夜天の守護者   作:混沌の魔法使い

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第73話

第73話

 

スカリエッティにネクロが出た事を伝える為、奴のテントに向かっていると

 

「どうした?ゼストそんなに慌てて?」

 

トーレがどうしたと尋ねてくるので

 

「ネクロが出た、雑魚は倒したが・・もしかするとLV3が居るかも知れない・・だからスカリエッティに教えに行こうと思っているのだが」

 

そう言うとトーレも

 

「判った、早く父さんに伝え・・」

 

トーレが伝えに行こうと言いかけた瞬間

 

「ぐるるる・・がああああッ!!!!」

 

茂みから雄たけびを上げて異形が飛び出してくる

 

「危ない!」

 

硬直するトーレを自分の方に引き寄せ

 

「ふんっ!!」

 

回し蹴りを叩き込み吹っ飛ばすが

 

「手応えが無い・・?」

 

渾身の蹴りの筈だったのに、手応えが無かった事に首を傾げながらも、アンブロジウスを起動させる

 

「トーレ!早くオットーかディードと合流しろ!こいつら・・ネクロとは違う!」

 

妙な気配を放つ異形に、前龍也から報告のあったデクスの事を思いだした・・

 

(不死の兵士・・デバイスが無いトーレ達では戦いにならない、こいつらは俺が押さえないと)

 

茂みの中から次々姿を見せるデクス達、その数は5体・・一人では少々きついが・・仕方ない・・

 

「トーレここは何とか俺が押さえてみる!だから早くオットー達と合流するんだ!」

 

俺はトーレにそう言い、デクスに向かって駆け出した

 

 

 

「くっ・・こんな時に私は・・無力だ」

 

デクスと戦うゼストの姿を見ながら、オットー達がいる地点に向かう

 

「私にもデバイスがあれば・・」

 

私もオットー達同様、八神からデバイスを貰ったが・・適応率が低く扱う事が出来なかったのだ

 

「くそ・・とにかく早く合流しなければ・・」

 

全力で走り出そうとした瞬間・・

 

「デスアローッ!!」

 

上空から3本の闇色の矢が飛んでくる

 

「!!」

 

反射的に前に飛び回避する

 

ザクッ!ザクッ!!

 

回避した矢は木を簡単に貫いた、

 

「くく・・やるな・・不意打ちのつもりだったのだが・・避けられるとは・・少し驚いたぜ」

 

バサ!バサ!!

 

羽ばたく音と共にネクロが私の前に着地する、漆黒の甲冑に大きな二枚の翼を持った、そのネクロは一つしかない黄色の目で私を睨みながら言う、直感的に判るこいつは・・

 

「おっと・・戦う前に俺の名前を教えておいてやるよ、俺はLV3・・ディルグだ!」

 

やはりLV3・・私はISを起動させながら拳を構える

 

「くく・・一人で俺に勝てるかな・・」

 

爪を振りかざし突撃してくる、ディルグに私も拳を振るったが・・

 

ガンッ!!

 

「がッ!!!」

 

簡単に押し負け背中から木に追突する・・

 

「弱い・・ちっ・・外れか・・まぁ良い・・命令は皆殺しだからな・・まずは一匹・・貴様から死ねぇ!!」

 

私目掛けて爪を振るってくる、ディルグ・・回避は間に合わない・・私は腕をクロスしてその攻撃に備えた瞬間

 

「ライトニングスピアッ!!!」

 

「二連地斬疾空刀!!」

 

雷で出来た槍と地を走る衝撃波が木の陰から飛び出す

 

「なっ!・・があああっ!!」

 

翼で衝撃波を防いだが、槍は回避できず体に直撃し吹っ飛ばされるディルグ、それと同時に

 

「大丈夫、姉様」

 

ピンク色のバリアジャケットのオットーと

 

「トーレ姉様、大丈夫ですか?」

 

白のバリアジャケットに両刃刀を持ったディードが姿を見せる

 

「ああ・・大丈夫だ・・」

 

妹の前で情けない姿を見せる訳にはいかないので、立ち上がり拳を構えると

 

