竜王国。今やその名を知らぬものはいない。
竜王国は、代々竜王の血筋が治めてきた国だ。
なぜ竜王がこの国の守護竜となったかはわからないが、人々は竜王を崇め、尊敬している。
竜王は竜王国に無くてはならない存在となっている。
「血筋・・・か」
真っ白い大理石の部屋で、少女はひとりつぶやいた。
この少女は竜王国第一王女、朱宮イツキ。齢12歳。
幼いながらもこの少女は次期に王となる身の才能を発揮し、竜王国民に慕われている存在である。
「?」
なんだろう、先程から部屋の外でだだだだダダッ、という音が聞こえる。
誰かがこの部屋に向かって駆けて来ている。
「いッつきーーー!!!!!」
「!!凪!?」
やっぱり。
イツキの幼いころからの親友である凪は、いつもイツキに部屋に来るたび、走ってくるのだ。
音の主はだいたい見当がついていたのである。
「凪どうしたんだ?」
「へ!?どうしたのって・・・今日は竜王祭でしょ!?」
竜王祭とは、年の始まりにあるもので、今年も竜王様のご加護がありますように、というまつりだ。
イツキは毎年凪といっしょに行くのだが、今年は公務が忙しすぎてすっかり忘れていた。
「わ、忘れてた・・・。ごめん、父上が病に臥しておられて・・・。」
「なるほど。それで国王のぶんの仕事が全部イツキにまわってきてるわけか。大変だねー」
「うん・・・」
公務のことはまだいいのだが、イツキは父のほうが心配だった。
イツキの母・・・つまり竜王国王妃は、原因不明の病でなくなってしまった。
今の父の病気も、原因がわかっていない。
なので、イツキは父が母のようになるのではないかと、心配だった。
「ねえ、公務、まだ終わらない?」
「ううん、もう少ししたら終わるんだ。」
「じゃあさ、公務終わったら竜王祭行こうよ。イツキはどうせ王女様だから行かなくちゃいけないでしょ?」
「そうだな。分かった、少し待っていてくれ。」
そう言ってイツキはせっせと書類を片付けていた。
☆
「わあ~、今年も大盛況だね、竜王祭!」
「ああ。去年より出店数が増えているし、何より賑わっている!」
イツキは竜王祭の視察がてら、書類を片付けて凪と共に出店エリアに来ていた。
「イツキ様!竜王祭はどうですか?」
イツキと凪はブラブラと歩いていると、イツキの従者の白銀が現れた。
「白銀。大いに賑わっていて楽しいな、竜王祭は。」
「はい!イツキ様も竜王祭をお楽しみください。・・・それと、午後からイツキ様の出番がありますので、
会場の方へお越しください。」
「わかった。」
白銀はそう言ってたこ焼きの屋台の穂に走っていった。
毎年竜王祭には竜王国全地帯から出店希望者が来る。
なので毎回竜王祭はさまざまな料理や雑貨の店、その地方にしかない珍しい果物の店など、ジャンルはいろいろで楽しいのだ。
この時、イツキはまだ知らなかった。
これから、始まりとなる力が目覚めるのを。