第6話
「さてと・・何着て行こうかな?」
クローゼットの中を見ながら服の組み合わせを考える、少女ティアナだ。
「う~ん、これもいいけどこっちも捨てがたいわね」
彼女のベッドには所狭しと服が並べられていた
「良し、これに決めた!!」
彼女が選んだのは白のワンピースだった
「これなら髪は下ろしたほうが良いわね」
着替えてから普段はツインテールの髪を今回は下ろし、準備は完了した
「さてと、そろそろ行こうかな。」
枕元においてあった鍵のモチーフが付いてアクセサリーを持って部屋から出た。
「あれ、ティア出掛けるの?」
部屋から出るとまったく同じタイミングで向かい側の扉が開く。ここでだが彼女達の部屋は本来三人用の部屋であり。共同スペースのリビングとキッチンに個々の部屋が用意されている
「うん、ちょっと昔相談に乗ってくれた人に会いに行こうかなって思ったんだけど、そっちは?」
スバルは普段見たことのないお洒落な服を着ていた。その姿にまさかと思いたずねる
「私は昔助けてくれた人に会いに行こうかなって思ったんだけど」
「「・・・・・・・・」」
お互いの思考が一つの可能性に辿り着く
「ねぇ、スバルあんたこれ持ってない?」
ワンピースのポケットから鍵のアクセサリーを取り出す
「あっ!それティアも持ってるの?」
同じようにポケットからアクササリーを取り出す。真ん中に付いている石の色は違うがそれは同じものだった
「それ、持ってるって事はあの人の事知ってるわよね?」
その言葉に頷きながら
「黒いバリアジャッケットの人だよね」
バリアジャッケットの姿は見たことないがあの人は黒の服を着ていた
「で?その人の名前は知ってる?」
頷くスバルの口が開き
「ダークネスさん」
やっぱりと頭を抱える、その様子にスバルが
「って事、ティアもダークネスさんに会いに行くの?」
頷く、まさか二人とも同じ人物に会いに行こうと思っていたは思っても見なかったことだ、しばらくお互いに無言の時が過ぎたが
「ねぇ、ティア一緒に行かない?」
スバルが一緒に行こうと誘う、確かに一人で行くのは緊張する。では二人ならどうだ確かにそれなら多少は緊張は緩むが面白くはない。
だが一人で行って、緊張して何も話せなくなるよりかはマシだ
「判ったわ、一緒に行きましょう」
「じゃあ、一緒に行こう」
スバルと共にダークネスに渡されていた鍵を投げる、それと同時に二人の部屋に扉が現れる
「じゃあ、行こうか?」
そうして二人で扉を開いてその中に進んでいった、その扉の中はまるでトンネルの様に暗かったがしばらく歩くと光が見えてきたそして暗い場所から出ると其処は森林の中だった、少し離れた所には湖とログハウスが見えておりそれは一枚の絵の様に美しかった
「此処にダークネスさんが居るんだ・・」
胸が高鳴る、此処に命の恩人が居ると思う私の胸は高鳴った
「早く行こう」
ティアと共にログハウスの方に歩いていくとログハウスの方から少女が歩いてきた。それは幼い少女だった年は恐らくだがキャロとエリオと同じくらいだろう。しばらくすると少女は私達に気付いたのか此方の方に歩いてきた
「貴方達は誰?此処にはダークネスの知り合いしか来れない筈だけど?」
少女の言葉には驚きが含まれていた。彼女の言うとおりなら此処にはダークネスの知り合いしか来ない筈なのに。見た事のない私達が居るのに驚くのは当然だ、だから私達は少女に自己紹介をすることにした
「私はスバル、スバル・ナカジマでこっちは・・」
ティアの方を向くと
「私はティアナ、ティアナ・ランスターよ。貴方の名前は?」
少女の名を尋ねると少女は笑いながら
「私は。ルーテシア・アルピーノ。此処に居るって事はダークネスに何か用が合って来たのね。ダークネスは湖の所で本を読んでるわ」
親切に何処に居るのか教えてくれ。ルーテシアは歩き去った
「あの子、ダークネスさんの妹さんかな?」
「どうだろう?私達ってダークネスって名前しか聞いて無いから何ともいえないわね」
あの子が何者なのか考えながら私達は湖の方に向かっていった・・
そこには昔から憧れていた男の姿があった。折り畳みの机の横に置かれた椅子に腰掛け。ルーテシアの言うとおり本を読んでいた
「うん?ルーテシアか?」
此方の近づく足音の気付いたのか読んでいた本から視線をずらし私達の方を見ると、一瞬驚いた顔をしたが次に穏やかな笑みを浮かべ
「これは珍しいお客人だ、スバルとティアナで良かったかな?まぁ立ち話も何だ。座ったらどうだ?」
読んでいた本を閉じ。椅子に座るように進めるダークネスの言葉に甘え置いてあった椅子に座った
「久しぶりだね、元気そうで何よりだよ」
「「お久しぶりでふっ・・・・」」
憧れの人に会ったという極度の緊張から噛んでしまい。顔が真っ赤になる
「ふふ、まぁお茶でも飲んで落ちつくといい。紅茶?コーヒー?どっちがいいかね?」
笑われた事でまた真っ赤になるが
「コーヒーで」
「紅茶でお願いします」
返事をすると了解といい、ログハウスに歩いて行くダークネスの姿が完全に見えなくなった所で
「ああ~どうしよう、折角来たのに笑われてばっかだよ」
お互いに大きく溜め息を付く、
「どうしようか?何の話をすればいいのかな?」
「う~ん、取り合えず今の事話して、なにか相談に乗ってもらおうか?」
戻ってきてからの段取りが終わる頃にダークネスがポットとクッキーの盛られた皿を持って来た
「クッキーかビスケット、どちらにするのか迷ったので結局両方持って来たよ」
そう言って笑うダークネスだが、さっきまで緊張の所為で気付かなかったが何かその笑顔に違和感を感じる。まるで作ったような顔だ
(ねぇ、ティアなんかダークネスさんの笑い方に違和感感じるんだけど。そっちは?)