「ちっ・・伏兵が居るとは予想外だったが・・その程度の攻撃で俺に勝てると思っているのか?」

 

闇色の魔力を両手に溜めながら、ディルグが無傷で姿を見せる

 

「驚いた・・・全力だったんだけど・・」

 

オットーが驚きと言う感じで呟く、オットーの最大攻撃はライトニングスピアだ・・それの直撃でノーダメージと言うのは正直驚く

 

「数が増えようが・・雑魚は雑魚・・さっさと殺して科学者を殺しに行かせて貰うぜ!!」

 

翼を羽ばたかせ突撃してくる、ディルグ

 

「ゼストが来るまで私達でこいつを押さえるぞ!」

 

「「はいっ!!」」

 

ディードと共にディルグに向かって駆け出した

 

 

 

 

「妙な気配だ・・まさかっ!ネクロか!」

 

ギガスティックランスとライオンハートの調整中に感じた妙な気配に嫌な予感を感じテントを飛び出す

 

「どっちだ・・」

 

気配を探る・・龍也に教わったから出来るようになった気配感知・・これのおかげで何処で戦っているのか判る・・

 

「こっちは・・ゼストと・・デクス・・こっちは・・不味い!トーレ達が居る!!」

 

トーレ達が戦っている方が不味い、ゼストの方は数は多いが・・そこまで戦力差があるとは思えない・・それより問題はトーレ達の方だ、ネクロの気配だが・・今まで感じた事がある気配より・・遥かに負の気配が強い・・まさか・・

 

「LV3かっ!!」

 

トーレ達は強い・・だが・・LV3となると話は別だ

 

「今行くぞ!!」

 

私はギガスティックランス、ライオンハートを指に嵌めトーレ達の居る方に向かって走り出した

 

「どこだ?・・こっちの方の筈だが・・」

 

深い森の中なので詳しい場所が判らず、辺りを見回していると

 

ドーンッ!!

 

凄まじい爆発音が森の奥から聞こえてくる

 

「あっちか!」

 

私は爆発音を頼りに森の奥に向かって走り出した・・

 

「トーレッ!!」

 

私が森の奥についた瞬間見た物は私にとって最悪の光景だった・・オットーとディードはバインドで拘束されて入るが、そこまでダメージを受けている様子は無いが・・トーレの方は酷かった・・ネクロに首を掴まれ上に持ち上げられ・・苦しそうにネクロの腕を叩くがそれを物ともせず、トーレの首を締め上げるネクロの姿を見て・・私の中で何かが弾けた・・

 

「貴様ぁぁっ!!!」

 

駆け出すと同時にギガスティックランスを起動させた、濃い青の騎士甲冑が展開されると、同時に目の前に現れた大型の槍を握り締め

 

「トーレを放せぇっ!!!」

 

全力が槍を振るいトーレを掴んでいた腕を切り落とす、

 

「がああああっ!!」

 

腕を切り落とされた事で絶叫する、ネクロに

 

「でえええいっ!!」

 

横薙ぎの一撃でネクロを吹っ飛ばし、トーレに駆け寄る

 

「大丈夫か、トーレっ!」

 

蹲り咳き込むトーレに声を掛ける

 

「ごほっ!ごほっ!・・大・・大丈夫です・・」

 

咳き込みながら大丈夫というトーレに

 

「何が大丈夫だっ!!そんな有様で!」

 

ボロボロの姿をトーレを抱き上げ、オットーとディードのバインドを破壊し

 

「オットー、ディード!トーレを連れてウーノの所に行け!」

 

ウーノの所に行けと指示を出す、直ぐに頷き下がって行くオットー達を見ながら、ネクロが飛んで行った方向を睨む

 

「デスアローッ!!」

 

すると茂みから4本の闇色の矢が飛び出してくるが

 

「ふっ!」

 

慌てずにギガスティックランスを回転せさ、打ち落とす

 

「くっく・・科学者・・お前から出て来てくれるとはありがたい・・ここで死んで貰おうか・・」

 

茂みから姿を見せるネクロに

 

「私の名前は科学者では無い・・私はジェイルスカリエッティだ、ネクロ」

 

睨みながら言うとネクロは押し殺した笑い声を上げながら

 

「くっくっ・・それは申し訳ないスカリエッティ・・ついでだ・・俺の名はディ・・くだらんお前の名を聞く気など無い・・私の大切な娘を傷つけた貴様を生かして返すつもりはない!」

 

名乗ろうとしたネクロの言葉を遮り、言い放つ・・私の大切な娘に怪我をさせたこいつを許すつもりはない・・ここで消滅させる!!

