで防御するが

 

「くっ・・ぐうううッ!!!」

 

防御しきれず吹っ飛ぶ、ファントムだが・・

 

「そう簡単に・・死んでたまるかッ!!ソウルチョッパーッ!!!」

 

吹っ飛ばされながら鎌を投げつける

 

「・・・きゃあっ!!」

 

プロテクションが砕かれ吹っ飛ぶなのは

 

「いかん・・助けなければ・・うぐっ・・」

 

慌てて立ち上がろうとするが、激痛が走り立ち上がる事が出来ない

 

「無理ですよっ!!死んでもおかしくない位の出血なんです!!!戦闘なんて無理ですよっ!!!」

 

スバルが慌てて私の動きを封じるが・・

 

「くっ・・こんな物どうという事は無い・・私は剣を握れる・・」

 

その静止を振り解き、立ち上がろうとすると

 

「兄貴っ!止めてくれ!そんな体で戦おうとしないでくれっ!!」

 

ヴィータが泣きながら、戦わないでくれと言い私の体を押さえる

 

「ヴィータ・・」

 

ヴィータは泣きながら

 

「もう嫌だッ!あの時みたいに血を流しながら、戦う兄貴は見たくないっ!!」

 

あの時・・闇の書の時か・・その事を知らないスバルとティアナは首を傾げている

 

「なのはなら、私が助ける・・だから兄貴は動かないでくれ・・私に任せてくれ・・なっ」

 

ヴィータが諭す様に言うと・・

 

「大丈夫だよっ!!ヴィータちゃん!!私は一人で大丈夫!!」

 

ボロボロのバリアジャケットでなのはが大丈夫だと言う

 

「なのはっ!本当に大丈夫なのかっ!」

 

そのボロボロの姿に、不安になり私が訪ねると

 

「大丈夫です!私は!龍也さん・・もう貴方の足手纏いにならないと決めたッ!!だから・・LV3位一人で倒せないと・・私は貴方の足手纏いになってしまう・・だから此処は私に任せてくださいッ!!」

 

笑顔でそう答え、なのははファントムの方へ飛んで行った

 

第67話に続く

 

デバイス解説・・天雷の書 最終形態・・パラディンモード

 

白銀に輝く鎧に龍の様な翼が最大の特徴、武器は美しい装飾が施された白銀の剣・・天雷の書、ラストガーディアンの二つのデバイスが融合する事で完成する、究極のデバイスで、ユニゾン状態でなければ禄に動く事も出来ない。砲撃、射撃、直射、防御、回復、全てに高い能力を誇るが、デバイスの召還と復元を行う事が出来ない

 


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