雁夜おじさんに憑依してしまった大学生   作:幼馴染み最強伝説

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というわけでキャス孤に決定いたしました!

はっきり言ってキャス孤の事はほぼ知りませんが、なんとか頑張って書いていきます。

結局シリアスバトルの中にもラブコメ入っちゃってなんかすみません。タグからもサーヴァントそのままも消しておきますね。


英霊召喚?

時は満ちた。

 

陽は既に没しており、桜も眠りについている。

 

俺が何をしようとしているのか?それは至ってシンプルな答え。

 

俺が間桐雁夜に憑依してから一年と少し。

 

長かったようであり、短かったようでもあった。

 

魔術に関する知識を身につけたり、桜と遊んであげたり、聖杯戦争に関する知識を身につけたり、やっぱり桜と遊んであげたり、聖杯戦争のための下ごしらえをしたり、三度桜と遊んであげたり……桜率高いな。

 

というのも、あの日以降、一日に一回はレビテト+ヘイストの遊びを桜が要求してくるのだ。

 

時折、他の魔法を見せて欲しいとの事で白魔法を重点的に見せてあげた。黒魔法は見せる必要はないしな。臓硯に警戒されるかもしれないし………今更か。

 

懐かしいなぁ……桜ってば、クリスマスのサンタさんからのプレゼントに「さくらにもふしぎなちからがつかえるようになりますように」って書いてたっけ。無茶言わんでください。

 

しかし、朝起きた時に桜が咽び泣いている姿を見るのは俺としても本意ではないどころか、サンタさんを殺しに行っちゃうレベル。子どもを泣かせる存在は何人も生かしてはならんのだ………あ、俺か。

 

そこで俺は考えに考え抜いた。どうにかして、桜にそれっぽい形のものを渡しつつ、その場を無事乗り切る方法を。

 

悩みに悩みぬいた末、至った結論は………グリモアだった。

 

そうだ。グリモアあるじゃない。

 

グリモアとは即ち魔道書の類であり、FFにおける学者というジョブに必須のアビリティである。

 

効果を手動で消すことはできず、常に上書きし続けるしかない。一度どちらかのグリモアを発動させると未発動状態に戻すのはほぼ不可能ということだった。例外は色々あるから、基本的にが正しいな。

 

グリモアの欠点としては白と黒の両方を兼ね備えた状態が不可能であること。

 

どちらかが得手になれば、どちらかは不得手になる。

 

とはいえ、桜には白魔法さえ覚えさせておけば特に問題はないから関係ないが。

 

俺は祈った。

 

祈祷師もびっくりするぐらい、祈り、念じ続けた。その時間僅か十秒。

 

あっさり出てきた。マジかよ、御都合主義じゃねえかの二言だけしか出てこなかった。

 

だが、そんな事はどうでもいい。

 

日が昇り始めていたので、俺はレビテトとヘイストを使用して、静かに桜の部屋に移動。

 

枕元にグリモアを置いて、自室に帰った。

 

その瞬間に悩みから解放されたことで脱力感と眠気が凄まじい事になったが、ものの十分程度で桜が起床。俺の部屋にグリモアを手にして突入してきた。

 

あの時の桜の目は未だに忘れられない。

 

それこそギャグ漫画か何かのように目が星マークになっていて、周囲にも星マークがたくさん見えた。

 

とはいえ、何事も全部が全部上手くいくとは限らなかったようで、桜は詠唱をしても、白魔法を発動させる事が出来なかった。

 

理由として考えられるのは原作雁夜同様に魔術回路はあるが鍛えられていない事か、或いはやはり桜といえど魔術師としての稀有な存在であれ、魔導師である俺とは違うこと。

 

どちらにしても使えなかった当初は酷く落ち込んでいたが、其処はなんとか説得して、そのうち使えるようになると言い聞かせた。

 

結局は桜は魔法を使う事が出来なかったが、正直ホッとしている。

 

俺としては桜には普通の人間として生きて欲しい。

 

桜にとっての魔法使いは俺だけでいい。裏で血を血で洗っているような闘いをしているなんて知る必要性は何処にもない。

 

時臣はわざわざ間桐に養子に出したのに。などとほざくかもしれないが、知ったことか。名目上、鶴野の養子ならば俺もそういう事は言ってやれないが、俺の養子ならば桜の幸せを優先する。こんな血なまぐさい、血という因果で縛られた世界を知る必要はない。

 

「どうした、雁夜よ。よもや怖じ気付いたのではあるまいて?」

 

「ぬかせ。色々と、思い出していただけだよ」

 

だからこそ、俺は今回の聖杯戦争にあの子を巻き込むわけにはいかない。

 

そして次回の戦争は何としてでも阻止する。その為に時臣だけは最悪でも生かす必要があるんだ。

 

「雁夜。サーヴァント召喚の詠唱文、しかと覚えてきたな?」

 