 

「貴様!調子に乗るなよ!!科学者如きが俺に勝てると思うなよ!!」

 

翼を羽ばたかせ突撃してくるネクロに

 

「科学者では無い・・私はスカリエッティだと言っただろう」

 

その突撃をしゃがみ込んで回避し、上空に向かって蹴り上げるが直ぐに体制を立て直し、私の前に着地し

 

「ぐう・・貴様ぁ!!」

 

憎しみと殺意の篭った目で私を睨むネクロに

 

「掛かって来い・・格の違いを教えてやる!」

 

挑発しながら言うと

 

「貴様!調子に乗るのもいい加減にしろ!!貴様如きに俺が負ける訳が無いんだ!!デスアローッ!!」

 

再び闇色の矢を放つネクロに

 

「やれやれ・・こんな技回避するまでも無い・・起きろ・・食事の時間だ」

 

ギガスティックランスに声を掛けると槍の龍の目が開き

 

『やれやれ・・人使いの荒いマスターの事で・・』

 

文句を言いながら放たれた闇色の矢を喰らう、ギガスティックランス・・こいつの特徴は魔力食い・・放たれた魔力を喰らい私の魔力にする事が出来る・・まぁ・・ネクロ限定だが・・強力な能力だ

 

「馬鹿な!馬鹿な!馬鹿なぁっ!!」

 

がむしゃらに矢を連発するネクロに

 

「ふう・・いい加減無駄だと悟ったらどうだい?」

 

フラッシュムーブで背後を取り首筋に槍を突き付きながら言うと

 

「舐めるな!」

 

槍を片手で振り払い、私から距離を取り魔力を増幅させるネクロ

 

(大技か・・まぁ良いか・・どんな技でも射撃系は向こうだからな・・)

 

ギガスティックランスが吸収出来るのは、射撃系や放射と言う遠距離で、近接は吸収出来ないのが欠点だ

 

「人間が!この技を耐えれる訳が無い!消え失せろ!エクスプロージョン・・アイッ!!!」

 

闇色の砲撃をギガスティックランスで受け止めると同時に、大爆発が起きた・・

 

「ははははは!!人間が如きが調子に乗るからそういう目に合うんだ!!」

 

狂ったように笑うネクロに

 

「一体何がおかしいのだね?説明してもらえるとありがたいのだが?」

 

何事も無いように笑いながら問いかける

 

「ば・・馬鹿な・・人間如きが・・俺のエクスプロージョンアイを受けて無傷だと・・」

 

驚き目を見開くネクロに

 

「さっ・・君の技は見させて貰った・・次は私の番だな・・リミットブレイク・・」

 

ギガスティックランスの封印を解除する・・それと同時に闇色の魔力の翼が発生する

 

「餞だ・・受け取りたまえ!!・・ダークロアッ!!」

 

限界まで吸収したネクロの魔力を更に収束させ、レーザーの様な一撃を放つ

 

「くっ・・・馬鹿なああああああっ!!!!」

 

回避できず闇の光線に飲み込まれ消えていくネクロを見ていると

 

「!!この気配は!!」

 

ウーノ達が居る筈の方向から更に強いネクロの気配を感じた

 

「誘導だったのか!!」

 

慌てて遺跡の方に戻る

 

「ドクター!!早く遺跡の奥へ!!ネクロが遺跡の奥へ!!

