門と人と鬼と   作:布人形

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今回短いです。あとグロかったりします。
アンダーワールド式吸血


第三話

門と呼ぶには些か長すぎるソレを潜り終わるには多少の時間が必要だった。

敵に見つかるのを防ぐために絶えず透明化の薬を飲み続け、ただひたすらに門の向こう側まで走る。暗さからか目の前の光の輝きが迫ってるように見えるが喜ぶべき事だ、そこが別世界を繋いでいるであろう出入口なのだから。

「…ハッハッ」と初戦の疲労と長い距離を全力ダッシュした両方が祟ったのか少し息が上がってしまっている。歳なのだろうか。都合よく透明化の薬の効果も切れ、彼女は黒いフードの隙間から魅力的な白い肌を覗かせてポツリと呟いた。

 

「着きましたのね」

「見りゃ分かるよ」

 

疲れてないのか息を求めて喘ぐ事なく平然と話しかけてくる。目の前に広がっているのは時間は繋がってるのかコチラにも同じように日が昇り、ただの緑の若々しい草の靡く草原と丘が広がるばかりだ。

ましてや人っ子一人おらず小鳥すらいない。「…なら好都合」と独り言を漏らして口角を上げて笑みを浮かべる。とにかく今はここから離れることが一番なのだ。セラーナにここを離れどこか人のいる所を探す旨を伝えると快く了解してくれた。

 

 

人里探しは一日が過ぎ、日が空をわずかなオレンジ色に染め上げた頃だろうか

 

 

敵性勢力がいれば倒して利用価値があるのならとっておく。相手が賊ならお前も賊ではないかだと聞きたくなるが物騒な世の中じゃ仕方ないし別に罪に問われることだって無い。さて、小川にそって人里はないか探していると偶然賊に襲われた。

意味不明、聞いたことのない言葉……恐らくスカイリムでも見てきた「お前を嬲り殺しにしてやる」とか「ぶっ殺して金目の物を奪ってやる」的な発言をしてゲラゲラと屑極まりない笑みを浮かべているのだ。

自分達を包囲するように数は……大体6人か7人程度(何となくの"勘"である)、武器は棍棒に短剣と言ったものばかり。

リーダー格と思しき体格のいいゴミはいい感じの革防具に長剣をぶら下げている。ぜひその言葉を理解して低級な会話に付き合ってやりたいが、言葉を知らないのでどうすることも出来ない。

自分達が何もしない事から怒ったのか手下が雄叫びを上げながら右から突っ込んできた。よくもまぁデイドラ防具のの禍々しい見た目に怯えず襲ったものだ。

左にいるセラーナには小声で短く2人ほど残しておけと伝えておく。彼女は短く頷いて反応を示し、それぞれ異なる魔法を両手に構えて戦闘を開始した。

 

右から突っ込んで来る雑魚、短剣を大きく上に振りかざされ自分の命を刈り取ろうと迫ってくる。だが、その命刈り取る者の顔は恐怖に満ちた顔で全身から汗をどっと噴き出しているのが見える。

見た目は年端の行かない精々14~5歳ぐらいの幼い顔つきだ。こいつが死ぬことに別に可哀想だとは思わない。思えないのだ、賊だから。

その刃が肩に届く前に得物を持った小僧の腕を爪を立てるように掴み、肉を、筋繊維をデイドラの小手と己の筋力を頼りに引き千切り、勢いで肘までの骨を肉をミキサーにかき混ぜたようなグロテスクな音を響かせながら腕を引っこ抜く。腕を引き千切られた少年は耐え難い痛みにのたうち回って恐怖に満ちた顔のまま絶命したが、死に絶えるまで見届けることなく次なる獲物を捉え、次の命を刈り取る。

 

セラーナは氷柱に吸血魔法と銀座の時と全く変わっていない戦闘スタイルだ。氷柱で人体の各所を穿(うが)ち吸血魔法で相手の生命を吸い取って自らの物にする。

だが今回は捕虜を取るということで敵を残さなければならない。人間の山賊の中で適当に頭の良さそうなのを残して、そいつのふくらはぎ辺りに氷柱を放ち足を止める。他は……銀座の時と同じように吸血魔法で生命力を奪い、氷柱を打ち込む…又はその逆、と言った感じなので申し訳ないが割愛させていただく。