「ああ。バーサーカー召喚には通常の詠唱文に二節付け足すんだろ?知ってる」

 

「ならば良い。主に相応しい聖遺物を用意したでな。父の親切に感謝せい」

 

「わかったわかった。さっさと始めるぞ」

 

誰がお前なんぞに感謝するか。全部が全部お前の私利私欲の為に必要な過程なんだろうが。

 

臓硯の手で聖遺物が魔法陣の中心に置かれる。

 

臓硯が魔法陣から出ると同時に俺は魔法陣へ向けて左手をかざし、詠唱する。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公」

 

「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

 

詠唱文を告げるごとに魔法陣の光が強さを増していき、そこに圧倒的なまでの魔力が集中していくのを感じる。

 

「――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」

 

このタイミングだ。

 

俺は召喚の詠唱の中に二節。バーサーカーを呼び出すための呪文を唱える。

 

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――」

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

詠唱し終えると同時に膨大な魔力による風が吹き荒れる。

 

身体の中にある魔力がものすごい勢いで奪われていく。視界の片隅に見えているMPが徐々にどころじゃない速度で減っている。そのせいか、普段はあまり感じない魔力の喪失感を感じる。

 

魔法陣による光が収まった時、その魔法陣の中心に立っていたのは……

 

「イケメン魂に惹かれて割り込み推参。別に呼ばれてませんけど、私情を挟んで即参上、軒轅陵墓から、良妻狐のデリバリーにやってきました!」

 

……………え?誰?

 

あるぇ〜?おっかしいなぁ〜?

 

確か、俺はバーサーカー呼びましたよね?詠唱しましたよね?

 

何がどうなったら、狐耳のと尻尾の生えた際どい格好の美女が出てくるんだ?

 

「あ、あれ?掴み間違えたかな?えーと、貴方が私のご主人様……ですよね?」

 

「え?あー……その魔法陣から出てきたなら、多分」

 

ていうか、さっきさりげなく割り込み推参とか言ってたから多分そう。臓硯の驚きっぷりから察するに何の接点もない奴が聖遺物の恩恵をぶっちぎって、召喚されてきたらしい。何やってんだ、このやろう。

 

「はい。では、これにて契約成立です。これからよろしくお願いしますね、ご主人様(マスター)♪」

 

「よ、よろしく……」

 

「ちょ〜っと性能はピーキーなんで不満かも………って、あれ?あれれ?」

 

「どうかしたか?」

 

「何故か知りませんけど良い感じにステータスが上がってるんですよ。ぶっちゃけ漲ってます」

 

自分の身体の至る所を見回し、何故かドヤ顔のケモ耳ち……じゃなかった、美女。

 

しかし、まあ、漲ってますって言われてもなぁ……元のステータス知らないからなんとも言えないんだよな。ピーキーって事は相当偏ったステータスだったと見るべきだが……

 

「ところでご主人様。あそこにいる気色の悪い蟲はなんですか?消しちゃってもいいんですか?」

 

結論早いよ……気色の悪い蟲は消すに限るけど。

 

「ストップ。確かにもう臓硯(それ)に用は無いけど、引導を渡すのは俺の役目だ」

 

「何?」

 

「つまり、今日がお前の命日だって事だよ、臓硯」

 

「カ、カカカカカカッ!面白い!儂を殺すと申すか!たった今召喚したイレギュラーサーヴァントではなく、主の手で!」

 

出来るもんならやってみんかい。端的に言うと臓硯の台詞はこんな感じだ。はっはっはー、嘗めてると痛い目にあうどころの騒ぎじゃないってことを教えてやんよ。

 

Magne(マグネ)

 

詠唱不要。どうせ死ぬんだ。こいつには魔法の名前だけ言っておけばいい。

 

魔法を詠唱すると同時に臓硯に向けて、蟲が集結していく。

 

人の形をしていた臓硯も、圧倒的数量の蟲に人型を維持することはかなわず、本格的にただの蟲の集合体とかした。

 

「うへぇ……人型じゃなくなると気持ち悪いを通し越して、オブジェにすら見えますね」

 

「随分と愉快なオブジェだ。その愉快なオブジェにはご退場願うとするか……Desion(デジョン)

 

臓硯だったものの足元に真っ黒い穴が出現する。

 

そして、その穴の中に徐々に臓硯は沈んでいく。本編だと命中率の問題のある技だから、どうなるかと思ったが、普通に当たるのな。

 

『ヌゥ……!ナゼダ!ナゼ、ハナレラレナイ!』

 

お前じゃ一生わからねえよ、ジジイ。もちろん、お前以外にもな。

 

『シニタクナイ!ワシハ!ワタシハァァァァァァ!』

 

「どれだけの間、身体が持つか知らないが…………朽ち果てるまでの間、次元の狭間で自らの犯した過ちを懺悔しながら死ね。マキリ・ゾォルケン」

 

