今回は第88話までの投稿です、内容はこうなっています
第85話 ハーティーンVS龍也 後編
第86話 スバル魔改造 前編
第87話 スバル魔改造 後編
第88話 ほのぼの
でお送りします、尚バカテスも更新したのでどうかよろしくお願いします
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第85話
ガキーンッ!!!
私の剣とハーティーンの剣が追突する・・私達は弾かれた様に後方に跳び再び間合いを計る・・
ジリ・・ジリ・・
お互いにゆっくりと間合いを計る・・私とハーティーンの実力はほぼ互角と言った所だ・・私がそんな事を考えながら間合いを取っていると
「来ないなら・・こちらから行くぞッ!!」
ハーティーンが痺れを切らしたのか突撃してくる
ビュンッ!!
鋭い風を切る音と共に迫る、ダガーをバックステップで後ろに跳びながら回避し、反撃にと上段から剣を振り下ろすが
「無駄だッ!!」
左手のダガーで私の攻撃を受け止め、そのまま右手のダガーが胴に向かって振るわれる
「!!」
即座に地を蹴り、バク転をしその攻撃を回避するが・・
カランッ・・
騎士甲冑の一部が音を立てて地に落ちる・・
(完全な回避は無理だったか・・それにしても強い・・)
剣を構え直しながらハーティーンを見る
「・・・・」
ダガーを油断無く構えるその姿はまったくの自然体だが・・隙は全く無い・・
(手加減をしていて勝てる相手ではないか・・仕方ない・・本気で行くとするか・・)
私は本気で行くと決め、剣をハーティーンに向けながら
「ハーティーン・・お前は本当に強い・・だから・・私も本気で相手をするとしよう・・リミット解除・・」
長い間自身にかけていた、リミッターを解除する・・それと同時に押さえ込んでいた魔力が解放される
ゴオオオッ!!!
凄まじい音を立てて解放された魔力が暴れまわる・・久しぶりに体が軽く感じる・・私はそんな事を考えながら体勢を低くする
「行くぞッ!!!」
ドンッ!!
一気に地を蹴り間合いを詰める
「!!!」
ハーティーンが驚きながらダガーを構えるが・・
「遅い!!」
横薙ぎの一撃を叩き込む
バキャン!!
鈍い音を立てて剣がハーティーンの甲冑に当たるが・・
(今のタイミングを外すか・・)
確実に胴を捉えたと思ったが命中してるのは篭手の部分・・あのスピードでも防ぐか・・そんな事を考えながら次々と剣を振るう
ガキン!!ガキン!!
ダガーと剣がぶつかり、火花を散らす・・信じられない事だが・・ハーティーンは私の本気に反応している
(信じられないな・・まさかここまでとは・・)
本気を出した以上直ぐに終ると思ったが・・ハーティーンは完璧に反応している・・いや・・それとは少し違う・・
(まるで私の力に反応しているようだ・・)
私と剣を交える度にハーティーンの力が上昇している・・
(まだまだ・・決着は付きそうに無いなっ!!!)
全力でハーティーン目掛け剣を振るうが
「ふっ!!」
マントを翻しその一撃を回避する・・目標を失った私の一撃はビルに命中し
ズッ・・ズズ・・・
ビルを両断する・・それを見ながらハーティーンは
「成る程な・・力を押さえ込んでいたか・・だが・・それでこそお前を倒す意味がある・・俺は貴様を倒し・・捜し求めた答えを得てみせる!!ダークネス・・スラッシュッ!!!」
両方のダガーに黒い魔力を纏わせ振るってくるハーティーンに
「はああああッ!!」
私も同じく魔力を纏わせた一撃を繰り出す
ズガガガッ!!!