 

ウーノ達は闇色のバインドに拘束されていたが、怪我をしている様子は無い、だから私は遺跡の奥へ向かった

 

「これは・・酷い・・」

 

遺跡の壁のジオガディスに関する部分は全て削り取られ、見る事が出来ない・・その遺跡の壁を見ながら最深部に向かう

 

「おや?思ったより早かったですね?スカリエッティ?」

 

遺跡の最深部では青色のネクロが立っていた・・こうして立っているだけだが判る・・とんでもない威圧感を放っている

 

「おっと・・私とした事が自己紹介がまだでしたね・・私はダークマスターズのリーダー、ヘルズと申します」

 

大袈裟な身振りで自己紹介するヘルズにギガスティックランスを向けると

 

「おやおや・・ずいぶん好戦的ですね・・でも止めた方が良いですよ?・・ほら回りを見てみたらどうです?」

 

そう言われ辺りを見回すと

 

「!!!」

 

何百何千と言う剣が私の方を向いて、宙に浮かんでいた・・動けない・・動けば・・この剣は私目掛けて降り注ぐだろう

 

「そうそう・・私は戦いに来た訳では無いのですから・・そこで黙って見ていて下さい・・トランプ・・ソードッ!!」

 

背中の鞘から剣を次々取り出し、壁に投げつけて行く・・剣は的確に遺跡の壁を削って行く・・私は黙って見ている事しか出来無かった・・ある程度遺跡の壁を破壊するとヘルズは剣を投げるのを止めた

 

「さてと・・私の仕事は終わりですね」

 

パチン!!

 

指を鳴らすと私を囲んでいた剣が全て消えた

 

「さてと・・私の仕事は終ったのでここら辺で失礼させて頂きますね・・」

 

そう言い宙に浮かんで行くヘルズに

 

「待て!貴様は何をしに来たんだ!!私達を殺す為ではないのか!!」

 

態々リーダーから攻めて来たのだ、私達を殺す為に来たのではないのなら、何の為にここに来たのかと思い尋ねると

 

「私がここに来た理由は簡単です、ジオガディス様が自分の事をこそこそを探られるのが嫌だそうで、だから私が遺跡を破壊しに来たのです、それと今は貴方達を殺す理由が無いので殺さないのです・・いずれ死に行く定め・・今殺そうが・・後で殺そうが・・それは代わりませんからねぇ?良かったですね・・短い命が延びて・・それでは失礼致します」

 

もう一度頭を下げヘルズの姿は闇に溶ける様に消えて行った・・

 

「・・何とかなった・・いや・・手掛かりが全て消えてしまったか・・」

 

騎士甲冑を解除し、遺跡の壁を見る・・的確にジオガディスに関する部分が全て破壊されている・・

 

「これが目的だったのか・・自分に関する事を全て破壊する事が・・」

 

多分私が戦ったネクロが私達を殺そうが殺せまいが関係ない・・奴らは遺跡さえ破壊出来れば・・良かったんだ・・

 

「ドクター!!大丈夫ですか!!」

 

ウーノが駆け込んでくる

 

「ああ、私は大丈夫だ・・だが遺跡がな・・」

 

辺りの壁を指差しながら言うと

 

「酷い・・これではジオガディスの事が・・」

 

遺跡の壁を見て絶句するウーノに

 

「まぁ・・命があっただけ良しとしよう・・さっ・・一回キャンプに戻ろう・・」

 

私はウーノと共に遺跡の最深部を後にした・・

 

 

 

「うぐっ・・」

 

ベッドの上で私は激痛に顔を歪めながら、目を覚ました・・

 

「あら・・トーレ起きた?体の調子はどう?」

 

ベッドの枕元でメガーヌに声を掛けられ

 

「最悪だ・・」

 

体の節々が痛い・・あれだけネクロの魔力波を当てられたんだそれは当然か・・起き上がろうとすると

 

「駄目よ、トーレ動いては駄目」

 

メガーヌにベッドに戻される・・ここで思い出した

 

「そうだ!あのネクロはどうなったんだ!」

 

圧倒的な強さを持ったあのネクロ・・オットーやディードでは倒せないはずだと思い尋ねると

 

「スカリエッティよ・・彼が倒したから大丈夫、だから今は休みなさい・・」

 