穴に全ての蟲が飲み込まれ、消え失せる。これで臓硯は二度とこちらの世界に帰ってくることはないだろう。この世界に次元の狭間なんて概念が存在するかわからないが、どちらにしろ、奴の命はもって半年。その間、自らの肉体が朽ち果てていく恐怖と絶望に苛まれながら、死のその瞬間まで、その醜悪な願いのためだけに犠牲にしてきたものたちへ懺悔しながら滅びていくことを祈るだけだ。

 

さてと、後はこのイレギュラーサーヴァントだが……

 

「キャー!なんですか、さっきのキメ顔!ちょーかっこいいじゃないですかー!しかも次元魔法だなんて、ご主人様ったら、ちょー強いじゃないですか!私必要ですか?」

 

「いや、流石にサーヴァントを相手取ったりは出来ないし………え?次元魔法?」

 

このケモ耳。さっき次元魔法とか言ったよな?なんで知ってるの?

 

「え?違うんですか?どう見ても次元魔法の類に見えましたけど」

 

「え……見ればわかるの?」

 

「そりゃまあ……キャスターの適正()ありますから」

 

「じゃあ、キミはキャスター……なのか?」

 

「いえいえ、キャスターではありませんよ?さっきも申しました通り、適正はあるだけですし、基本的にはキャスターとして呼び出されますが、なにぶん今回は事情が事情です。よって少々といいますか……イレギュラー枠として馳せ参じましたわけです」

 

基本的にはキャスターで呼ばれるサーヴァントをイレギュラー枠で召喚?ということはエクストラクラスということか?そりゃまた難儀なやつを召喚したもんだ。

 

「まぁ、いいか」

 

「まぁ、いいかって……私が言うのもあれですけど、ご主人様軽すぎません?」

 

「細かい事は気にしない主義なんだ」

 

イレギュラーは色々と想定外な上にキャスター適正のあるという事は正面切って闘うタイプでもなさそうだが、なんとかなるだろう。え?AUO?時臣の右手ちぎってから、俺が再契約すれば良くね?

 

しかし、まあ。

 

このケモ耳美人は何処の英霊なのだろうか。

 

生憎、ゼロとステイナイトしか知らん俺には全く分からん。もしかしてエクストラのキャラクターか?

 

AUOキャストオフくらいしかわかんねえよ。後、アーチャーがうんたらかんたら。

 

ケモ耳生やした尻尾が三本(・・)のサーヴァントってなんだよ。

 

「まさか、九尾だったりして……んな訳ないか」

 

あはは……と誤魔化し笑いをしてみるが、ケモ耳美人は冷や汗をダラダラと流しながら視線を逸らした。

 

え……嘘だろ。まさか、ビンゴなのか?

 

いやだって、いくら狐っぽい耳で狐っぽい尻尾だからって、それはないだろ……。

 

と思ったところで一つだけ。思い当たる節があった。

 

ゲームをやったことも動画を見たこともない俺だが、名称だけは知っている。

 

キャスターの呼び方の中で『キャス孤』と呼ばれるキャスターがいた事を。

 

どんなのか気になって設定だけ調べたっけ。確か、真名は………

 

「ご、ご主人様?おそらく、私の正体に気づいているようなので、お願いがあるんですけど……出来れば、その……聖杯戦争の事もありますし、真名ではなく、クラス名で呼んでくださると私としては嬉しいです。個人的な事情もありますし……」

 

どうやら真名はケモ耳美人もといキャス狐には地雷だったらしい。

 

「悪い。俺が無神経だった………それでクラスの事なんだが……」

 

「あ、すみません。私とした事が、まだマトモに自己紹介してませんでしたね。これでは良妻失格ですね!」

 

りょうさい?何のことだろう。よくわからないが、それは今は置いておこう。

 

「真名は御察しの通りです!此の度、バーサーカーのクラスで呼ばれるはずだった方を押しのけて、割り込ませていただきました!サーヴァント、従者(サーヴァント)です!」

 

サ、サーヴァント?そんなクラスあるのか?

 

というか、サーヴァント、サーヴァントって一瞬何言ってるのか全然わからなかったんだが……。

 

「あー、わかりますよ。呼び辛いとか、何言ってるのかわからないって思ったんですよね。わかりますわかります。私だって、こんなややこしいクラスになるなんて微塵も思ってませんでした。なんですか、サーヴァントって。一瞬どもってるのかと勘違いされる可能性すらありますよ」

 

今度は自分のクラスについて悪態をつき始めた。なんというか自由奔放だな。

 

とはいえ、一応自己紹介されたので、俺も自己紹介しよう。

 

「俺の名前は間桐雁夜。訳あって聖杯を壊す為に聖杯戦争に参加してる。よろしく、サーヴァント」

 

 

 

 




キャス孤のクラスはトラブる道中記の大河のクラスから。呼び辛いですけど勘弁を。


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