UA10万突破記念回に続き、今回はお気に入り300件突破記念回をお送りします!この回の執筆終了時にはお気に入りが370件になっていました!ありがとうございます!
それでは、感謝の気持ちを込めた記念回……ご覧下さい!!
普段は人通りが多いこの"シベリア通り"も、真夜中となっては人通りも少なくなっていた。
一週間の仕事終わりに飲みに行った帰りだろうか、2人のスーツ姿の男性が喋りながら歩いていた。
「でさ、そいつがギャグ言ったら、空気がシベリア送りにされたわけ!」
「ははははっ、なんじゃそりゃ!なんて言ってたんだ?」
「つまんなすぎて覚えてねーわ!」
「「がはははははっ!」」
「そう言えばさ、アイドルの絢瀬絵里って"ポンコツ"だよな」
「あぁ、エリーチカだろ?かしこいかわいいエリーチカじゃなくて、ポンコツかわいいエリーチカだな」
「言えてるわそれ〜」
男達はなんら警戒することなく歩き続けた。
それが命取りになるとは知らずに……
チクリと蚊に刺されたような感覚を受けても、その2人は気づくことはなかった。
「………天誅……」
そしてその事件が"かの探偵"が知ったのはそれから2日後のことだった。
「通り魔事件……?」
「そうなの……花陽ちゃん」
ソファーにもたれてパイプを咥えているのが、かの探偵……白米探偵花陽である。そして、その前のソファーに座って手帳を持って話してるのが、シベリア警察のことりポリスである。
「う〜ん、被害者は?」
「被害者は男性会社員2人。居酒屋から帰るところを襲われたと思われます」
「どんな風に襲われたの?」
「それが………」
ことりが言いずらそうな仕草を見せると、花陽は首を傾げて頭にハテナを浮かべた。
「それが?」
「………帰ったらポンコツになってたって……」
「っ……なんですって!?」
花陽はテーブルに手をついて立ち上がって大声をあげた。
「現場からその被害者の自宅の距離は約10分です」
「ふむ……」
花陽はパイプを咥えて考え込んだ。
そのとき、ことりの携帯の着信音が鳴り、ことりは慌ててそれに応えた。
「はい、ことりポリスです。………はい……えぇ!?………はい、わかりました。失礼します!」
ことりは深刻な表情をして通話をやめた。
「な、なにがあったんですか!?」
「……また被害者が出たそうです。授業中に急にポンコツになったとか」
「2件目ですか……でも不思議ですね。急にポンコツになるなんて……」
「うん……だから花陽ちゃん、犯人を捕まえるのに協力してっ!」
「うん、協力するよ!ことりちゃんと私との仲だからね!」
「ありがとう!」
ことりと花陽は見つめ合ってぎゅっと硬い握手を交わした。
そして2人はタッグを組んで、残酷な通り魔事件の解決に挑むことになったのである!
「……ということで、私とことりちゃんは被害者の状態を見るために、西木野総合病院に訪れているのである」
「花陽ちゃん、何してるの?」
「探偵日記を書いてるんだよ!やっぱり探偵なら日記をつけなきゃだよね!」
「そ、そうだね……あはははは……」
ことりは妙に目をキラキラとさせている花陽を見て苦笑いを浮かべた。
そして病院に入ると、1人の女性が待っていた。
「待ってたわよ」
「ありがとう、真姫ちゃん」
「それで、被害者の病室は?」
「こっちよ、ついてきて」
真姫はことりと花陽を被害者の病室に連れていこうとした。
だが、そのとき………
「真姫ちゃん先生、大変です!!」
「っ……どうしたの、凛!」
そこで看護師を勤めている凛が慌てて走ってくると、真姫は驚いた表情を見せた。
「ポンコツ患者さんの心拍数がっ!!」
3人は凛の衝撃的な言葉を聞いて急いで病室に走った。
そこでは…………
「先生………」
「そんな………」
もう1人の看護師が悲しそうな目で真姫を見て言うと、真姫は絶望したような表情を浮かべた。
「私、署に報告してくるね……」
「わかった……」
ことりは署に連絡を入れるために病室を出ると、花陽はゆっくりと被害者の元に歩き出した。
その患者は………
息をしていなかった。
被害者は白目をむいていて、口を大きく開けてそこからヨダレを垂らしていた。その顔はまさにポンコツであった。
「……辛かったでしょうね、ポンコツになって、死んでしまうなんて……」