お互いの魔力がぶつかり合い、凄まじい音を立てる・・私達は弾き飛ばされた様に後ろに跳び着地と同時に
「デモンズ・・・フィスト!!!」
「ヘブンズ・・・ナックル!!!」
お互いの拳から繰り出された魔力波がお互いにお互いを消し飛ばす・・お互いの魔力波が消えると同時に
「ヴァリアブル・・・シュートッ!!」
「ブラック・・・バーストッ!!!」
お互いの手の平から収束砲が放たれ・・また相殺しあう・・
「ブレイブ・・トルネードッ!!」
「ブラック・・トルネードッ!!」
お互いに竜巻を纏い体当たりを繰り出す
ズガガガガッ!!!
お互いの竜巻がお互いを喰らい、消し飛んでいく・・お互いに纏った竜巻が消えると同時に
「「ガイア・・フォースッ!!!」」
まったく同じタイミングで青い炎と黒炎の弾が放たれた・・
ドーンッ!!!
全く同じタイミングだった所為か、お互いに弾き飛ばされる
ズザザッ!!
地に後を付けながら体勢を立て直し・・ハーティーンを見る
「・・・・」
あちこち甲冑が陥没しているが、瞳に宿った闘志は消えていない・・いや寧ろ強くなっている・・そんな事を考えていると・・
「ふんっ!!」
ハーティーンの一撃が私の手を捉え剣を弾き飛ばす
「はぁっ!!」
こっちもお返しに蹴りを放ち、ハーティーンの手からダガーを弾きとばすが・・
「おおおっ!!!」
武器も無しに殴り掛かって来るハーティーンに
「はあああっ!!!」
こちらも拳を繰り出す、最強の守護者と最凶の騎士の戦いはまだ始まったばかりだ
「互角だ・・・」
私は龍也とハーティーンの戦いを見ながらそう呟いた・・ハーティーンの実力は本気の龍也と互角と言っても良いだろう
「玄武・・剛弾ッ!!」
「ぬんっ!!!」
お互いに魔力を込めた拳を繰り出す、次の瞬間
ドゴーンッ!!!!
とんでもない爆風が巻き起こる・・だが2人の動きはそれで止まらずに
「羅刹・・剛鉄甲ッ!!!」
龍也がハーティーンの懐に飛び込み、体を回転させながら2発裏拳を叩き込み、魔力波を打ち込む
「ぬううっ!!」
バキャンと音を立てて拳が黒い甲冑にめり込むが・・即座に龍也の腕を掴むハーティーンは一気に龍也を引き寄せ
「おおおおおっ!!!」
全力で拳を龍也の腹に叩き込む
「ごふっ・・・」
龍也の体が九の時に曲がり、一瞬動きが硬直するそして
「吹き飛べっ!!」
龍也の腹に掌を当てると同時に漆黒の魔力が放たれ、龍也を吹っ飛ばす、その隙にハーティーンがビルに突き刺さっていたダガーを抜き放つ・・だが龍也も同じくビルに突き刺さっていた剣を抜き放ち・・2人は同時に
「蒼龍・・月牙斬ッ!!!」
「暗黒月光剣・・三日月の太刀ッ!!!」
蒼い衝撃波と漆黒の衝撃波がぶつかり、お互いにお互いを消し飛ばす
「はああああッ!!!光刃閃ッ!!!」
龍也が蒼い魔力を纏いハーティーンに突撃する
「暗黒月光剣 新月の太刀ッ!!!」
同じ様にハーティーンも漆黒の魔力を纏い突撃する・・2人の剣がぶつかった瞬間
ドゴーンッ!!!!!!!
今まで一番凄い爆風が巻き起こった・・あれほどの一撃だ・・2人とも少なからずダメージを受けている筈だろうと思ったが・・
「・・嘘でしょ・・」
2人ともほぼ無傷で剣を振るっていた・・信じられない事だがお互いの攻撃の威力が同じで、完全に衝撃を相殺したとしか考えられなかった・・・私がそのことに驚いている間も龍也とハーティーンの戦いは続いていた・・
強い・・本当に守護者は強い・・俺はダガーを振るいながらそう感じていた・・守護者の剣は鋭くそして重い・・こうして弾き飛ばすのが精一杯だ・・だが不思議と負ける気はしない・・体の中からどんどん力が沸いて来る・・まだ戦える・・まだ動ける・・体は疲労しているのに俺の体は不思議と動き続ける・・
(判る・・この戦いで・・俺は俺が何者なのか・・判る筈だッ!!)
