竜王の朱戦姫   作:歩実

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第1話

竜王国。今やその名を知らぬものはいない。

 

竜王国は、代々竜王の血筋が治めてきた国だ。

 

なぜ竜王がこの国の守護竜となったかはわからないが、人々は竜王を崇め、尊敬している。

 

竜王は竜王国に無くてはならない存在となっている。

 

「血筋・・・か」

 

真っ白い大理石の部屋で、少女はひとりつぶやいた。

 

この少女は竜王国第一王女、朱宮イツキ。齢12歳。

 

幼いながらもこの少女は次期に王となる身の才能を発揮し、竜王国民に慕われている存在である。

 

「?」

 

なんだろう、先程から部屋の外でだだだだダダッ、という音が聞こえる。

 

誰かがこの部屋に向かって駆けて来ている。

 

「いッつきーーー!!!!!」

 

「!!凪!?」

 

やっぱり。

 

イツキの幼いころからの親友である凪は、いつもイツキに部屋に来るたび、走ってくるのだ。

 

音の主はだいたい見当がついていたのである。

 

「凪どうしたんだ?」

 

「へ!?どうしたのって・・・今日は竜王祭でしょ!?」

 

竜王祭とは、年の始まりにあるもので、今年も竜王様のご加護がありますように、というまつりだ。

 

イツキは毎年凪といっしょに行くのだが、今年は公務が忙しすぎてすっかり忘れていた。

 

「わ、忘れてた・・・。ごめん、父上が病に臥しておられて・・・。」

 

「なるほど。それで国王のぶんの仕事が全部イツキにまわってきてるわけか。大変だねー」

 

「うん・・・」

 

公務のことはまだいいのだが、イツキは父のほうが心配だった。

 

イツキの母・・・つまり竜王国王妃は、原因不明の病でなくなってしまった。

 

今の父の病気も、原因がわかっていない。

 

なので、イツキは父が母のようになるのではないかと、心配だった。

 

「ねえ、公務、まだ終わらない?」

 

「ううん、もう少ししたら終わるんだ。」

 

「じゃあさ、公務終わったら竜王祭行こうよ。イツキはどうせ王女様だから行かなくちゃいけないでしょ?」

 

「そうだな。分かった、少し待っていてくれ。」

 

そう言ってイツキはせっせと書類を片付けていた。

 

 

 

 

「わあ~、今年も大盛況だね、竜王祭!」

 

「ああ。去年より出店数が増えているし、何より賑わっている!」

 

イツキは竜王祭の視察がてら、書類を片付けて凪と共に出店エリアに来ていた。

 

「イツキ様!竜王祭はどうですか?」

 

イツキと凪はブラブラと歩いていると、イツキの従者の白銀が現れた。

 

「白銀。大いに賑わっていて楽しいな、竜王祭は。」

 

「はい!イツキ様も竜王祭をお楽しみください。・・・それと、午後からイツキ様の出番がありますので、

会場の方へお越しください。」

 

「わかった。」

 

白銀はそう言ってたこ焼きの屋台の穂に走っていった。

 

毎年竜王祭には竜王国全地帯から出店希望者が来る。

 

なので毎回竜王祭はさまざまな料理や雑貨の店、その地方にしかない珍しい果物の店など、ジャンルはいろいろで楽しいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

この時、イツキはまだ知らなかった。

 

 

 

これから、始まりとなる力が目覚めるのを。

 

 

 

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