花陽は片方の拳を強く握って、帽子を目が隠れるほどに深く被った。
この数時間後、別の男性も死亡。
これを受けて、シベリア警察は"ポンコツ化通り魔事件"の対策委員会を設置。さらに、東京都全体に外出を控えるよう注意喚起し、事件の早期解決に向けて、ことりポリスと白米探偵花陽を中心にして動き出した。
「これは私の探偵人生始まって以来の大事件だよ、ことりちゃん」
「うん、私もこんな大事件初めてだよ」
2人はことりポリスの運転するパトカーに乗って、死亡した被害者の自宅に被害者の身辺調査のために向かった。
「すみません、こんなときに」
「いえいえ、あの白米探偵花陽さんに、エリートのことりポリスに来てくださって光栄です」
最初の死亡例である被害者男性の妻であるツバサはお茶を出して言った。
「で、早速なんですが……」
「ポンコツになったときの状況ですね?」
「はい、お願いします」
そうしてツバサは被害者男性のその時の状況を語り始めた。
「主人は帰ってきた時は普通だったんです。でも、次の日のお昼頃、急にポンコツになって……最初はただドジしただけかなって思ったんです。でも、ポンコツがあまりにも酷すぎて……そして、今日の朝……うっ……」
「ツバサさん……ありがとうございます。辛かったでしょう?」
「はいっ……!ことりさん、花陽さん、絶対に犯人を……主人を殺したやつを、捕まえてください!」
「「はい!」」
花陽とことりは、ツバサの一言に改めて犯人を必ず捕まえると決心したのであった。
まま犯人の目星もつかず、事件は解決されなかった。そうしているうちに、急にポンコツになる人がまた1人、また1人と出てきてしまう。この通り魔事件関連の死亡者も10人に膨れ上がり、ニュースでも大きく取り上げられていった。
「全然犯人の目星がつかない!被害者の身内も、友人もしっかり調べたのに……なんでっ!!」
花陽は自分の探偵事務所の机を思いっきり叩いて頭を抱えた。
「花陽ちゃん……」
「しかも、被害者の共通点も見当たらない!年齢もバラバラ、職もバラバラ……どうしたら……」
「…………あ」
「っ……なにかわかったの、ことりちゃん!!」
ことりがメモを見返してなにかに気づいたような声をあげると、花陽はことりの方を向いた。
「うん……被害者の趣味というか、よく観ているテレビ番組で………」
「テレビ番組……?っ……確かに被害者が趣味であったり、よく観ているテレビ番組を合わせての共通点がある……!」
「うん、これってもしかして!」
「うん、いけるかもしれない!」
ことりと花陽は事件解決の希望を見つけて喜んだ。
そして、花陽とことりはある場所に急いで向かった。
そこは……
アイドル事務所『ハートビート』……
花陽とことりはそこの事務所所属のアイドル、矢澤にこ、東條希、絢瀬絵里を尋ねたのであった。
「で、私達になにか用?忙しいんだけど」
アイドルの意識が誰よりも強いにこは忙しくないのに忙しいと嘘をついた。
「まぁまぁにこっち、暇してたとこやしええやん」
「そうよ。折角あの白米探偵花陽さんとシベリア警察の誇るエリートのことりポリスが来てくれたのに」
「それで、本題に入りますが……」
ことりがそう言うと、3人は真剣な表情でことりを見た。
「まず、最近話題の通り魔事件はご存知ですか?」
「当たり前よ、最近話題だもん。まさか、私達を疑ってるの?」
「「えぇ〜!?」」
「いえ、そういうわけではないんです!」
にこが偉そうにそう言うと、希と絵里は驚きの声をあげるが、ことりはそれを否定する。
「ただ、被害者に共通点がありまして……」
「共通点……?」
「はい。それは……」
「「「それは………?」」」
にこ・希・絵里は答えが気になって唾を飲み込む。
「それは……どの被害者も、貴女がたが出ておられる番組を観ている、もしくはファンなんです」
「「「えっ……!?」」」
3人は、花陽から告げられた被害者の共通点を聞いて驚きを隠せなかった。
「っていうことは、にこのファンが何人かこの世からいなくなってるってこと!?」
「まぁ、そういうことになりますね」
「……そんな……そんなことってっ……!!」
ことりや花陽の目の前にも関わらず、にこは顔を手で覆って大泣きをする。
希はそんなにこの背中を叩いて同情する。
