SWORD ART ONLINE~とあるゲーマーの軌跡~   作:神爪 勇人

1 / 3
書き直し


序章:絶望への序曲(オーバーチュア)
第1話 βテストを終えるゲーマー達~2022年8月31日~


「そんじゃあ、ま・・・一旦お別れだな」

 

2022年 8月31日。

このVRMMORPG・・・ソードアート・オンラインのβテスト最終日。

俺達は第1層の『はじまりの街』に強制転移され、ゲームを終了しようとしていた。

 

「結局、10層は攻略出来なかったな・・・・・・」

 

俺と変わらない背丈をした、煌びやかな金属鎧を装備している勇者然とした黒髪イケメンが、やや無念そうに虚空に視線をやり呟く。

ま、ゲームだから当然俺達の姿形はアバターな訳で、リアルでもコイツが長身のイケメンとは限らんが。

 

「ま、仕方ないダロ。迷宮区があまりにもデカすぎて複雑すぎタ。アレはボス部屋に辿り着くだけでも1週間位かかるんじゃナイカ?」

 

ベラボウにスタイルが良い、鼠のヒゲの様なペイントを顔に施した女性が、イケメンの言葉に肩を竦める。

プレイヤーネーム、キリトとアルゴ。

俺がこのβテストで、よくつるんでたギルド外のプレイヤー達だ。

 

「みんな、正式版もプレイするんだよね?」

「そりゃ、そうでしょう。βテストを最後までやり切って正式版をプレイしない理由はありませんし」

「楽しみだよねー」

 

そして俺が所属するギルドのメンバー。

黒髪短剣使いのコハル、オレンジポニーで片手剣使いのエリス、水色ポニーでハルバード使いのノエル。

少数のマイペースでゲームプレイするギルドだが、一応βテストではそこそこ名の通ったギルドだ。

階層主の攻略にだって参加していた。

ま、中学3年で部活は夏の大会が終わって引退して、やる事がなくて暇してて趣味であるゲームに没頭してたから出来た事かもしれんが。

βテスト期間は8月いっぱいで、俺は夏休みだし、四六時中SAOをやり続けた。

既に部活のスポーツ推薦で、進学する高校が決まって受験勉強の必要がないから出来る事だがな。

俺以外にもそういう推薦組はいるが、大半の同級生は受験勉強真っただ中だろう。

同情するぜ・・・。

この1ヶ月ゲーム三昧な俺に同情されても嫌味にしかならないだろうが。

 

「発売日って10月の31日だっけ?」

「発売日はナ。正式サービス開始は11月6日ダゾ」

「始まるのが待ち遠しいですね」

 

俺達βテスターは正式版パッケージの優先購入権がある。

おそらく即完売するであろうこのゲームを購入するのは、そう難しくはないだろう。

ま、お値段は3万9800円とゲームソフトとしてはかなりお高めだが。

ナーヴギアが出るよりも以前のゲーム機並みの値段だしな。

 

『《ソードアート・オンライン》ベータテストにご参加いただき、ありがとうございました』

「お?」

 

アナウンスが流れた。

てことは、もうそろそろ終わりか。

 

『本日、午後5時をもちまして、ベータテストは終了いたします。ベータテスト終了に伴い、全てのプレイヤーデータはリセットされます。正式版のご参加を、心よりお待ち申し上げております』

 

アナウンスが終了し、周りにいたプレイヤー達が次々と青い光に包まれて消えていく。

ログアウトが始まったか。

 

「それじゃあな!」

「またナ!」

「次は正式版で会いましょう!」

「まったねー!」

 

キリトが、アルゴが、エリスが、ノエルがログアウトしていき、

 

「それじゃあ、またね! ユウイチ」

「おう、またな」

 

コハルが消えて、最後に俺もログアウトした。




『VRマシン』
完全(フル)ダイブ」を可能としたVR技術を搭載したマシン。
ハードの内側に埋め込まれた無数の信号素子で発生させた多重電界でユーザーの脳を直接接続し、感覚器官を介さずに脳に直接仮想の五感情報を与えて仮想空間を生成する。
同時に脳から体へ出力される電気信号も回収するので、仮想空間でいくら動き回っても現実世界の体は一切動かない。
また、一定以上の痛覚もペインアブソーバ機能によって遮断される。

ナーヴギア(NerveGear)
民生用VRマシンの第1号機。
形状は頭全体を覆う流線型のヘッドギア。
基礎設計は茅場晶彦。
世界初のフルダイブ技術を用いた家庭用ゲーム機として様々なメーカーから発売され、絶大な売り上げを記録した。
価格はSAO同梱版で12万8000円。

『VRMMORPG』
正式名称は「Virtual Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game」。
フルダイブマシンによる仮想空間を舞台とした新世代のMMORPG。
限りなく現実に近い環境下にて生み出される圧倒的な臨場感は既存のあらゆるゲームを過去の物とし、世のゲーマー達にとって正に究極のRPGを体現したジャンルとなった。

『Sword Art Online』
略称は「SAO」。
完全なる仮想世界を構築するナーヴギアの性能を生かした世界初のVRMMORPG。
価格は初回生産版が3万9800円(1か月無料券付き)。
2022年10月31日にゲームメーカー「アーガス」より発売。
期待は非常に高く、初期出荷分1万本は瞬時に完売。
自らの体を動かし戦うというナーヴギアのシステムを最大限体感させるべく魔法の要素を完全に排し、ソードスキルという必殺技とそれを扱うための無数の武器類が設定されている。
デバフ効果を持ったソードスキルや、索敵・聞き耳・バトルヒーリング(戦闘時回復)等の戦闘補助スキルと言った魔法と同様の効果を持つスキルは存在する。
また戦闘用以外のスキルも多数用意され、ゲーム内で文字通り「生活」することができる。

『浮遊城アインクラッド』
SAOの舞台。
無限の蒼穹に浮かぶ巨大な天空城。
アインクラッドとは「An INCarnating RADius(具現化する異世界)」の略である。
城の名の通り先細りの構造をもつ。
内部には都市や村、森や湖など様々な「フィールド」を内包し、形状こそ城だが質量的には浮遊大陸に近い。
最も広大な第1層の直径は10km、最も狭い層でも3kmに及ぶ。
通貨単位は「コル」。
全100層で構成され、上下のフロアを繋ぐ階段は各層1つのみ。
その全てが怪物のうろつくダンジョン「迷宮区」に存在し、階段の直前には強力なフロアボスが立ちはだかっているため、これを倒さなければ上の階へは進めない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。