俺は渾身の力でダガーを振りぬいた
ズバンッ!!!
ダガーは守護者の肩の甲冑を切り飛ばすが
「はあっ!!」
こちらも肩の甲冑を切り飛ばされる・・互角・・まったくの互角だ・・肩の甲冑が切り飛ばされた事で一瞬体勢を崩した俺に
「はあああっ!!!
守護者の強烈な回し蹴りが叩き込まれる
「ぐあっ!」
完全な無防備な状態で喰らってしまい、凄まじい勢いで後方に弾き飛ばされる
「くっ!!」
なんとか体勢を立て直しビルの壁を蹴り、守護者に肉薄するが・・
シュン・・・
守護者の体が消え次の瞬間
「獅子吼・・烈破ッ!!!」
俺の体の下から強烈な魔力波が打ち込まれた・・
「ぐああああっ!!!」
ドゴンッ!!!
弾き飛ばされビルに背中からめり込む・・負ける・・勝てない・・俺の力は守護者に届かないのか・・俺が一瞬弱気になった時・・
キラン・・・
ラグナから貰ったペンダントが光る・・
(まだだ・・まだ負けていない・・俺には・・俺には・・まだ・・剣を握れるッ!!)
俺はビルから抜け出し、背中のバスターソードを抜き放ち・・
「守護者っ!!!これが俺の持てる最大の一撃だッ!!この一撃で俺は貴様を倒すっ!!!」
そう叫ぶと守護者も剣を正眼に構え
「ならば・・私も全力で立ち向かうまでっ!!いざ・・真っ向勝負っ!!!」
そう叫び返す守護者に内心感謝した・・俺は既にボロボロ・・守護者にはまだ余力がある・・離れて砲撃を使えば楽に俺に勝てる・・だがあえて剣での勝負に乗ってきた守護者に感謝しながら剣を上空に向ける
「雷天・・蒼覇・・」
ズガーンッ!!!
雲から電撃が落ち俺の体に帯電する・・それと同時に体勢を低くする・・守護者の方を見ると
「・・・」
剣を鞘に戻し俺を見る守護者・・向かい打つ準備は万全か・・そんな事を考えながらすり足で近付き・・お互いの間合いに入った時
カッ!!!
ビルの上から瓦礫が落ちる・・それと同時に駆け出す
「おおおおおっ!!!!」
雷を纏い守護者に迫る・・守護者も駆け出し
「届けっ!!!雲耀の速さまで!!!奥義・・斬神刀・・・雲耀の太刀ッ!!!」
俺と守護者の体が交差した・・
「「・・・・・」」
暫くお互いに交差した体勢のままだったが・・守護者が膝を着く・・俺は守護者の方を見ながら
「ふっ・・俺の・・負けか・・」
バキンッ・・
バスターソードが砕けると同時に俺は崩れ落ちた・・
(結局答えは見つからなかったか・・・)
俺はそんな事を考えながら終わりの時を待っていた・・
ザッ・・・
守護者が俺の前に立つ・・
(捜し求めた答えが見つからなかったが悔いは無い・・俺は満足している・・)
俺は目を閉じた・・だが次の瞬間
「駄目!!お願いだから・・ハーティーンを殺さないで・・ハーティーンは優しいの・・ハーティーンは悪者じゃないの!!だから・・お願いします・・ハーティーンを殺さないで・・」
涙ながら俺を庇うラグナに守護者は
「・・」
俺の顔の横の瓦礫に剣を突き刺した・・そして
「デクスのハーティーンは死んだ・・ここにいるのはハーティーンだ・・殺す必要はない・・そしてお前が私達とジオガディスと戦うと言うなら・・一緒に来い・・私はお前を味方を認める」
そう言い瓦礫から剣を抜き放ち、俺から離れる守護者に
「甘いことだ・・俺がお前達を裏切るとは考えないのか?」
俺がそう言うと守護者は
「裏切ったら私はお前を殺さないといけない・・だから裏切らないで貰えるとありがたい・・」