「それで、一刻も早く事件を解決するためにみなさんの周りの友人関係などの周りとの関係を教えていただきたいんです」
「それぐらいお安い御用よ。ね、2人とも」
「そうやね」
「えぇ、早くこの事件は解決して欲しいからね」
「「ありがとうございます!」」
3人の冷静で、迅速な対応にことりと花陽は頭を下げた。
そして、3人は頼まれたことを1枚の紙に書いていった。
だが、絵里の手がある人物との関係を書くときに止まる。
「どうしたんですか?絵里さん」
「その……この情報は外部には出されないんですよね?」
「はい。でも、なんで……?」
「実はこの人………」
絵里が指さした人物にみんなの視線が向いた。
その人物とは……
「香川……ナオキ……さん?」
「はい。この人は私の幼馴染みで………」
絵里は言葉を濁すと、全員の視線は一気に絵里に向いた。
「この人は………私の"許嫁"なんです」
「「「「えぇ〜!?」」」」
なんと、その香川ナオキという人物は絵里の許嫁……結婚を許された仲なのであった。
「ちょっと、貴女アイドルでしょ!?なんで……」
「にこ……ごめんなさい。でも、これは昔から決まってたことなのよ……」
にこと希とことりは、信じられないという表情をしていた。
だが、花陽はなにか考え込んでいた。
「花陽ちゃん……?」
ことりはそんな花陽に声をかける。
だが、その言葉に反応はない。
(……絵里さんの許嫁……被害者のポンコツ化…………でもなんでポンコツに……?あ、そう言えば……絵里さんは巷ではポンコツと言われいる………ふっ、そういうことなんだね……)
すると、花陽はニヤリと笑った。
「花陽ちゃん?」
「ことりちゃん、試したいことがあるんだけど、付き合ってもらっていいかな?」
「うん、ことりは花陽ちゃんの相棒だからね!」
「まさか……わかったの?………犯人が」
「私のカンが……そう言っているんですよ」
花陽はそう言ってテーブルに置いていた帽子を取って、深く被った。
「さて、話は変わりますが……」
そう言って花陽は絵里の方を向いた。
絵里は急に向かれたのでビックリした表情を見せた。
「絵里さんってポンコツですよね」
「へっ……!?」
「それだけです……失礼します」
花陽はそう言い残して去っていくと、わけのわからないままことりは一礼をして花陽を追った。
「何言ってんの、あの子……?」
「さぁ……?」
「………?」
3人はわけがわからずにその場に座ったまま首を傾げた。
その日の夜………
花陽は暑いのだろうか、窓を開けたままベッドで寝息をたてて寝ていた。
すると、風の音とともにドアが開いた。
そして怪しい人影が窓から入ってきた。
その人影は、そろりそろりと花陽のベッドに近づいた。
「……天誅…………!」
そしてその人影が注射器を構えて花陽に襲いかかろうとした。
「そこまでです……」
「なっ……!?」
だが、寝ていたはずの花陽がそう呟くと部屋が明るくなった。
「そこまでです!大人しくその持っているモノを捨てなさい!」
すると、ドア前に待機していたことりが銃口をその侵入者に向けた。それと同時に、シベリア警察の精鋭部隊が入ってきて侵入者の周りを囲んだ。
「くそっ……なんだこれっ……!?」
その侵入者は逃げようとすると足が動かずに戸惑いを見せた。
「そこには『ゴキブリホイホイ』を広げています。もう動けませんよ……
香川ナオキさん……」
「なっ……!?」
「その反応を見る限り、本当にナオキさんなんですね。さ、その覆面を取ってくだい。もう隠せませんよ?」
花陽がそう言うと、侵入者……ナオキは悔しそうに覆面を脱ぎ捨てた。
「なんでわかったんだ?白米探偵さんよ」
「答えは意外にも簡単でした。被害者となった人達は矢澤にこ・東條希・絢瀬絵里のファン、もしくはそのテレビ番組を観ていたという共通点がありました。さらに気になったのは被害者のポンコツになるという症状です。これはおそらくは先程言っていた"天誅"……『絵里さんをポンコツと言うくらいなら自分もポンコツになってみろ』ってことなんですよね?貴方は、貴方が心から愛する絵里さんが"ポンコツ"と言われるのが耐えられなかったんですよね?その怒りも絵里さんへの愛が大きいからこそ、だからこんなことを……」
「流石は、白米探偵さんだな……」