念話で話しかける、すると
(そうね、私も何か違和感を感じるわ、まるで悲しいのを全部我慢して無理に笑ってるって感じがするわ)
まだ実戦経験が少ないスバル達だが、前線に立つ者は例外なく感受性が強化される。さっきまで緊張で乱れていた感覚が元に戻り、ダークネスの笑顔の違和感に気付いたのだ。
「とりあえず話はお茶でも飲みながらにしようか?」
置かれた紅茶とコーヒーを口に運ぶ
「「美味しい」」
その紅茶はとコーヒーは今まで飲んだどの紅茶やコーヒーより美味しかった。私達の言葉に嬉しそうな顔をしながら
「このクッキーとビスケットは自信作なんだが・・味はどうかね?」
進められたクッキーとビスケットを口に運ぶ、甘さといいサクサク感といいこれもとても美味しかった。しばらく紅茶とクッキーを口に運んでいるうちに緊張も完全に解れ普通に話をしていた
「所で今二人は何処に部隊に配属されているだ?」
「機動六課ですよ」
クッキーを口に運びながら答えるスバル
「機動六課・・確かあの「不屈のエース・オブ・エース」高町なのはが居る部隊だったかな」
「そうですよ。所でさっきから私達の話し聞いてばっかじゃないですか。ダークネスさんの話もしてくださいよ」
さっきから話を聞いてばっかのダークネスさんに話をする様に言えたのはスバルだからだろう
「私の話しかね?そんなものが面白いとは思えないのだが・・」
「いえ、さっきから私達の事しか言ってないじゃないですか。だからダークネスさんの話も聞きたいんですよ、ねっ!スバル」
うんうんと頷くスバルと私の顔を見て
「判った、だが私は自分の話をするのが苦手なんだ、できれば質問してくれると有りがたいのだが」
交互に質問をしていくという流れになり、最初はスバルからだった
「じゃあ。いまダークネスさんは何してるんですか?」
「フリーの魔導師だな、今は休業中だがね」
「じゃあ、魔導師ランクは?」
「8年前から更新をしてないが確か空戦のB+だったかな?」
そんな感じで質問が続いたが、スバルが何かを思い出したように
「じゃあ、さっきのルーテシアっていう子は妹さんですか?」
「ルーテシアに会ったのか。だがルーテシアは私の妹ではないよ。ルーテシアは私の友の娘だよ」
「じゃあ。ダークネスさんに妹さんは居ますか?」
その質問でダークネスの顔に影が入る。聞いては活けないことだったかもしれない
「・・・妹か確かに私には妹が居るよ、4つ年下だがら今は19かな」
暗い空気が漂う、どうやら余り聞いて欲しくない内容だったみたいだ、空気を変えるためにスバルが
「そうだ!!魔法を教えてくれるって言ってましたよね。今日デバイス持ってきてるんですよ。良かったら教えても貰えませんか?」
持っていたバッグからリボルバーナックルとマッハキャリバー を取り出しながらスバルが言うと
「そういえば、そんな事をいった記憶があるな。ティアナもデバイスを持ってきているのか?」
さっきまでの暗い雰囲気が消えた事に笑みを浮かべながら
「ええ、私も持ってきてますよ」
ポケットから待機状態のクロスミラージュを取り出すと
「そうか、それならいい。教えられる事など殆ど無いと思うが少し訓練に付き合おう、デバイスを取ってくるから少し待っていてくれ」
「王よ、あの者達が言っていた妹君か?」」
ログハウスの奥から、銀髪の女性が現れる。見るものが見れば気付くだろう、この女性は消えた筈の初代リィンフォースにそっくりだ
「セレス。違うさあの二人は昔助けただけだ。それに私は妹に会うだけの勇気が無い」
「そうですか・・私がこんな事を言えた義理が有りませんが。私は妹君に会うべきだと思いますが」
「私もそう思うだが、怖いんだ・・会うのがな・・」
自嘲気味に呟くダークネス
「王よ・・」
私が声を掛けようとするが
「あった・・すまないがお前は隠れていろ。見つかると厄介だからな?」
探していたデバイスを持ち、ログハウスを出て行ってしまったダークネスに
「王よ、貴方はどうして一人になろうとするのですか?」
セレスと呼ばれた女性は悲しげにそう呟くと溶けるように消えた。いや姿があった所には一冊の本があった
それは剣十字が施された一冊の本、闇の書事件に関わった者なら気付くだろう、これは夜天の書にそっくりだ。そしてその表紙には天雷の書と書かれていた
第7話に続く