そう笑う守護者を見ていると
「ねぇ・・ハーティーン・・八神中将に協力して・・それで私の傍にいて・・」
俺の手を握るラグナ・・俺はラグナを護りたい・・なら傍にいるのが一番良い筈・・俺はそう考え頷くと
「本当!・・良かった・・ハーティーン・・」
笑い掛けてくるラグナを見る・・そして気付いた・・ラグナの上空で剣を構えているヘルズに
「!!ラグナッ!!」
俺はラグナを突き飛ばした・・それと同時に
「がはっ・・」
ヘルズの短剣が俺を貫いた、そして俺はその場に倒れ込み意識を失った・・
「ハーティーン!!・・やだやだ・・死んじゃやだよぉっ・・」
ラグナの泣き声で俺は意識を取り戻した・・
「ラグナ・・?・・どうして泣いている?」
俺は手を上げようとするが手が動かない・・それどころから体の感覚もないゆっくりと目だけ動かし足を見る・・
「そうか・・俺は・・死ぬのか・・」
ゆっくりと足の方から粒子化している・・
「ラグナ・・ありがとう・・俺はお前のおかげで答えが見つかったのかもしれない・・」
ラグナにありがとうと言うと
「ハーティーン・・」
ラグナが俺の手を握る
「俺はきっと・・護る者が欲しかったんだ・・守護者や科学者が羨ましかったんだ・・」
そうだ・・俺は羨ましかったんだ・・護る者がいる守護者達が・・
「最後に・・最後に・・お前を護る事が出来た・・俺はそれで満足だ・・」
粒子化が胴に来る・・自然と怖くはなかった・・
「八神中将!!ハーティーンを治せないの!!このままじゃ・・ハーティーンが死んじゃうよ・・」
涙ながら守護者に詰め寄るラグナに
「無駄だ・・俺達に回復魔法は効かない・・俺達は死人なのだから・・」
俺達は仮初の命で動いているに過ぎない・・だから俺には回復魔法は使えないのだ
「でも・・このままじゃ・・死んじゃうんだよ?」
動かない手を無理して動かしラグナの頭に手を置き
「大丈夫・・俺は傍にいる・・姿は見えなくても・・お前を護ってる・・だから・・大丈夫だよ・・ラグナ・・」
俺は最後にそう言うと、俺の意識は闇に沈んだ・・
カタンッ・・・
ハーティーンが消滅し、首から下げていたペンダントがラグナの前に落ちる
「ぐす・・ハーティーン・・うう・・」
涙を流しながらラグナはそのペンダントを拾い上げる
「ぐす・・ぐす・・助けてくれて・・ありがとうございました・・私・・もう帰りますね・・」
涙を流しながら歩いて行くラグナの姿を見ていると
「龍也・・ハーティーンはもしかしたら・・操られてた騎士だったのかもしれないね・・」
フェイトが横に立ち言う・・私もそれは感じていた事だった・・ハーティーンはネクロやデクスと違い邪悪な気配はしなかった・・どこまでも誇り高い騎士だった・・
「そうかもしれない・・だがもう遅い事だ・・ハーティーンは死んだ・・最後の最後に護りたい者を護ってな・・」
敵だったが・・どこまでも気高い騎士であった・・もし敵として出会わなければ良い友になれたのかもしれない・・
「帰ろう・・はやてに報告しないといけないからな・・」
胸に募る不快感を抱えたまま、私達は六課に戻った・・異端の騎士は死んだ・・筈だった・・パンデモニウムがある渓谷の下に灰色のクリスタルがあった・・それに漆黒の粒子が吸い込まれていく・・そして灰色のクリスタルは徐々に青い輝きを放ち始める・・そのクリスタルの中には1人の男の姿があった・・・
第86話に続く・・