ナオキは花陽の推理にお手上げだと頭をかいた。
「そうさ、全部白米探偵さんの言う通りさ。おれの絵里をポンコツっていうやつは絶対に許さない……!聞いててイライラするんだよ……みんなポンコツポンコツって……ふざけんなっ!!なにがポンコツかわいいエリーチカだ!かしこいかわいいエリーチカだろうが!!そうだ、絵里はポンコツなんかじゃない!あいつらがポンコツと思ってるのは、絵里のありのままの姿なんだ!!なのにっ……!!」
ナオキは怒りをあらわにして狂ったようにそう言った。
「だから白米探偵……お前も……お前にも天誅をくだす!!」
ナオキはそう言って日本刀を鞘から抜いた。
「っ……花陽ちゃん!全員、犯人を捕らえて!」
ナオキが日本刀を振りかぶると、周りを取り囲んでいた警察に取り押さえられた。
「くっ、離せっ!!おれはっ、おれはっ!!!」
「もうここまでですナオキさん!」
ことりはベッドに乗ってナオキの顔の近くで銃を構えた。
「くっ……!」
「ナオキさん、貴方の気持ちもわかります。でも、やっていいことと悪いことがあります!」
「ちっ、うるせーな……おれは絵里のためなら犯罪者にでもなってやるよ!!」
「そんなことして、絵里さんが喜ぶと思ってるんですかっ!!??」
「っ……!」
花陽が怒鳴り声をあげると、ナオキは目を丸くして汗を垂らす。
「貴方のやったことは立派な犯罪なんです。だからしっかり、罪を償って下さい……絵里さんのためにも」
「くっ……おれは、ただ、絵里のためにっ……!」
そんなナオキの後悔の涙は、下に広げたゴキブリホイホイに落ちていった。
(その後ナオキさんは警察に逮捕され、牢獄の中に入っていきました。
絵里さんはショックを受けていましたが、ナオキさんがそこまで自分のことを想っていたのだと知って嬉しくなっていたのもまた事実。
ですが、ナオキさんは牢獄の中で自ら命を絶ちました。
そして、ナオキさんが残した遺書には、自分が犯した犯罪を反省し、被害者家族への謝罪、愛する絵里さんへの謝罪文もありました。
絵里さんはさらにショックを受けていましたが、『ナオキさんの分まで生きるんだ』と決意して……)
「花陽さん、行きましょう!」
「はい、戸締りよろしくお願いします」
「はい!」
(絵里さんはアイドルを辞めて、今は私の大切な秘書さんです!)
「ナオキ、行ってきます……ちゅっ……」
絵里はナオキの写真にキスをした。
白米探偵花陽とその秘書絵里はまた今日も調査に向かうのであった。
もし、あなたもとある人物をポンコツと言うと、ポンコツになってしまう………かもしれない。
〜スタッフロール〜
白米探偵花陽……小泉花陽
ことりポリス……南ことり
香川ナオキ・絢瀬絵里・矢澤にこ・東條希・西木野真姫・星空凛……本人出演
警察A……園田海未
ツバサ……綺羅ツバサ
その他モブ……色んな人
語り……シベリア
脚本……香川ナオキ
監督……高坂穂乃果
〜妄想ラジオ(特別版)〜
ナ「なんかおれの役最悪じゃね?」
穂「いいじゃん!ナオキくんは主人公だからいつも活躍してるんだし!」
ナ「はいはいわかりましたよ監督さん」
穂「さて、今回の妄想ラジオは香川ナオキさんと一緒にお送りします!」
ナ「いやいや、なんでお前がしきってんだよ」
穂「だって監督だもん!」
ナ「……ういっす」
穂「さて、今回はこの大監督高坂穂乃果が手がけた映画!みなさん楽しんでくれましたか?」
ナ「まず映画だったことに驚きだけどな」
穂「まぁ、そうだろうね。それも穂乃果の思惑通りなんだよ!」
ナ「な、なんだってーそーだったのかー(棒)」
穂「えっへん!」
ナ「でもさ、今回の主役は……?」
穂「もちろん、花陽ちゃんだよ!」
ナ「ことりは?」
穂「ことりちゃんは……サブ主役?」
ナ「なるほどね。ま、偶にはおれが主役じゃなくてもいいんじゃないか?主人公なんだし」
穂「その通りだよ!いつもいつもナオキくんと絵里ちゃんばっかり!」
ナ「そりゃあ、主人公とメインヒロインだからな!」
穂「私は……高坂穂乃果は……メモ活動をします!!!もっと出番を!!!」
ナ「穂乃果〜!どこいくんだ〜!!あと、メモ活動じゃなくて、デモ活動だ〜!!!くそっ……最後までしろよ。
それじゃあみなさん、これからもこの小説をよろしくお願いします!ばいばーい!」