Re:Date. -リ・デート- 作:Kuro∀
(……ん)
真っ暗な空間に手を伸ばす。
……ガタッ…
蓋のようなモノが目の前からずれる音がした。
突如、目の前が痛いくらいに白くフラッシュする。
反射的に身体を起こした。
しばらくして、景色が目に留まるようになると、自分がどうやら箱の中のような場所にいる事が理解できた。
(……棺桶?)
私は……何をしていたのだろうか……
長い間、目を覚ましていない気がする。
周りを見渡すと無謀に雑草ばかりが生え、多少の光が葉と葉の間をすり抜けて風と共に揺れている。
そして、私が居たこの棺桶は黒く、此処の景色にはどうも不自然であった。
全く見覚えのない場所……
だが、何もしないわけにはいかなかった。記憶のないこの状態のままでは生きる事すらままならないであろう。
__私はこうして、知らない道を歩き始めた______
どれほど歩いただろうか……
心身共に疲れ、素足にチクチクと刺さる草木は余計に私が進むのを拒んでいるようであった。
どうにか出口を見つけたい一心で一歩一歩雑路を進む。
ふと、少し大きな木々の隙間が見え、出口と願いながら早足で近づく。
自分の身長を遥かに越すほどの草を掻き分けると、先の尖った木の板の立て札ような物を見つけた。汚れや傷だらけでよくは見えなかったが、『ブロードフ城』と記されていた。
「…ブロードフ城…ブロードフ城………」
必死に草を掻き分ける。
すると、
たちまち視界が広がっていく。
青い空には透けた白い雲が浮かび、地平線には水面《みなも》
がキラキラと輝く海があり、左に見える草原はサラサラと風に揺らされて、手前には大きな音を立てる滝があった。
これぞ、『絶景』という名に相応《ふさわ》しい景色だ。
「……綺麗…」
自然の多く含まれたこの画《え》に魅入り、足が前へと送られた。
カタッ……ガタガタッ!
「…ぇ?き、きゃ……!!」
視界が宙に大きく揺れ、身体がふわりと浮いた。そのまま崖の下へと落ちていく……
(だ、誰かっ……)
ドスッ……
「痛っ!!……ぅっ」
お尻から落ちたお陰で致命傷を負わずに済んだが、とても耐えられる痛さではない。それに……足も一人で立てる状態ではなかった。
(……どうしよう)
「大丈夫ですかぁーっ!?」
遠くの方から誰かが駆けてくる音がした。
「……ぁ、あぁ、大丈夫で……」
大丈夫ではないが、咄嗟に言葉が出てしまう。
「はぁ…はぁ……」
私よりも幼い男の子は全速力で走ってきたせいか、息を整えている。
「も、もぅ……びっくりしましたよ。急にすっごい大っきな音がしたんですからっ!」
「……あぁ、すみません……でも、大丈……」
「大丈夫じゃないですよ、かなり重症ですよ!生きていた事すら奇跡に近いんですから…」
そう言って、少年は私の頭上の方を指差す。
かなり高い所から落ちたようだ……
「僕のうちで手当てしますから、遠慮しないでください。」
少年は私の肩を抱えて、家まで補助してくれた。
崖から少年の家まではそう遠くなく、短い道のりだった。少年は自分の家の扉を開け私を椅子へと誘導してくれた。部屋の中は小柄な外見ととてもよく似合うオシャレな感じだ。
(誰かと住んでいるのだろうか……?)
「すぐ終わりますから。」
少年は小さな木の棚から救急箱をとりだし、水を汲んだ桶とタオルと共に私の座る椅子へと運んだ。
少年は、泥だらけになった私の脚を丁寧に濡れたタオルで拭き、薬草と一緒に包帯を巻いてくれた。
「しばらくは歩かずに安静にしててくださいね。」
少年は出したきた道具を片付けながら私へ声をかける。
「……あ、そういえば貴方、靴を履いていなかったですよね?」
少年も椅子へと 腰掛けた。
「あぁ……はい。起きた時にはこの格好で…」
「起きた…?貴方はお家から裸足なんですか?」
「それが………」
私は今までの概要を少年に話す。
〜〜〜〜〜
「なるほど……そんな事が……棺桶に……」
少年はとても意味深そうに考え込んだ後、私へと向き直る。
「……しばらく、行く宛は無いでしょうし、僕の家に居てもらっても結構なんですけど……」
「いえいえ!そ、そんなまだあって間も無い方にここまでしていただくのは……それにご家族だって……」
「僕の方は心配ないですけど……隣町の宿に泊まろうにも、お金ないでしょ?」
「…あっ………。」
「それに、ここら辺は森から近いので獰猛な獣がウジャウジャいますよ〜?そんな中で野宿しますかぁ〜?」
少年がちょっと意地の悪そうに笑顔を向ける。
困った………
だが、私には選択の余地が無いと言っても過言ではなかった。仕方ない……
「す、すみません……お願いします…」
読んで頂き、誠に光栄です。
初めて小説を書いたのですが、文才が全然ないので、アドバイスやご指摘などお待ちしております。
基本的に物語が伝われば嬉しいです。
宜しければ、これからも読んで頂きたいです。