諭す様に言うメガーヌに頷き、ベッドに横になろ

 

「オットーとディードは大丈夫だったのか?」

 

ネクロと一緒に戦っていた、オットーとディードの事を尋ねると

 

「二人は大丈夫よ、怪我も少ないから、ウーノと一緒に結界の補強をして回ってるわ」

 

そうか・・二人が無事という事で私は一安心した・・すると強烈な眠気が襲って来た・・

 

「ほら・・無理して起きてるからよ・・今は眠りなさい」」

 

優しく微笑むメガーヌに頷き

 

「ああ・・今は眠るとするよ・・」

 

私はそう言うと深い眠りに落ちて行った・・

 

 

 

天雷の遺跡の上空から遺跡を見下ろす・・一つの影・・ハーティーンだ・・彼は苛々とした様子で

 

「ちっ!何故こんなに苛付くんだ!」

 

俺の中に自分でも判らない苛付きに襲われていた・・

 

「判らない・・守護者も科学者も何故、誰かを護る?あいつらは一人でも強いのに」

 

強ければ・・誰も必要ない・・自分一人なら・・失う物は無いのに・・何故あいつらは一人にならない?

 

『貴方の名前は何?』

 

目の前に小さな少女の幻が現れる

 

「!!知らん・・俺はあいつなど知らん!!」

 

その姿を振り払う様に頭を振るが、その姿は消えない・・いやむしろ強くなっていく・・

 

『名前が無いの?可哀想・・そうだ!私が名前を上げる!!』

 

嬉しそうに飛び跳ねる少女の残像に俺は・・

 

「名前・・俺の名前をくれるのか?」

 

その少女の残像に手を伸ばす

 

『うん!名前が無いと、私貴方の事をなんて呼べば良いのか判らないじゃない」

 

えへへと笑う少女の幻に・・

 

「・・俺は異端と呼ばれ・・蔑まれた俺に名をくれると言うのか?」

 

手を伸ばしながら話しかける

 

『異端?・・じゃあ貴方はハーティーンだね!』

 

そうだ・・俺はこの少女に名を貰った・・それは俺の宝物になった・・

 

『助けて!!ハーティーン!!』

 

その少女が助けてと叫ぶ

 

「そうだ・・俺は・・彼女を助けようとした・・」

 

段々思い出してくる・・過去の・・まだ俺が未完成の時の事を・・

 

『ありがとう!ハーティーン!!助けてくれて!!』

 

そうだ・・俺は彼女を助けた・・そして彼女は

 

『あっ!お兄ちゃんが呼んでる!ハーティーン、私もう帰るね』

 

帰ると言う彼女に

 

「名前を教えてくれ・・お前の名を」

 

走り出そうとした少女を呼び止める、すると少女は笑いながら振り返り

 

『■■■!■■■だよ!またねハーティーン!!』

 

思い出せない・・そう感じていると・・少女の姿は溶ける様に消えて行った・・

 

「くっ・・思い出せない・・俺は彼女に名を貰ったのに・・何故彼女の名が思い出せない!」

 

何故思い出せない・・俺に名をくれた者の名を!暫くそのまま宙に浮かんでいると

 

「ハーティーン・・探しましたよ、命令ですもう監視の必要はありません、だからパンデモニウムに戻りますよ」

 

ヴェノムが俺に話しかける

 

「・・ヴェノムか・・判った・・戻る・・」

 

素直にパンデモニウムの方を向くと

 

「驚きましたね・・貴方が素直に私の言う事を聞くとは・・貴方の事だから、私の指図は受けないと言うと思ったんですけど?」

 

驚いたと言うヴェノムを無視して、俺はパンデモニウムに向かって移動を始めたが、俺は

 

(彼女は誰だ?・・何故思い出すんだ・・)

 

今まで思い出す事の無かった過去の記憶に戸惑いを感じていた・・俺に名をくれた彼女に会えば・・俺は答えを得る事が出来るかもしれない・・俺はそんな事を思いながらパンデモニウムに戻って行った・・

 

第74話に続く

 


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