 

数分後、小規模な一方的虐殺は事無きことを得て、"元山賊"の捕虜が二人を縄で縛り上げられているといった状況だ。一人は無傷、一人は片足が凍って凍傷に襲われている。

無傷の方は憔悴しきった顔で虚空を見つめて口をパクパクさせていて、もう片方は短い言葉を何度か低く怒鳴るように何度か叫び(恐らく罵倒)、苦痛に身悶えしてる様子だ。

 

さて突然だが、セラーナという吸血鬼は特殊能力と言えるほどではないが他の吸血鬼とは変わったことが出来る。

それは吸血する際に吸血された側の思い出や記憶が彼女の中に入って行くのだ。勿論、と言うわけでもないがされた側にも思い出や記憶といったものが流れる。

それを利用してその地の言葉とその意味を知ることが出来ないかと考えていたのだ。

事の発端はセラーナの持つ"血の薬"(新鮮な、つまり生きた人間から採取した血の瓶。今で言う血液パックのようなもの)が無くなり、仕方なく手首から血を吸わせた時に知ったのだ(吸血鬼が吸血行動の対称となるのは生きた人間。死んだ人間や動物の血などはダメなのだ)。

それで、この言葉もどのような場所かも分からない地で生きる為には意思疎通が出来なくては意味が無いのでまずセラーナを仲介役、と言うか翻訳役として捕虜を取ったのだ。

 

「セラーナ、頼むぞー」

 

山賊を縛り上げてる時に説明はしてあるので後は彼女からの結果を待つばかりだ。

彼女は振り向く事なく軽く手を振り、まずは凍傷で片足を根本から絶たないといけない危険な域に迫っている彼へと近づく。怯えきった表情が遠目でも分かる。セラーナは赤い目を細め冷笑を浮かべて、飢えた野獣のように正面喉元に喰らいつく。喉元食いちぎられた彼はピクピクと数秒間痙攣してからやがて絶命した。

こんなグロテスクな光景を音だけで表すなら生肉をどんなものでも粉砕するミキサーでミンチにする音、といえば分かるだろうか。

吸血鬼は手甲で口元を拭い小手を赤く染めて結果を「満足行かない」と言った表情を浮かべて告げた。

 

「んん……片言程度には話せるかもしれませんわ……」

「じゃあ、とりあえず其奴に話してみたらどうだ?」

 

細い平面を歩くような気品のある歩き方で男に近づき、しゃがんで目線を合わせて話し込んでいる。

血が足りないのか、片足凍傷男の頭が悪かったのかは分からないが彼女は片言(接続語無しの単語単語を並べる話し方)で話しているのは雰囲気で何となく分かる。

見る限りある程度の理性を取り戻したのか、男は怯えながらもコクコクと頷いてる事から多分だけども会話は成立してるのだろう。

セラーナが手招きをしてきたので何事だろうと近づいてみる。

 

「近辺の事について尋ねた(・・・)所、小川に沿って進んだ先にコダ村という小さな集落があるそうですわ」

 

なるほど……色んな事を他にも聞きたいがまぁこの賊が色々と知ってるとは思わないのでさっさと済ませてしまおう。

セラーナに「後は煮るなり焼くなり其奴を任せる」と言ったら新しい玩具を与えられた子供のように目を輝かせて見上げきた。可愛いな。セラーナは先程のように貪るように喰らうのではなく花の蜜を堪能して吸うかのように首の側面に噛ついてチュウチュウと鮮血を吸い、じわりじわりとその男は苦痛に堪える表情を激しく浮かべてその表情のまま絶命したのを自分は黙って見ていたのだった。




山賊は許さん。盗賊は許す。海賊は浪漫。雪賊はロスプラ。

おっかしいなー。何故に今回顔云々はともかくステータスは書けなかったのだろうか。
あ、素手のあれはオリジナルっす。デイドラの小手の指先はこういう事に使ってはいけないのだろうか。
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